はなれ小島のぐー

みくもっち

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21 約束

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 水槽のセッティングが終わりました。
 ぐーとコタローはまた外へ出ます。

 カゴアミと繋げてあるロープがビッ、ビッ、とひっぱられています。ジョーの合図です。
 ぐーとコタローは協力してロープをひっぱります。
 カゴアミが海から引きあげられました。
 ヤドカリのジョーもついてきています。

 カゴアミの中には青い魚──ミラです。
 弱っているのか、あまり動きません。
 背中と胸のヒレが傷ついています。ぐーは急いでバケツに移しました。

 家の中にかけこみます。
 今度は水槽にミラを移しました。丁寧にゆっくりと。
 ミラは水槽の中でゆらゆら揺れながら底のほうについてしまいました。
 どうしよう、と泣きそうになるぐーをコタローが励ましながら容器をとりだし、水槽にぽちゃぽちゃと液体を何滴か入れました。

「熱帯魚用の薬だが、なにもしないよりはマシだろう。わたしたちができるのはこれぐらいだ」

「……うん。ありがとうコタロー。こんな時間に来てくれて」

 ぐーが礼を言うと、コタローはいいさ、とテーブルの上に熱帯魚用のエサや薬、水槽の手入れをする道具を並べて一通り説明します。

「わたしを頼りにしてくれてうれしいよ。ぐー、また困ったことがあったら連絡してくれたまえ」

 コタローはそう言ってぐーの用意したお茶を一杯だけ飲み、明日は早いからと帰っていきました。
 
「アイツ、いいヤツだな」

 心配そうに水槽のミラを見ているぐーにジョーが話しかけます。ぐーは無言でうなずきます。

「ミラは海じゃもううまく泳げねえし、エサも食べられなくて弱っていた。あのままじゃ他の大きい魚に食われてたたかもしれねえ。でもな、ぐー。オメーが1度は奪おうとしたその命、助けるんなら最後まで責任もてよ」

「うん。ジョー、約束するよ。ちゃんとお薬あげるし、ゴハンも食べさせる。水槽もしっかり手入れするよ」
 
 それを聞いてジョーは満足したようです。
 じゃあな、と海へと戻っていきました。

 水槽のミラはすみっこでじっと横になっています。
 あんなにおしゃべりだったのに、いまは見るかげもありません。

 ぐーはそのあと何時間も水槽の前から動きませんでした。
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