すみません！死んじゃいました！

第三生 ごめん

(ここからなら中央病院に救急車が行ってるな)
俺は徒歩で病院へと向かった
~数分後~
「………」
(なんだよ…結構霊体？でも、疲れんじゃねぇかよ)
病院へ着いた頃には、俺の体は疲れ果てていた、霊体なのにおかしな話だ
「とりあえず…病院の中に入ろう」
中に入ると母親の声がした
「母、さん？」
声がする方の病室へ向かうと父と母がいた
医者が首を横に振っている
「そんな………」
「、嘘だろ……もう…助からないんですか？」
「残念ながら、打つ手がありません…」
「非常に残酷ですが、息子さんは、頭部と胸部の負傷、現場で、即死…です…」
母が目の周りを赤くし、父は手が震えている
「……………」
生前、死ぬとし死なれるのではどっちの方が辛いのだろうと考えたことがある
相手が死んで自分が取り残されるのが一番辛いだろうと考え、死んだ側の方が気持ちは楽なのだろう、と考えていたのだが
「死んだ側も心苦しいな」
取り残された親側は息子を失い親より先に旅立たれて絶望、死んだ側は、そんな親の姿を見なければならない
「やっぱり、生きているのが一番なんだな」
当たり前のことが、何よりも大切なことだと再認識した、この後の親の姿を、俺は見届ける義務がある、そう思った
~霊安室~
「こちらです」
霊安室に、俺の遺体が寝かされている、線香が焚かれ、白い布を被せられている
こんな姿を見せられて、実際に自分が死んだんだと実感し始める
「なんで俺死んだんだよ、何もしてないし、ただ登校してただけなのに」
「……雪……」
母が俺の名前を呼ぶ、そして布をめくりあげる
「……！あぁあああぁぁぁぁぁぁあ」
「…、こんなの、あるかよ」
そこには頭が潰れ肋周りが砕けている俺がいた、その顔は
「なんで…なんで！そんな顔で逝っちまったんだよ…」
遺体の俺の顔の口元は…笑っていた
「マジか…」
自分ではそんな顔した覚えはない、だが、死後硬直のせいか、俺の口元は緩やかに笑っていた、奇跡なのか残酷なのか、それを知るのは神のみ…
「…………………！」
「ぁぁぁ！」
母が大声で泣き、父が涙を流しながら唸っていた
そんな2人の姿を見て俺はこう言うしかなかった、届くはずもないが言うことしか出来なかった
「………ごめん」


~続く~