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№59 着せ替え人形
しおりを挟む 借家に住んでいます。父と母と私で、3年前から。
――墨田さんはまだ高校生くらいの女の子だった。
2階建てで、それぞれの自室は2階にあります。ただ両親の寝室は1階にあって、私の部屋は勉強部屋兼寝室です。
移り住んですぐに夜中に屋根裏から物音がするようになりました。決まって2時ごろです。パタパタという音とたまにカタンという音がします。それまでアパートに住んでいたので、あまり物音を気にしたことがなかったんですが、そう言えば一戸建てだったと思いだして、何日か続けて音が聞こえたので、両親に相談しました。
母は不気味がりましたが、父は家鳴りじゃないのかと言いました。家を支えている木材とかがきしんで音を立てることがあるそうです。その時は納得しましたが、注意深く耳を澄ませても2時ごろ以外はその音がしないんですよ。そしてまた父に相談しました。母にはその時は言いませんでした。家鳴りと聞いて安心していて、怖がらせるのは可哀相だと思って。
父は私の気持ちを察してくれて、母のいないときに一緒に屋根裏を見てくれました。私の部屋に脚立を持ち込んで、懐中電灯で照らしました。私は脚立を支えたまま待っていました。
すると父は何か見つけたらしく上半身だけ屋根裏に乗り込み、しばらくすると「驚くなよ」という声がしてずるずると何かを引きずり出しました。それはほこりのかぶったゴミ袋でした。床にそれを下ろして中を見てみると、古い着せ替え人形が20体くらい入っていました。
私が怖がっていると「前の人が置いていったのかな。ちゃんと供養するから大丈夫だよ」と父が優しく言ってくれました。そしてそれを一緒に寺にもっていって供養してもらいました。それから夜に屋根裏から音がすることはありません。
でも次の日から母の様子がおかしくなったんです。最初は
「あなた着せ替え人形って持ってたかしら?」
と言いだして。私は驚きを隠しながら持ってないと言いました。実際もうそんな歳ではなかったので。そのときは「そうよね」とうなずいていましたが、また次の日も同じことを聞きました。父には「人形、どうしたかしら?」と聞いたらしいです。
訳が分かりません。母は人形のことを知らないはずなのに。母は今人形の服を作るのにはまっています。着せる人形なんていないのに。
私はアルバイトを始めました。父に協力して引っ越し費用を稼ぐためです。
――墨田さんはまだ高校生くらいの女の子だった。
2階建てで、それぞれの自室は2階にあります。ただ両親の寝室は1階にあって、私の部屋は勉強部屋兼寝室です。
移り住んですぐに夜中に屋根裏から物音がするようになりました。決まって2時ごろです。パタパタという音とたまにカタンという音がします。それまでアパートに住んでいたので、あまり物音を気にしたことがなかったんですが、そう言えば一戸建てだったと思いだして、何日か続けて音が聞こえたので、両親に相談しました。
母は不気味がりましたが、父は家鳴りじゃないのかと言いました。家を支えている木材とかがきしんで音を立てることがあるそうです。その時は納得しましたが、注意深く耳を澄ませても2時ごろ以外はその音がしないんですよ。そしてまた父に相談しました。母にはその時は言いませんでした。家鳴りと聞いて安心していて、怖がらせるのは可哀相だと思って。
父は私の気持ちを察してくれて、母のいないときに一緒に屋根裏を見てくれました。私の部屋に脚立を持ち込んで、懐中電灯で照らしました。私は脚立を支えたまま待っていました。
すると父は何か見つけたらしく上半身だけ屋根裏に乗り込み、しばらくすると「驚くなよ」という声がしてずるずると何かを引きずり出しました。それはほこりのかぶったゴミ袋でした。床にそれを下ろして中を見てみると、古い着せ替え人形が20体くらい入っていました。
私が怖がっていると「前の人が置いていったのかな。ちゃんと供養するから大丈夫だよ」と父が優しく言ってくれました。そしてそれを一緒に寺にもっていって供養してもらいました。それから夜に屋根裏から音がすることはありません。
でも次の日から母の様子がおかしくなったんです。最初は
「あなた着せ替え人形って持ってたかしら?」
と言いだして。私は驚きを隠しながら持ってないと言いました。実際もうそんな歳ではなかったので。そのときは「そうよね」とうなずいていましたが、また次の日も同じことを聞きました。父には「人形、どうしたかしら?」と聞いたらしいです。
訳が分かりません。母は人形のことを知らないはずなのに。母は今人形の服を作るのにはまっています。着せる人形なんていないのに。
私はアルバイトを始めました。父に協力して引っ越し費用を稼ぐためです。
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