怪談レポート

久世空気

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№44 誕生日

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まずこれを見てください。

――礼場さんはスマートフォンを私に差し出した。そして動画を再生した。

「誕生日おめでとー!」

――5、6人の男女が笑顔でカメラに向かい口々に言った。画面に入ろうと肩を寄せ合い仲が良さそうだ。

「ケーキでーす」

「今年はショートケーキ!!」

「ろうそく付けるぞー。熱っ!」

「熱くないだろ」

「吹き消すよー!」

「その前に歌うたおうよ!」

――男女は礼場さんに向けて誕生日の歌を歌った。

「私が消しまーす」

――女子がろうそくを吹き消し、周りに拍手される。

「礼場ももう30歳かー!」

「今年もケーキはみんなで食べまーす」

「いつか一緒に食べれると良いね!」

「じゃあまた来年ね!」

「バイバーイ」

――始まった時のように全員画面に入り笑顔で手を振る。そこで動画が終わった。

 高校の卒業旅行を計画したメンバーです。私だけ怪我をして行けなくなってしまった。そして交通事故にあって全員旅行先で亡くなりました。でも、それから毎年誕生日にお祝い動画が送られてくるんです。死んだときの姿のままで。

 私は……どんな気持ちでこれを見ていいのかわからなくて……。

――礼場さんは静かに涙を流し、それ以上は何も語らなかった。
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