194 / 254
№194 呪いか憑依か
しおりを挟む
取り憑かれたことありますか? 幽霊とかが取り憑くって何か呪いと区別が付かないことないですか? 同じモノなのかな。というのも私、取り憑かれたことがあるんですよ。
私は高校の時に一度引っ越しをしているんです。小学校、中学校を過ごした街は、私にとって故郷のようなものです。
社会人になってから中学校の同窓会がありました。久しぶりに帰ると当時のクラスメイトが駅で待ってくれていました。変わらないね、誰が来るかな、なんて良いながら学校に向かっていたんです。学校に行く途中に歩道橋がありました。階段を上りきったところで、歩道橋の真ん中に小学生くらいの女の子が立ち止まってこちらを見ているのに気づきました。見覚えがある、そう思ったとき全身の毛が逆立つのを感じました。そしてそれが小学生の時に歩道橋から突き落とされて死んだ友達と気づきました。当時はかなりショックを受けたはずなのに忘れていたんです。
「セイコちゃん?」
名前を口にしたとき、無表情で私を見ていたセイコちゃんはぐっとこちらをにらみつけてきました。その瞬間頭の中に昔の記憶がフラッシュバックしたんです。
セイコちゃんは意地悪な子でした。私は家が近かったから登下校の時に標的にされて、よく虐められました。ある日、この歩道橋で髪を引っ張られ、お気に入りのシュシュが柵を通り越して道路に落ちてしまったんです。思わず柵から身を乗り出して下の様子を確認しましたが、交通量の多い道路だったので見つかりません。誰かの車の上に乗ってしまったのかとがっかりしまし、柵から降りるとセイコちゃんが真後ろにいました。セイコちゃんは身を乗り出していた私を突き落とそうとしていたんです。セイコちゃんは笑っていました。その顔を見たら今までのことも含め、私は爆発してしまったんです。喧嘩になり、叩いたり、服を引っ張ったり。そうしているうちに、勢い余って私はセイコちゃんを・・・・・・。
何で今まで忘れていたんだろう。子どもの頃とは言え、人を殺していたなんて。私は衝動的に、柵によじ登ろうとしました。その時は完全に失念していましたが、一緒に居た友人に止められました。泣きながら、
「セイコちゃんを殺したのは私だった。それなのに忘れていた。死なせて欲しい」
と訴えました。すると友人は
「何言ってるの? セイコちゃん殺した犯人捕まってるじゃない」と。
「事件があった時、私たちは他の友達の誕生会にお呼ばれしてて、呼ばれてないセイコちゃんは一人で遊んでいて変な男に狙われたんだよ」
そう友人が話しているうちに徐々に記憶が戻ってきました。そうだった。誕生会から家に帰って、母に事件のことを聞いたんだった。
「じゃあ、今のフラッシュバックは何」
私がつぶやくと、友人は言いにくそうに
「この歩道橋、セイコちゃんが死んでからよく自殺者が出るんだ。同じ小学校出身の」
さっきまでセイコちゃんの姿があった場所にはもう誰もいませんでした。
あの偽物の記憶は最初生々しくて、信じてしまいましたが、冷静になるとおかしな所ばかりでした。あの瞬間、もしかして私は取り憑かれていたんでしょうか。だとしたら、誰からも取り憑かれていると気づかれずに死ぬ人って、結構居るかもしれませんね。
私は高校の時に一度引っ越しをしているんです。小学校、中学校を過ごした街は、私にとって故郷のようなものです。
社会人になってから中学校の同窓会がありました。久しぶりに帰ると当時のクラスメイトが駅で待ってくれていました。変わらないね、誰が来るかな、なんて良いながら学校に向かっていたんです。学校に行く途中に歩道橋がありました。階段を上りきったところで、歩道橋の真ん中に小学生くらいの女の子が立ち止まってこちらを見ているのに気づきました。見覚えがある、そう思ったとき全身の毛が逆立つのを感じました。そしてそれが小学生の時に歩道橋から突き落とされて死んだ友達と気づきました。当時はかなりショックを受けたはずなのに忘れていたんです。
「セイコちゃん?」
名前を口にしたとき、無表情で私を見ていたセイコちゃんはぐっとこちらをにらみつけてきました。その瞬間頭の中に昔の記憶がフラッシュバックしたんです。
セイコちゃんは意地悪な子でした。私は家が近かったから登下校の時に標的にされて、よく虐められました。ある日、この歩道橋で髪を引っ張られ、お気に入りのシュシュが柵を通り越して道路に落ちてしまったんです。思わず柵から身を乗り出して下の様子を確認しましたが、交通量の多い道路だったので見つかりません。誰かの車の上に乗ってしまったのかとがっかりしまし、柵から降りるとセイコちゃんが真後ろにいました。セイコちゃんは身を乗り出していた私を突き落とそうとしていたんです。セイコちゃんは笑っていました。その顔を見たら今までのことも含め、私は爆発してしまったんです。喧嘩になり、叩いたり、服を引っ張ったり。そうしているうちに、勢い余って私はセイコちゃんを・・・・・・。
何で今まで忘れていたんだろう。子どもの頃とは言え、人を殺していたなんて。私は衝動的に、柵によじ登ろうとしました。その時は完全に失念していましたが、一緒に居た友人に止められました。泣きながら、
「セイコちゃんを殺したのは私だった。それなのに忘れていた。死なせて欲しい」
と訴えました。すると友人は
「何言ってるの? セイコちゃん殺した犯人捕まってるじゃない」と。
「事件があった時、私たちは他の友達の誕生会にお呼ばれしてて、呼ばれてないセイコちゃんは一人で遊んでいて変な男に狙われたんだよ」
そう友人が話しているうちに徐々に記憶が戻ってきました。そうだった。誕生会から家に帰って、母に事件のことを聞いたんだった。
「じゃあ、今のフラッシュバックは何」
私がつぶやくと、友人は言いにくそうに
「この歩道橋、セイコちゃんが死んでからよく自殺者が出るんだ。同じ小学校出身の」
さっきまでセイコちゃんの姿があった場所にはもう誰もいませんでした。
あの偽物の記憶は最初生々しくて、信じてしまいましたが、冷静になるとおかしな所ばかりでした。あの瞬間、もしかして私は取り憑かれていたんでしょうか。だとしたら、誰からも取り憑かれていると気づかれずに死ぬ人って、結構居るかもしれませんね。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。



奇妙な家
376219206@qq.com
ホラー
運転手なしのバスは、呪われた人々を乗せて、奇妙な黒い家へと向かった...その奇妙な家には、血で染まったドアがあった。呪われた人は、時折、血の門の向こうの恐ろしい世界に強制的に引きずり込まれ、恐ろしい出来事を成し遂げることになる... 寧秋水は奇怪な家で次々と恐ろしく奇妙な物語を経験し、やっとのことで逃げ延びて生き残ったが、すべてが想像とは全く違っていた... 奇怪な家は呪いではなく、... —— 「もう夜も遅いよ、友よ、奇怪な家に座ってくれ。ここには火鉢がある。ところで、この話を聞いてくれ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる