142 / 185
第2部 消えた志求磨
34 巨大ロボ対決
しおりを挟む
ゴンゴンゴン──巨大な扉が開き、中から姿を現したものを見てその場の全員が驚きの声をあげた。
見上げるほどの赤い巨人。いや、これは……鉄で出来た人型のロボットか。左の肩に誰か乗っている。
「ふっ、わざわざそちらからここまで来るとはな。捕らえにいく手間が省けたというもの」
おかしな格好をした男だ。目の部分を隠した仮面付きのヘルメットに赤い軍服。わたしの頭の中にダダダダ、と文字が打ち込まれる。
《赤いほうき星》ゾア大佐。
「認めたくはないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを」
何を言っているかよく分からないが、おそらくコイツが塔の門番。
コイツを倒さないと先へは進めなさそうだが。まさかこの鉄のバケモノと戦わなきゃいけないのか。
「フフ、この機体はな、上級魔物のサイクロプスを参考に設計された最新型のモビ○スーツなのだ。このサイクロプスZの性能を見て驚くがいい」
ゾア大佐はそう言うとサイクロプスZのウイーン、と開いた胸の部分に颯爽と乗り込む。
ギョイーンと機体の一つ目が赤く発光し、ズシン、と動きはじめた。
「げ、本当に動きはじめたぞ」
あんなデカイ鉄の塊を動かすなんてどれほどの願望の力だ。
グオオ、とサイクロプスZの巨大な足裏が迫る。
わたし達は慌てて後退した。
「ハハハハハ! 手も足も出まい! お前たちに勝ち目はないぞ! おとなしく降伏するのだな」
スピーカーでも搭載されているのか、コックピット内のヤツの声がここまで響く。くそ、いい気になるなよ。
「待て、ここはわたし達に任せるのだ」
前に出たのは御手洗剛志と山中大吉だ。
御手洗剛志は革ジャンからラクーンマスクを取り出す。山中大吉は胸の前で腕を交差させた。
「そおおぅうおおぉーーちゃっっく!」
「ガアアァーーマアアァーーゾオオォォーーンッッ!」
ふたりはそれぞれ《アライグマッスル》と《ガマゾン》に変身。しかし、あのデカイの相手にどうするつもりだ。
「これを使う時がきたようだな。元の世界に帰る前、《レッサーパンダラー》間宮京一から託されたこれを」
アライグマッスルが手に持っているのは1台のスマホ。いや、ただのスマホじゃない。あれは自立式レッサーパンダ型スマホ、嵐太くんだ!
うわ、あんなバカになんてものを……。どうなっても知らんぞ。
「新マスター《アライグマッスル》御手洗剛志。指示をお願いします」と、嵐太くんがシブイ声で喋る。《アライグマッスル》はよし、と気分良さげに嵐太くんへ命じた。
「あのロボットに対抗できるメカが必要だ。アライグマシーンは壊れてしまったしな。どうだ、できるか?」
「善処します。わたしに願望の力を込めてください」嵐太くんの言葉に、《アライグマッスル》はスマホを掲げなから叫ぶ。
「むうっ、よく分からんが、こうかっ! 正義と筋肉の力を見せてやるっ!」
嵐太くんがビカーッ、と光りだした。
うわっと《アライグマッスル》が手をはなすと、なんと嵐太くんはズモモモ、と巨大化。
おおお……マジか。戦隊モノに出てきそうな巨大ロボになったぞ。でも顔はアライグマ……いや、レッサーパンダ? ええい、どっちでもいい。ともかくあのサイクロプスZと同じくらいデカイ。
「正義のロボ、アライグレッサーロボの誕生だ! よし《ガマゾン》、わたしと一緒に搭乗するぞっ」
「ガウッ、わかった。由佳にイイトコ見せる」
《アライグマッスル》と《ガマゾン》はジャンプしてロボットに乗り込んだ。
アライグレッサーロボの両目がギュイーンと光る。
あのおっさん、いきなりあんなのを操縦できるのか……?
ズシン、ズシン、とゾア大佐が乗るサイクロプスZが近づいてくる。
「ほう……見せてもらおうか。連邦のモビ○スーツの性能とやらを」
サイクロプスZが攻撃をしかける。手には斧の形をした武器。いかん、あんなのが当たったら一発で壊れそうだ。
「ぬうんっ! アライグマッシャーロボバージョンッッ!」
《アライグマッスル》のバカでかい声が響く。
縞模様のシッポを引き抜いて剣の代わりにするアライグレッサーロボ。
斧の一撃をガシィーン、と受け止めた。その勢いは強く、サイクロプスZはうしろに数歩よろめく。
「なんと……連邦のモビ○スーツは化け物か!?」
ゾア大佐の驚愕する声。いや、お前それ言いたいだけだろ。
おっと、このバカどもが戦っているうちに塔の中に突入しよう。
アルマとともに塔の中へ。外では2機のロボットが戦う音といちいち叫ぶバカどもの声が続いていた。
「アライグマッシャー、乱れ斬りぃっ!」
「当たらなければどうという事はないっ!」
「ガウッ、俺も動かしたいっ」
「《ガマゾン》、へんなスイッチを押すな。ほら、小さなアライグレッサーロボがたくさん出てきたぞ」
どんな展開だ……スゴく気になるが先に進もう。
塔の1階には何もない。2階へと続く階段があるだけだ。
この先にはいったいどんな敵が……。
見上げるほどの赤い巨人。いや、これは……鉄で出来た人型のロボットか。左の肩に誰か乗っている。
「ふっ、わざわざそちらからここまで来るとはな。捕らえにいく手間が省けたというもの」
おかしな格好をした男だ。目の部分を隠した仮面付きのヘルメットに赤い軍服。わたしの頭の中にダダダダ、と文字が打ち込まれる。
《赤いほうき星》ゾア大佐。
「認めたくはないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを」
何を言っているかよく分からないが、おそらくコイツが塔の門番。
コイツを倒さないと先へは進めなさそうだが。まさかこの鉄のバケモノと戦わなきゃいけないのか。
「フフ、この機体はな、上級魔物のサイクロプスを参考に設計された最新型のモビ○スーツなのだ。このサイクロプスZの性能を見て驚くがいい」
ゾア大佐はそう言うとサイクロプスZのウイーン、と開いた胸の部分に颯爽と乗り込む。
ギョイーンと機体の一つ目が赤く発光し、ズシン、と動きはじめた。
「げ、本当に動きはじめたぞ」
あんなデカイ鉄の塊を動かすなんてどれほどの願望の力だ。
グオオ、とサイクロプスZの巨大な足裏が迫る。
わたし達は慌てて後退した。
「ハハハハハ! 手も足も出まい! お前たちに勝ち目はないぞ! おとなしく降伏するのだな」
スピーカーでも搭載されているのか、コックピット内のヤツの声がここまで響く。くそ、いい気になるなよ。
「待て、ここはわたし達に任せるのだ」
前に出たのは御手洗剛志と山中大吉だ。
御手洗剛志は革ジャンからラクーンマスクを取り出す。山中大吉は胸の前で腕を交差させた。
「そおおぅうおおぉーーちゃっっく!」
「ガアアァーーマアアァーーゾオオォォーーンッッ!」
ふたりはそれぞれ《アライグマッスル》と《ガマゾン》に変身。しかし、あのデカイの相手にどうするつもりだ。
「これを使う時がきたようだな。元の世界に帰る前、《レッサーパンダラー》間宮京一から託されたこれを」
アライグマッスルが手に持っているのは1台のスマホ。いや、ただのスマホじゃない。あれは自立式レッサーパンダ型スマホ、嵐太くんだ!
うわ、あんなバカになんてものを……。どうなっても知らんぞ。
「新マスター《アライグマッスル》御手洗剛志。指示をお願いします」と、嵐太くんがシブイ声で喋る。《アライグマッスル》はよし、と気分良さげに嵐太くんへ命じた。
「あのロボットに対抗できるメカが必要だ。アライグマシーンは壊れてしまったしな。どうだ、できるか?」
「善処します。わたしに願望の力を込めてください」嵐太くんの言葉に、《アライグマッスル》はスマホを掲げなから叫ぶ。
「むうっ、よく分からんが、こうかっ! 正義と筋肉の力を見せてやるっ!」
嵐太くんがビカーッ、と光りだした。
うわっと《アライグマッスル》が手をはなすと、なんと嵐太くんはズモモモ、と巨大化。
おおお……マジか。戦隊モノに出てきそうな巨大ロボになったぞ。でも顔はアライグマ……いや、レッサーパンダ? ええい、どっちでもいい。ともかくあのサイクロプスZと同じくらいデカイ。
「正義のロボ、アライグレッサーロボの誕生だ! よし《ガマゾン》、わたしと一緒に搭乗するぞっ」
「ガウッ、わかった。由佳にイイトコ見せる」
《アライグマッスル》と《ガマゾン》はジャンプしてロボットに乗り込んだ。
アライグレッサーロボの両目がギュイーンと光る。
あのおっさん、いきなりあんなのを操縦できるのか……?
ズシン、ズシン、とゾア大佐が乗るサイクロプスZが近づいてくる。
「ほう……見せてもらおうか。連邦のモビ○スーツの性能とやらを」
サイクロプスZが攻撃をしかける。手には斧の形をした武器。いかん、あんなのが当たったら一発で壊れそうだ。
「ぬうんっ! アライグマッシャーロボバージョンッッ!」
《アライグマッスル》のバカでかい声が響く。
縞模様のシッポを引き抜いて剣の代わりにするアライグレッサーロボ。
斧の一撃をガシィーン、と受け止めた。その勢いは強く、サイクロプスZはうしろに数歩よろめく。
「なんと……連邦のモビ○スーツは化け物か!?」
ゾア大佐の驚愕する声。いや、お前それ言いたいだけだろ。
おっと、このバカどもが戦っているうちに塔の中に突入しよう。
アルマとともに塔の中へ。外では2機のロボットが戦う音といちいち叫ぶバカどもの声が続いていた。
「アライグマッシャー、乱れ斬りぃっ!」
「当たらなければどうという事はないっ!」
「ガウッ、俺も動かしたいっ」
「《ガマゾン》、へんなスイッチを押すな。ほら、小さなアライグレッサーロボがたくさん出てきたぞ」
どんな展開だ……スゴく気になるが先に進もう。
塔の1階には何もない。2階へと続く階段があるだけだ。
この先にはいったいどんな敵が……。
0
お気に入りに追加
153
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
ブレイブエイト〜異世界八犬伝伝説〜
蒼月丸
ファンタジー
異世界ハルヴァス。そこは平和なファンタジー世界だったが、新たな魔王であるタマズサが出現した事で大混乱に陥ってしまう。
魔王討伐に赴いた勇者一行も、タマズサによって壊滅してしまい、行方不明一名、死者二名、捕虜二名という結果に。このままだとハルヴァスが滅びるのも時間の問題だ。
それから数日後、地球にある後楽園ホールではプロレス大会が開かれていたが、ここにも魔王軍が攻め込んできて多くの客が殺されてしまう事態が起きた。
当然大会は中止。客の生き残りである東零夜は魔王軍に怒りを顕にし、憧れのレスラーである藍原倫子、彼女のパートナーの有原日和と共に、魔王軍がいるハルヴァスへと向かう事を決断したのだった。
八犬士達の意志を継ぐ選ばれし八人が、魔王タマズサとの戦いに挑む!
地球とハルヴァス、二つの世界を行き来するファンタジー作品、開幕!
Nolaノベル、PageMeku、ネオページ、なろうにも連載しています!
異世界の餓狼系男子
みくもっち
ファンタジー
【小説家は餓狼】に出てくるようなテンプレチート主人公に憧れる高校生、葉桜溢忌。
とあるきっかけで願望が実現する異世界に転生し、女神に祝福された溢忌はけた外れの強さを手に入れる。
だが、女神の手違いにより肝心の強力な108のチートスキルは別の転移者たちに行き渡ってしまった。
転移者(願望者)たちを倒し、自分が得るはずだったチートスキルを取り戻す旅へ。
ポンコツな女神とともに無事チートスキルを取り戻し、最終目的である魔王を倒せるのか?
「異世界の剣聖女子」より約20年前の物語。
バトル多めのギャグあり、シリアスあり、テンポ早めの異世界ストーリーです。
*素敵な表紙イラストは前回と同じく朱シオさんです。 @akasiosio
ちなみに、この女の子は主人公ではなく、準主役のキャラクターです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~
ma-no
ファンタジー
神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。
その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。
世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。
そして何故かハンターになって、王様に即位!?
この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。
注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。
R指定は念の為です。
登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。
「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。
一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる