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「尊、任せてたあの書類どうなってる?」
「もうできてるよー、会長。今データ送っといた。あ、遥。議事録上がったらチェックするから一応見せて」
「了解しました。もうすぐ出来上がります」
「OK、確認する」


あれから時が経ち、俺たちは高校三年生になった。
付き合い出したことで、校内でいつも二人で過ごすようになり、セット扱いされた。
新しい役員を決める今年度の人気投票では俺が一位、尊が二位を獲り、俺は二期連続の会長に就任。
尊は副会長の座に就いたのだった。

副会長になった尊は、以前に増して仕事をバリバリこなしている。
ぶっちゃけ、尊が優秀すぎるので、以前より格段に仕事量が減り、楽になった。
生徒会メンバーは、学年が上がり順位が変わってしまったので役職は大幅に入れ替わった。
書記だった上村が三位で会計になり、副会長だった西園寺が四位で書記に、会計だった南は五位で庶務になった。
……実際、仕事の出来は後輩だけど上村の方がいいから問題無さすぎる。

前年度庶務を務めてくれた渡辺は、惜しくも順位から外れたが、次期生徒会役員として必要な存在なことは確かな為、俺が会長補佐につけた。


「会長、この書類って風紀に提出するもので合ってますか?」
「あぁ…そうだった…まずい、提出期限が今日までだ。渡辺、今から風紀室に持っていってほしいんだけど、頼めるか?」
「もちろんです。すぐに行ってきますね!」
「頼んだ。気をつけて」

俺が微笑みかけて頭を撫でると、渡辺はボッと顔を赤くしてそれを振り払うと、急いで生徒会室から出て行った。
そんなに変な行動をしてしまっただろうか、と不安になる。
自分的にはお使いにいく我が子を愛でるイメージだったのに…。


「…尊、あれ許していいんですか?」
「慶くんのタラシ具合には本当参ってるよね。毎日心配すぎて胃に穴が空きそう」
「正直、尊がDV化するのも納得できるくらい、会長ってタラシすぎだよね~」
「でしょ?出会った時から慶くんはずっとああなんだから。嫉妬しちゃうって訳」
「あなたのはやり過ぎですけどね」


三年生組の三人が何か言っていたが、振り払われたショックで落ち込んでいた俺には何も聞こえていなかった。




尊と付き合ったことが広まってから、本当に色々な人から告白された。
星崎からもう一度、改めて告白を受けたが正式に断り、それから一週間もたたないうちに尾崎、俺の親衛隊隊長、西園寺、名前も知らない人まで本当に毎日、違う人から。

理由が皆一様に口を揃えて、『あのDV男に取られるくらいなら自分の方が幸せにできる』というものだったので、尊の印象悪すぎるだろ、とあいつの自業自得すぎて思わず笑ってしまった。

でも、俺のことを幸せに出来るのは、俺のことを全身全霊で受け止めてくれるのは。

どう考えても尊以外にはいなくて。

それを言葉は濁しながら皆に伝えていくうちに俺たちの関係は認められ、そのうち告白はなくなっていった。




生徒会からの帰り道、わざと皆より少しだけ仕事を遅く終わらせて二人きりで歩く。
俺は、尊の手をぎゅっと握って声のトーンを落とした。

「尊、今日食堂寄っていかないか?」

これは、俺たちにしか分からない合図。
今日、気持ちいいことがしたい。
その為の準備に過ぎない時間。

「……また?3日前も行かなかった?」

尊が呆れたような顔で少し笑いだから俺を見る。
わざと冷たくするような態度を取る尊に、俺は甘えた声を出して反論した。

「だって今日、全然尊がこっちみてくれなかったから、寂しくて……駄目?」

尊は、俺のお願いにめちゃくちゃ弱く、頭をガシガシと掻きながら、あっさりと折れた。

「あ~、もう。いいよ、今日こそは負けないから」
「ふふ、ありがとう、尊」

俺は期待感から妖しく笑った。
尊がうっと言葉につまり、顔が赤くなる。

「……慶くんはどんどんエッチになるね」


だって、尊とするのが気持ち良すぎるから仕方ないだろう。
俺は今日も好きな人に暴かれる、本当の自分を。
どんな自分だって愛してもらえるのは心地良いし、気持ちいい。
こんな俺を受け止められるのは一人だけでいい。
これからも、尊のどんな想いも、俺の抱えている秘密もなんだって曝け出しあいたいと思うんだ。
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みんなの感想(1件)

にらたまご
2024.09.12 にらたまご

小スカが性癖で何気なく読ませて頂いたのですが、
ストーリーまでとっても素敵で思わず
コメントしてしまいました💗

続き気になります(*´艸`*)

解除

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