双子は神隠しから逃れたい!~変人な姉と腹黒な妹の非日常2人暮らしwith時々神~

大柳 律

文字の大きさ
33 / 74
原始・古代

部屋と『彼女もどき』と私

しおりを挟む

11月24日(土)  


 「みーち!本当の今日は何の日だったか覚えてる!?」

 朝の穏やかながらも小忙しい朝食の時にあーちがいきなり『記念日、記念日』と面倒くさい彼女のように聞いてきた。

 「んあ?」

 私は例の如く、切り込みを入れたトーストに本日は蜂蜜をかけ、蜂蜜とバターが染み込んだトーストの真ん中部分を、今まさに絶賛堪能中のところだった。
 その至福のひと時を面倒くさい彼女もどきに邪魔されたので眉間に皺が瞬時に寄ってしまったのも不可抗力である。
 なんか即答するのもシャクなので、取り敢えず口に残ったパンを飲み込んでから紅茶を一口飲む。
 至福のひと時を邪魔されたイライラがほんの気持ち収まったので回答するべく私は彼女もどきの方に目を向けた。

 「んー…実質去年ってことでしょ?あーちのお見舞いでこっちに来たかな?」
 「正解っ!ちなみに昨日東京に来て、今日はお見舞いに来てくれた日だよ」

 私が回答した途端あーちは嬉しそうに瞳を輝かせ、そして流石の彼女もどき……頼んでいないのに追加情報も加えてきた。

 「んな細かくは覚えてないわ」

 お見舞いって言葉が出てきただけで十分でしょ……。
 確かなんかデカい筋腫を取る手術だったかな?家から徒歩で行ける病院で良かった。
 じゃないとかなちゃんがまだそんなに疲れていないはずなのに『なんかぁ~、ちゅかれちゃったの~……(チラッ)』という発言を沢山連発からの、『抱っこ抱っこ!!』と私の目の前に立ちはだかり暴れてしまう所だった。
 そこまで懐かしくもない過去を振り返りながらパンを完食し、よし次は洗濯だ、と思いながら立ち上がろうとしたらあーちが話しかけてきた。……なんだよ。

 「そうそう、今日の夢で多神さんが疲れきった感じで『お互いに頑張ろうな』って言ってたよ」
 「なら、とっとと頑張んなよ」

 凄く、凄くどうでも良い内容だった。
 私の返答は最適解だったと思う。他に適したあーちにかける言葉があったのなら教えて欲しいくらいだわ。

 さ、洗濯しよう。
 お昼は……昨日の夜ご飯の時に鯖に添える大根おろしをあーちが調子に乗っておろしすぎたから……よし、おろしうどんだな。
 

*****


 夕方過ぎ、今日はもう完成しないのかな?と思っていたら……

 「でぇーーーーきぃーーーーーとぅわーーーーーっ!」

 なんだか聞こえてきた。
 はぁー………行きますか。

 ぽてぽてぽて。
 ピタッ!……ストンッ。

 「今日は縄文時代の真ん中だっけー?」
 「そうだよー。さ、どうぞ」
  
 あーちがいつもの如く場所を譲り、私は目の前のキンちゃんに眼差しを向ける。
 ……おっと疲れ目が。

 「ふう、どれどれ」



 ……………………。[わたにほの内容]

 (……府中市26万も人口居たのか……。)

 
 私がキンちゃんから目線を外したタイミングに合わせてあーちが、「明日で縄文が終わってまうねー」と、少しもの寂しそうに言ってきた。

 ………。

 「……約2千5百年前に終わってんじゃん」
 
 ……あーちよ、平成の終わりの時でもそんな寂しそうな顔してなかったろ!!
 あーちは私のツッコミに嬉しさを隠しきれないようにノスタルジックな表情から一変し……ニヤついていた。
そしてニヤつき顔のまま、
 
 「質問をお願いしますー」と言ってきた。

 が………

 「うーん……」

 ………うーん。
 特に聞きたいことってないんだよねー……、でもあーちが頑張って纏めてるから何かしら聞いてあげないと悪いし……。
 私はキンちゃんのページを何度も上下にスクロールして質問の種を探す……。

 ……おっ!これなら……

 「そうだ……漆で縄文人はかぶれなかったのかね?」

 ……どうだ?

 「え?」

 あーちは予想外の質問が来たからか目をまん丸に見開いてきた。
 そして焦ったように言葉を続けた。

 「さ、流石に素手で直には塗らなかったでしょ。それに骨しか残ってないから、かぶれていたかどうかなんて分からないよ。人によっては漆でかぶれない人もいるし」
 「確かに」

 ……確かに。
 選ばれし手ってあるらしいしね。ふむふむ。
 ……はぁ、次の質問もまた考えなきゃ……。

 ……おっ!これなら……

 「じゃあー…翡翠ってまだ採れるの?」

 なんか縄文とか弥生の人って翡翠の首飾りとかしてるイメージあるんだよねー。あの独特のエメラルドというか……。

 「まだ採れるみたいだよ…。新潟に行ったらお土産に良いね」
 「ふーん」

 まだ採れるんだー。新潟に行く用事は今のところないけど、いつか行った時に見れるかな?
 あとは~、………もう特にないな。うん。
 質問が尽きたのであーちの方を振り向くと、あーちが待ってましたとばかりに口を開いてきた。

 「今度はみーさんに質問するね。メソポタミアとエジプトとインダスの3つの文明を一言で表してみてー」
 「え゙ぇっ!?」

 えぇーーっ!?日本史関係ないじゃん。
 ついつい反射で眉毛がちょっと上がっちゃったよ。
 私、東洋史専攻だったんだよ?三大文明なんて高校の授業でフワッとやるくらいじゃん!

 ………う~ん………

 「うえー……一言で言うなら大きい河があって良かったよね♪って感じ」

 これだろ。黄河文明も含め四大文明は大河の側で発展したんだから。
 あれだ、『真水最高ッ!』ってとこでしょ。思わず眉毛が上がってたのが笑顔になったわ。生命の母は海だけど、命を繋ぐのは真水だよね。

 「おお……」

 あーちは一言漏らしただけで、お返事をくれなかった。……なんでや。
 そしてそのままの流れで、

 「次はー…三内丸山は1500年も繁栄していた訳だけど、なんで終わりを迎えたと思う?」

 と、さらに聞いてきた。

 「ふむ……」

 三内丸山は青森の津軽半島の方でしょ?んであの辺は豪雪地帯……。
 1500年も経ってれば地球の平均気温も変わるから……これだな。

 「三内丸山は寒くなったんじゃない?」

 どやッ!!正解でしょ?っという顔をしてあーちの方をみたらあーちはまたびっくりした顔をしてきた。

 「はわっ…何で分かるのっ!?……そうだよ、約4千年前に平均気温がそれまでより4℃くらい低くなって栗が出来なくなっちゃったの。で、人々は分散・移動したんだってー」
 「ふっふっふー☆」

 やっぴー♪
 なんだかあーちに勝ったキ・ブ・ン♪
 そして私は上機嫌のまま、あーちに

「ほら、夕飯が遅くなるよ。何が良いのー?」と尋ねた。

 すると、あーちから即返事がきた。
……さては朝から決めてたな?

 「野菜いっぱい食べたい!あと三色丼!」
 「ほいよ」

 三食丼かぁ~、かなちゃんが生まれる前まではたまに作ってたけど、かなちゃんは出来上がるスピード重視且つ、品数を求めるからおかず3つを一つに纏めるとまだ作らないとになってしまう……。
 その点、あーちは丼一つと汁物があればOKな人間だからラクだわ……。
 鶏そぼろと、炒り卵……あとは冷凍のほうれん草をナムルにすれば良いか☆
 と、ひとり頭の中で冷蔵庫の中と相談して献立を決めていたら……

 「ふふふふふっ♪」

  ……あーちから何か音漏れしていた。

 「え、何?怖いんだけど…」

 その後も暫く音漏れをしたまま、あーちはキンちゃんを片付け、お米を研いでくれた。

 ………チラッ。

 ……よしよし、白米Onlyだ。



11月24日(土)

 今日はお昼は昨日の大根おろしの残りでおろしうどんに、夜ご飯は三色丼にした。
 大根はやっぱり頭の部分に近い方が甘くて美味しいと思った。
 あーちへの質問が余り浮かばないでいたら逆に質問されて少しビックリした。

 夜ご飯に味噌汁を作ったらあーちは味の感想は言わずに、ただただ頷いていた。亭主関白を気取られたんだろうか……。
                                          end.
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」 「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」  私は思わずそう言った。  だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。  ***  私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。  お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。  だから父からも煙たがられているのは自覚があった。  しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。  「必ず仕返ししてやろう」って。  そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。

処理中です...