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6.本当の理由
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ルドルフが怖い物でも見たような強張った表情でこちらを見た。そして絞り出すような声で
「…確かに魅了の呪いの調査を学園内からしたいとは思ったが…それ以上に…」
「それ以上に?」
「逃げてきたんだ。怖くて」
といい、言葉を続けた。
お姉さんの魅了の呪いも強いが、ルドルフはそれ以上らしい。日々気をつけて生きてはいるが、かなり遠くからチラリと見ただけでも魅了される人が続出したので苦心しているようだ。
「離れたところで庭木を伐採していた庭師が屋敷内のベッドで寝ていた赤ちゃんの私を見て、魅了されて乗ってたハシゴから落ちたなんて事が日常で…」
そこまで行くと普通の暮らしが出来ないな。(あ、関係ないけど父ちゃんから伐採手伝えって言われてるんだった。外出許可の取り方先生に聞かないと)
そんな大変な毎日を過ごしてきたが一昨年一大事が起きた。結婚の申し込みをされたのだ。
「え?お姉さんに?」
「いや、私にだ」
まだ10歳のルドルフに結婚を申し込んできた家があり、しかもそこの家の未亡人(37歳)が相手との事。さすがに年齢差もあるし本人が幼い為意志の確認がとれないのでお断りしたのだが諦めてもらえない。手をかえ品をかえ断っても断っても申し込んでくるから始末に悪い。
彼の家の家訓として「結婚は本人の自由意思で決める事」とありルドルフに意思を確認しようと相手方は必死になっているので大迷惑を被っているようだ。
「へー貴族には珍しい家訓だね。政略結婚禁止?本人が望むなら可って感じかな」
「そうなんだ。この魅了を使ってどんな相手でもそれこそ王子でも大金持ちでも捕まえる事ができるけど、ご先祖様はそれで地位を上げたり金を儲けたりする事を良しとしなかったと。あくまでも人間として結婚相手を選ぶべきだと思ったんだろう」
まさかそれで困る子孫がいるとは思わなかったんだろうなあ。
「その未亡人に直に会った事あるの?年齢差はどうとしても当人同士がいいなと思えばいいんでしょ?」
苦虫を噛み潰した様な表情が浮かんだがそれでも美しさが変わらないのがすごい。
「直にはない。素顔をいつ見られたのかもわからない。会いたくもない」
すっごい拒否きた。そんなに惚れてるんなら一度くらい会ってあげればいいのにとふと思ったが
「手紙だけは3日とあけずにくる。見たくもないからこのところは捨てているがそれを読んだら君もこの強い拒否の理由がわかると思う」
「え?ど、どんな中身?」
「ある意味中身がない。ずーーーっと私の顔の美しさを褒めているだけなんだ。私と言う人間の中身なんてどうでも良くて自分の血筋に美しい顔を取り込みたいその一点ばり」
「うげーっ!怖すぎる。それでここに逃げてきたのか。入学出来てよかったな」
聞いてる俺ですら鳥肌モンの恐ろしさだよ。もしうちの妹にそんな手紙寄越すヤツがいたら一家総出でボッコボッコにしてやるが。
「もし落ちたら大叔母の婚家の親戚のいる遠国に留学するつもりだった」
そんな薄いツテを使ってでも逃げるつもりだったか…でも拉致監禁くらいしそうだもんなお相手さん。身の危険ありじゃあ多少窮屈でも学園の方が数倍ましだね。
「とにかく身の安全が保証されたので、これからは学園内と君の調査を頑張りたいと思ってる。何度も念押しするようで申し訳ないが協力よろしくお願いします」
頭が床に着きそうなくらいのお辞儀で頼まれてしまった。これはなるべく協力してあげなきゃな。でも穏やかな学園生活って出来るのだろうか?一抹の不安を覚えた。
「…確かに魅了の呪いの調査を学園内からしたいとは思ったが…それ以上に…」
「それ以上に?」
「逃げてきたんだ。怖くて」
といい、言葉を続けた。
お姉さんの魅了の呪いも強いが、ルドルフはそれ以上らしい。日々気をつけて生きてはいるが、かなり遠くからチラリと見ただけでも魅了される人が続出したので苦心しているようだ。
「離れたところで庭木を伐採していた庭師が屋敷内のベッドで寝ていた赤ちゃんの私を見て、魅了されて乗ってたハシゴから落ちたなんて事が日常で…」
そこまで行くと普通の暮らしが出来ないな。(あ、関係ないけど父ちゃんから伐採手伝えって言われてるんだった。外出許可の取り方先生に聞かないと)
そんな大変な毎日を過ごしてきたが一昨年一大事が起きた。結婚の申し込みをされたのだ。
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「いや、私にだ」
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彼の家の家訓として「結婚は本人の自由意思で決める事」とありルドルフに意思を確認しようと相手方は必死になっているので大迷惑を被っているようだ。
「へー貴族には珍しい家訓だね。政略結婚禁止?本人が望むなら可って感じかな」
「そうなんだ。この魅了を使ってどんな相手でもそれこそ王子でも大金持ちでも捕まえる事ができるけど、ご先祖様はそれで地位を上げたり金を儲けたりする事を良しとしなかったと。あくまでも人間として結婚相手を選ぶべきだと思ったんだろう」
まさかそれで困る子孫がいるとは思わなかったんだろうなあ。
「その未亡人に直に会った事あるの?年齢差はどうとしても当人同士がいいなと思えばいいんでしょ?」
苦虫を噛み潰した様な表情が浮かんだがそれでも美しさが変わらないのがすごい。
「直にはない。素顔をいつ見られたのかもわからない。会いたくもない」
すっごい拒否きた。そんなに惚れてるんなら一度くらい会ってあげればいいのにとふと思ったが
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「え?ど、どんな中身?」
「ある意味中身がない。ずーーーっと私の顔の美しさを褒めているだけなんだ。私と言う人間の中身なんてどうでも良くて自分の血筋に美しい顔を取り込みたいその一点ばり」
「うげーっ!怖すぎる。それでここに逃げてきたのか。入学出来てよかったな」
聞いてる俺ですら鳥肌モンの恐ろしさだよ。もしうちの妹にそんな手紙寄越すヤツがいたら一家総出でボッコボッコにしてやるが。
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「とにかく身の安全が保証されたので、これからは学園内と君の調査を頑張りたいと思ってる。何度も念押しするようで申し訳ないが協力よろしくお願いします」
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