19 / 29
19 網 ④
しおりを挟む
合流後、足早にタワーマンションから離れる俺たち。5分くらい歩いた所の寂れた公園で顔を洗い、あの液体を落とした。やっと一安心…だが…一体ショウは何をやったんだ?
俺は悩んだ。なるべく早くさっき聞き出したい…気が早るが、内容が内容なので人目がなくて2人きりになれる場所でないと…などと考えていると、ショウが急に
「ミイちゃん~あれ乗ろう~」
緊張感のない声で言うのにつられて指差した方をみると、遠くに観覧車があった。知ってるぞあれ。この間『世界一大きな観覧車』って評判になってたよ。確かにここから見えるけど…
「結構遠いぞ、あと男2人で乗るものなのかあれ?」
カップルや家族連れに人気とか何とか言ってたぞ。そんな俺の戸惑いなど気にせず、ショウはタクシーを手慣れた様子で止め
「あの観覧車までお願いしま~す」
…俺の意見は聞いてもらえないのか?
「平日の昼間だからそんなに混んでないよ大丈夫~」
何がどう大丈夫なのか全くわからない。その隙にもタクシーはどんどん進む。30分くらい後俺たちは観覧車の前に着いた。
ショウの言うとおり確かに観覧車の前に行列はなく、ガラガラ。引きずられる様に俺は観覧車に乗った。
「いい景色~見て見てさっきのマンションが見えるよ~あ、海も見える~」
「さっきのマンション…」
せっかくの景色も落ち着いて見ていられない。
「僕が何をやったか聞きたい?」
そうか、ここなら2人きり。人目を気にせず話ができる!ショウはそこまで考えて…
「うわ~高~い~一度乗りたかったんだ~」
本当に考えてるのか?怪しくなってきたけどまあいい。早く喋れ!
「どこから言えばいいのかな~。あぁ、あのマンションね、あそこにはコウ兄さんの会社にサイバー攻撃した奴がいるんだ。…僕を誰だと思ってるの~?そんな事会社のパソコンから辿っていけば、ねぇ。それでも結構手間がかかっちゃって大変だったんだよ~外国のサーバーをいくつも経由しててさ~。
で、ちょっと仕返ししようかな~と。多少痛い目見ないと懲りずにまたやるでしょ?こっちの防御はガチガチに固めといたけどそれでもやる奴はやるからねぇ~。
あの液体を使った変装をして、髪型も帽子で隠す。その上軍手で指紋もつかない様にして、エントランスでその部屋のインターフォンを鳴らす。勿論在宅なのは調査済み~。
『…はい、どなた?』
無愛想極まりない声が聞こえてきたよ。犯人(仮)だ。
『宅配便です。〇〇会社から書類のお届けにあがりました』って僕は言った。
会社名はコウ兄さんのもの。インターフォンの向こうはその会社名を聞いて急に慌てた様な感じになって~
『えっ…?知らん!俺は知らんぞ!人違いだ!とっとと帰れー!!』
と怒鳴られた挙げ句切られてね。怪しすぎるぅ~って思ったんで、僕は耳のイヤホンを一回軽くタップ、
〝今ノ発言 嘘ノ確率73%〟
とイヤホンからお知らせが…」
「ちょっと待って。そのイヤホンって何?」
「これ?嘘発見器のプロトタイプだよ。本当はメガネとセットで、相手の表情とかも込みで嘘の確率を弾き出してくれるんだ~。でもメガネの調子がイマイチなんで家に置いてきた~
で、これで犯人と断定したんでアリさんロボを…」
「…アリさんロボ?」
不思議がる俺にショウはイヤホンケースみたいな入れ物を開けて見せてくれた…中身はアリだ。どう見てもアリ…
「これはアリ型のロボ。作るの時間かかった~。土日潰れちゃったよ~。でこれを100体マンションにこっそり置いてきたんだ~。このアリさんロボはこのリモコンで指示を送れて~そろそろ犯人の部屋についているはずだから、仕事をしてもらおうかな~と思ってる」
土日に作ってたのはこのアリか…あとこのリモコンもか…スマホにしか見えないがおかしいのは画面上にアプリが一つしか無いことくらいだが…よし押してみよ。
すると細かく分かれた画面が現れた…これって…
「そうそう、この1つ1つがアリさんロボから送られてきている映像なんだ~。細かすぎてちょっと見づらいな…改良の余地がありそう」
楽しそうな所悪いんだが、肝心なところを聞かないと
「そのアリの仕事って?」
俺の心臓の鼓動が速まる。
「たいした事じゃ無いよ~電化製品をちょっと壊すだけ。3日間犯人の部屋の電化製品を色々壊して~あとはたまに10体単位で集まって手とか顔とか足とかに乗ってもらうの~。相手が気がついたらさっと散って隠れる様にしてあるよ~。ね?たいした事ないでしょう~。ちょっと脅かすだけ、それも3日間だけ~」
脅かすだけかぁ…家中の電化製品が次々壊れるの結構嫌だな。その上アリがあちらこちらから現れてすぐ消える…心理的にはダメージありそうだが、思ったよりは優しい仕返しだな。
「でもお前あのマンションのエントランスの防犯カメラに映ってるし、他にも防犯カメラがあるだろう?それに相手の部屋のインターフォンにもお前の姿や声が録画されてるだろう?顔は多少変えたし指紋もないとは言え、お前がやったってバレたらどうするんだ?」
チッチッチと腰に手を当てて指を振るショウ。腹立たしいからそれはやめろって前も言ったぞ。
「僕に抜かりはないのだ~。まずエントランスの防犯カメラはこれで塞いだのだ~」
と言ってカバンから取り出したのは…蜘蛛?
「蜘蛛型ロボ~。アリを作り続けてたら何か別のものも作りたくなって…。僕が映るちょっと前からマンションを出るまでこの蜘蛛にカメラレンズの前にいてもらったんだ~。動きをリアルにしたから本物にしか見えないよ~」
手のひらサイズの蜘蛛ロボ…所謂軍曹と言われるやつだな。本物にしか見えない。が、そっと触ると…生き物でない感触だった。
「声は~じゃ~ん。これを使いました~」
!あの時ショウが吸ってたのって口臭予防スプレーじゃなかったのか?
「これを吸入すると10分くらい声が変わるんだ~。あとは~インターフォンの録画映像は~アリさんがインターフォンごと壊す予定~。あ、他の防犯カメラの事考えてなかったなぁ~。追加で壊しとくかな~」
…その勢いだと、犯人の部屋の電化製品3日後には全滅なんじゃないかな。
「…でももし、そいつが『その書類受け取る』って言ったらどうするつもりだったんだ?ていうかその封筒の中身って何だったの?白紙?」
「そしたら『本人に手渡ししろと言われてます』って言って当人に渡すよ。で中身はね~。ミイちゃん封筒をしまった僕のカバンの中見てごらん」
渡されたカバンには違和感があった。紙物が入っている感触がないのだ。それよりもう少し重みのある何か…開けてみると
「あ!これは!」
砂だ。ひょっとして…
「あの封筒と中身の書類は砂でできてたんだ~。僕の砂を固める液体で作ったんだ~書類は藁半紙みたいな触り心地になっちゃったのが残念だったけど…一応文字も書けたんで〝お前が犯人〟って書いておいたんだ~でも出番なかったな~」
犯人が受け取った封筒から書類を出すと〝お前が犯人〟って書いてあって、驚いているとそれがサラサラ崩れて砂になるーーか。なかなかのホラーっぷり。
色々言いたいことはあるが、犯人への仕返しの為にショウがかなり入念に…やれる事は全部やっているんじゃないかなと思うくらいまで念入りに準備していた事がわかった。安心はできないが、もしこれでショウが怪しまれたとしても証拠不十分になる可能性が高い。さすがとしか言いようがない。
しかし今回、ショウがやろうと思えば入念な準備ができるやつだという事もわかった。いつもいつも適当な準備と行き当たりばったりな行動で俺は振り回されているけど…
やればできる!できるじゃん!
決めた!今度からはそれを念頭においてショウに準備をさせよう。次からはもう巻き込まれないぞ!
俺は悩んだ。なるべく早くさっき聞き出したい…気が早るが、内容が内容なので人目がなくて2人きりになれる場所でないと…などと考えていると、ショウが急に
「ミイちゃん~あれ乗ろう~」
緊張感のない声で言うのにつられて指差した方をみると、遠くに観覧車があった。知ってるぞあれ。この間『世界一大きな観覧車』って評判になってたよ。確かにここから見えるけど…
「結構遠いぞ、あと男2人で乗るものなのかあれ?」
カップルや家族連れに人気とか何とか言ってたぞ。そんな俺の戸惑いなど気にせず、ショウはタクシーを手慣れた様子で止め
「あの観覧車までお願いしま~す」
…俺の意見は聞いてもらえないのか?
「平日の昼間だからそんなに混んでないよ大丈夫~」
何がどう大丈夫なのか全くわからない。その隙にもタクシーはどんどん進む。30分くらい後俺たちは観覧車の前に着いた。
ショウの言うとおり確かに観覧車の前に行列はなく、ガラガラ。引きずられる様に俺は観覧車に乗った。
「いい景色~見て見てさっきのマンションが見えるよ~あ、海も見える~」
「さっきのマンション…」
せっかくの景色も落ち着いて見ていられない。
「僕が何をやったか聞きたい?」
そうか、ここなら2人きり。人目を気にせず話ができる!ショウはそこまで考えて…
「うわ~高~い~一度乗りたかったんだ~」
本当に考えてるのか?怪しくなってきたけどまあいい。早く喋れ!
「どこから言えばいいのかな~。あぁ、あのマンションね、あそこにはコウ兄さんの会社にサイバー攻撃した奴がいるんだ。…僕を誰だと思ってるの~?そんな事会社のパソコンから辿っていけば、ねぇ。それでも結構手間がかかっちゃって大変だったんだよ~外国のサーバーをいくつも経由しててさ~。
で、ちょっと仕返ししようかな~と。多少痛い目見ないと懲りずにまたやるでしょ?こっちの防御はガチガチに固めといたけどそれでもやる奴はやるからねぇ~。
あの液体を使った変装をして、髪型も帽子で隠す。その上軍手で指紋もつかない様にして、エントランスでその部屋のインターフォンを鳴らす。勿論在宅なのは調査済み~。
『…はい、どなた?』
無愛想極まりない声が聞こえてきたよ。犯人(仮)だ。
『宅配便です。〇〇会社から書類のお届けにあがりました』って僕は言った。
会社名はコウ兄さんのもの。インターフォンの向こうはその会社名を聞いて急に慌てた様な感じになって~
『えっ…?知らん!俺は知らんぞ!人違いだ!とっとと帰れー!!』
と怒鳴られた挙げ句切られてね。怪しすぎるぅ~って思ったんで、僕は耳のイヤホンを一回軽くタップ、
〝今ノ発言 嘘ノ確率73%〟
とイヤホンからお知らせが…」
「ちょっと待って。そのイヤホンって何?」
「これ?嘘発見器のプロトタイプだよ。本当はメガネとセットで、相手の表情とかも込みで嘘の確率を弾き出してくれるんだ~。でもメガネの調子がイマイチなんで家に置いてきた~
で、これで犯人と断定したんでアリさんロボを…」
「…アリさんロボ?」
不思議がる俺にショウはイヤホンケースみたいな入れ物を開けて見せてくれた…中身はアリだ。どう見てもアリ…
「これはアリ型のロボ。作るの時間かかった~。土日潰れちゃったよ~。でこれを100体マンションにこっそり置いてきたんだ~。このアリさんロボはこのリモコンで指示を送れて~そろそろ犯人の部屋についているはずだから、仕事をしてもらおうかな~と思ってる」
土日に作ってたのはこのアリか…あとこのリモコンもか…スマホにしか見えないがおかしいのは画面上にアプリが一つしか無いことくらいだが…よし押してみよ。
すると細かく分かれた画面が現れた…これって…
「そうそう、この1つ1つがアリさんロボから送られてきている映像なんだ~。細かすぎてちょっと見づらいな…改良の余地がありそう」
楽しそうな所悪いんだが、肝心なところを聞かないと
「そのアリの仕事って?」
俺の心臓の鼓動が速まる。
「たいした事じゃ無いよ~電化製品をちょっと壊すだけ。3日間犯人の部屋の電化製品を色々壊して~あとはたまに10体単位で集まって手とか顔とか足とかに乗ってもらうの~。相手が気がついたらさっと散って隠れる様にしてあるよ~。ね?たいした事ないでしょう~。ちょっと脅かすだけ、それも3日間だけ~」
脅かすだけかぁ…家中の電化製品が次々壊れるの結構嫌だな。その上アリがあちらこちらから現れてすぐ消える…心理的にはダメージありそうだが、思ったよりは優しい仕返しだな。
「でもお前あのマンションのエントランスの防犯カメラに映ってるし、他にも防犯カメラがあるだろう?それに相手の部屋のインターフォンにもお前の姿や声が録画されてるだろう?顔は多少変えたし指紋もないとは言え、お前がやったってバレたらどうするんだ?」
チッチッチと腰に手を当てて指を振るショウ。腹立たしいからそれはやめろって前も言ったぞ。
「僕に抜かりはないのだ~。まずエントランスの防犯カメラはこれで塞いだのだ~」
と言ってカバンから取り出したのは…蜘蛛?
「蜘蛛型ロボ~。アリを作り続けてたら何か別のものも作りたくなって…。僕が映るちょっと前からマンションを出るまでこの蜘蛛にカメラレンズの前にいてもらったんだ~。動きをリアルにしたから本物にしか見えないよ~」
手のひらサイズの蜘蛛ロボ…所謂軍曹と言われるやつだな。本物にしか見えない。が、そっと触ると…生き物でない感触だった。
「声は~じゃ~ん。これを使いました~」
!あの時ショウが吸ってたのって口臭予防スプレーじゃなかったのか?
「これを吸入すると10分くらい声が変わるんだ~。あとは~インターフォンの録画映像は~アリさんがインターフォンごと壊す予定~。あ、他の防犯カメラの事考えてなかったなぁ~。追加で壊しとくかな~」
…その勢いだと、犯人の部屋の電化製品3日後には全滅なんじゃないかな。
「…でももし、そいつが『その書類受け取る』って言ったらどうするつもりだったんだ?ていうかその封筒の中身って何だったの?白紙?」
「そしたら『本人に手渡ししろと言われてます』って言って当人に渡すよ。で中身はね~。ミイちゃん封筒をしまった僕のカバンの中見てごらん」
渡されたカバンには違和感があった。紙物が入っている感触がないのだ。それよりもう少し重みのある何か…開けてみると
「あ!これは!」
砂だ。ひょっとして…
「あの封筒と中身の書類は砂でできてたんだ~。僕の砂を固める液体で作ったんだ~書類は藁半紙みたいな触り心地になっちゃったのが残念だったけど…一応文字も書けたんで〝お前が犯人〟って書いておいたんだ~でも出番なかったな~」
犯人が受け取った封筒から書類を出すと〝お前が犯人〟って書いてあって、驚いているとそれがサラサラ崩れて砂になるーーか。なかなかのホラーっぷり。
色々言いたいことはあるが、犯人への仕返しの為にショウがかなり入念に…やれる事は全部やっているんじゃないかなと思うくらいまで念入りに準備していた事がわかった。安心はできないが、もしこれでショウが怪しまれたとしても証拠不十分になる可能性が高い。さすがとしか言いようがない。
しかし今回、ショウがやろうと思えば入念な準備ができるやつだという事もわかった。いつもいつも適当な準備と行き当たりばったりな行動で俺は振り回されているけど…
やればできる!できるじゃん!
決めた!今度からはそれを念頭においてショウに準備をさせよう。次からはもう巻き込まれないぞ!
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
椿の国の後宮のはなし
犬噛 クロ
キャラ文芸
※毎日18時更新予定です。
架空の国の後宮物語。
若き皇帝と、彼に囚われた娘の話です。
有力政治家の娘・羽村 雪樹(はねむら せつじゅ)は「男子」だと性別を間違われたまま、自国の皇帝・蓮と固い絆で結ばれていた。
しかしとうとう少女であることを気づかれてしまった雪樹は、蓮に乱暴された挙句、後宮に幽閉されてしまう。
幼なじみとして慕っていた青年からの裏切りに、雪樹は混乱し、蓮に憎しみを抱き、そして……?
あまり暗くなり過ぎない後宮物語。
雪樹と蓮、ふたりの関係がどう変化していくのか見守っていただければ嬉しいです。
※2017年完結作品をタイトルとカテゴリを変更+全面改稿しております。
京都かくりよあやかし書房
西門 檀
キャラ文芸
迷い込んだ世界は、かつて現世の世界にあったという。
時が止まった明治の世界。
そこには、あやかしたちの営みが栄えていた。
人間の世界からこちらへと来てしまった、春しおりはあやかし書房でお世話になる。
イケメン店主と双子のおきつね書店員、ふしぎな町で出会うあやかしたちとのハートフルなお話。
※2025年1月1日より本編start! だいたい毎日更新の予定です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる