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逃亡編
ヘミモル村にて調査
しおりを挟む「へぇ、シズちゃんの紹介で」
レアーメが宿にやってきたカラミンとカザンに嬉しそうに言った。
「そう、カンダにいい宿があったからぜひって」
嘘っぱちを口にしてカラミンは微笑んだ。
「ご飯は美味しいから期待してください! シズちゃん元気ですか? 」
「そこそこね」
カラミンは微笑みを崩さない。
「なら良かった。ところでお二人はもしかして兄弟ですか? 」
「やめてください」
カザンは即答した。
「ねぇ、やめてくださいはおかしくない?普通に違いますでよくない? 」
「職場の上司と部下です」
「え、スルー? 」
「そうですか、似てないと思いました」
「よかったです」
カザンは安心した。
「よかったって言うのもおかしいよね? 」
「じゃあもしかしてシズちゃんと同じ城人さん? 」
レアーメが尋ねる。
「はい」
「わあ、カッコイイ! 」
「うん。ちょっと会話に上司挟もうか、カザン」
「あ、そういえば朝電話が。うちの母が取ったんですが、カラミン様宛てにハクエン様という方から」
「俺に? 」
レアーメはメモをカラミンに渡す。メモには至急折り返し連絡が欲しいとあった。
「電話は? 」
「ラウンジに公衆電話が」
「ありがとう。カザン、先部屋に行っていいよ。ついでに俺の荷物も部屋に運んどいて」
「はい」
カラミンはラウンジの公衆電話から国民局に電話し、四局に繋ぐように頼んだ。
「はーい、四局」
電話に出たのはセッシサンだった。
「カラミンです」
「おお、無事に着いたか」
「さっき宿に。ハクエン局長から連絡あったんですけど」
「局長は今席をはずしてるよ。当分帰ってこないだろう」
「何かあったんですか? 」
「カンダが逃げた」
カラミンが息を飲んだ。
「外部に手引きした人間がいるのは確かだ。九局もうちも捜しているが見つからない」
「外部って」
「さあな。九局は何かしら掴んでいるかもしれないが、こっちに教えてくれるわけないしな。お前らもそっちでやる事満足したら早く帰って来い。カンダの生まれはフェナだ。九局がそっちに行くだろう」
「そうですね」
カラミンは眉間に皺を寄せた。タイミングが悪い時に逃げたなとシズに心の中で悪態をついた。
電話を切ると、カラミンは早に宿の二階に上がった。部屋からカザンとレアーメが談笑しているのが聞こえ、部屋に入る。
「ああ、カラミンさん。カラミンさんの部屋は隣になります。荷物はテーブルの上に置いてます」
「ありがとう」
「カラミンさん、レアーメさんはカンダさんがここに来た時、村を色々案内したそうですよ」
「案内したっていってもステアの家と墓地だけですけどね」
「そこ俺達にも案内して欲しい」
カラミンが頼むと、レアーメは驚いた。
「いい、ですけど」
「そして悪いけど、もしかしたら今夜中にここを発つかもしれない。こっちの勝手な都合だから宿代は払う」
「ハクエン局長から何か急の連絡でも? 」
カザンが尋ねる。
「カンダが逃げた」
カザンが目を見開く。
「逃げた? 」
状況が分からないレアーメは首を傾けた。カラミンはレアーメの前に向き直る。
「仕事の事だから、全ては説明できないけどカンダは今危ない立場にいるんです」
「シズちゃんが? 」
「それがミトス・スイドと関係があるかもしれない」
「ミトスと?」
レアーメは半信半疑だった。
「二人は偶然にしてはそっくり過ぎる。瓜二つだ。それで、ミトス・スイドも実はやばい事に関わっていたかもしれない。もしかしたらそれを調べにカンダはここに来たかもしれないんだ」
レアーメは黙って考えた。
「……言われればシズちゃんミトスの事やけに気にしてたかも」
「そのカンダが今行方不明で、その手がかりがこのヘミモル村にあるかもしれない。だから協力してくれませんか? 」
カラミンの頼みにレアーメは悩みながら頷いた。
「分かりました。それならステアも居た方がいいと思うので。一緒に来てください」
レアーメに連れられてカラミン達はステアの家に行った。道中カラミンはカザンに耳打ちした。
「九局がここに来るだろう」
カザンは頷いた。ステアの家に着き、レアーメは玄関でステアに分からないなりに状況を説明した。
「シズちゃんとミトスが? 」
ステアも半信半疑だった。
「その、ミトス・スイドは実は双子だったって事は? 」
カザンが尋ねるとステアはすぐに手をぶんぶん振った。
「それはない。うちのばあちゃんがとり上げたんだけどそんな事は言ってなかった。あ、」
「何か? 」
「え、いや、ばあちゃんがよく冗談言ってたんだよ。ミトスは生まれた時に女だったって」
カザンとカラミンは目を合わせる。
「いや、冗談だよ! 冗談! 」
「ミトス・スイドの出産に立ち会ったのは誰か分かるかい? 」
カラミンが尋ねるとステアは唸った。
「うちのばあちゃんと、ミトスの父さんと伯父さんじゃないか?あとミトスのじいちゃん、ばあちゃん」
「ミトス・スイドの身内は誰かこの村に残っていないのかな? 」
「残念ながらカラミンさん。ミトスの祖父母はミトスが幼い頃に立て続けになくなってるし、両親とテオおじさんはミトスが十二歳の時に交通事故で」
「天涯孤独ですか……」
カザンが零す。
レアーメが宿にやってきたカラミンとカザンに嬉しそうに言った。
「そう、カンダにいい宿があったからぜひって」
嘘っぱちを口にしてカラミンは微笑んだ。
「ご飯は美味しいから期待してください! シズちゃん元気ですか? 」
「そこそこね」
カラミンは微笑みを崩さない。
「なら良かった。ところでお二人はもしかして兄弟ですか? 」
「やめてください」
カザンは即答した。
「ねぇ、やめてくださいはおかしくない?普通に違いますでよくない? 」
「職場の上司と部下です」
「え、スルー? 」
「そうですか、似てないと思いました」
「よかったです」
カザンは安心した。
「よかったって言うのもおかしいよね? 」
「じゃあもしかしてシズちゃんと同じ城人さん? 」
レアーメが尋ねる。
「はい」
「わあ、カッコイイ! 」
「うん。ちょっと会話に上司挟もうか、カザン」
「あ、そういえば朝電話が。うちの母が取ったんですが、カラミン様宛てにハクエン様という方から」
「俺に? 」
レアーメはメモをカラミンに渡す。メモには至急折り返し連絡が欲しいとあった。
「電話は? 」
「ラウンジに公衆電話が」
「ありがとう。カザン、先部屋に行っていいよ。ついでに俺の荷物も部屋に運んどいて」
「はい」
カラミンはラウンジの公衆電話から国民局に電話し、四局に繋ぐように頼んだ。
「はーい、四局」
電話に出たのはセッシサンだった。
「カラミンです」
「おお、無事に着いたか」
「さっき宿に。ハクエン局長から連絡あったんですけど」
「局長は今席をはずしてるよ。当分帰ってこないだろう」
「何かあったんですか? 」
「カンダが逃げた」
カラミンが息を飲んだ。
「外部に手引きした人間がいるのは確かだ。九局もうちも捜しているが見つからない」
「外部って」
「さあな。九局は何かしら掴んでいるかもしれないが、こっちに教えてくれるわけないしな。お前らもそっちでやる事満足したら早く帰って来い。カンダの生まれはフェナだ。九局がそっちに行くだろう」
「そうですね」
カラミンは眉間に皺を寄せた。タイミングが悪い時に逃げたなとシズに心の中で悪態をついた。
電話を切ると、カラミンは早に宿の二階に上がった。部屋からカザンとレアーメが談笑しているのが聞こえ、部屋に入る。
「ああ、カラミンさん。カラミンさんの部屋は隣になります。荷物はテーブルの上に置いてます」
「ありがとう」
「カラミンさん、レアーメさんはカンダさんがここに来た時、村を色々案内したそうですよ」
「案内したっていってもステアの家と墓地だけですけどね」
「そこ俺達にも案内して欲しい」
カラミンが頼むと、レアーメは驚いた。
「いい、ですけど」
「そして悪いけど、もしかしたら今夜中にここを発つかもしれない。こっちの勝手な都合だから宿代は払う」
「ハクエン局長から何か急の連絡でも? 」
カザンが尋ねる。
「カンダが逃げた」
カザンが目を見開く。
「逃げた? 」
状況が分からないレアーメは首を傾けた。カラミンはレアーメの前に向き直る。
「仕事の事だから、全ては説明できないけどカンダは今危ない立場にいるんです」
「シズちゃんが? 」
「それがミトス・スイドと関係があるかもしれない」
「ミトスと?」
レアーメは半信半疑だった。
「二人は偶然にしてはそっくり過ぎる。瓜二つだ。それで、ミトス・スイドも実はやばい事に関わっていたかもしれない。もしかしたらそれを調べにカンダはここに来たかもしれないんだ」
レアーメは黙って考えた。
「……言われればシズちゃんミトスの事やけに気にしてたかも」
「そのカンダが今行方不明で、その手がかりがこのヘミモル村にあるかもしれない。だから協力してくれませんか? 」
カラミンの頼みにレアーメは悩みながら頷いた。
「分かりました。それならステアも居た方がいいと思うので。一緒に来てください」
レアーメに連れられてカラミン達はステアの家に行った。道中カラミンはカザンに耳打ちした。
「九局がここに来るだろう」
カザンは頷いた。ステアの家に着き、レアーメは玄関でステアに分からないなりに状況を説明した。
「シズちゃんとミトスが? 」
ステアも半信半疑だった。
「その、ミトス・スイドは実は双子だったって事は? 」
カザンが尋ねるとステアはすぐに手をぶんぶん振った。
「それはない。うちのばあちゃんがとり上げたんだけどそんな事は言ってなかった。あ、」
「何か? 」
「え、いや、ばあちゃんがよく冗談言ってたんだよ。ミトスは生まれた時に女だったって」
カザンとカラミンは目を合わせる。
「いや、冗談だよ! 冗談! 」
「ミトス・スイドの出産に立ち会ったのは誰か分かるかい? 」
カラミンが尋ねるとステアは唸った。
「うちのばあちゃんと、ミトスの父さんと伯父さんじゃないか?あとミトスのじいちゃん、ばあちゃん」
「ミトス・スイドの身内は誰かこの村に残っていないのかな? 」
「残念ながらカラミンさん。ミトスの祖父母はミトスが幼い頃に立て続けになくなってるし、両親とテオおじさんはミトスが十二歳の時に交通事故で」
「天涯孤独ですか……」
カザンが零す。
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