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新たな地へ
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暗い森の中を道を馬がかける。
唯一の光は木々の合間から時々見える二つの満月の月灯り。
私は、馬を操りながら前を駆ける馬を追う。
その馬に乗る男を追いかける。
薄紺の短髪。
背丈が高く体格も大きい。
そして、その背には両刃の戦斧。
今日、今晩、ついさっき、前を走る男は家族と名前、貴族の地位、そして、国を捨てたーー
シェリス・メルナド。
これが今の私の名前。
健康だけが取り柄のつまらないとさえ思える人生を送り、転職すること3回、結婚はしなかった。
異性とのお付き合いは…………、………、まぁ……うん…
とにかく、私なりに平凡で安定した日々を送っていた。
しかし……四十代。
四十から身体は変わる、とはよくいったものだ……
健康しか取り柄のない私には当てはまらないと思っていたが、四十を超えてすぐに体調に変化が出た。
大したことはないと思っていたのに、蓋を開ければ余命一年。
後悔?勿論ある。
未練?勿論ある。
だが、安心もした。
誰かに世話をかける人生を送らなくてすむことを。
幸いなことに、弟二人は健在なので両親のことも心配ない。
貧困も、戦争も、犯罪も、借金も、泥沼な恋愛も、思いつく最悪の不幸に遭うことも無かった。
ーーー自分なりに、無難に、平穏に、良く生きた人生だったと思っているーーー
そうして、人並みの後悔と未練、それなりの満足と安心を胸に四十年弱の人生は幕を閉じた。
がーー
目覚めれば………
漫画やノベル、アニメで定番となった異世界転生。
そんなことが現実におこるなど思ってもみなかった。
それも、転生のお約束、チート持ち。
第二の人生、前世とは違う形で楽しもう。
そう思っていたのに……
唯一の光は木々の合間から時々見える二つの満月の月灯り。
私は、馬を操りながら前を駆ける馬を追う。
その馬に乗る男を追いかける。
薄紺の短髪。
背丈が高く体格も大きい。
そして、その背には両刃の戦斧。
今日、今晩、ついさっき、前を走る男は家族と名前、貴族の地位、そして、国を捨てたーー
シェリス・メルナド。
これが今の私の名前。
健康だけが取り柄のつまらないとさえ思える人生を送り、転職すること3回、結婚はしなかった。
異性とのお付き合いは…………、………、まぁ……うん…
とにかく、私なりに平凡で安定した日々を送っていた。
しかし……四十代。
四十から身体は変わる、とはよくいったものだ……
健康しか取り柄のない私には当てはまらないと思っていたが、四十を超えてすぐに体調に変化が出た。
大したことはないと思っていたのに、蓋を開ければ余命一年。
後悔?勿論ある。
未練?勿論ある。
だが、安心もした。
誰かに世話をかける人生を送らなくてすむことを。
幸いなことに、弟二人は健在なので両親のことも心配ない。
貧困も、戦争も、犯罪も、借金も、泥沼な恋愛も、思いつく最悪の不幸に遭うことも無かった。
ーーー自分なりに、無難に、平穏に、良く生きた人生だったと思っているーーー
そうして、人並みの後悔と未練、それなりの満足と安心を胸に四十年弱の人生は幕を閉じた。
がーー
目覚めれば………
漫画やノベル、アニメで定番となった異世界転生。
そんなことが現実におこるなど思ってもみなかった。
それも、転生のお約束、チート持ち。
第二の人生、前世とは違う形で楽しもう。
そう思っていたのに……
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