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2.シンデレラ ver.2
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そこで目が覚めた。
「夢だったの?」
慌てて周りを見渡すとそこはいつもの私の部屋だった。半地下の日の当たらない使用人用の小部屋…そこが私の部屋としてあてがわれ、義理の母や姉からこき使われているのだ。
今日も1日が始まる…知らず知らず溜め息が口から漏れた。手を見ると到底貴族の子女とは思えない荒れっぷり、髪も『いつ櫛を通したのだろうか?』と思うくらいバサバサで艶なぞない。そんな私を義理の母や姉は「シンデレラ」と呼んでいる。私にも父や母がつけてくれた名前があるのだが、彼女らにはどうでもいいらしい。
ベットからのそのそと起き上がると屋敷の中が少し騒がしい。身支度をしながら耳をそばだてるとどうやら
王子が結婚相手を選ぶ為の舞踏会が開かれる
らしい。そして我が家にもその招待状がきたようだった。我が家は『男爵』、到底王子の結婚相手になり得ない家柄だ。そんな事わかりきっているはずなのに
「うちの娘/私が選ばれるかも!」
と浮き足だって、朝1番から新しいドレスや宝飾品の注文に余念がない。(対象外なはずの義理の母までドレスを新調するらしい、滑稽だ)
当然私は舞踏会に連れて行ってはもらえない。それどころか招待状には私の名前があるかそれすらも確認する事ができない。諦め切った私は今日もこき使われる為、部屋を出た…
しかしそこからは目まぐるしかった。魔法使いに出会い、舞踏会に行き、ガラスの靴を…王子からのプロポーズ…私は頬を赤らめて…
陛下とお妃様の苦々しいお顔が目の端に見え、現実に戻される。私の家柄でこのままプロポーズを受けたら荊の道まっしぐらに違いない。でも断るのも不敬と判断され処罰される可能性が…しかしながら今の生活から抜け出したい私にとってこれは大きなチャンスだ。いくしかない、覚悟を決めた。
私は精一杯純粋無垢に見えるよう気遣いつつ
「お気持ちは嬉しいですがお受けする事はできません」
と目に涙をためながら言った。
「何故だい?私は君を愛しているんだ!」
王子は胸を張って私にそう言った。…この王子ちょっとダメなんじゃなかろうか?陛下やお妃様、周りの貴族たちの顔を見てみろ!『何という愚かな事をするんだ』と大きく書いてある。
この王子が将来王になるのかと思うと国の先行きがとても不安だがそれはさておいて、
「私では家柄が…」
そう言って王子に背中を向けた。とても悲しんでいるように見えているに違いない…
するとある貴族がすすっと前に出てこう言った。
「確かにこのお嬢様では家柄が足りません。でも王子様は…」
「彼女を愛しているのだ!」
やや芝居がかり、自分に酔っていて暑苦しい。
「では正室ではなく側室ではどうでしょう?正室には今の仮の婚約者である公爵家のお嬢様がおつきになるという事で。愛人や妾と違い、側室は王室に認められた身分でもありますし、そしてこれなら家柄の事を考えなくてもよくなります」
私は心の中で喜びの声をあげた。その言葉を待っていた。側室ならば私の家柄も問題とならず、尚且つ身分も保証され、この生活から抜け出せる。いい事づくしの案だ。
というか仮ではあるみたいだが婚約者がいるのか…では何故あの舞踏会を行ったのか?こっそり王子のお付きの人に聞いてみると
「その方(仮の婚約者さん)をその舞踏会で選んだように指名し、本婚約にする為の儀式みたいな物です」
それなのに私にプロポーズするとは何と考えなしなのか!王子の周りの人たちの苦労が偲ばれる。あとはその王子が何と言うか…皆が固唾を飲んで見守る。
「わかった。正室にできないのは残念だが…側室に迎え入れたいと思う」
最後の最後、真っ当な判断ができたようで安心した。
私は側室になり、王城へ向かった。
そして髪も肌もボロボロだった私はみるみる美しくなった。そう魔法がなくとも私は美しかったのだ。
毎日が夢のようだった。私には王城の一区画(一部屋ではない)が与えられ日々のんびりと暮らした。お妃になるのなら必須となる高いレベルの教育も側室なら『舞踏会で困らない程度』で良い。
貴族たちも『尻尾を振って近づけば正室(予定)の公爵家に嫌われる可能性があるが、悪意を持って接すればそれはそれで王子に筒抜けになる可能性が…』と思うようで、私には『敬して遠ざける』といった感じで接してくれており大変居心地が良い。
気晴らしも兼ねてサロンと称する女性同志の社交グループを作ったら?と言われた事もあるが、義理の母や姉のあのねじくれた悪意満々の姿を長いこと見ていた私にはそういう女性付き合いは億劫だった。それよりも独りで音楽を聴き、本を読み、刺繍をして過ごす方がよっぽど気が晴れる。王子も公務の合間を縫って現れて愛を囁いてくれる。これで充分だわ。
王子が王になって数年が経ったある日、私は体調不良になった。まさか毒?と思い医者に診てもらうと妊娠していた。王子改め陛下は喜んでくれたが、何となく様子がおかしい。問い詰めるとちょうどお妃様も妊娠していて、その上出産予定日が近い…色々と言いたい事はあるがこればかりは仕方がないとぐっと堪えた。
つつがなく妊娠期間を終え、私は出産をした。男の子だった。ちょうどその頃お妃様も出産し、そちらも男の子だった。実は私の出産の方が2、3日ほど早かったが、後継者争いでゴタゴタを起こしたくない一心で私は周りの者を口止めし、無事『お妃様の子が第1後継者』となった。誕生日を偽らないといけなくて息子には申し訳なかったが、私自身とても安心した。
月日が経ち、私の息子は陛下に似て美しい青年に育った。しかし中身もよく似ていた。物事を後先をあまり考えないで軽々しく行動するーそんな青年だ。お妃様の王子の出来が非常に良いと聞いているので、後継順位は2位ではあるが私の息子にそのお鉢が回って来ることはまずない事に心から安堵した。私の息子にやらせるくらいなら、息子を飛ばして第3位の王子がやった方が絶対に良いと親として断言出来る。
大きくなるにつれて彼はあちこちで問題を起こした。ただどれも軽微な女性問題が多く、言い方は悪いが『お金で解決できる問題』だった。私はその尻拭いをしつつ日々を過ごしていた。
ところが彼は大きな事件を起こした。
誰かが彼に『実は第1王子より彼の方が生まれが早い』事を教えてしまったのだ。
「それなら自分がこの国の第1王子で後継者第1位だ。今いる偽物の第1王子を引きずりおろしてやる」
と彼は自分の取り巻きである貴族の子弟たちと組んでクーデターを起こそうとした。彼としては間違った事を正すだけだったのかもしれないが、国にとっては一大事だ。私も事態を把握・終息させるべく動いたが、いかんせん今まで社交らしき事をしてこなかった為、ツテもコネもなく上手くいかない。こんな事になるならサロンでも何でも作っておくんだったと今更ながら後悔する。
勿論こんな杜撰な計画が上手くいくわけはなく彼とその取り巻きは捕まった。そして私も捕まった。何故かはわからない。息子の罪は母も償えという事だろうか?問いかけても誰もきちんとした答えを返してはくれない。歳をとり容色の衰えた側室は不要ということか…と腑に落ちた。
とうとう処刑の日がやってきた。以前夢で見たのと同じ光景だった。違うのは一緒に処刑されるのは息子である事と、その息子は見物の民衆に向かって演説するわけでもなく、怒りの声をあげるでもなく、ひたすら無言でしくしくと泣いているだけな事だ。…夢の中の義理の母や姉のように罵声をあげている方がまだましに思える。こんな気概で王になるつもりだったのがそもそも間違いなのだ。私はもう話しかける事は出来ないが誰か彼に伝えて欲しい。
「シンデレラ、前へ」
私が呼ばれた。父母がつけてくれた名前ではないところに悪意を感じる。
風が髪をなびかせる。空気がとても冷たく感じられる。
魔法使いはやはり助けに来ない。
そして目の前が暗くなった。
Fin
「夢だったの?」
慌てて周りを見渡すとそこはいつもの私の部屋だった。半地下の日の当たらない使用人用の小部屋…そこが私の部屋としてあてがわれ、義理の母や姉からこき使われているのだ。
今日も1日が始まる…知らず知らず溜め息が口から漏れた。手を見ると到底貴族の子女とは思えない荒れっぷり、髪も『いつ櫛を通したのだろうか?』と思うくらいバサバサで艶なぞない。そんな私を義理の母や姉は「シンデレラ」と呼んでいる。私にも父や母がつけてくれた名前があるのだが、彼女らにはどうでもいいらしい。
ベットからのそのそと起き上がると屋敷の中が少し騒がしい。身支度をしながら耳をそばだてるとどうやら
王子が結婚相手を選ぶ為の舞踏会が開かれる
らしい。そして我が家にもその招待状がきたようだった。我が家は『男爵』、到底王子の結婚相手になり得ない家柄だ。そんな事わかりきっているはずなのに
「うちの娘/私が選ばれるかも!」
と浮き足だって、朝1番から新しいドレスや宝飾品の注文に余念がない。(対象外なはずの義理の母までドレスを新調するらしい、滑稽だ)
当然私は舞踏会に連れて行ってはもらえない。それどころか招待状には私の名前があるかそれすらも確認する事ができない。諦め切った私は今日もこき使われる為、部屋を出た…
しかしそこからは目まぐるしかった。魔法使いに出会い、舞踏会に行き、ガラスの靴を…王子からのプロポーズ…私は頬を赤らめて…
陛下とお妃様の苦々しいお顔が目の端に見え、現実に戻される。私の家柄でこのままプロポーズを受けたら荊の道まっしぐらに違いない。でも断るのも不敬と判断され処罰される可能性が…しかしながら今の生活から抜け出したい私にとってこれは大きなチャンスだ。いくしかない、覚悟を決めた。
私は精一杯純粋無垢に見えるよう気遣いつつ
「お気持ちは嬉しいですがお受けする事はできません」
と目に涙をためながら言った。
「何故だい?私は君を愛しているんだ!」
王子は胸を張って私にそう言った。…この王子ちょっとダメなんじゃなかろうか?陛下やお妃様、周りの貴族たちの顔を見てみろ!『何という愚かな事をするんだ』と大きく書いてある。
この王子が将来王になるのかと思うと国の先行きがとても不安だがそれはさておいて、
「私では家柄が…」
そう言って王子に背中を向けた。とても悲しんでいるように見えているに違いない…
するとある貴族がすすっと前に出てこう言った。
「確かにこのお嬢様では家柄が足りません。でも王子様は…」
「彼女を愛しているのだ!」
やや芝居がかり、自分に酔っていて暑苦しい。
「では正室ではなく側室ではどうでしょう?正室には今の仮の婚約者である公爵家のお嬢様がおつきになるという事で。愛人や妾と違い、側室は王室に認められた身分でもありますし、そしてこれなら家柄の事を考えなくてもよくなります」
私は心の中で喜びの声をあげた。その言葉を待っていた。側室ならば私の家柄も問題とならず、尚且つ身分も保証され、この生活から抜け出せる。いい事づくしの案だ。
というか仮ではあるみたいだが婚約者がいるのか…では何故あの舞踏会を行ったのか?こっそり王子のお付きの人に聞いてみると
「その方(仮の婚約者さん)をその舞踏会で選んだように指名し、本婚約にする為の儀式みたいな物です」
それなのに私にプロポーズするとは何と考えなしなのか!王子の周りの人たちの苦労が偲ばれる。あとはその王子が何と言うか…皆が固唾を飲んで見守る。
「わかった。正室にできないのは残念だが…側室に迎え入れたいと思う」
最後の最後、真っ当な判断ができたようで安心した。
私は側室になり、王城へ向かった。
そして髪も肌もボロボロだった私はみるみる美しくなった。そう魔法がなくとも私は美しかったのだ。
毎日が夢のようだった。私には王城の一区画(一部屋ではない)が与えられ日々のんびりと暮らした。お妃になるのなら必須となる高いレベルの教育も側室なら『舞踏会で困らない程度』で良い。
貴族たちも『尻尾を振って近づけば正室(予定)の公爵家に嫌われる可能性があるが、悪意を持って接すればそれはそれで王子に筒抜けになる可能性が…』と思うようで、私には『敬して遠ざける』といった感じで接してくれており大変居心地が良い。
気晴らしも兼ねてサロンと称する女性同志の社交グループを作ったら?と言われた事もあるが、義理の母や姉のあのねじくれた悪意満々の姿を長いこと見ていた私にはそういう女性付き合いは億劫だった。それよりも独りで音楽を聴き、本を読み、刺繍をして過ごす方がよっぽど気が晴れる。王子も公務の合間を縫って現れて愛を囁いてくれる。これで充分だわ。
王子が王になって数年が経ったある日、私は体調不良になった。まさか毒?と思い医者に診てもらうと妊娠していた。王子改め陛下は喜んでくれたが、何となく様子がおかしい。問い詰めるとちょうどお妃様も妊娠していて、その上出産予定日が近い…色々と言いたい事はあるがこればかりは仕方がないとぐっと堪えた。
つつがなく妊娠期間を終え、私は出産をした。男の子だった。ちょうどその頃お妃様も出産し、そちらも男の子だった。実は私の出産の方が2、3日ほど早かったが、後継者争いでゴタゴタを起こしたくない一心で私は周りの者を口止めし、無事『お妃様の子が第1後継者』となった。誕生日を偽らないといけなくて息子には申し訳なかったが、私自身とても安心した。
月日が経ち、私の息子は陛下に似て美しい青年に育った。しかし中身もよく似ていた。物事を後先をあまり考えないで軽々しく行動するーそんな青年だ。お妃様の王子の出来が非常に良いと聞いているので、後継順位は2位ではあるが私の息子にそのお鉢が回って来ることはまずない事に心から安堵した。私の息子にやらせるくらいなら、息子を飛ばして第3位の王子がやった方が絶対に良いと親として断言出来る。
大きくなるにつれて彼はあちこちで問題を起こした。ただどれも軽微な女性問題が多く、言い方は悪いが『お金で解決できる問題』だった。私はその尻拭いをしつつ日々を過ごしていた。
ところが彼は大きな事件を起こした。
誰かが彼に『実は第1王子より彼の方が生まれが早い』事を教えてしまったのだ。
「それなら自分がこの国の第1王子で後継者第1位だ。今いる偽物の第1王子を引きずりおろしてやる」
と彼は自分の取り巻きである貴族の子弟たちと組んでクーデターを起こそうとした。彼としては間違った事を正すだけだったのかもしれないが、国にとっては一大事だ。私も事態を把握・終息させるべく動いたが、いかんせん今まで社交らしき事をしてこなかった為、ツテもコネもなく上手くいかない。こんな事になるならサロンでも何でも作っておくんだったと今更ながら後悔する。
勿論こんな杜撰な計画が上手くいくわけはなく彼とその取り巻きは捕まった。そして私も捕まった。何故かはわからない。息子の罪は母も償えという事だろうか?問いかけても誰もきちんとした答えを返してはくれない。歳をとり容色の衰えた側室は不要ということか…と腑に落ちた。
とうとう処刑の日がやってきた。以前夢で見たのと同じ光景だった。違うのは一緒に処刑されるのは息子である事と、その息子は見物の民衆に向かって演説するわけでもなく、怒りの声をあげるでもなく、ひたすら無言でしくしくと泣いているだけな事だ。…夢の中の義理の母や姉のように罵声をあげている方がまだましに思える。こんな気概で王になるつもりだったのがそもそも間違いなのだ。私はもう話しかける事は出来ないが誰か彼に伝えて欲しい。
「シンデレラ、前へ」
私が呼ばれた。父母がつけてくれた名前ではないところに悪意を感じる。
風が髪をなびかせる。空気がとても冷たく感じられる。
魔法使いはやはり助けに来ない。
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