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平和編
特技は隠す
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カザン達は喉が震えるほどの返事をした。オドーは雄叫びを上げながら、階段を駆け上がる。リョークも続いた。オドーの攻撃を先頭にいた、仮面の男が肘で受け止めた。そしてオドーの腹を突くが、オドーは下がりながらしゃがむと、相手のみぞおちをついた。
「うおおおっ! 」
その奥の敵の一人にリョークは警杖の先を鋭く向けたが、顔面寸前で水平に向きを変えて、三人の敵の顔に押し付けながら、蹴り飛ばす。
「やるじゃん! 」
カラミンは口笛を吹きながら、前を行くと警杖を振り上げると見せかけて、横に振った。オドーがリョークの頭を抑え込み、巻き添えを共に回避させた。カラミンの攻撃を避け切った敵がふたりを襲ったが、オドーが咄嗟にカラミンの腰から警棒を抜き、殴って気絶させた。
「あっぶねぇぞ! 周り見ろ! 」
「いやあ、思ったより敵が多いから、全部倒すより早く先に進んだ方がいいかなって」
カラミンの思惑通り、一瞬だけ上への道ができたが、また敵が増え、埋まっていく。リョークが、アシス達の所へ戻る。
「俺が土台になるから、お前ら飛んでいけ」
カザンが目を見開く。
「早く、オドーさん達に止められる前に」
「わかった」
アシスはすぐに返事をした。
「カザン、すぐに私に着いて来てよ」
カザンは頷く。リョークは、またひとり相手を倒すと、離れ背中を曲げた。アシスは助走をつけて飛ぶと、リョークの背中で踏み切り、仮面の男達の上を飛んだ。
「馬鹿野郎っ!」
敵を抑えこみながらオドーが青ざめる。その間に、カザンも飛んだ。不安定な段差で着地をすると、そのままローズのあとを走る。だが、追手がくる。カザンは背中を向けたまま、後ろに、警杖を振る。が、先を掴まれた。
「あまりこちらも甘くみるな」
「そんな余裕、こっちもないです、よ! 」
カザンは右足を踏み出すと、そのままぶん投げた。が、もうひとりの敵がカザンに杖を振りかざした。
「っ! 」
避けたが間に合わず、肩に受けてしまった。警棒を抜くと、相手の脛を叩いた。敵がもがくと急に倒れた。不思議に思い、顔を上げるカラミンがいた。
「もっとびびって震えるかと思ったのに。こんなにやんちゃ後輩だと、先輩大変」
カラミンがザンを立たせる。
「すいません」
「きゃあああっ! カラミン様めちゃくちゃカッコイイ、男だけど惚れちゃうって言ったら許してあげる」
「……」
「俺だって傷つくのよ。今のはカラミンジョークだから笑って。大爆笑なところ」
どこまで冗談か、わからない男である。
「行ってこい。そして、お前が止めるんだ」
カラミンはカザンの背中を押すと、振り返り、敵の攻撃を受け止める。
「カラミンさん! 」
「早く行け! 」
カザンは肩を押えながら、階段を駆け上がった。
「カザン、大丈夫? 」
先を行っていた、アシスがカザンの足音に振り向いた。
「ローズさん、前!」
黒いマントをなびかせた敵が、杖をアシスに向かって振り下ろす。アシスは横によけると、相手の手首に警杖を叩きつけ、そのまま、首まで腕を辿り滑らせ壁に叩きつけた。敵は息苦しくなり、警杖を掴み悶える。気絶寸前でアシスは警杖を離した。笛のような音を出して呼吸し、倒れ込んだ敵をカザンが素早く拘束する。肩の痛みで顔を歪めた。
「やられたの? 」
「少し。たいしたことないです」
階段を下りて来る音が聞こえる。仮面の男がまたひとり現れた。
「お前らっ! こんなところまで! 」
アシスが立ち向かう。背筋を伸ばし、警杖を美しく縦にまっすぐ構える。
「カザン、行って。シズは最上階に近い所にいるはずよ。さっき見たでしょ」
ローズが静かに急かした。
「相棒が待ってるわよ」
「これ以上は行かせるか! 」
敵が杖を振り下ろすのを避けて、その杖の上に警杖を振り落し抑え込む。カザンがその横を走り抜ける。
「すぐ戻ります! 」
「朝までにね」
カザンの姿が見えなくなると、アシスは警杖から手を離した。男が呆気に取られて瞬間に、相手の頭を鷲掴みにすると、床に叩きつけた。アシスの怪力に男が呻く。
「大人しく降参してくれない? それと、あなた達の仲間の人数教えてくれたら、もう少し優しくしてあげる」
といいながら、アシスは力を強めた。男は絶叫し、十秒持たずに素直になった。
「うおおおっ! 」
その奥の敵の一人にリョークは警杖の先を鋭く向けたが、顔面寸前で水平に向きを変えて、三人の敵の顔に押し付けながら、蹴り飛ばす。
「やるじゃん! 」
カラミンは口笛を吹きながら、前を行くと警杖を振り上げると見せかけて、横に振った。オドーがリョークの頭を抑え込み、巻き添えを共に回避させた。カラミンの攻撃を避け切った敵がふたりを襲ったが、オドーが咄嗟にカラミンの腰から警棒を抜き、殴って気絶させた。
「あっぶねぇぞ! 周り見ろ! 」
「いやあ、思ったより敵が多いから、全部倒すより早く先に進んだ方がいいかなって」
カラミンの思惑通り、一瞬だけ上への道ができたが、また敵が増え、埋まっていく。リョークが、アシス達の所へ戻る。
「俺が土台になるから、お前ら飛んでいけ」
カザンが目を見開く。
「早く、オドーさん達に止められる前に」
「わかった」
アシスはすぐに返事をした。
「カザン、すぐに私に着いて来てよ」
カザンは頷く。リョークは、またひとり相手を倒すと、離れ背中を曲げた。アシスは助走をつけて飛ぶと、リョークの背中で踏み切り、仮面の男達の上を飛んだ。
「馬鹿野郎っ!」
敵を抑えこみながらオドーが青ざめる。その間に、カザンも飛んだ。不安定な段差で着地をすると、そのままローズのあとを走る。だが、追手がくる。カザンは背中を向けたまま、後ろに、警杖を振る。が、先を掴まれた。
「あまりこちらも甘くみるな」
「そんな余裕、こっちもないです、よ! 」
カザンは右足を踏み出すと、そのままぶん投げた。が、もうひとりの敵がカザンに杖を振りかざした。
「っ! 」
避けたが間に合わず、肩に受けてしまった。警棒を抜くと、相手の脛を叩いた。敵がもがくと急に倒れた。不思議に思い、顔を上げるカラミンがいた。
「もっとびびって震えるかと思ったのに。こんなにやんちゃ後輩だと、先輩大変」
カラミンがザンを立たせる。
「すいません」
「きゃあああっ! カラミン様めちゃくちゃカッコイイ、男だけど惚れちゃうって言ったら許してあげる」
「……」
「俺だって傷つくのよ。今のはカラミンジョークだから笑って。大爆笑なところ」
どこまで冗談か、わからない男である。
「行ってこい。そして、お前が止めるんだ」
カラミンはカザンの背中を押すと、振り返り、敵の攻撃を受け止める。
「カラミンさん! 」
「早く行け! 」
カザンは肩を押えながら、階段を駆け上がった。
「カザン、大丈夫? 」
先を行っていた、アシスがカザンの足音に振り向いた。
「ローズさん、前!」
黒いマントをなびかせた敵が、杖をアシスに向かって振り下ろす。アシスは横によけると、相手の手首に警杖を叩きつけ、そのまま、首まで腕を辿り滑らせ壁に叩きつけた。敵は息苦しくなり、警杖を掴み悶える。気絶寸前でアシスは警杖を離した。笛のような音を出して呼吸し、倒れ込んだ敵をカザンが素早く拘束する。肩の痛みで顔を歪めた。
「やられたの? 」
「少し。たいしたことないです」
階段を下りて来る音が聞こえる。仮面の男がまたひとり現れた。
「お前らっ! こんなところまで! 」
アシスが立ち向かう。背筋を伸ばし、警杖を美しく縦にまっすぐ構える。
「カザン、行って。シズは最上階に近い所にいるはずよ。さっき見たでしょ」
ローズが静かに急かした。
「相棒が待ってるわよ」
「これ以上は行かせるか! 」
敵が杖を振り下ろすのを避けて、その杖の上に警杖を振り落し抑え込む。カザンがその横を走り抜ける。
「すぐ戻ります! 」
「朝までにね」
カザンの姿が見えなくなると、アシスは警杖から手を離した。男が呆気に取られて瞬間に、相手の頭を鷲掴みにすると、床に叩きつけた。アシスの怪力に男が呻く。
「大人しく降参してくれない? それと、あなた達の仲間の人数教えてくれたら、もう少し優しくしてあげる」
といいながら、アシスは力を強めた。男は絶叫し、十秒持たずに素直になった。
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