はなれ小島のぐー

みくもっち

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33 ふたりの出会い

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 避難所へ走りついて、ぐーは倒れこみました。
 驚いた避難所の人によって、コタローと一緒に奥へ運ばれました。



 しばらくしてぐーはベッドの上で目を覚ましました。気を失っていたようです。
 ヒザや足首の痛みにううっ、とうめきます。

 シャッ、とカーテンが開き、老タヌキの医者が無茶をして走るからだ、とぐーを叱りました。
 
「コタローは!? ボクが連れてきた柴犬の──」

「そんなにあわてなくても隣におるわい。まったく最近の若いモンは勇敢と無謀をはきちがえていて困ったもんじゃ。ワシはちょっと出かけるが、おとなしく寝ておくんじゃぞ」

 老タヌキの医者はそう言って医務室から出ていきました。
 隣のベッド。カーテンで見えませんが、コタローは無事なようです。ぐーはほっとしてベッドからおりようとしましたが、足の痛みにまたうめきました。

「まだ動かないほうがいい。横になっていたまえよ。このままでも話はできる」

 カーテンごしにコタローの声。
 ぐーはうれしさとともに、怒りがこみあげてきました。

「あんたはっ……なんであんなことっ! 死んでたかもしれないのにっ! どうしてそこまでして……」

「……言っただろう、友達だからって。結局絵は見つけられなかったうえに心配までさせて……申しわけない」

「だからボクみたいなどうしようもないヤツに、なんでそこまでするかって聞いてるんだよっ! ボクみたいなダメなヤツに……!」

 ここでカーテンがバッ、と開き、コタローがよろめきながら近づいてきます。
 怒りの表情でぐーの胸ぐらをつかんできました。
 
「キミはダメなヤツなんかじゃない。キミは少なくともひとりの人生を救ったことがある。それがどんなにすごいことか」

 ぐーはびっくりして声も出ません。
 コタローは手をはなし、椅子にガタンと座ります。

「わたしはキミに会うのは配達人になってからじゃない。それ以前に会ってるんだ。まだキミが学生のときだった」

 コタローはうつむいたまま、話し続けます。

「あの日の夜、わたしは気象予報士の試験に落ちてヤケになっていた。自信があっただけに相当ね。それと実家やらお金の問題も抱えてて……いま思い出せば、たいしたことではなかったんだろうがね。そのときは本当に精神的にまいってたんだ」

 コタローは苦しそうな表情を見せます。あまり思い出したくない記憶のようです。

「あの港さ。わたしはおかしなことを考えていた。大量に酒を飲んで酔っぱらってね……そのまま海へ……というところでキミに出会ったのさ」

 学生のとき、港、酔っぱらい……そこまで聞いてぐーは思い出しました。
 もう2年以上前のことです。アルバイトの帰りに港沿いの道を自転車で進んでいたときのことです。
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