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№86 散らかった部屋
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――芥さんのお母さんは片づけが苦手だったそうだ。
他の家事は得意だったんですが、掃除とか整理整頓がからきしで、常に何か探したり、片づけをしているイメージですね。
その時も母は自室の掃除をしていたそうです。全然片付かず、途方に暮れていたら
ピッピッピッピッピッ
と電子音がしたそうです。収納ケースに入りきらない服や雑誌の束の下にタイマーが隠れているんだろうと思い、再び掃除を開始しました。すると、また
ピッピッピッピッ
どこから聞こえているのか、慎重に聞きましたが見つけられません。とにかく先にタイマーを探そうと、床に置いている物をすべて座卓にあげました。一応床は見えるようになりましたが、タイマーらしきものは見つかりません。
ピッピッピッ
もしかして使っていない鞄に入っているんだろうかと、まとめて置いてあった鞄をひとつずつひっくり返していきました。しわしわになったハンカチや、溶けた飴、街頭でなんとなく受け取ったチラシなどは出てきましたが、音が鳴るようなものはありません。
ピッピッ
母はなんだか不安になってきて、もしかしたらタイマーなんてないんじゃないかと思い始めたそうです。とにかく掃除をしないといけない。母は箪笥を開けて床に落ちている服を収納するスペースを開け始めました。そして
ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ
ばたんと扉が開きました。そこには黒い服で目深に黒い帽子をかぶった背の高い男が立っていました。母は男の前に立って「ごめんなさい、まだ掃除が終わってなくて」 と言ったそうです。男は「待っててやるから早くしろ!」とすごい剣幕で怒りました。
そこで母は目を覚ましました。母は発作で倒れ、一度死にかけました。私たちも最期を覚悟していたのですが、奇跡的に蘇生したんです。そして母にこの夢の話を聞きました。退院して母は見違えるほど掃除上手になり、家の中がすっきりした、その次の日に再度発作が起こり、今度は帰らぬ人となりました。
あの男を母は見たことがない人だと言いました。もしかしたら死神かもしれません。でも母があっけらかんと話すのであんまり怖くなかったですね。怒りつつも待っててくれたようですし。
他の家事は得意だったんですが、掃除とか整理整頓がからきしで、常に何か探したり、片づけをしているイメージですね。
その時も母は自室の掃除をしていたそうです。全然片付かず、途方に暮れていたら
ピッピッピッピッピッ
と電子音がしたそうです。収納ケースに入りきらない服や雑誌の束の下にタイマーが隠れているんだろうと思い、再び掃除を開始しました。すると、また
ピッピッピッピッ
どこから聞こえているのか、慎重に聞きましたが見つけられません。とにかく先にタイマーを探そうと、床に置いている物をすべて座卓にあげました。一応床は見えるようになりましたが、タイマーらしきものは見つかりません。
ピッピッピッ
もしかして使っていない鞄に入っているんだろうかと、まとめて置いてあった鞄をひとつずつひっくり返していきました。しわしわになったハンカチや、溶けた飴、街頭でなんとなく受け取ったチラシなどは出てきましたが、音が鳴るようなものはありません。
ピッピッ
母はなんだか不安になってきて、もしかしたらタイマーなんてないんじゃないかと思い始めたそうです。とにかく掃除をしないといけない。母は箪笥を開けて床に落ちている服を収納するスペースを開け始めました。そして
ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ
ばたんと扉が開きました。そこには黒い服で目深に黒い帽子をかぶった背の高い男が立っていました。母は男の前に立って「ごめんなさい、まだ掃除が終わってなくて」 と言ったそうです。男は「待っててやるから早くしろ!」とすごい剣幕で怒りました。
そこで母は目を覚ましました。母は発作で倒れ、一度死にかけました。私たちも最期を覚悟していたのですが、奇跡的に蘇生したんです。そして母にこの夢の話を聞きました。退院して母は見違えるほど掃除上手になり、家の中がすっきりした、その次の日に再度発作が起こり、今度は帰らぬ人となりました。
あの男を母は見たことがない人だと言いました。もしかしたら死神かもしれません。でも母があっけらかんと話すのであんまり怖くなかったですね。怒りつつも待っててくれたようですし。
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