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№120 のぞき込む子供
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もう20年以上前の話です。
――その頃まだ二見さんは幼稚園児だったそうだが、そのことはよく覚えているらしい。
私の母はパチンコが好きで私の幼稚園の帰りによく遊びに行っていました。私は駐車場に停めた車の中で待っていました。おやつやおもちゃを与えられて、車の中でのお留守番は楽しかった記憶があります。でもだんだん寂しくなってきて、何を与えられても楽しくなくなってきました。それでも母は嫌がる私を後部座席に押し込めてパチンコを打ちに行っていました。
その日はとても寒くて、私はジュースをもらっていたんですが、トイレに行きたくなりました。でも出方が分かりません。その頃の車のドアって堅くて子供の力じゃなかなか開かなかったんですよね。
私はお漏らしをしてしまいました。車はエンジンが切ってあって寒くて、さらに雪も降ってきたのでどんどん体温も下がってきました。車の送り迎えのためか、私はコートやダウンを着てなかったんです。ぬれたスカートとパンツが気持ち悪くて脱いだんですが、体を覆うものも他になく半裸でシートの下にうずくまっていました。
羞恥心があったのか、お母さんに怒られると思ったのか、覚えていませんが、とりあえず近くを通っても誰にも見られなかったと思います。体が冷たくなってきてカタカタ震えていたのですが、ふと視線を感じて目を上げると子供がのぞき込んでいました。でもそのときは「子供」とは思わなくて、なんか変な人形があるなと思っていました。それは目から上が見えていましたが、髪がなく皮膚は赤黒く目は爛々と光っていました。手も赤黒く、ガラスにつけてじっとこちらをのぞき込んでいました。
そこから先は記憶がありません。気がついたら病院で、出張中だったはずの父が迎えに来ていました。その後母と会うことはなく、父と父方の祖父母に育てられました。
あの赤黒い子供ですが、あれきりではなく、たまに現れてじっと見てきます。実は例のパチンコ店、以前も夏に車の中に放置された子がいて、その子は亡くなっていたんです。たぶん、その子の霊が仲間ができると思って待っているんですね。
今でも出ますよ。私が死ぬのを待っているんでしょう。だからといって何をしてくるわけでもないので、私が寿命で死ぬときに一緒にあちらに連れて行ってあげようと思います。
――その頃まだ二見さんは幼稚園児だったそうだが、そのことはよく覚えているらしい。
私の母はパチンコが好きで私の幼稚園の帰りによく遊びに行っていました。私は駐車場に停めた車の中で待っていました。おやつやおもちゃを与えられて、車の中でのお留守番は楽しかった記憶があります。でもだんだん寂しくなってきて、何を与えられても楽しくなくなってきました。それでも母は嫌がる私を後部座席に押し込めてパチンコを打ちに行っていました。
その日はとても寒くて、私はジュースをもらっていたんですが、トイレに行きたくなりました。でも出方が分かりません。その頃の車のドアって堅くて子供の力じゃなかなか開かなかったんですよね。
私はお漏らしをしてしまいました。車はエンジンが切ってあって寒くて、さらに雪も降ってきたのでどんどん体温も下がってきました。車の送り迎えのためか、私はコートやダウンを着てなかったんです。ぬれたスカートとパンツが気持ち悪くて脱いだんですが、体を覆うものも他になく半裸でシートの下にうずくまっていました。
羞恥心があったのか、お母さんに怒られると思ったのか、覚えていませんが、とりあえず近くを通っても誰にも見られなかったと思います。体が冷たくなってきてカタカタ震えていたのですが、ふと視線を感じて目を上げると子供がのぞき込んでいました。でもそのときは「子供」とは思わなくて、なんか変な人形があるなと思っていました。それは目から上が見えていましたが、髪がなく皮膚は赤黒く目は爛々と光っていました。手も赤黒く、ガラスにつけてじっとこちらをのぞき込んでいました。
そこから先は記憶がありません。気がついたら病院で、出張中だったはずの父が迎えに来ていました。その後母と会うことはなく、父と父方の祖父母に育てられました。
あの赤黒い子供ですが、あれきりではなく、たまに現れてじっと見てきます。実は例のパチンコ店、以前も夏に車の中に放置された子がいて、その子は亡くなっていたんです。たぶん、その子の霊が仲間ができると思って待っているんですね。
今でも出ますよ。私が死ぬのを待っているんでしょう。だからといって何をしてくるわけでもないので、私が寿命で死ぬときに一緒にあちらに連れて行ってあげようと思います。
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