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夏の終わり
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夏休みの合宿で災難に見舞われた僕の最大の思い出は先輩の隣で眠れた事だ。
翌朝目が覚めると先輩は僕の事が心配で良く眠れなかった様であくびをした涙目を擦りながら僕の顔を覗き込んでいる所だった。
「ハヤタ大丈夫?」
(うわっ、えっとー、あっ、
合宿に来てたんだっけ)
起きたばかりで状況判断出来ずにいると
「自分の名前分かる?
ここ何処だか分かる?」
質問を浴びせてくる眼差しが妙にセクシーで心臓がバクバクしている。
大丈夫!これは正常の反応なのでいつもと変わりない。
「あ、スイマセン。
昨日は心配掛けちゃって。
大丈夫です。いつもの感じでお腹も空いてるし。」
「そっかー、良かった。」
するとマコトもやって来て
「良かったなー、無事で。
今日は軽く体動かす位にして大事にしてろよ。
お前はウチの大事なエースなんだからな。」
「エース?えっ?それいつ決まったんだよ?」
「お前昨日寝たふりして俺と先輩の話聞いてただろう。
だから同じ事二度言わすなよ。
お前だって気にしてたんだろ?
ユースケのこと。
安心しろ、アイツは俺達にも甲子園に来いって言える程今でも野球が大好きなんだ。
だから俺達も性根いれてやろうぜ、高校野球。」
「だな、俺も全面的にサポートする!」
(えー、先輩にそう言われたら後戻りできないじゃないか!
完全にマコトの策にハマったし先輩の包囲網も嬉し過ぎてもう首を縦に振るしかない…うん、首大丈夫だ)
「分かったよ。でもユースケの事は早く教えて欲しかった。」
先輩の手前明るく振る舞ったつもりだったけれど快諾出来ないでいる僕のモヤモヤを感じ取った先輩が口を開いた。
「なあ、ハヤタ、物事には知ったり行動に移すのに適した時期ってのがあるんだ。
昨日あんな事があってマコトの段取りがちょっと狂ったかも知れないけど
ユースケ君が野球を続けていたのを知るのは今がちょうど良い時なんだよ。
今のお前ならその子に会ったら素直に謝まれるんじゃないかな。
謝りたい気持ちを持ち続けているのと実際に謝るのには全く違う意味がある。
自分の気持ちにけりをつける為にも今日から甲子園を目指す気持ちで野球に取り組め。
中学では皆でそのつもりで野球やってたんだろ?」
「はい、あ、でもかなり思い上がってて今思い出すと恥ずかしいですけど。
高校野球イコール甲子園だったっけ。な、マコト。」
「うん、まぁ俺はもっと先を見てたけどな。
ユースケに頼まれたとは言え
お前と同じ弱小校で野球やるなんて俺も面倒見が良すぎた。
お前にやる気が戻ったんなら
お前はこれから俺に恩を返さなきゃならないんだ。
だからエースとしてチームを引っ張れ。
そして俺は俺の野望を果たす為に本気でやらせて貰う。
その為にも新チームにはお前の力が最大限必要なんだ。」
マコトの理論はいつも突っ走る傾向にあるけど
思えば僕達はチビの頃からずっと一緒で一度も離れた事がない。
余程深い縁なのか?
イヤ、それはマコトが僕以上に僕の事を理解しているからなのかも知れない。
今の僕なら思い上がって人を傷つけたりしない。
マコトはそれを待っていたのか。
「今年の合宿は大収穫だな。」
(先輩、格好良くシメようとしてるのミエミエですよ)
この人は1歳しか年上じゃないのに人を諭したりまとめようとする時はクールガイから親戚のオジサンみたいなキャラに変貌する。
そのギャップも好きなんだけど。
そんな先輩の全面的なサポートがあると思うと新人戦が待ち遠しい。
「とにかくハヤタが無事で何よりだー。」
布団の上に座ったまんま先輩にガシッと体育会系ハグされるとそこへマコトもガシッと絡んで来て3人で転がりながら
「がんばろーぜ!」
とワーワーとオフザケをしているとおでこにフンワリと柔らかい感触がしたけどあれは事故?
それとも故意?
まさかこれが先輩流のサポート⁉
これって夏休みの思い出に加えていいやつですか?
翌朝目が覚めると先輩は僕の事が心配で良く眠れなかった様であくびをした涙目を擦りながら僕の顔を覗き込んでいる所だった。
「ハヤタ大丈夫?」
(うわっ、えっとー、あっ、
合宿に来てたんだっけ)
起きたばかりで状況判断出来ずにいると
「自分の名前分かる?
ここ何処だか分かる?」
質問を浴びせてくる眼差しが妙にセクシーで心臓がバクバクしている。
大丈夫!これは正常の反応なのでいつもと変わりない。
「あ、スイマセン。
昨日は心配掛けちゃって。
大丈夫です。いつもの感じでお腹も空いてるし。」
「そっかー、良かった。」
するとマコトもやって来て
「良かったなー、無事で。
今日は軽く体動かす位にして大事にしてろよ。
お前はウチの大事なエースなんだからな。」
「エース?えっ?それいつ決まったんだよ?」
「お前昨日寝たふりして俺と先輩の話聞いてただろう。
だから同じ事二度言わすなよ。
お前だって気にしてたんだろ?
ユースケのこと。
安心しろ、アイツは俺達にも甲子園に来いって言える程今でも野球が大好きなんだ。
だから俺達も性根いれてやろうぜ、高校野球。」
「だな、俺も全面的にサポートする!」
(えー、先輩にそう言われたら後戻りできないじゃないか!
完全にマコトの策にハマったし先輩の包囲網も嬉し過ぎてもう首を縦に振るしかない…うん、首大丈夫だ)
「分かったよ。でもユースケの事は早く教えて欲しかった。」
先輩の手前明るく振る舞ったつもりだったけれど快諾出来ないでいる僕のモヤモヤを感じ取った先輩が口を開いた。
「なあ、ハヤタ、物事には知ったり行動に移すのに適した時期ってのがあるんだ。
昨日あんな事があってマコトの段取りがちょっと狂ったかも知れないけど
ユースケ君が野球を続けていたのを知るのは今がちょうど良い時なんだよ。
今のお前ならその子に会ったら素直に謝まれるんじゃないかな。
謝りたい気持ちを持ち続けているのと実際に謝るのには全く違う意味がある。
自分の気持ちにけりをつける為にも今日から甲子園を目指す気持ちで野球に取り組め。
中学では皆でそのつもりで野球やってたんだろ?」
「はい、あ、でもかなり思い上がってて今思い出すと恥ずかしいですけど。
高校野球イコール甲子園だったっけ。な、マコト。」
「うん、まぁ俺はもっと先を見てたけどな。
ユースケに頼まれたとは言え
お前と同じ弱小校で野球やるなんて俺も面倒見が良すぎた。
お前にやる気が戻ったんなら
お前はこれから俺に恩を返さなきゃならないんだ。
だからエースとしてチームを引っ張れ。
そして俺は俺の野望を果たす為に本気でやらせて貰う。
その為にも新チームにはお前の力が最大限必要なんだ。」
マコトの理論はいつも突っ走る傾向にあるけど
思えば僕達はチビの頃からずっと一緒で一度も離れた事がない。
余程深い縁なのか?
イヤ、それはマコトが僕以上に僕の事を理解しているからなのかも知れない。
今の僕なら思い上がって人を傷つけたりしない。
マコトはそれを待っていたのか。
「今年の合宿は大収穫だな。」
(先輩、格好良くシメようとしてるのミエミエですよ)
この人は1歳しか年上じゃないのに人を諭したりまとめようとする時はクールガイから親戚のオジサンみたいなキャラに変貌する。
そのギャップも好きなんだけど。
そんな先輩の全面的なサポートがあると思うと新人戦が待ち遠しい。
「とにかくハヤタが無事で何よりだー。」
布団の上に座ったまんま先輩にガシッと体育会系ハグされるとそこへマコトもガシッと絡んで来て3人で転がりながら
「がんばろーぜ!」
とワーワーとオフザケをしているとおでこにフンワリと柔らかい感触がしたけどあれは事故?
それとも故意?
まさかこれが先輩流のサポート⁉
これって夏休みの思い出に加えていいやつですか?
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