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逃亡編
手鏡
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「どうぞ。九局と手を組んだ所までしました」
「それで、お前に会った。顔がほぼ同じだった。けどスパイが女装である考えはあった。九局がスパイは九十七期生の生き残りからつくり上げたと考えていたからだ。顔が潰れた男の死体が二つあったからな。けどお前は女だった。少し様子を見ようと思ったがお前が入学試験を受ける事を知った。九十七期生の集合写真にお前と同じ顔を見つけたのもその頃だ。お前を城人にするわけにはいかないと思った」
だからキミドリアパートまでわざわざ来てシズを落とすと、セドニは言った。
「けどお前は受かってしまった。そしてお前は本当に何も知らないと確信した。だからスパイの件とは関わらせるわけにはいかないと思った。ややこしくなり、お前もやっかいな事に巻き込まれるかもしれない」
スパイの疑いがある人間と顔が同じだから落としましょう、なんて他の試験官には言えない。
「けどいつかお前の存在に気が付くだろうと思った。学校の廊下には九十七期生の集合写真があるしな。それでお前を見張っていた。けどお前を見張っていたのは俺だけではなかった」
「他に誰が? 」
「それは分からなかった。けれど城の中の人間だろう」
「王子関係? 」
「かもしれない。けど違うかもしれない。今夜九局と王子達が密会する。それで答えが分かるかもしれない」
「そうですか」
「あと、カルカから聞いたが『コイン』ってなんだ?」
「へ? 」
「異世界がなんちゃらと聞いたが」
セドニは少し黙って、「コイン」を説明した。そして自分がこの世界に生まれ異世界で過ごし、ミトス・スイドと入れ替わりで戻ってきたことも話した。セドニは真顔だった。
「信じますか?」
「あまり」
即答だった。そうだよな、とシズは思う。
「だが、お前は変な奴だから異世界人だと言っても説得力はあるな」
シズは鼻で笑った
「ああ、それとカルカから伝言だ。四局がコーネス・カーネスを捕まえたらしいぞ」
「ええ! あっつ! 」
驚きのあまりシズは立ち上がり、こぼれた茶が手に当たった。
「え、コーネス・カーネスってあのコーネス・カーネス?」
「たぶんそのコーネス・カーネスだろう。戻ったら話をさせてくれるそうだ。どうする」
「そりゃあ話します」
目の前にコーネス・カーネスが来る。けれどもう元に戻してもらう訳にはいかない。何を話すか。アベンチュレに帰るっというのが、静にとって当たり前な感情になってしまった。
「私アベンチュレに帰っていいんですかね。こんな事言うの今さらですけど」
「本当に今さらだな。だが、帰るか帰らないか悩む時点でお前はアベンチュレを帰る場所だとして見ているって事だろうが」
「……そうですね」
「そういえばお前、鏡見つかったのか? 」
「あなたって結構話飛ばすよね。鏡って? 」
「随分前に鏡失くしたとか言っていただろう。見つかったのか」
「あ、ああ」
コーネス・カーネスの機密手配書をこっそり見た帰りに、シズがセドニに付いた嘘だ。あんな事覚えていたのかよ、こいつ。
「いや」
「そうか。じゃあこれ」
セドニがポケットから紙袋を出した。シズが受け取り中を見ると四角いコンパクトだった。
「事情も言わず見張っていた詫びだ」
「……安上がりですね」
「脱獄犯が偉そうに」
「すいません」
「それで、お前に会った。顔がほぼ同じだった。けどスパイが女装である考えはあった。九局がスパイは九十七期生の生き残りからつくり上げたと考えていたからだ。顔が潰れた男の死体が二つあったからな。けどお前は女だった。少し様子を見ようと思ったがお前が入学試験を受ける事を知った。九十七期生の集合写真にお前と同じ顔を見つけたのもその頃だ。お前を城人にするわけにはいかないと思った」
だからキミドリアパートまでわざわざ来てシズを落とすと、セドニは言った。
「けどお前は受かってしまった。そしてお前は本当に何も知らないと確信した。だからスパイの件とは関わらせるわけにはいかないと思った。ややこしくなり、お前もやっかいな事に巻き込まれるかもしれない」
スパイの疑いがある人間と顔が同じだから落としましょう、なんて他の試験官には言えない。
「けどいつかお前の存在に気が付くだろうと思った。学校の廊下には九十七期生の集合写真があるしな。それでお前を見張っていた。けどお前を見張っていたのは俺だけではなかった」
「他に誰が? 」
「それは分からなかった。けれど城の中の人間だろう」
「王子関係? 」
「かもしれない。けど違うかもしれない。今夜九局と王子達が密会する。それで答えが分かるかもしれない」
「そうですか」
「あと、カルカから聞いたが『コイン』ってなんだ?」
「へ? 」
「異世界がなんちゃらと聞いたが」
セドニは少し黙って、「コイン」を説明した。そして自分がこの世界に生まれ異世界で過ごし、ミトス・スイドと入れ替わりで戻ってきたことも話した。セドニは真顔だった。
「信じますか?」
「あまり」
即答だった。そうだよな、とシズは思う。
「だが、お前は変な奴だから異世界人だと言っても説得力はあるな」
シズは鼻で笑った
「ああ、それとカルカから伝言だ。四局がコーネス・カーネスを捕まえたらしいぞ」
「ええ! あっつ! 」
驚きのあまりシズは立ち上がり、こぼれた茶が手に当たった。
「え、コーネス・カーネスってあのコーネス・カーネス?」
「たぶんそのコーネス・カーネスだろう。戻ったら話をさせてくれるそうだ。どうする」
「そりゃあ話します」
目の前にコーネス・カーネスが来る。けれどもう元に戻してもらう訳にはいかない。何を話すか。アベンチュレに帰るっというのが、静にとって当たり前な感情になってしまった。
「私アベンチュレに帰っていいんですかね。こんな事言うの今さらですけど」
「本当に今さらだな。だが、帰るか帰らないか悩む時点でお前はアベンチュレを帰る場所だとして見ているって事だろうが」
「……そうですね」
「そういえばお前、鏡見つかったのか? 」
「あなたって結構話飛ばすよね。鏡って? 」
「随分前に鏡失くしたとか言っていただろう。見つかったのか」
「あ、ああ」
コーネス・カーネスの機密手配書をこっそり見た帰りに、シズがセドニに付いた嘘だ。あんな事覚えていたのかよ、こいつ。
「いや」
「そうか。じゃあこれ」
セドニがポケットから紙袋を出した。シズが受け取り中を見ると四角いコンパクトだった。
「事情も言わず見張っていた詫びだ」
「……安上がりですね」
「脱獄犯が偉そうに」
「すいません」
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