55 / 254
№55 ホラーゲーム
しおりを挟む
学生の時よくゲームを作って友達と遊んでいました。その中の、一番良くできたものをフリーゲームとして頒布したんです。それが始まりでした。
――源田さんは噴出した汗をタオルで拭きながら話し始めた。
ホラーゲームです。基本は探索ゲームなんですが、ホラーテイストで、ある条件をクリアしたら登場する幽霊と話が出来て、ストーリーが見えてくる。ストーリーは知らなくてもゲームをクリアすることはできましたが、やり込み要素的な感じで、ダウンロードしてくれた人の多くはコンプリートすることに躍起になっていました。友達としめしめと笑っていたものです。
ある時「この霊にはストーリーないのか?」「この霊に話しかける方法だけわからない」というメッセージを続けてもらいました。「この霊」というのは同じキャラクターで、これはバグか何かかと、すぐさま確認しました。特に異常は見られなかったので、もう一度ダウンロードするように促しました。
それ以降その人たちから何も言ってこないので、解決したのかなと思っていたのですが、その数週間後、僕たちのゲームが「呪いのゲーム」という噂が流れだしました。ホラーゲームなんで、そう言った噂も人気のうちだと最初は喜んでいたのですが、だんだん責められるようになってきて……。
というのも呪いと言われるものが、先ほど言った幽霊に関するものなんです。その幽霊がリアルに出てくると。話しかけた者は失踪するとか黄泉の国に連れ去られるとか。
なんでこんなゲームを作った、わかっていてバグを修正しなかったのかなど、炎上してしまいました。僕はそういう心霊的なものは一切信じていなかったので、炎上はそれなりにつらかったのですが、一時のことだろうとなんとか凌いでいました。
そんな時、一緒にゲームを作っていた友達の一人から連絡がありました。公衆電話から掛けてきたようでした。どうしたのかと聞くと
「あの霊が出たんだ」
と言います。見間違いじゃないのかと問い質すと、今すぐそこにいると。そして今から話しかけてみると電話を切られました。実はゲーム内でその幽霊と話す条件が「公衆電話を使った後に話し掛ける」ことだったんです。それ以来その友達が行方不明です。
他の友達が異常に怖がったことと、僕自身いろいろ疲れてしまったため、そのゲームはダウンロードを停止し、データもすべて消しました。消してしまったとき、怖がっていた友達もさすがに未練があったのか少し泣いていたようでした。消したことで、嫌な噂が流れても応援してくれてた人がいることがわかったし、今もなお好きだったといってくれる人もいます。だから作らなければなんて思いませんし、またゲームは作りたいと思います。
でも、不思議なんですよね。ゲームを一緒に作った友達、皆、あの後も制作意欲を見せてくれてたんですが、今では誰とも連絡が取れないんですよ。
――源田さんは噴出した汗をタオルで拭きながら話し始めた。
ホラーゲームです。基本は探索ゲームなんですが、ホラーテイストで、ある条件をクリアしたら登場する幽霊と話が出来て、ストーリーが見えてくる。ストーリーは知らなくてもゲームをクリアすることはできましたが、やり込み要素的な感じで、ダウンロードしてくれた人の多くはコンプリートすることに躍起になっていました。友達としめしめと笑っていたものです。
ある時「この霊にはストーリーないのか?」「この霊に話しかける方法だけわからない」というメッセージを続けてもらいました。「この霊」というのは同じキャラクターで、これはバグか何かかと、すぐさま確認しました。特に異常は見られなかったので、もう一度ダウンロードするように促しました。
それ以降その人たちから何も言ってこないので、解決したのかなと思っていたのですが、その数週間後、僕たちのゲームが「呪いのゲーム」という噂が流れだしました。ホラーゲームなんで、そう言った噂も人気のうちだと最初は喜んでいたのですが、だんだん責められるようになってきて……。
というのも呪いと言われるものが、先ほど言った幽霊に関するものなんです。その幽霊がリアルに出てくると。話しかけた者は失踪するとか黄泉の国に連れ去られるとか。
なんでこんなゲームを作った、わかっていてバグを修正しなかったのかなど、炎上してしまいました。僕はそういう心霊的なものは一切信じていなかったので、炎上はそれなりにつらかったのですが、一時のことだろうとなんとか凌いでいました。
そんな時、一緒にゲームを作っていた友達の一人から連絡がありました。公衆電話から掛けてきたようでした。どうしたのかと聞くと
「あの霊が出たんだ」
と言います。見間違いじゃないのかと問い質すと、今すぐそこにいると。そして今から話しかけてみると電話を切られました。実はゲーム内でその幽霊と話す条件が「公衆電話を使った後に話し掛ける」ことだったんです。それ以来その友達が行方不明です。
他の友達が異常に怖がったことと、僕自身いろいろ疲れてしまったため、そのゲームはダウンロードを停止し、データもすべて消しました。消してしまったとき、怖がっていた友達もさすがに未練があったのか少し泣いていたようでした。消したことで、嫌な噂が流れても応援してくれてた人がいることがわかったし、今もなお好きだったといってくれる人もいます。だから作らなければなんて思いませんし、またゲームは作りたいと思います。
でも、不思議なんですよね。ゲームを一緒に作った友達、皆、あの後も制作意欲を見せてくれてたんですが、今では誰とも連絡が取れないんですよ。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。



奇妙な家
376219206@qq.com
ホラー
運転手なしのバスは、呪われた人々を乗せて、奇妙な黒い家へと向かった...その奇妙な家には、血で染まったドアがあった。呪われた人は、時折、血の門の向こうの恐ろしい世界に強制的に引きずり込まれ、恐ろしい出来事を成し遂げることになる... 寧秋水は奇怪な家で次々と恐ろしく奇妙な物語を経験し、やっとのことで逃げ延びて生き残ったが、すべてが想像とは全く違っていた... 奇怪な家は呪いではなく、... —— 「もう夜も遅いよ、友よ、奇怪な家に座ってくれ。ここには火鉢がある。ところで、この話を聞いてくれ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる