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マコトの野望②
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「マコト、僕が投手ってどう言う事だよ。」
「どうって、見ての通りだけど。」
「投手はやらないって、お前に野球部に入ろうって誘われた時に約束しただろ。」
「約束?ああ、あれ独り言じゃなかったのか?
とにかく事態は変わった。
納得出来ないなら手短だけど説明ようか。」
(頼みます)
「なぁ、ハヤタ、俺とお前はスーパー1年生と呼ばれて春から3年生に混じって公式戦に出てたよな。
3年生が引退して秋の大会、3回戦で第1シードに当たって敗退したけどあの時の試合覚えてるだろ?
弱小と言われてたけど強豪相手に俺達良く食い下がったよな。
向こうは明らかに見下して先発に3番手を送って来たけど
結局エースを引きずり出してフルイニング戦ったじゃないか。
先輩も9回を1人で投げきった。
その健闘が評価されてウチの高校は一気に注目を集めたんだ。
当日は入りも良かったけど
あの試合をスタンドや動画サイトで観た当時中3だった世代がウチに興味を示してそのうちの何人かが実際に入って来てんだよ。」
「そう言えば…最初から中々やる世代だと思ったけどそうなんだ…」
「そうなんだよ!
まぁシニア出身って言ってもそこそこのシニアだったりもするけどな。
だから、だからだ、俺はこの秋ウチの高校を大躍進させる!
するとどうなると思う?
今の中3が新チームの躍進を観て
来年の春スーパー1年生がワンサカ入って来るって計算だよ!
そして益々強化された俺達は甲子園を目指す!」
「壮大な計画なのは分かったけどでも、それと僕が投手をやる件とどうシンクロするんだ?」
「ここらでちゃんと向き合え。お前は投手をやって本当の居場所に収まらなきゃいけないんだ。
そう言う時期になったんだよ。」
マコトの傷口の開き方があまりにもストレートだったので返す言葉が見付からない。
そして僕は目の前にいるマコトではなく肩を落として悲しげにこちらを見つめているユウスケの姿を見ていた。
その目は
「ごめん」
と訴えている。
なんで謝るんだ。
悪いのは僕なのに。
えぐり出された中3の夏の思い出が苦い。
「顔真っ青だぞ。」
マコトに言われてハッとする。
「お前はユウスケを思い出さない様に今日まで全力で野球をやって来なかった。
楽しいと思わない様にしてきたんだろ。
だけど俺はそんなの許さない。
お前はちゃんとユウスケに謝ってそして正しい方法であの時の自分と決別して全力で野球をやらなきゃいけないんだ!
あれもやらない、これもやらないなんて甘ったれがいつまでも許されると思うなよ!
ユウスケと約束したんだ。
お前に野球やめさせないって。
だからたった今から俺はお前の叩き直しを開始する。
新チームのエースになれ!
いや、やるんだ!全力で!」
思えば僕はいつもマコトに引っ張られてきた。
これは主将の資質なのか?
それとも天賦の才なのか?
痛みを感じなくなっても僕の心にトゲはずっとささっている。
それを抜き取ってやると鬼の形相のマコトだけど救いの神に見えて逆らえなかった。
「どうって、見ての通りだけど。」
「投手はやらないって、お前に野球部に入ろうって誘われた時に約束しただろ。」
「約束?ああ、あれ独り言じゃなかったのか?
とにかく事態は変わった。
納得出来ないなら手短だけど説明ようか。」
(頼みます)
「なぁ、ハヤタ、俺とお前はスーパー1年生と呼ばれて春から3年生に混じって公式戦に出てたよな。
3年生が引退して秋の大会、3回戦で第1シードに当たって敗退したけどあの時の試合覚えてるだろ?
弱小と言われてたけど強豪相手に俺達良く食い下がったよな。
向こうは明らかに見下して先発に3番手を送って来たけど
結局エースを引きずり出してフルイニング戦ったじゃないか。
先輩も9回を1人で投げきった。
その健闘が評価されてウチの高校は一気に注目を集めたんだ。
当日は入りも良かったけど
あの試合をスタンドや動画サイトで観た当時中3だった世代がウチに興味を示してそのうちの何人かが実際に入って来てんだよ。」
「そう言えば…最初から中々やる世代だと思ったけどそうなんだ…」
「そうなんだよ!
まぁシニア出身って言ってもそこそこのシニアだったりもするけどな。
だから、だからだ、俺はこの秋ウチの高校を大躍進させる!
するとどうなると思う?
今の中3が新チームの躍進を観て
来年の春スーパー1年生がワンサカ入って来るって計算だよ!
そして益々強化された俺達は甲子園を目指す!」
「壮大な計画なのは分かったけどでも、それと僕が投手をやる件とどうシンクロするんだ?」
「ここらでちゃんと向き合え。お前は投手をやって本当の居場所に収まらなきゃいけないんだ。
そう言う時期になったんだよ。」
マコトの傷口の開き方があまりにもストレートだったので返す言葉が見付からない。
そして僕は目の前にいるマコトではなく肩を落として悲しげにこちらを見つめているユウスケの姿を見ていた。
その目は
「ごめん」
と訴えている。
なんで謝るんだ。
悪いのは僕なのに。
えぐり出された中3の夏の思い出が苦い。
「顔真っ青だぞ。」
マコトに言われてハッとする。
「お前はユウスケを思い出さない様に今日まで全力で野球をやって来なかった。
楽しいと思わない様にしてきたんだろ。
だけど俺はそんなの許さない。
お前はちゃんとユウスケに謝ってそして正しい方法であの時の自分と決別して全力で野球をやらなきゃいけないんだ!
あれもやらない、これもやらないなんて甘ったれがいつまでも許されると思うなよ!
ユウスケと約束したんだ。
お前に野球やめさせないって。
だからたった今から俺はお前の叩き直しを開始する。
新チームのエースになれ!
いや、やるんだ!全力で!」
思えば僕はいつもマコトに引っ張られてきた。
これは主将の資質なのか?
それとも天賦の才なのか?
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それを抜き取ってやると鬼の形相のマコトだけど救いの神に見えて逆らえなかった。
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