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№173 首飾り
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私、本当はネックレスとかペンダントとか好きなんですよ。
――向さんは白く細い自分の首をなでながら言った。
それが出来なくなったのはあるペンダントがきっかけでした。
それは姉のペンダントで、彼氏からプレゼントされたものでした。私はうらやましくてたまらなくて・・・・・・でも到底私の経済力で買えるようなものではありませんでした。
だから姉が絶対付けない日を見計らって、こっそり部屋から拝借して付けていました。最初は自室でペンダントをつけたコーデを楽しむだけだったんですが、だんだんと大胆になってきて、その格好で友達と遊びに行ったりしていました。
私は大学生で、姉は社会人。生活リズムも活動範囲も違ったので全然ばれず、姉もおっとりした性格だったの私が多少おかしな行動――姉の予定を聞きまくったり、部屋の周りでうろうろしたり――をしても気にしていないようでした。
でもある日、私はうっかり姉の予定を勘違いしてペンダントを持って家を出てしまったんです。それは運悪く、姉が彼氏の両親に挨拶に行く日でした。姉も彼氏もペンダントに思い入れがあり、是非付けてきて欲しいと言われ、姉は前日から準備していたようです。私は何も知らずにそれを持って大学に行き、飲み会にも参加しました。
一方姉は、準備していたはずのペンダントがなく、散々探して仕方なく時間ギリギリに挨拶に向かったそうです。遅刻寸前の上、ペンダントを付けていないことに彼氏はいらだち、姉もこんなはずじゃなかったと口論になったそうです。なくしたんじゃないかとか、そんなはずない、といった口論の後、頭に血が上った彼氏は家まで送るはずだったのに、姉を車から降ろしたんです。姉も冷静になりたかったのか言われるがまま車から降りました。でも、そこに後続のバイクが来て・・・・・・。
私は後悔しましたが、おそろしくてペンダントのことは誰にも言えません。そして姉の棺桶にそっとペンダントを入れました。火葬場で燃えたと思ったんですが、ペンダントはいつの間にか私の部屋にありました。それから何度捨ててもペンダントは帰ってくるんです。とうとうお寺に引き取ってもらいました。でもいまだにペンダントやネックレスなどは付けるのも見るのも嫌なんです。え? どんなって、ピンクダイヤのかわいらしいけど、ちゃんとフォーマルなところにも使える良いデザインのペンダントです。
――帰り際、話し始めたときにはなかったピンクダイヤのペンダントが向さんの首元で光っていた。向さんは最後まで気づかずに帰って行った。
――向さんは白く細い自分の首をなでながら言った。
それが出来なくなったのはあるペンダントがきっかけでした。
それは姉のペンダントで、彼氏からプレゼントされたものでした。私はうらやましくてたまらなくて・・・・・・でも到底私の経済力で買えるようなものではありませんでした。
だから姉が絶対付けない日を見計らって、こっそり部屋から拝借して付けていました。最初は自室でペンダントをつけたコーデを楽しむだけだったんですが、だんだんと大胆になってきて、その格好で友達と遊びに行ったりしていました。
私は大学生で、姉は社会人。生活リズムも活動範囲も違ったので全然ばれず、姉もおっとりした性格だったの私が多少おかしな行動――姉の予定を聞きまくったり、部屋の周りでうろうろしたり――をしても気にしていないようでした。
でもある日、私はうっかり姉の予定を勘違いしてペンダントを持って家を出てしまったんです。それは運悪く、姉が彼氏の両親に挨拶に行く日でした。姉も彼氏もペンダントに思い入れがあり、是非付けてきて欲しいと言われ、姉は前日から準備していたようです。私は何も知らずにそれを持って大学に行き、飲み会にも参加しました。
一方姉は、準備していたはずのペンダントがなく、散々探して仕方なく時間ギリギリに挨拶に向かったそうです。遅刻寸前の上、ペンダントを付けていないことに彼氏はいらだち、姉もこんなはずじゃなかったと口論になったそうです。なくしたんじゃないかとか、そんなはずない、といった口論の後、頭に血が上った彼氏は家まで送るはずだったのに、姉を車から降ろしたんです。姉も冷静になりたかったのか言われるがまま車から降りました。でも、そこに後続のバイクが来て・・・・・・。
私は後悔しましたが、おそろしくてペンダントのことは誰にも言えません。そして姉の棺桶にそっとペンダントを入れました。火葬場で燃えたと思ったんですが、ペンダントはいつの間にか私の部屋にありました。それから何度捨ててもペンダントは帰ってくるんです。とうとうお寺に引き取ってもらいました。でもいまだにペンダントやネックレスなどは付けるのも見るのも嫌なんです。え? どんなって、ピンクダイヤのかわいらしいけど、ちゃんとフォーマルなところにも使える良いデザインのペンダントです。
――帰り際、話し始めたときにはなかったピンクダイヤのペンダントが向さんの首元で光っていた。向さんは最後まで気づかずに帰って行った。
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