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第24話『ひとりぼっちは怖い』
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目が覚めて、元通り私がすごしていた部屋にいた事に安堵した。でも部屋を見回してもヴィンセントさんがいなくて、大丈夫きっと仕事をしてるだけ、そう頭では分かっているのに、攫われた直後の私の心は、もしかして何度もいなくなって面倒くさくなられたのだろうか。とか、怪我していてこちらに入れない状況なのだろうかとか、悪い方にばかり考えてしまって涙から溢れてきた。
ヴィンセントさん、どこ?って1人で泣きながら部屋を歩く、お部屋のお風呂も、トイレも探したけどやっぱり居なくて泣きながら歩き回る私に、駆けつけた人が何かを喋っていたけれど私の耳には入らなくて、そばにいない彼に不安ばかりが募っていく。
それで、こんなに泣いて歩き回る私をみたらきっとヴィンセントさんでも呆れるだろうな、早く泣き止んで何事もなく部屋にいなくちゃとどこか冷静に考えている私もいて、気持ちとは裏腹に、まだ歩きなれてない私がその場に崩れ落ちるのはすぐだった。
止まらない涙とうごかない足と、そんな私を見てオロオロする使用人の人と、そのうち涙が枯れて、バタバタと走る音が聞こえて、ふっと大好きな香りに包まれる。力強い腕に抱き上げられて枯れたと思った涙がまた目からあふれでた。「大丈夫か?」と息を切らした彼の声が聞こえて、それに安心して、「ご、ごめんなさい、大丈夫です、」そう泣き笑いのような顔で返事をする。
ヴィンセントさんは涙でぐちゃぐちゃで可愛くない私の顔をハンカチで拭きながら「はぁ、かわいいな、」とボソッと話す声が聞こえた私は何が可愛いのかいまいち分からなくて首を傾げる、そんな私にニコッと綺麗な微笑みを見せながら彼は私をどこかへ運ぶ。
着いた先はさっきまで私がいた部屋ではなく、ヴィンセントさんの部屋のようだった。彼はソファーに座り込むと私を足の間に挟むように座らせた。
後ろから感じる体温に私がリラックスし始めると「離れてごめんな、さすがに血が着いたままは嫌でな」そう彼が言った。私はこくりと頷き、ぼんやりし始める。
出会った時から甘やかされていて、なんでこの人はずっと私なんかに優しいんだろうって、優しくしてくれる人には大抵裏があって、優しさに甘えてばかりいるといつかその幸せの分、優しさの分、先にある未来が苦しく、険しいものだと主に教わった。
だから幸せになって、それを当たり前に感じてはいけない、そう言われてきた。でも不思議だった。主とすごした日々が1番苦しく、険しいもので、私の信じていたものが全て崩れていく感覚が怖くてたまらなかった。
「ねぇヴィンセントさん、なんでそんなに私にやさしいの?」そう後ろに座る彼に聞いたの、利用するためでも、なんでも良かった。ただ理由が欲しかったそれだけの質問「あぁ、好きだからかな、所詮一目惚れってやつ」と少し照れたような顔で言う彼に私は思わず「それだけの理由で?」と聞いてしまった。
彼は恥ずかしそうに「うん、それだけの理由で、」といい私の頭にキスを降らせる。私は信じられなかった、好きという感情はそれほどまでのものなのかと、私は好きという感情について教わっては来なかったけれどそれほどまでの気持ちならその気持ちをもつ彼を羨ましいと感じた。
「好きっと言う感情はどんなものなのかしら」そう首を傾げる、私に彼は教えてくれた、「俺の好きって気持ちは愛しくて、守りたくで、大切にしたくて、そばに居ると安心するって感じかな」なるほどと思ってうんうん頷いているとふと気づいてしまった。
大切にしたくて、そばに居ると安心して、大切にしたくて、守りたくて、私がそう思うのはヴィンセントさんで、あぁこれが好きって気持ちなんだなってふっと気づいた。
「私、ヴィンセントさんのこと好きみたい」そう私がぼんやりしながら言うと彼は「そっか両思いだね」とにっこり笑う私もにっこり笑って、頷いた。
ヴィンセントさん、どこ?って1人で泣きながら部屋を歩く、お部屋のお風呂も、トイレも探したけどやっぱり居なくて泣きながら歩き回る私に、駆けつけた人が何かを喋っていたけれど私の耳には入らなくて、そばにいない彼に不安ばかりが募っていく。
それで、こんなに泣いて歩き回る私をみたらきっとヴィンセントさんでも呆れるだろうな、早く泣き止んで何事もなく部屋にいなくちゃとどこか冷静に考えている私もいて、気持ちとは裏腹に、まだ歩きなれてない私がその場に崩れ落ちるのはすぐだった。
止まらない涙とうごかない足と、そんな私を見てオロオロする使用人の人と、そのうち涙が枯れて、バタバタと走る音が聞こえて、ふっと大好きな香りに包まれる。力強い腕に抱き上げられて枯れたと思った涙がまた目からあふれでた。「大丈夫か?」と息を切らした彼の声が聞こえて、それに安心して、「ご、ごめんなさい、大丈夫です、」そう泣き笑いのような顔で返事をする。
ヴィンセントさんは涙でぐちゃぐちゃで可愛くない私の顔をハンカチで拭きながら「はぁ、かわいいな、」とボソッと話す声が聞こえた私は何が可愛いのかいまいち分からなくて首を傾げる、そんな私にニコッと綺麗な微笑みを見せながら彼は私をどこかへ運ぶ。
着いた先はさっきまで私がいた部屋ではなく、ヴィンセントさんの部屋のようだった。彼はソファーに座り込むと私を足の間に挟むように座らせた。
後ろから感じる体温に私がリラックスし始めると「離れてごめんな、さすがに血が着いたままは嫌でな」そう彼が言った。私はこくりと頷き、ぼんやりし始める。
出会った時から甘やかされていて、なんでこの人はずっと私なんかに優しいんだろうって、優しくしてくれる人には大抵裏があって、優しさに甘えてばかりいるといつかその幸せの分、優しさの分、先にある未来が苦しく、険しいものだと主に教わった。
だから幸せになって、それを当たり前に感じてはいけない、そう言われてきた。でも不思議だった。主とすごした日々が1番苦しく、険しいもので、私の信じていたものが全て崩れていく感覚が怖くてたまらなかった。
「ねぇヴィンセントさん、なんでそんなに私にやさしいの?」そう後ろに座る彼に聞いたの、利用するためでも、なんでも良かった。ただ理由が欲しかったそれだけの質問「あぁ、好きだからかな、所詮一目惚れってやつ」と少し照れたような顔で言う彼に私は思わず「それだけの理由で?」と聞いてしまった。
彼は恥ずかしそうに「うん、それだけの理由で、」といい私の頭にキスを降らせる。私は信じられなかった、好きという感情はそれほどまでのものなのかと、私は好きという感情について教わっては来なかったけれどそれほどまでの気持ちならその気持ちをもつ彼を羨ましいと感じた。
「好きっと言う感情はどんなものなのかしら」そう首を傾げる、私に彼は教えてくれた、「俺の好きって気持ちは愛しくて、守りたくで、大切にしたくて、そばに居ると安心するって感じかな」なるほどと思ってうんうん頷いているとふと気づいてしまった。
大切にしたくて、そばに居ると安心して、大切にしたくて、守りたくて、私がそう思うのはヴィンセントさんで、あぁこれが好きって気持ちなんだなってふっと気づいた。
「私、ヴィンセントさんのこと好きみたい」そう私がぼんやりしながら言うと彼は「そっか両思いだね」とにっこり笑う私もにっこり笑って、頷いた。
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