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1.変わった人
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『大きな町に行くとちょっと変わってる人もいるから気をつけてな』
父ちゃん…さっきの忠告テキトーに聞き流してごめん。今俺はその『変わってる人』に絡まれてます。助けて~!
遡ること数ヶ月前。木こりの息子の俺は村一番の偉い人に呼び出された。この村は建国の森と呼ばれる深い深い森の側にあり、ポツポツと木で出来た家が立ち並ぶのどかな村だ。そこで俺は木こりの父ちゃんと母ちゃん、可愛い妹のマリアと住んでいる。
っと呼び出される理由に心当たりは…あれか?森の中に勝手に秘密基地作った事か?それくらいしか思い当たらない。
「リュ、よく来たね。あぁ叱る為に呼んだんじゃないから大丈夫。お前に頼みがあってね」
村一番の偉い人ーー占いおばばはそう言って僕に椅子を勧めた。いつもはシワに隠れて表情が良く分からないけど今日はご機嫌のようだ。
「何の用?重い物とか?」
俺は他の子供達より頭一個分くらい背が高く力も強い。その為そう言った作業に呼ばれる事も多い。
「はっはっは。違う違う。お前に『学園』を受験してきて欲しいんだよ」
「…何故?てか『学園』ってあの?」
「今年受験資格のあるのがお前だけでな~。村を助けると思って」
『学園』は当年中に12歳になる子供にしか受験資格がない。その代わり合格して5年間学園で勉強すると『準貴族』の身分が手にはいる、我が王国が誇る人材育成機関だ。受験に身分もお金も必要なく、犯罪者の身内であっても受験可能。人生1発逆転できるせいか、ものすごく高倍率…俺基本的な読み書きくらいしかできないんだけど?
「俺じゃなきゃダメ?来年なら頭のいい奴いるよ?」
おばばは頭を横に振った。
「『今年』でなければダメと占いででた」
おばばの占いはほぼ100%と言っていいくらい当たる。雪が例年より多く降るとか、雨の時期が短いとか、とにかくよく当たるので、この村では
「何か困ったらおばばに占ってもらえ」が普通で
村長より偉い。(というか村長も困ったらおばばの所に行く)俺の名前も占いで決めてもらったくらい頼りにされている。断る事は出来なさそうだなぁ…ん?待てよ。
「おばば?」
「何じゃい?」
「『受験してこい』って言った?」
「そうじゃ」
「『合格してこい』じゃなく?」
「そうじゃ。『受験する』ということが重要だから、『合格不合格』は問題にならん。で、受けてくれるか?なんならお小遣いをやるから、試験の後町で好きな物でも買ってくるがいい」
「…やった~!受験するする!」
という具合に俺のお気楽受験が決まり、あっという間に受験の日になった。
『学園』のある町に着いてみるとあちこちからの受験生とその関係者が一杯でお祭りのようだった。俺は観光気分で付き添いの父ちゃんとあちこちうろついてみた。
「それにしても石で出来た建物ばかりだね。押し潰されそう」屋台で買って貰った串焼きを食べつつ聞いてみる。
「ウチの村の建物は木でできてるのがほとんどだからな。この町は国の防衛の要だから、建物も燃えない様に石で頑丈に作ってあるんだろう」
「ふーん。そっかー」
そんなお気楽な俺を見て
「受験するだけでも人が多いから大変だぞ。村には居ないようなちょっと変わった人もいるから気をつけてな。まあ、受験さえ出来てしまえばこっちのモンだ!どーせ合格はするわけないしな!はっはっは」
「万が一受かったらどうするの?」ちょっと腹立たしくなって言ってみる。
「ぶふっ!受かる?万が一?あーっはっは!ナイナイ!」爆笑された。
自分の実力はわかっているけど、そんなに笑う事ないだろう?
数時間後、試験用紙を見た俺は早々に諦めた。問題の意味すらわからないのでは、手も足も出ない。仕方ないので意味がわかった最後の1問だけ解いた。余りにも暇なのでカンニングを疑われない範囲で周りを見ていくと、『ちょっと変わった人』がいた。
俺の斜め前の席のヤツだ。貴族っぽい服、指先まで躾の行き届いた仕草、そして
『布袋を頭に被っている』
(何じゃアレ?何かの儀式か?てか試験用紙見えるのか?ーーあの布キレ何気に高そうな生地だな。お母ちゃんが喜びそう)
「終了時間前ですが、もう出来たと言う方は答案を出して部屋から退出して結構ですよ」と試験官。
何か気になるけど知ったこっちゃないか。それよりもう退出しよう、出来てないけどね。
暇になった俺は学園を出ようとしたが、それはまだダメと門番さんに止められてしまった。仕方ないので、水でも飲んでこようかな。出来なさすぎて嫌な汗かいたし。
すると水飲み場には先客がいた。俺と同じく嫌な汗でもかいたのか顔を洗っている。あれ?どっかで見たような服とだなと思いつつ順番を待っていると、先客が振り返った。
(布袋の人だ!)
布袋のあった場所には美しい顔があった。光を受けてキラキラと光る金髪、澄み切ったアイスブルーの瞳…全てのパーツが1番良いと思われる形・場所にあり尚且つ上品で清らか。神様もこの顔作った時『完璧』と思ったんじゃないかな?と言うレベルだ。でもまあ俺にしてみたら妹のかわいい顔が1番なんで~などと思いつつ、空いた水飲み場で水を飲もうとした。すると
「君!」
急にガッと肩を捕まれた。
やばい!何か失礼な事したかな俺?と反射的に
「ごめんなさ…「ここの学生かな?!」
「いえ。試験を受けに…「私と同じ歳!これは神様からの贈り物だー!」
と1人盛り上がって膝をつき神に祈りを捧げ始めた。
逃げたいが逃げ出すタイミングが掴めない。で冒頭の気持ちになった。
「君!私の顔を見て何か感じないか?」
「(何か?とは何だ)綺麗な顔だなと」
「他は?何もない?」
他?恋愛感情もわかないし、初見の人に『綺麗』以上何があるってんだ?ちょっとヤケクソになって
「無いよ。何ならうちの妹の方がかわいいって思ったよ!」
しまった!言いすぎた!あっちはどう見ても貴族。暴言吐いたと捕まる可能性すらある!顔から血の気が引いた。ところが
「素晴らしい!これぞ私が求めてた人だ!是非私の友人になってくれ!頼む!私の名前は…」
キーンコーンカーンコーン
試験終了の鐘がなり、受験生たちが沢山部屋から吐き出されてきた。布袋さんは慌てて袋を被り走り出した。
「そこの君また会おう!今度は学園の学生として!」
訳がわからないが解放された。あと俺の試験の出来じゃあはここの学生にはなれないよ。(自分で言ってて悲しいが)
父ちゃん…さっきの忠告テキトーに聞き流してごめん。今俺はその『変わってる人』に絡まれてます。助けて~!
遡ること数ヶ月前。木こりの息子の俺は村一番の偉い人に呼び出された。この村は建国の森と呼ばれる深い深い森の側にあり、ポツポツと木で出来た家が立ち並ぶのどかな村だ。そこで俺は木こりの父ちゃんと母ちゃん、可愛い妹のマリアと住んでいる。
っと呼び出される理由に心当たりは…あれか?森の中に勝手に秘密基地作った事か?それくらいしか思い当たらない。
「リュ、よく来たね。あぁ叱る為に呼んだんじゃないから大丈夫。お前に頼みがあってね」
村一番の偉い人ーー占いおばばはそう言って僕に椅子を勧めた。いつもはシワに隠れて表情が良く分からないけど今日はご機嫌のようだ。
「何の用?重い物とか?」
俺は他の子供達より頭一個分くらい背が高く力も強い。その為そう言った作業に呼ばれる事も多い。
「はっはっは。違う違う。お前に『学園』を受験してきて欲しいんだよ」
「…何故?てか『学園』ってあの?」
「今年受験資格のあるのがお前だけでな~。村を助けると思って」
『学園』は当年中に12歳になる子供にしか受験資格がない。その代わり合格して5年間学園で勉強すると『準貴族』の身分が手にはいる、我が王国が誇る人材育成機関だ。受験に身分もお金も必要なく、犯罪者の身内であっても受験可能。人生1発逆転できるせいか、ものすごく高倍率…俺基本的な読み書きくらいしかできないんだけど?
「俺じゃなきゃダメ?来年なら頭のいい奴いるよ?」
おばばは頭を横に振った。
「『今年』でなければダメと占いででた」
おばばの占いはほぼ100%と言っていいくらい当たる。雪が例年より多く降るとか、雨の時期が短いとか、とにかくよく当たるので、この村では
「何か困ったらおばばに占ってもらえ」が普通で
村長より偉い。(というか村長も困ったらおばばの所に行く)俺の名前も占いで決めてもらったくらい頼りにされている。断る事は出来なさそうだなぁ…ん?待てよ。
「おばば?」
「何じゃい?」
「『受験してこい』って言った?」
「そうじゃ」
「『合格してこい』じゃなく?」
「そうじゃ。『受験する』ということが重要だから、『合格不合格』は問題にならん。で、受けてくれるか?なんならお小遣いをやるから、試験の後町で好きな物でも買ってくるがいい」
「…やった~!受験するする!」
という具合に俺のお気楽受験が決まり、あっという間に受験の日になった。
『学園』のある町に着いてみるとあちこちからの受験生とその関係者が一杯でお祭りのようだった。俺は観光気分で付き添いの父ちゃんとあちこちうろついてみた。
「それにしても石で出来た建物ばかりだね。押し潰されそう」屋台で買って貰った串焼きを食べつつ聞いてみる。
「ウチの村の建物は木でできてるのがほとんどだからな。この町は国の防衛の要だから、建物も燃えない様に石で頑丈に作ってあるんだろう」
「ふーん。そっかー」
そんなお気楽な俺を見て
「受験するだけでも人が多いから大変だぞ。村には居ないようなちょっと変わった人もいるから気をつけてな。まあ、受験さえ出来てしまえばこっちのモンだ!どーせ合格はするわけないしな!はっはっは」
「万が一受かったらどうするの?」ちょっと腹立たしくなって言ってみる。
「ぶふっ!受かる?万が一?あーっはっは!ナイナイ!」爆笑された。
自分の実力はわかっているけど、そんなに笑う事ないだろう?
数時間後、試験用紙を見た俺は早々に諦めた。問題の意味すらわからないのでは、手も足も出ない。仕方ないので意味がわかった最後の1問だけ解いた。余りにも暇なのでカンニングを疑われない範囲で周りを見ていくと、『ちょっと変わった人』がいた。
俺の斜め前の席のヤツだ。貴族っぽい服、指先まで躾の行き届いた仕草、そして
『布袋を頭に被っている』
(何じゃアレ?何かの儀式か?てか試験用紙見えるのか?ーーあの布キレ何気に高そうな生地だな。お母ちゃんが喜びそう)
「終了時間前ですが、もう出来たと言う方は答案を出して部屋から退出して結構ですよ」と試験官。
何か気になるけど知ったこっちゃないか。それよりもう退出しよう、出来てないけどね。
暇になった俺は学園を出ようとしたが、それはまだダメと門番さんに止められてしまった。仕方ないので、水でも飲んでこようかな。出来なさすぎて嫌な汗かいたし。
すると水飲み場には先客がいた。俺と同じく嫌な汗でもかいたのか顔を洗っている。あれ?どっかで見たような服とだなと思いつつ順番を待っていると、先客が振り返った。
(布袋の人だ!)
布袋のあった場所には美しい顔があった。光を受けてキラキラと光る金髪、澄み切ったアイスブルーの瞳…全てのパーツが1番良いと思われる形・場所にあり尚且つ上品で清らか。神様もこの顔作った時『完璧』と思ったんじゃないかな?と言うレベルだ。でもまあ俺にしてみたら妹のかわいい顔が1番なんで~などと思いつつ、空いた水飲み場で水を飲もうとした。すると
「君!」
急にガッと肩を捕まれた。
やばい!何か失礼な事したかな俺?と反射的に
「ごめんなさ…「ここの学生かな?!」
「いえ。試験を受けに…「私と同じ歳!これは神様からの贈り物だー!」
と1人盛り上がって膝をつき神に祈りを捧げ始めた。
逃げたいが逃げ出すタイミングが掴めない。で冒頭の気持ちになった。
「君!私の顔を見て何か感じないか?」
「(何か?とは何だ)綺麗な顔だなと」
「他は?何もない?」
他?恋愛感情もわかないし、初見の人に『綺麗』以上何があるってんだ?ちょっとヤケクソになって
「無いよ。何ならうちの妹の方がかわいいって思ったよ!」
しまった!言いすぎた!あっちはどう見ても貴族。暴言吐いたと捕まる可能性すらある!顔から血の気が引いた。ところが
「素晴らしい!これぞ私が求めてた人だ!是非私の友人になってくれ!頼む!私の名前は…」
キーンコーンカーンコーン
試験終了の鐘がなり、受験生たちが沢山部屋から吐き出されてきた。布袋さんは慌てて袋を被り走り出した。
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