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逃亡編
正義の指針
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バライトは何も言わず、カルカを見た。
「今日はここまでにしましょう。またお話を聞きに来ると思いますが」
「分かりました」
「アザム、家まで送り届けてあげて」
「はい」
アザムがジャモンを連れて八局室を出た。
「局長我々も出ましょう」
「ああ」
「そういえば、」
バライトが二人の背中を見ずに話しかけた。
「カラミンが今日はいないんだね? 」
「ああ」
ハクエンもバライトを見ないままに答えた。
「昨日帰りカザンと牡蠣を食べに行ったらしいんだけどね、あたったんだよ。当分来れないかな」
カラミンとカザンはフェナ行の列車にいた。
「カラミンさんの作戦通りフェナに行く口実ができましたけど、これってアルガーを手配するのに繋がるんですか?」
カザンは気になっていた事を聞いた。カラミンはそんなの簡単だよと両手を広げた。
「関係なくても関係させるの。カンダとミトス・スイドが関係している。ミトス・スイドとアルガーも関係させる」
「関係なくてもですか? 」
「なくてもね。デタラメ言うの。事実は俺とカザンしか知らない。帰ったらアルガーを手配して貰おう」
「……アルガーはどの手配で? 」
「機密の方がいいと思うよ。本人に自分が捜されているのをばれないように。それに、ユオ・オ^ピメンとアルガーが同一人物ならば、なおさら隠しておいた方がいい」
カザンは内心ほっとした。機密手配ならば、アザムにアルガーを捜している事がばれない。
「けど、機密手配人は手続きが面倒だ」
「らしいですね」
機密手配書を見せに行った時、カラミンにきちんと説明して貰えなかったためカザンは自分で勉強した。
「まずは八局長に許可を貰う。そして二局へ持っていき、二局四連でも許可を貰えれば通過したら無事終了」
二局四連とは、インデッセ、アベンチュレ、ベグテクタ、オードの二局長四人で成り立っている。三か月に一回、会議を開きそれぞれの政治の事、犯罪撲滅について話し合う。
「次の二局四連会議は十一月、アベンチュレでやるんでしたよね」
「そう、来月。ついてたね。そこで絶対許可が欲しい」
「ですね」
そう頷いたカザンをカラミンはじっと見つめた。
「なんですか?」
「お前さ、四局向いてるよ」
「なんですか急に」
カザンが困惑するとカラミンは車窓を眺めながら話し始めた。
「俺はさ、なんとなくで四局になった。城人なんかかっけー。けど二局とかの花形はなんかめんどくさそー。総務とかも地味―。で、四局選んだ。それをトイサキレウさんには見抜かれてた。それで言われた。四局になったからには正義を持て。正義は指針だってね」
「随分ストレートですね」
「悪人を捕まえて裁いても、問題が解決することなんてない。けれど捕まえて裁いて貰わなければいけない。とりあえず正しそうな事をする。けどそのとりあえずでいいって。正義に真っ直ぐ繋がる事ができるなんか百年経っても無理だ。千年でも無理だって。だから精一杯でもとりあえずいい方に寄せる。そのために正義は指針として大事だから正義を持てって事」
カラミンは目線をカザンに戻した。
「カザンはさ、その指針を四局になる前から持っている。その指針に従って四局になったんだろう? 」
珍しくカラミンに褒められた気がカザンはした。けれどあまり嬉しさを感じなかった。どうにかしようと今はもがいている。けれど理想の出口が分からない。正しい出口を指す指針がどこを向いているかカザンはまだ分からなかった。
「今日はここまでにしましょう。またお話を聞きに来ると思いますが」
「分かりました」
「アザム、家まで送り届けてあげて」
「はい」
アザムがジャモンを連れて八局室を出た。
「局長我々も出ましょう」
「ああ」
「そういえば、」
バライトが二人の背中を見ずに話しかけた。
「カラミンが今日はいないんだね? 」
「ああ」
ハクエンもバライトを見ないままに答えた。
「昨日帰りカザンと牡蠣を食べに行ったらしいんだけどね、あたったんだよ。当分来れないかな」
カラミンとカザンはフェナ行の列車にいた。
「カラミンさんの作戦通りフェナに行く口実ができましたけど、これってアルガーを手配するのに繋がるんですか?」
カザンは気になっていた事を聞いた。カラミンはそんなの簡単だよと両手を広げた。
「関係なくても関係させるの。カンダとミトス・スイドが関係している。ミトス・スイドとアルガーも関係させる」
「関係なくてもですか? 」
「なくてもね。デタラメ言うの。事実は俺とカザンしか知らない。帰ったらアルガーを手配して貰おう」
「……アルガーはどの手配で? 」
「機密の方がいいと思うよ。本人に自分が捜されているのをばれないように。それに、ユオ・オ^ピメンとアルガーが同一人物ならば、なおさら隠しておいた方がいい」
カザンは内心ほっとした。機密手配ならば、アザムにアルガーを捜している事がばれない。
「けど、機密手配人は手続きが面倒だ」
「らしいですね」
機密手配書を見せに行った時、カラミンにきちんと説明して貰えなかったためカザンは自分で勉強した。
「まずは八局長に許可を貰う。そして二局へ持っていき、二局四連でも許可を貰えれば通過したら無事終了」
二局四連とは、インデッセ、アベンチュレ、ベグテクタ、オードの二局長四人で成り立っている。三か月に一回、会議を開きそれぞれの政治の事、犯罪撲滅について話し合う。
「次の二局四連会議は十一月、アベンチュレでやるんでしたよね」
「そう、来月。ついてたね。そこで絶対許可が欲しい」
「ですね」
そう頷いたカザンをカラミンはじっと見つめた。
「なんですか?」
「お前さ、四局向いてるよ」
「なんですか急に」
カザンが困惑するとカラミンは車窓を眺めながら話し始めた。
「俺はさ、なんとなくで四局になった。城人なんかかっけー。けど二局とかの花形はなんかめんどくさそー。総務とかも地味―。で、四局選んだ。それをトイサキレウさんには見抜かれてた。それで言われた。四局になったからには正義を持て。正義は指針だってね」
「随分ストレートですね」
「悪人を捕まえて裁いても、問題が解決することなんてない。けれど捕まえて裁いて貰わなければいけない。とりあえず正しそうな事をする。けどそのとりあえずでいいって。正義に真っ直ぐ繋がる事ができるなんか百年経っても無理だ。千年でも無理だって。だから精一杯でもとりあえずいい方に寄せる。そのために正義は指針として大事だから正義を持てって事」
カラミンは目線をカザンに戻した。
「カザンはさ、その指針を四局になる前から持っている。その指針に従って四局になったんだろう? 」
珍しくカラミンに褒められた気がカザンはした。けれどあまり嬉しさを感じなかった。どうにかしようと今はもがいている。けれど理想の出口が分からない。正しい出口を指す指針がどこを向いているかカザンはまだ分からなかった。
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