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8 洞 ④
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とにかくショウを止めなきゃ!
あっ池の縁で何やらもたついている、捕まえるチャンス!
「おい!戻るぞ」
その瞬間俺の身体をボフッと何やら柔らかい物が包んだ。目の前にあいつの楽しそうな顔。
「なんだなんだコレ?」
俺とショウは大きなシャボン玉の『中』にいた。でもこれってシャボン玉なのか?この膜指で突いても割れないけど、ボヨンボヨンと揺れる感じはシャボン玉そっくり…
「なあコレって…」
問いかけようと横を見たら、ちょっと大き目のシャボン玉を作るストロー(正式名称ってなんだろう)を咥え、手には何か液体の入ったビンを持ったショウがいた。
やられた、また何か変な発明品だコレ。
「コレはどういう事かなショウさん?」
「えっと~説明すると長くなるんだけど~」
「俺にもわかるように簡単に!」
「浮袋?みたいな~」
「いや、浮袋は知ってるけど、これじゃないだろ」
「まあまあ、怒らないでこれもどうぞ」
と何か渡された。ーーコレおしゃぶりじゃないか?何故これも?
「水に入ったら咥えてね~空気出るから~」
「えっ?今何と?」
聞き捨てならない発言が聞こえたぞ。
「じゃあ行きま~す!」
「えっ?えっ?うわぁ!」
盛大に水しぶきをあげて池の中にダイブした。
「水嫌だー!濡れるの反対!助けてー!」
俺はパニックに陥り騒いだ。
「大丈夫だよ~濡れてないよ~。落ち着いてさっきの咥えて~周り見てごらん~」
確かに俺の身体は濡れてない。シャボン玉に守られて水中を漂っている。360°青い水が煌めいていた。その美しさに目を奪われていると
「じゃあ進むね~ちょっと揺れるよ~」
ん?進む?ショウはボディバッグから小さなドローンらしき物を取り出し、紐の付いたそれをギュムギュムとシャボン玉の外へ押し出した。これでも壊れないのか?触るとぽよんとしているのに中々丈夫だなこのシャボン玉。
「行っきま~す!スイッチオン!」
「どぁー!待って待って!」
状況についていけない俺に構わずにドローンは水中でスピードを出して進んだ。早い!当然のことなから繋がっている俺らの入ったシャボン玉も進んでいる。どこへ行くのかわからない不安感といつこのシャボン玉が壊れて水中に投げ出されるのかという2つの恐怖を感じてビクビクしていると、数分後
「目的地近づいて来たよ~。あそこから陸に上がるよ~」
ショウが指さす方を見ると暗い水中に明るくぽっかり穴があいている様に見える場所があった。どうやらそこから上がるらしい。助かった。濡れずに済みそう。
光の差し込んでいるところには実際に穴が開いており、地上が見えた。ただシャボン玉の膜で見にくいがそこが洞窟なのは間違いない。ちょっとがっかりだ。
「やった~着いた~。水中ドローンも『壊れにくいぜ!シャボン玉2号』も良く頑張った~偉いぞ~」
発明品の変な名前についてはもう突っ込まないぞ。でも1つだけ聞いとかないと
「どうやって地面に上がる?」
「え?」
小首を傾げて誤魔化してもダメだぞ。
「シャボン玉ごとか?それとも何か他の手段が?」
膜の外側は少しぬめりがあるようで膜ごしに手を地面に付いても滑って身体が持ち上がらない=上陸不可なんだよな。
「えっと~」
何かを考えつつ、バッグに手を突っ込んで薬のチューブっぽい何かを取り出した。そして徐にチューブの中身を指に塗りシャボン玉をつついた。
バーーーン!
大きめの音がしてシャボン玉が割れた!嘘だろあれだけ丈夫だったのに!
「『壊れにくいぜ!シャボン玉2号を割る薬』~」
一度そのネーミングセンスについて話し合おう。
あっ池の縁で何やらもたついている、捕まえるチャンス!
「おい!戻るぞ」
その瞬間俺の身体をボフッと何やら柔らかい物が包んだ。目の前にあいつの楽しそうな顔。
「なんだなんだコレ?」
俺とショウは大きなシャボン玉の『中』にいた。でもこれってシャボン玉なのか?この膜指で突いても割れないけど、ボヨンボヨンと揺れる感じはシャボン玉そっくり…
「なあコレって…」
問いかけようと横を見たら、ちょっと大き目のシャボン玉を作るストロー(正式名称ってなんだろう)を咥え、手には何か液体の入ったビンを持ったショウがいた。
やられた、また何か変な発明品だコレ。
「コレはどういう事かなショウさん?」
「えっと~説明すると長くなるんだけど~」
「俺にもわかるように簡単に!」
「浮袋?みたいな~」
「いや、浮袋は知ってるけど、これじゃないだろ」
「まあまあ、怒らないでこれもどうぞ」
と何か渡された。ーーコレおしゃぶりじゃないか?何故これも?
「水に入ったら咥えてね~空気出るから~」
「えっ?今何と?」
聞き捨てならない発言が聞こえたぞ。
「じゃあ行きま~す!」
「えっ?えっ?うわぁ!」
盛大に水しぶきをあげて池の中にダイブした。
「水嫌だー!濡れるの反対!助けてー!」
俺はパニックに陥り騒いだ。
「大丈夫だよ~濡れてないよ~。落ち着いてさっきの咥えて~周り見てごらん~」
確かに俺の身体は濡れてない。シャボン玉に守られて水中を漂っている。360°青い水が煌めいていた。その美しさに目を奪われていると
「じゃあ進むね~ちょっと揺れるよ~」
ん?進む?ショウはボディバッグから小さなドローンらしき物を取り出し、紐の付いたそれをギュムギュムとシャボン玉の外へ押し出した。これでも壊れないのか?触るとぽよんとしているのに中々丈夫だなこのシャボン玉。
「行っきま~す!スイッチオン!」
「どぁー!待って待って!」
状況についていけない俺に構わずにドローンは水中でスピードを出して進んだ。早い!当然のことなから繋がっている俺らの入ったシャボン玉も進んでいる。どこへ行くのかわからない不安感といつこのシャボン玉が壊れて水中に投げ出されるのかという2つの恐怖を感じてビクビクしていると、数分後
「目的地近づいて来たよ~。あそこから陸に上がるよ~」
ショウが指さす方を見ると暗い水中に明るくぽっかり穴があいている様に見える場所があった。どうやらそこから上がるらしい。助かった。濡れずに済みそう。
光の差し込んでいるところには実際に穴が開いており、地上が見えた。ただシャボン玉の膜で見にくいがそこが洞窟なのは間違いない。ちょっとがっかりだ。
「やった~着いた~。水中ドローンも『壊れにくいぜ!シャボン玉2号』も良く頑張った~偉いぞ~」
発明品の変な名前についてはもう突っ込まないぞ。でも1つだけ聞いとかないと
「どうやって地面に上がる?」
「え?」
小首を傾げて誤魔化してもダメだぞ。
「シャボン玉ごとか?それとも何か他の手段が?」
膜の外側は少しぬめりがあるようで膜ごしに手を地面に付いても滑って身体が持ち上がらない=上陸不可なんだよな。
「えっと~」
何かを考えつつ、バッグに手を突っ込んで薬のチューブっぽい何かを取り出した。そして徐にチューブの中身を指に塗りシャボン玉をつついた。
バーーーン!
大きめの音がしてシャボン玉が割れた!嘘だろあれだけ丈夫だったのに!
「『壊れにくいぜ!シャボン玉2号を割る薬』~」
一度そのネーミングセンスについて話し合おう。
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