怪談レポート

久世空気

文字の大きさ
上 下
23 / 254

№23 ライブ感

しおりを挟む
――沼田さんは不思議な体験をしたという。

 俺は1DKのマンションに一人暮らししてます。だから大学の友達が気軽に遊びに来てくれるんです。普通にインターホン鳴らしてもらって、俺が鍵を開けて部屋にあげてます。親から戸締まりとかセキュリティに関しては耳にタコができるくらい言われてたので、めんどくさいけど、友達が来たときはこんなふうに俺が開けてました。

 その日は休みで寝てたんですが、突然大学の同級生がやって来ました。
 インターホンはカメラがついていて、外から呼び鈴を鳴らされるとカメラが起動して外が写ります。画面の中でそいつが一人で手を振ってるのが映ってます。
 イラッとしつつ対応してドアを開けにいきました。ところが誰もいません。隠れているのかと周囲を探しましたがいません。首をかしげながら部屋に戻るとまだカメラが動いていてそいつが映っていました。
「どこに隠れてたんだ」
「何? 早く開けてよ」
 ふざけやがってと再びドアを開けるがやはり誰もいない。
「おい、どこにいるんだ?」
 と少し怒鳴ってみたが出てこない。部屋に戻るとカメラにはそいつが映ってそわそわしている。
「早く開けてくれ」
 若干イラついるようでした。
「ドアの前にいろよ?」
 と念を押してドアを開けにいくと、やっぱりいない。一応ドアを閉めてドアスコープでのぞいてみたけど友達は現れない。何が起こっているのかわからず
「ドアの前にいないけど」
とインターホンで伝えてみました。
 でもあっちからしたら俺がドアを開けないだけなんですよね。とうとう怒りだして、俺も売り言葉に買い言葉で言い返して喧嘩になりました。
 喧嘩の最中にそいつの後ろに人影が現れたんですよ。それは黒いパーカーを着ていてフードを深くかぶって顔が見えませんでした。すっと友達の後ろに立ち、そして手に持っていた包丁を振りかざしたんです。
 その時「やめろ」とか「にげろ」とかそんな感じのことを叫んだと思います。でも喧嘩している相手がそんなこと言っても聞く奴なんていませんよね。包丁が友達の肩に突き刺さりました。血しぶきが飛びカメラにかかります。パーカーの男は何度も友達の肩や首を刺し、友人は呻きながらカメラ越しに俺に助けを求めるよう手を伸ばします。何故か次は俺だと思い包丁をつかみました。今考えると馬鹿ですが、包丁には包丁で応戦しようとしてたんですね。後まな板もつかみました。プラスチックの。そしてドアを蹴り開けました。

 友達がぽかんとした顔で立っていました。ちょうど俺の部屋の前でインターホンを押すところだったそうです。部屋に戻るとカメラは映っていませんでした。確認のため友達に外から呼び鈴を押してもらいましたが通常に起動しました。
「外で料理でもする予定だったのか?」
 と友達は笑いましたが俺は全然笑えなかった。
 友人ですか? 生きてますよ。普通に。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

意味がわかるとえろい話

山本みんみ
ホラー
意味が分かれば下ネタに感じるかもしれない話です(意味深)

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

ジャングルジム【意味が分かると怖い話】

怖狩村
ホラー
僕がまだ幼稚園の年少だった頃、同級生で仲良しだったOくんとよく遊んでいた。 僕の家は比較的に裕福で、Oくんの家は貧しそうで、 よく僕のおもちゃを欲しがることがあった。 そんなある日Oくんと幼稚園のジャングルジムで遊んでいた。 一番上までいくと結構な高さで、景色を眺めながら話をしていると、 ちょうど天気も良く温かかったせいか 僕は少しうとうとしてしまった。 近くで「オキロ・・」という声がしたような、、 その時「ドスン」という音が下からした。 見るとO君が下に落ちていて、 腕を押さえながら泣いていた。 O君は先生に、「あいつが押したから落ちた」と言ったらしい。 幸い普段から真面目だった僕のいうことを信じてもらえたが、 いまだにO君がなぜ落ちたのか なぜ僕のせいにしたのか、、 まったく分からない。 解説ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 近くで「オキロ」と言われたとあるが、本当は「オチロ」だったのでは? O君は僕を押そうとしてバランスを崩して落ちたのではないか、、、

『ホラーショートショート』1分で読める怖い話

背の小さい高2
ホラー
『1話完結』のホラーショートショートです。1分未満で読めます。もしかしたら、すでに起こっているのかも・・・。

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜アソコ編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとエッチなショートショートつめあわせ♡

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜舐める編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショートの詰め合わせ♡

処理中です...