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しおりを挟む乙女シュミレーション小説 荊棘の策略 ~乙女を囲う華園~
気高き姫が見目麗しい美男子達との愛のちからで悪の女帝を倒し下剋上を果たす、エロ強アクション弱の小説。
一通り読み終わった。
なかなか大変だった……
そして、なかなかのエロっぷりだった…
さて、登場人物を整理しよう。
まずは、悪役。
帝国の女帝。
基本的に悪役として登場するのはこの女帝のみ。
他に悪役が出てきても、かんたんな説明と美男達により即時退場させられる。
女帝は、侵略と略奪、殺戮を繰り返しワガママ放題。美男美少年を時には無理矢理愛人にし愛欲の日々。愛人に優劣を付ける為に一斉に自慰をさせたり、裸で試合をさせたり、耐えさせたりーーと。
愛人を苦しめる方法は18禁な方法各種。
勿論、ヒロインへの嫌がらせも18禁だった。
暴漢や愛人に襲わせたり、裸にひん剥いて鞭打ち、水責め等などー
顔面にワインや平手は日常茶飯事なので嫌がらせには入らない様だ。
ヒロイン……逆に強いな……
そして次に沢山の攻略者達
取り敢えず、特に記憶にある人物と一致するキャラに絞ろう。
金のくせ毛が眩しい美男。
特に劣悪に扱われるキャラクター。
女帝に立て付いたことから冷遇され、何かにつけては嫌がらせを強要される最初の攻略対象。女帝に強い恨みを持ち、ヒロインを殺された妹に重ね徐々にヒロインにのめり込む。
翠の長髪サラサラ美男。
細身の体躯で文官と思いきやしっかり軍人。エルフの血を引く美男。魔法に長けた大人しい性格で、奴隷として苦しむ同胞に嘆き悲しんでいる。そして、奴隷にされた同胞を助けてくれたヒロインに傾倒していく。
蒼い髪の盲目の美男。
病気で失明した天才。文官として女帝の側に仕え、数多の愛人の管理を押し付けられている。18禁な責め苦に耐え苦しむ愛人たちを同じ男として、同じ愛人として哀れに思い苦しんでいる。が、現状を覆す勇気が無い。弟が無理矢理ベッドに引きずり込まれた時は抵抗したが助けられなかった事で心が折れた過去がありトラウマ。ヒロインはそんな彼を勇気づけ、支え、信頼を勝ち得て結ばれる。女帝に近い分、最も女帝断罪に尽力した人物。
取り敢えず、この3名だろう。
とはいえ、現実と合わない点も多々ある。
悪役である女帝ーー
ラファルグ帝国の現皇帝であるヴィヴィアーヌ・フォンティーヌ・リー・ラファルグは、本の中と同じ髪色と瞳の色だ。愛人?として少なくとも金髪くせ毛と蒼髪盲目の2人は確実に認知している。少なくとも蒼髪盲目との体の関係が有るのは知っている。性格も確かにワガママとも言える。我が強いといった方があっているのか……だが、決して略奪は行っていない。命じてもない。確かに侵略された側から見たらそうなるか……少なくとも知る限り、18禁な責め苦は命じてはいない。はずだ……
え……?親友の隠された性癖をこれで知るとか嫌なんだけど……
金髪くせ毛の美男
確かに、ある意味楯突いたな…国ごと……他国まで巻き込んでやらかしやがった…
それに、恨んでもいるだろうな…だが、そうなる原因を作ったのは彼の親族。そして、妹は死んでない。
個人的にそんなに簡単に死なせるものか。
彼も妹も、そんなに簡単に死なせてやる程、私は優しくはない。…決定権は無いけど……
翠の長髪サラサラ美男
特徴的にこの公国の王子だ。確かどう見ても人間だったような…。公国の背後には大河があり、その奥の森にエルフの国がある。なので、縁戚に実はエルフが居るのかもしれない。因みにエルフの奴隷は公にはいない。ましてや国が率先して他種族を奴隷にする事は少なくとも我が国では無い。あったら大問題だ。異種族の人身売買をしている事になる。国を上げて取り締まるべき案件だ。国際問題にする内容だ。
蒼い髪の盲目の美男
どうしたものか………
兄上だ……
髪色や失った瞳の色もだが、失明してる点や愛人の管理を任されている点ーー
しかし、もちろん違う点も多々有る。
失明は、病気ではなく戦傷が原因だし、元々軍人だ。文官ではない。失明後、領地管理の補佐と女帝の補佐を行っている。それも、軍部の指南役や補佐官に推薦されたのを蹴ってだ…
そして勇気がないわけなどない!決して無い!
侮辱もいいところだ……作者いつか殴る!!
兄は補佐役として言わなければいけない事や確認しなければいけない事は女帝だろうが上官だろうが、父上だろうがハッキリ言う。女帝も理解した上で側に置いてくれている。
何より、兄上の下には自分という妹しかいないーー弟はいないーー
が、このキャラクターには騎士の弟が居る。
蒼い髪の美少年騎士
蒼い髪の盲目の美男の弟。女帝の幼馴染。幼い頃から女の子に間違われる容姿がコンプレックス。女帝に無理矢理ベッドに引きずり込まれて以降、女装を強要される。帝都では女の様に振舞うよう兄の命で脅されている。天才騎士で従軍期間が多い為一番女帝との関係が薄い。従軍時が唯一男でいられる時。ヒロインが男として認め、接することで男としての自信と尊厳を取り戻す。そして、兄を守る勇気と弱きを救う騎士としての信念を思い出させ、ヒロインの忠実で愛おしい騎士となる。
と、なっている。
「………自分…女、だよね……」
女騎士をやっているはず……
それに、ベッドに引きずり込まれた事無いし…
もしも引きずり込まれてたら……百合の花が咲くのか…?
それとも、アレか……
パジャマパーティー的な……
だとしたら、ベッドに引きずり込まれたのは自分だけではない…
兄の命も脅かされていない……
天才騎士なのは認めよう。
天才騎士の部分だけは認めよう!
「……女……だよな。」
襟元から中を覗くと、ちゃんと女性のシンボルである乳房が二つ有る。
実は兄か弟がいるのだろうか……
服の中を覗き込みつつ考えていると、ノックがした。
「入れ」
入ってきたのは団長補佐のロドリゴ・エスキベルだった。
ロドリゴは、入ってくるなり眉間のシワを深くする。
「ナニ?」
「…その格好で…行くつもりか?」
ロドリゴの低い声。明らかに機嫌が悪い。
?格好?行く?どこに?
「…あ……」
しまった……また忘れていた……外交官との会食……
まだまだ時間があると、湯浴みの後は面倒で楽な丈の長いシャツで本を読み出したのだった…
思いの外、読み切るのに苦労をし、その後キャラクターの当てはめと相違点等を考えていたらーー
「す、すぐに着替える!!」
慌てて寝転がっていたベッドから降り、着る予定だった騎士服を手に取る。
ため息が無言の圧力だ…早くしろと……
「………」
ふと…ロドリゴを見る。
彼は長年自分の側に控え、良い時も悪い時も、駄目な時も絶好調な時も居てくれた人だ。両親よりも自分の事を知っているのかもしれない……
しかし、こんな馬鹿げた事を問うのは……
いや、こんな馬鹿げたことは彼にしか聞けない!
「……だよね……」
「はい?」
「自分って……女だよね!」
力んでしまってか、思ったよりも大きい声で自分でもビックリした。
「…」
「……」
沈黙が気まずい……
「………申し訳ありません。すぐにーー」
「そうじゃない!」
寝室を出ようとするロドリゴのマントを掴んで止める。
幼い頃など一緒に水浴びをしたり、天幕で寝たりしたし、つぼ風呂の良さを教えた。今では彼もつぼ風呂愛好者だ。
ましてや、着替えの一つや二つでキャーキャー言ってたら騎士なんて務まらない。
「自分、女だよね?男じゃないよね?」
「……お前が男だった場合、俺はナニになるのだ?」
「…お、女…?」
「では、俺が女騎士か。」
「……そう?だ…な…」
「………訳のわからない事を言っている暇が有ると…?」
声に含まれる威圧感が……
すぐに身支度を整えたのは言うまでもない。
振り返るとロドリゴは居なかったので、わざわざ部屋から出たのだろう。律儀だな。
慌てて部屋を出るとロドリゴは扉の横で待機していたが、後ろをついて来る。
従軍地の為、そして、騎士としての会食で有る為、化粧をしなくて良いのは助かったが、それでも遅刻には違いない。
背後からの無言の圧力を感じつつ、早足で会食の場に急いだ。
全ての元凶はあの本だ!!
作者!!殴る!そして、蹴る!!!
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