37 / 254
№37 岩場
しおりを挟む
高校生の時、私は男性教師と付き合っていました。今思うと馬鹿だなぁと冷静に判断できますが、あの頃は完全にのぼせ上がっていました。イケメンで背も高くて親しみやすい雰囲気があったんです。でも楽しかったのは最初だけで、だんだんつらくなってきました。メールでずっと説教し出して、私が返信を止めると電話で怒鳴ったり、クラスメイトの他の女の子と胸のサイズを比べられたり、あの子からアプローチされたとか私の嫉妬心をあおるようなことを言ったり……遊ばれてたんですよね。それなのに馬鹿な私必死で彼の気持ちをつなぎとめようと、言われるがまま……でした。
付き合って1年くらいの時、学校の行事で海に行きました。救命救護のレクチャーとか建前はありましたが、ほとんど遊びでしたね。残念ながら私は体調が悪くて泳げませんでした。
他に海に入れない子と砂浜で遊んでいたら、彼がふと横切っていきました。彼は引率の教師の一人でした。目で追うと、彼は岩場に立っていた女の子に誘われるように歩いていきます。見たことがない子でしたが同じ高校の制服を着ていました。「浮気」の二文字が頭を過りました。嫉妬させる為にわざわざ見える場所を通ったんだと怒りで頭が熱くなりました。
私は二人を追いかけました。姿は見えなくなっていましたが、足元の悪い岩場を慎重に歩いていくと私達がいた砂浜とは違う砂浜が出てきました。そこは岩場に挟まれた狭い砂浜でした。そこに先生は倒れていました。周りをいろんな制服を着た女の子が10人くらいで囲んでいます。先生が苦しそうに転がると転がった先にいた女の子が爪先で軽く蹴ります。また転がるとその先にいた子が蹴る。それを繰り返していました。
私は助けなきゃと思いながらも怖くて動けなくなっていました。先生は私に気付き呻きながら私に手を伸ばしました。気が付くと横にさっき先生を誘い込んだ女の子が立っていました。そのは憐憫のまなざしで私を見ていました。ショックでした。気づかないうちに、いえ、気づかないようにしていた自分の落ちぶれた姿をあの子に見られてしまったという恥ずかしさで私は先生を見捨ててその場を立ち去りました。そして誰にも言いませんでした。
先生がいなくなり騒ぎになりましたが、その晩に岩場に挟まれた砂浜で遺体が発見されました。不思議なことに死因は心不全でした。外傷はほとんどなかったそうです。
イケメンの人気教師が死んだことで、今まで表に出なかった噂がまるでストッパーが外れたように流れ出しました。前の年に自殺した上級生は、先生と付き合っていて中絶させられ振られたとか、前の学校でも何人もの女子生徒に手を出していたとか。根も葉もないとは私は言えません。ただ少なくとも先生の死には前年に自殺した上級生の呪いもあったのではと。友達にその上級生の写真を見せてもらったんです。間違いなくあの時岩場で私の横に立ったあの子でした。
付き合って1年くらいの時、学校の行事で海に行きました。救命救護のレクチャーとか建前はありましたが、ほとんど遊びでしたね。残念ながら私は体調が悪くて泳げませんでした。
他に海に入れない子と砂浜で遊んでいたら、彼がふと横切っていきました。彼は引率の教師の一人でした。目で追うと、彼は岩場に立っていた女の子に誘われるように歩いていきます。見たことがない子でしたが同じ高校の制服を着ていました。「浮気」の二文字が頭を過りました。嫉妬させる為にわざわざ見える場所を通ったんだと怒りで頭が熱くなりました。
私は二人を追いかけました。姿は見えなくなっていましたが、足元の悪い岩場を慎重に歩いていくと私達がいた砂浜とは違う砂浜が出てきました。そこは岩場に挟まれた狭い砂浜でした。そこに先生は倒れていました。周りをいろんな制服を着た女の子が10人くらいで囲んでいます。先生が苦しそうに転がると転がった先にいた女の子が爪先で軽く蹴ります。また転がるとその先にいた子が蹴る。それを繰り返していました。
私は助けなきゃと思いながらも怖くて動けなくなっていました。先生は私に気付き呻きながら私に手を伸ばしました。気が付くと横にさっき先生を誘い込んだ女の子が立っていました。そのは憐憫のまなざしで私を見ていました。ショックでした。気づかないうちに、いえ、気づかないようにしていた自分の落ちぶれた姿をあの子に見られてしまったという恥ずかしさで私は先生を見捨ててその場を立ち去りました。そして誰にも言いませんでした。
先生がいなくなり騒ぎになりましたが、その晩に岩場に挟まれた砂浜で遺体が発見されました。不思議なことに死因は心不全でした。外傷はほとんどなかったそうです。
イケメンの人気教師が死んだことで、今まで表に出なかった噂がまるでストッパーが外れたように流れ出しました。前の年に自殺した上級生は、先生と付き合っていて中絶させられ振られたとか、前の学校でも何人もの女子生徒に手を出していたとか。根も葉もないとは私は言えません。ただ少なくとも先生の死には前年に自殺した上級生の呪いもあったのではと。友達にその上級生の写真を見せてもらったんです。間違いなくあの時岩場で私の横に立ったあの子でした。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ジャングルジム【意味が分かると怖い話】
怖狩村
ホラー
僕がまだ幼稚園の年少だった頃、同級生で仲良しだったOくんとよく遊んでいた。
僕の家は比較的に裕福で、Oくんの家は貧しそうで、
よく僕のおもちゃを欲しがることがあった。
そんなある日Oくんと幼稚園のジャングルジムで遊んでいた。
一番上までいくと結構な高さで、景色を眺めながら話をしていると、
ちょうど天気も良く温かかったせいか
僕は少しうとうとしてしまった。
近くで「オキロ・・」という声がしたような、、
その時「ドスン」という音が下からした。
見るとO君が下に落ちていて、
腕を押さえながら泣いていた。
O君は先生に、「あいつが押したから落ちた」と言ったらしい。
幸い普段から真面目だった僕のいうことを信じてもらえたが、
いまだにO君がなぜ落ちたのか
なぜ僕のせいにしたのか、、
まったく分からない。
解説ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
近くで「オキロ」と言われたとあるが、本当は「オチロ」だったのでは?
O君は僕を押そうとしてバランスを崩して落ちたのではないか、、、
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる