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夏休みなので⑤
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着いたぞ、と言われたその場所は今まで遊びに行ったどの友達の家とも比べ物にならない大きさで庭付き一戸建ての概念を遥かに超えている。
お兄さんが無造作に車を停めた庭もコインパーキングが出来そうに広い。
庭の一角にはスイカを並べた小屋がある。
「これって無人販売ですか?」
「そうだよ、たまにスミコさんが居るから完全無人じゃないけどな。
あー、スミコさーん!友達連れて来たよ。」
先輩が呼びかけたスミコさんらしき人は大玉のスイカを抱えてこちらを振り向いた。
あれっ?何処かで見た様な…
「あ、お友達いらっしゃーい。
あら?野球部の子ね。
試合観に行った事あるから知ってるのよ。
ハヤタ君だわね。
1年生からレギュラーで凄いのよね。
あなたともう1人の上手い子と
2人のお陰で弱小じゃなくなったって、ショーゴがよく話してるのよ。
あ、私はショーゴのお婆ちゃんだけどスミコさんって呼んでね。」
先輩のお婆ちゃんならお兄さんのお婆ちゃんでも有る訳で
いきなりトップギアで話掛けて来るのはそう言う遺伝子なのか。
「ありがとうございます。
櫻井です。突然お邪魔してすみません。よろしくお願いします。」
よろしくお願いします…と言うと反射的にキャップを取って深々とお辞儀をする習慣がすっかり染みついている。
野球部辞めるとか言った割には野球部な自分にちょっと笑えた。
「あらあら、野球上手い子って礼儀正しいのね。
来てみたらこんな大昔の家でビックリしたでしょ。
でも中はちゃんとクーラー入ってますからね。
さあ、どうぞどうぞ。
スイカもちょうどよく冷えてるわ。ほら、ショーゴちゃん早くお友達を涼しい所に案内して。」
合宿に先輩が来る話や僕の食い付きたい話はどうやら後回しになりそうだ。
でも1つだけでも解明したいので玄関を上がった所でちょっとだけチャレンジしてみる。
「先輩の家広くてびっくりしました。」
でもここから学校に通ってるんじゃないですよね…と言いかけたら
「昔ね、ウチは漁師と畑と両方やってたのよー。」
台所からスミコさんの声だけが参加してきた。
「今漁師は辞めて畑も売っちゃったからだいぶ小さくなったけど都会の子からしたら田舎の風景でしょー。」
ですね…とは言えないし聞きたいのは家が広い理由じゃない。
「普段通学するのに暮らしてるのはおばさん達の家なんだ。」
(おお!先輩ナイスです。
それが聞きたかったんですよ。以心伝心じゃないですか!)
と感動しているとスミコさんが切ったばかりの山盛りのスイカ運んで来た。
先輩はその山からスイカを一切れ皿に取り仏壇の前に座った。
お供えをして手を合わせた目線の先には夫婦らしい雰囲気の人達の写真が飾られている。
その人達は年頃からして
…まさか、実家にいるのはお婆ちゃん、。
普段暮らしてるのはおばさんの家。
…仏壇の写真、これまで得た情報を整理していると
「俺の両親、事故で亡くなったの6年前だっけー?スミコさん
(うんうん、と頷くスミコさんを見て)
スミコさんは母親方の
婆ちゃんで両親が亡くなった後俺とアニキをここに引き取って面倒を見てくれてるんだけど
この近くって高校ないし進学自体どうしようか考えてたら
母さんのお姉さんなんだけど
おばさん夫婦が家から通えって言ってくれて。
高校はあそこが俺の学力にちょうど良かったし。
欲を言えば野球もやりたかったんだけどそれはちょっと贅沢かな~と思ったんだけどな。
おばさんのとこは女の子2人で
もう結婚してたし、おじさんが高校球児の親やりたい、って背中を押してくれたってやつ?
してくれたんで甘えちゃって、
で今日に至る、と言う訳なんだ。」
そうか!スミコさんの事何処かで見た気がしたけどあの時先輩が挨拶してたおばさんに似てるんだ。
母娘なら納得した。
「ちょっとぉ、だいたいは合ってるけどアタシだって高校は絶対に行かせたし、野球もやらせるつもりだったのよ。
父母会だって最年長だろうけどやる気でいたんだからね。
それもちゃんと補足しといてよ。って、自分で言っちゃったわねー。
あ、スイカスイカ、ハヤタ君お塩かける!夏はねお塩積極的に取った方がいいのよ。
これから汗かくし先手必勝でしょ。」
補足ありがとうございます。
だけど先に塩分取っておくってこれから何が始まるの?
「スイカ頂く前に僕もお線香あげさせて貰っていいですか?」
我ながら思う。
僕って好青年じゃないか。
お兄さんが無造作に車を停めた庭もコインパーキングが出来そうに広い。
庭の一角にはスイカを並べた小屋がある。
「これって無人販売ですか?」
「そうだよ、たまにスミコさんが居るから完全無人じゃないけどな。
あー、スミコさーん!友達連れて来たよ。」
先輩が呼びかけたスミコさんらしき人は大玉のスイカを抱えてこちらを振り向いた。
あれっ?何処かで見た様な…
「あ、お友達いらっしゃーい。
あら?野球部の子ね。
試合観に行った事あるから知ってるのよ。
ハヤタ君だわね。
1年生からレギュラーで凄いのよね。
あなたともう1人の上手い子と
2人のお陰で弱小じゃなくなったって、ショーゴがよく話してるのよ。
あ、私はショーゴのお婆ちゃんだけどスミコさんって呼んでね。」
先輩のお婆ちゃんならお兄さんのお婆ちゃんでも有る訳で
いきなりトップギアで話掛けて来るのはそう言う遺伝子なのか。
「ありがとうございます。
櫻井です。突然お邪魔してすみません。よろしくお願いします。」
よろしくお願いします…と言うと反射的にキャップを取って深々とお辞儀をする習慣がすっかり染みついている。
野球部辞めるとか言った割には野球部な自分にちょっと笑えた。
「あらあら、野球上手い子って礼儀正しいのね。
来てみたらこんな大昔の家でビックリしたでしょ。
でも中はちゃんとクーラー入ってますからね。
さあ、どうぞどうぞ。
スイカもちょうどよく冷えてるわ。ほら、ショーゴちゃん早くお友達を涼しい所に案内して。」
合宿に先輩が来る話や僕の食い付きたい話はどうやら後回しになりそうだ。
でも1つだけでも解明したいので玄関を上がった所でちょっとだけチャレンジしてみる。
「先輩の家広くてびっくりしました。」
でもここから学校に通ってるんじゃないですよね…と言いかけたら
「昔ね、ウチは漁師と畑と両方やってたのよー。」
台所からスミコさんの声だけが参加してきた。
「今漁師は辞めて畑も売っちゃったからだいぶ小さくなったけど都会の子からしたら田舎の風景でしょー。」
ですね…とは言えないし聞きたいのは家が広い理由じゃない。
「普段通学するのに暮らしてるのはおばさん達の家なんだ。」
(おお!先輩ナイスです。
それが聞きたかったんですよ。以心伝心じゃないですか!)
と感動しているとスミコさんが切ったばかりの山盛りのスイカ運んで来た。
先輩はその山からスイカを一切れ皿に取り仏壇の前に座った。
お供えをして手を合わせた目線の先には夫婦らしい雰囲気の人達の写真が飾られている。
その人達は年頃からして
…まさか、実家にいるのはお婆ちゃん、。
普段暮らしてるのはおばさんの家。
…仏壇の写真、これまで得た情報を整理していると
「俺の両親、事故で亡くなったの6年前だっけー?スミコさん
(うんうん、と頷くスミコさんを見て)
スミコさんは母親方の
婆ちゃんで両親が亡くなった後俺とアニキをここに引き取って面倒を見てくれてるんだけど
この近くって高校ないし進学自体どうしようか考えてたら
母さんのお姉さんなんだけど
おばさん夫婦が家から通えって言ってくれて。
高校はあそこが俺の学力にちょうど良かったし。
欲を言えば野球もやりたかったんだけどそれはちょっと贅沢かな~と思ったんだけどな。
おばさんのとこは女の子2人で
もう結婚してたし、おじさんが高校球児の親やりたい、って背中を押してくれたってやつ?
してくれたんで甘えちゃって、
で今日に至る、と言う訳なんだ。」
そうか!スミコさんの事何処かで見た気がしたけどあの時先輩が挨拶してたおばさんに似てるんだ。
母娘なら納得した。
「ちょっとぉ、だいたいは合ってるけどアタシだって高校は絶対に行かせたし、野球もやらせるつもりだったのよ。
父母会だって最年長だろうけどやる気でいたんだからね。
それもちゃんと補足しといてよ。って、自分で言っちゃったわねー。
あ、スイカスイカ、ハヤタ君お塩かける!夏はねお塩積極的に取った方がいいのよ。
これから汗かくし先手必勝でしょ。」
補足ありがとうございます。
だけど先に塩分取っておくってこれから何が始まるの?
「スイカ頂く前に僕もお線香あげさせて貰っていいですか?」
我ながら思う。
僕って好青年じゃないか。
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