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№157 ライトスタンド
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少し不眠症気味になったことがあります。寝付きが悪くて、寝れてもふと目が覚めてそれから朝まで眠れない。不安はありましたが、医者にちゃんと診てもらって「不眠症」なんて診断を受けたら、仕事をクビになるでしょう。当時はそっちの方が不安でした。
とりあえず気を紛らわすため、布団の中で本を読むことにしました。読書は好きです。でも社会人になってからなかなか時間が取れずに、購入しても読まずに本棚に突っ込んだままの本がいくつかありました。ちょうど良いと思うことにしました。無駄に起きている時間を有効に使おうと。
ただそうしてみて分かったんですが、部屋の電気がついていると本当に全く眠れなくなったんですよ。それまでは少しは眠れたのに。そこで枕元に手元だけ照らせるライトスタンドを購入しました。
とりあえずは今まで通り少しは眠れるようになりました。しかし別の問題が発生しました。何かが視界の端で動くんです。はじめは光によってきた虫だと思いました。だから防虫剤をまいたり掃除をまめにしたり対策はしたんですが、それでもスッと。それも蚊とかハエではないんですよ。もう少し大きな・・・・・・。
ある夜また視界の端で動く物があったんで、すぐに持っていた本でたたいてみたんです。手応えがありました。しかしそれは思っているような感触ではありませんでした。そして光の当たるギリギリの場所、私が手を伸ばしている先に、着物の袖のような物が見えたんです。着物には疎いんですが、綺麗に牡丹が描かれていました。もちろん着物なんて私の家にはありません。呆然としていたら袖はすっと光の当たる場所から消えていきました。しばらくしておそるおそる部屋の電気をつけましたが、着物も着物を着た人も居ません。それを確認してしまったからなのか、急に寒くなって、私は部屋の電気をつけたまま布団をかぶって目をつむりました。
あれは幽霊だったのか。私は幽霊を殴ってしまったのか。そんなことを考えているうちに、あんなに目が冴えていたのにそのまま寝てしまったんです。
そしてふと目を覚ますと部屋の電気は消されていて、枕元の電気スタンドだけ静かに光っていました。私は何故か手を高く上げていました。寝ぼけて何をやっているんだろうと思いましたが、下ろそうとしても腕は天井に向かって伸びたまま自分の意思で動きません。
ライトスタンドの光を頼りに見てみると、誰かが私の手首を掴んで高く上げているんです。白い女の人の手に見えました。そしてもう一本光の中に腕が入ってきました。それは先ほどの牡丹の柄の着物を着ていました。その手が私の腕をコツンと殴ったんです。その瞬間、腕に激痛が走り私は気絶しました。
殴られた腕は綺麗に折れていました。もちろん入院です。突然怪我をして周りに迷惑を掛けちゃったんで、仕事もやめることになってしまいました。散々ですよ。
――月村さんはその後ライトスタンドを捨て、社宅も引っ越し、もう夜中におかしな影を見ることはなくなったという。
とりあえず気を紛らわすため、布団の中で本を読むことにしました。読書は好きです。でも社会人になってからなかなか時間が取れずに、購入しても読まずに本棚に突っ込んだままの本がいくつかありました。ちょうど良いと思うことにしました。無駄に起きている時間を有効に使おうと。
ただそうしてみて分かったんですが、部屋の電気がついていると本当に全く眠れなくなったんですよ。それまでは少しは眠れたのに。そこで枕元に手元だけ照らせるライトスタンドを購入しました。
とりあえずは今まで通り少しは眠れるようになりました。しかし別の問題が発生しました。何かが視界の端で動くんです。はじめは光によってきた虫だと思いました。だから防虫剤をまいたり掃除をまめにしたり対策はしたんですが、それでもスッと。それも蚊とかハエではないんですよ。もう少し大きな・・・・・・。
ある夜また視界の端で動く物があったんで、すぐに持っていた本でたたいてみたんです。手応えがありました。しかしそれは思っているような感触ではありませんでした。そして光の当たるギリギリの場所、私が手を伸ばしている先に、着物の袖のような物が見えたんです。着物には疎いんですが、綺麗に牡丹が描かれていました。もちろん着物なんて私の家にはありません。呆然としていたら袖はすっと光の当たる場所から消えていきました。しばらくしておそるおそる部屋の電気をつけましたが、着物も着物を着た人も居ません。それを確認してしまったからなのか、急に寒くなって、私は部屋の電気をつけたまま布団をかぶって目をつむりました。
あれは幽霊だったのか。私は幽霊を殴ってしまったのか。そんなことを考えているうちに、あんなに目が冴えていたのにそのまま寝てしまったんです。
そしてふと目を覚ますと部屋の電気は消されていて、枕元の電気スタンドだけ静かに光っていました。私は何故か手を高く上げていました。寝ぼけて何をやっているんだろうと思いましたが、下ろそうとしても腕は天井に向かって伸びたまま自分の意思で動きません。
ライトスタンドの光を頼りに見てみると、誰かが私の手首を掴んで高く上げているんです。白い女の人の手に見えました。そしてもう一本光の中に腕が入ってきました。それは先ほどの牡丹の柄の着物を着ていました。その手が私の腕をコツンと殴ったんです。その瞬間、腕に激痛が走り私は気絶しました。
殴られた腕は綺麗に折れていました。もちろん入院です。突然怪我をして周りに迷惑を掛けちゃったんで、仕事もやめることになってしまいました。散々ですよ。
――月村さんはその後ライトスタンドを捨て、社宅も引っ越し、もう夜中におかしな影を見ることはなくなったという。
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