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夏休みなので⑫
しおりを挟む強豪校なら専用グランド付きの合宿所へ遠出するのだろうけど僕達の合宿は毎年学校で行われる。
合宿と言っても二泊三日のそれは本当にお泊まり保育そのものだ。
遊びが半分、いや、8割位を占めていて野球の上達よりも絆を深める事に重きを置いているらしい。
でも今年の合宿に遊びは期待出来そうにない。
マコト主将がやる気になっているからだ。
それでもプールで遊ぶのはある前提で僕と先輩はお兄さんに海パンやらゴーグルやら先輩が絶対いる!と譲らない水鉄砲も買って貰った。
男子だってキャワキャワする事はある。
そんな僕達を見てお兄さんが
「俺も行きたい。」
と呟いたのを僕は聞き逃がさなかった。
そう言えば別れ際にスミコさんも言っていたっけ。
「アタシも手伝いに行きたいわ~。」
但しこちらは呟きではなく要望を伝えると言った方がしっくりくる。
「だって大勢でご飯食べるのって楽しいじゃない。」
その言葉に僕はあの広い家で一人でポツンと食事をしているスミコさんの姿を想像して切なくなった。
「また来ます。」
僕がそう言うと
「しょっちゅう来なさい。
今度お友達も連れてね。」
この24時間で初めて見るシンミリとしたスミコさんとハグをした。
たった1日だったけど本当の
お祖母ちゃんの家で過ごした様な懐かしさを胸に僕はお兄さんの車に乗り込んだ。
乗り込むとお土産と称してどっさりと積み込まれたスイカやら採れたて野菜を見て先輩が
「こんなにスイカ貰っても食べきれないよ。」
と言うと
「じゃあアタシが合宿に持って行くから返しなさい!」
やっぱりスミコさんはスミコさんだ。
「あの調子だとなんか理由付けて来そうだよなー。」
車中の僕らは早速スミコさんの噂話だ。
さっき別れたばかりなのにもう懐かしい。
「だね。俺が1年の時おばさんの代わりに来たからな。」
「ま、お前らにしたら飯作ってくれたら楽でいいじゃないか。」
「まあね、ウチの部はご好意には積極的に甘える体質だからな~、な、ハヤタ。
あの時も1週間分位の食材持ってきて他の部のやつらにも食わせてたな。なんか好きみたいだなそう言うの。」
「スミコさん先輩とお兄さんが帰っちゃって寂しいんですね。
(さっき思い描いた光景を思い出して)あんな広い家で一人じゃ…寂しいですよね。」
「ま、明日じいちゃんが帰って来たらまた賑やかになるよ。」
「ハァッ?えっ、先輩?
スミコさんにおじいさん?旦那さん?居るんですか?」
「わ、ごめん追加情報入れるよ。
本格的な漁師は辞めたけどバイトで漁師やってて明日帰ってくるから寂しくはないさ。」
「はぁー、てっきりスミコさん一人暮らしで女手一つで先輩達を、的なやつかと…すみません、おじいさん元気なのにいない人にしちゃって。
えー、でも隣のおじさんって絶対スミコさんの事好きなんじゃないですか?」
「ああ、あのおじさんは大丈夫だよ、気にしなくて。
幼なじみでスミコさんの事崇拝してるんだよ。
色々あったらしいから。助けてて貰ったって。」
ふんふん、自分だって娘さんを亡くして大変なのに人助けまで、それも孫だけじゃなくて幼なじみまで?
これは合宿中に先輩からしっかり補足説明して貰わないと。
先輩の事を知るには周りから固めて行かなくちゃ。
合宿と言っても二泊三日のそれは本当にお泊まり保育そのものだ。
遊びが半分、いや、8割位を占めていて野球の上達よりも絆を深める事に重きを置いているらしい。
でも今年の合宿に遊びは期待出来そうにない。
マコト主将がやる気になっているからだ。
それでもプールで遊ぶのはある前提で僕と先輩はお兄さんに海パンやらゴーグルやら先輩が絶対いる!と譲らない水鉄砲も買って貰った。
男子だってキャワキャワする事はある。
そんな僕達を見てお兄さんが
「俺も行きたい。」
と呟いたのを僕は聞き逃がさなかった。
そう言えば別れ際にスミコさんも言っていたっけ。
「アタシも手伝いに行きたいわ~。」
但しこちらは呟きではなく要望を伝えると言った方がしっくりくる。
「だって大勢でご飯食べるのって楽しいじゃない。」
その言葉に僕はあの広い家で一人でポツンと食事をしているスミコさんの姿を想像して切なくなった。
「また来ます。」
僕がそう言うと
「しょっちゅう来なさい。
今度お友達も連れてね。」
この24時間で初めて見るシンミリとしたスミコさんとハグをした。
たった1日だったけど本当の
お祖母ちゃんの家で過ごした様な懐かしさを胸に僕はお兄さんの車に乗り込んだ。
乗り込むとお土産と称してどっさりと積み込まれたスイカやら採れたて野菜を見て先輩が
「こんなにスイカ貰っても食べきれないよ。」
と言うと
「じゃあアタシが合宿に持って行くから返しなさい!」
やっぱりスミコさんはスミコさんだ。
「あの調子だとなんか理由付けて来そうだよなー。」
車中の僕らは早速スミコさんの噂話だ。
さっき別れたばかりなのにもう懐かしい。
「だね。俺が1年の時おばさんの代わりに来たからな。」
「ま、お前らにしたら飯作ってくれたら楽でいいじゃないか。」
「まあね、ウチの部はご好意には積極的に甘える体質だからな~、な、ハヤタ。
あの時も1週間分位の食材持ってきて他の部のやつらにも食わせてたな。なんか好きみたいだなそう言うの。」
「スミコさん先輩とお兄さんが帰っちゃって寂しいんですね。
(さっき思い描いた光景を思い出して)あんな広い家で一人じゃ…寂しいですよね。」
「ま、明日じいちゃんが帰って来たらまた賑やかになるよ。」
「ハァッ?えっ、先輩?
スミコさんにおじいさん?旦那さん?居るんですか?」
「わ、ごめん追加情報入れるよ。
本格的な漁師は辞めたけどバイトで漁師やってて明日帰ってくるから寂しくはないさ。」
「はぁー、てっきりスミコさん一人暮らしで女手一つで先輩達を、的なやつかと…すみません、おじいさん元気なのにいない人にしちゃって。
えー、でも隣のおじさんって絶対スミコさんの事好きなんじゃないですか?」
「ああ、あのおじさんは大丈夫だよ、気にしなくて。
幼なじみでスミコさんの事崇拝してるんだよ。
色々あったらしいから。助けてて貰ったって。」
ふんふん、自分だって娘さんを亡くして大変なのに人助けまで、それも孫だけじゃなくて幼なじみまで?
これは合宿中に先輩からしっかり補足説明して貰わないと。
先輩の事を知るには周りから固めて行かなくちゃ。
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