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第2部 消えた志求磨
20 竜騎士との決着
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「あの男はわたしに任せろ。アルマたちは残りの飛竜を頼む」
ノレストの森では鋼牙のフォームでぶちのめした。飛竜に乗っているとはいえ、そこまでの難敵とは思えない。
レオンは飛竜を操り、勢いをつけて向かってくる。
わたしの太刀風の絶好の的だ。
「シッ!」
居合いの構えから──抜刀。飛ぶ斬撃が飛竜へ。だがボッ、と吐き出された火球と衝突。爆発が起きた。
爆煙によって相手が見えなくなった。だが音──また火球が吐き出された音だ。
神速の技で後退。ドドドンッ、とわたしがいた場所で爆発が起きる。
また爆煙。そして風を切るような火球とは違う音。
何かヤバい。わたしは勘で横に跳ぶ。
ドッ、ドンッ、と地面へ突き刺さったのは3本の槍。投擲用の槍をぶん投げているのか。
とにかくこの視界を遮る煙をどうにかしないと。
ジャッ、と居合いの構えから抜刀。
複数の太刀風を放つ。ズアアッ、と空を裂いて煙が晴れた。
飛竜に乗ったレオンの姿もはっきりと見える。手に持った槍を横に払うと、空中に5本の短槍が現れボボボボッ、と発射された。
刀で弾いて防ぐ。たいしたことはない。問題は敵の位置。あの高さ──さっきよりも高く飛んでいる。
太刀風が当たっても威力は半減するだろう。
だったら──名刀変化。
脇差──名刀燕雀。
スピード重視のフォームだがジャンプ力も増している。力を溜め、わたしは跳躍。
だが、いかにジャンプ力が増しているとしてもあの飛竜の高さまでは到底届かない。
しかもまた無数の短槍が放たれた。
ここでわたしは飛剣の技。
鞘からギャッ、と飛び出した刀が回転しながら短槍を打ち落としていく。そしてわたしはその刀を踏み台にしてさらに跳躍。
届く──飛竜の位置まで。だが至近距離で飛竜の口がガパァ、と開いた。
火球が発射されるより速く、わたしの手元に戻ってきた刀を逆手に握りながら斬り上げる。
飛竜の頭部が縦に裂けた。落下する途中でレオンが飛びかかってくる。空中で槍の連続突き。
飛剣──ギギギンッ、と刀が自動で防御。
槍が弾かれて無防備なところをわたしの蹴り。さらに追い討ちで飛剣。飛んだ刀がレオンの胸を突いた。
地面に激突するレオン。
この高さからあの勢いで落ちれば、自らの鎧の重さも加わり相当なダメージのはずだ。
わたしは戻ってきた刀を空中で一度踏んでから着地。そして刀は鞘にバチイッ、と納まる。
グググ、と槍を支えにして起き上がるレオン。とんでもないタフさだ。兜に隠れてその表情はよく見えないが……無言なのもなんか怖い。
「おい、まだやるつもりか。ナギサの命令かなんか知らんがもうやめとけ」
これ以上は本当に命のやり取りになる。刺客といえど、人間を殺すつもりはない。
「命を下したのはナギサ様ではない……団長だ。俺はそれに従うだけだ。この命を賭してでもな」
うお、喋った。楊のときもそうだが、無口なヤツがいきなりしゃべりだすとビビる。
「退くつもりはないんだな……ここから先はケガだけじゃ済まないぞ」
「くどい……死か服従か。それだけだ」
ゴッ、と突っ込んでくるレオン。突進しながら槍の連続突き。
燕雀のフォームから見れば──遅い!
すべてかわしながら懐へ入り、抜刀。
ズガガガガッ、と瞬時に連撃を叩き込む。レオンは打たれながらも槍を振り回してきた。さすがに硬い──。
飛剣の技。わたしの手元から刀が離れ、ヒュババッ、と周りを高速で飛ぶ。
レオンの反撃を防ぎつつ、攻撃を加えている。怯んだところにわたしの前蹴り、踏み込んでの掌打。
「ぬううぅっ!」
まだ倒れない。槍を振り下ろしてきた。
わたしはバックステップでかわし、刀は鞘へと戻る。そしていつもの刀へ名刀変化──名刀飛蝶へ。
居合いの構えから練気。
練った気を刀へ一点集中。鍔と鞘の隙間からキイイィ、と光が漏れる。
「《剣聖》っ! くらえっ!」
レオンの周囲に数十本の短槍が現れた。それが一斉に放たれるのと、わたしの抜刀が同時──。
地面を削りながら三日月状の剣閃が飛ぶ。短槍をまとめて蹴散らし、レオンの眼前に。
レオンは槍で防御──だが槍は砕け、レオンの身体も吹っ飛んだ。空中でキリキリと舞い、地面に激突。
レオンは動かない。鎧もボロボロだ。これでもう立てはしないだろうが……死んでないだろうな。
つい真・太刀風を使ってしまった。それだけの強敵だった。
アルマたちのほうも決着がつきそうだ。
アルマの投げナイフで落下した飛竜に楊と《ガマゾン》がトドメを刺していく。
最後の1匹を仕留め、《ガマゾン》がクククククッ、と勝利の鳴き声をあげた。
ノレストの森では鋼牙のフォームでぶちのめした。飛竜に乗っているとはいえ、そこまでの難敵とは思えない。
レオンは飛竜を操り、勢いをつけて向かってくる。
わたしの太刀風の絶好の的だ。
「シッ!」
居合いの構えから──抜刀。飛ぶ斬撃が飛竜へ。だがボッ、と吐き出された火球と衝突。爆発が起きた。
爆煙によって相手が見えなくなった。だが音──また火球が吐き出された音だ。
神速の技で後退。ドドドンッ、とわたしがいた場所で爆発が起きる。
また爆煙。そして風を切るような火球とは違う音。
何かヤバい。わたしは勘で横に跳ぶ。
ドッ、ドンッ、と地面へ突き刺さったのは3本の槍。投擲用の槍をぶん投げているのか。
とにかくこの視界を遮る煙をどうにかしないと。
ジャッ、と居合いの構えから抜刀。
複数の太刀風を放つ。ズアアッ、と空を裂いて煙が晴れた。
飛竜に乗ったレオンの姿もはっきりと見える。手に持った槍を横に払うと、空中に5本の短槍が現れボボボボッ、と発射された。
刀で弾いて防ぐ。たいしたことはない。問題は敵の位置。あの高さ──さっきよりも高く飛んでいる。
太刀風が当たっても威力は半減するだろう。
だったら──名刀変化。
脇差──名刀燕雀。
スピード重視のフォームだがジャンプ力も増している。力を溜め、わたしは跳躍。
だが、いかにジャンプ力が増しているとしてもあの飛竜の高さまでは到底届かない。
しかもまた無数の短槍が放たれた。
ここでわたしは飛剣の技。
鞘からギャッ、と飛び出した刀が回転しながら短槍を打ち落としていく。そしてわたしはその刀を踏み台にしてさらに跳躍。
届く──飛竜の位置まで。だが至近距離で飛竜の口がガパァ、と開いた。
火球が発射されるより速く、わたしの手元に戻ってきた刀を逆手に握りながら斬り上げる。
飛竜の頭部が縦に裂けた。落下する途中でレオンが飛びかかってくる。空中で槍の連続突き。
飛剣──ギギギンッ、と刀が自動で防御。
槍が弾かれて無防備なところをわたしの蹴り。さらに追い討ちで飛剣。飛んだ刀がレオンの胸を突いた。
地面に激突するレオン。
この高さからあの勢いで落ちれば、自らの鎧の重さも加わり相当なダメージのはずだ。
わたしは戻ってきた刀を空中で一度踏んでから着地。そして刀は鞘にバチイッ、と納まる。
グググ、と槍を支えにして起き上がるレオン。とんでもないタフさだ。兜に隠れてその表情はよく見えないが……無言なのもなんか怖い。
「おい、まだやるつもりか。ナギサの命令かなんか知らんがもうやめとけ」
これ以上は本当に命のやり取りになる。刺客といえど、人間を殺すつもりはない。
「命を下したのはナギサ様ではない……団長だ。俺はそれに従うだけだ。この命を賭してでもな」
うお、喋った。楊のときもそうだが、無口なヤツがいきなりしゃべりだすとビビる。
「退くつもりはないんだな……ここから先はケガだけじゃ済まないぞ」
「くどい……死か服従か。それだけだ」
ゴッ、と突っ込んでくるレオン。突進しながら槍の連続突き。
燕雀のフォームから見れば──遅い!
すべてかわしながら懐へ入り、抜刀。
ズガガガガッ、と瞬時に連撃を叩き込む。レオンは打たれながらも槍を振り回してきた。さすがに硬い──。
飛剣の技。わたしの手元から刀が離れ、ヒュババッ、と周りを高速で飛ぶ。
レオンの反撃を防ぎつつ、攻撃を加えている。怯んだところにわたしの前蹴り、踏み込んでの掌打。
「ぬううぅっ!」
まだ倒れない。槍を振り下ろしてきた。
わたしはバックステップでかわし、刀は鞘へと戻る。そしていつもの刀へ名刀変化──名刀飛蝶へ。
居合いの構えから練気。
練った気を刀へ一点集中。鍔と鞘の隙間からキイイィ、と光が漏れる。
「《剣聖》っ! くらえっ!」
レオンの周囲に数十本の短槍が現れた。それが一斉に放たれるのと、わたしの抜刀が同時──。
地面を削りながら三日月状の剣閃が飛ぶ。短槍をまとめて蹴散らし、レオンの眼前に。
レオンは槍で防御──だが槍は砕け、レオンの身体も吹っ飛んだ。空中でキリキリと舞い、地面に激突。
レオンは動かない。鎧もボロボロだ。これでもう立てはしないだろうが……死んでないだろうな。
つい真・太刀風を使ってしまった。それだけの強敵だった。
アルマたちのほうも決着がつきそうだ。
アルマの投げナイフで落下した飛竜に楊と《ガマゾン》がトドメを刺していく。
最後の1匹を仕留め、《ガマゾン》がクククククッ、と勝利の鳴き声をあげた。
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