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城人編
捜査一日目
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「こら、カンダ! 危ないからヘルメットの紐ちゃんと絞めなさい! 」
カラミンにシズは注意され、紐をきつくした。そしてまた山の斜面と睨めっこする。
「カザン! 溝の方は何かある? 」
溝の中を探るカザンにカラミンが声を張る。
「今のところは何もありません」
「ってか、見ても分かる自信ないっすよ。銃ならまだしも、部品なんて」
「こら、カンダ! 銃って単語出さない! どこで誰が聞いてるか分からないんだから!」
あんたの声がでけぇよとシズは呆れる。ふと光に反射した物が、シズの目に入りカラミンに見せた。
「もしかして、これ! 」
「うん、ただの石ころだね」
シズは無言で遠くに投げ捨てた。
遡ること昨日の午後五時。
「お、五時。帰ろうっと」
デスクの上を片付けると、シズは席を立つ。
「俺も上がろっと! 」
リョークも席を立ち、アシスのデスクの上を覗き込む。
「アシスは? 」
「もう少し資料読み込んでから帰る。夕食までには帰る」
「おお。じゃあ先帰るな」
「残念。君は残業だ」
いつの間にかシズの目の前にハクエン局長が、シズの肩を叩く。
「カザンにカラミンも、ちょっとこい」
シズと同じように帰る支度をしていたカザンが荷物をデスクに置いた。カラミンはのんびりと立ち上がる。
「やばい予感的中だね。あーあ」
「まあ、どんまいカンダ! 俺先帰るわー」
シズはリョークを見送り、ハクエン局長に連れられ別室に向かった。そこには、セッシサン副局長もいた。
「あれ、サンス副局長達は? あの人が絡んでると思ったんですけど」
「そうだ。けどもう帰ったよ。これからお前らに命令を下す。これは内密だ。他の四局員にも漏らすなよ」
ハクエン局長の声色は部屋の空気を引き締めた。緊張感が漂う中、セッシサン副局長は布に包まれた何かをテーブルの上に置いた。そして広げると部品があった。それを見た途端カラミンさんが渇いた笑いを漏らした。
「想像したよりやばいですけど」
「これは何ですか? 」
カザンがカラミンに聞く。
「銃の部品だよ」
「え、それってやばいんじゃ……」
シズはビビる。銃は戦争後に使うことも製造することも禁止になっている。
「かなりやばいよ、カンダちゃん。しかもこれかなり綺麗ですよ。最近作られたってことですよね? 」
カラミンが尋ねれば、セッシサン教官が頭を掻く。
「今日の視察で六局が見つけた。知っているのは、六局の局長と副局長にこれを見つけたルスカルト」
リゴが見つけたのをシズは知って、納得する。
「そしてここいる五人だ。お前達にこの話をした意味が分かるな? 」
「これを誰が落としたか調べる。そして銃を製造している者をあぶりだす」
「よし。さすがだな」
ハクエン局長が微笑んで三本指を立てた。
「三日やる。宿ももう手配してある。お前ら三人で調べて来い。頼んだぞ」
「けど、実際三日では厳しいと思いますけど」
カザンが零す。結局あれからは何も出てこず、シズ達は店に入り昼食を取ることにした。冷製フーメントマトソース和えをシズはすすり込む。白シャツに少し飛んだが上を着れば大丈夫だろう。今日の三人は今日はエンジのジャケットではなく通常の黒い制服を着てきている。
「ごまかすのが三日で限度なんだよ、カザン。せめて一週間こっちに入れればいいけど、それじゃあ九局が勘付くからね。あいつら本当に怖いから」
シズの頭の中に現れたアザムが鼻で笑う。
「この中途半端な状況でこれが露見したら必要以上に大騒ぎになる。証拠を揃えて上に報告するのが一番なのさ。まあ、安心したまえ。このカラミン様は四局の時期副局長と言われているからね。最年少副局長記録を塗り替えてみせるさ!」
「最年少記録誰が持ってるんですか?」
「セドニ副局長だよ。カザン。27歳でなってる」
あいつやっぱすげぇんだな、と感心しながらシズはフーメンをすする。
「けどそれじゃあもうカラミンさん一年しかないですよ。無理ですよ」
カザンがトマトを頬張りながら冷たく言った。
「冷静にそういうこと言わないでくれる? まあ、このでかい案件で手柄立てれば俺の夢は近づくから、君達しっかり頑張ってね」
すげぇやだとシズは思った。
午後は周辺の聞き込みをすることにした。
「あの人に話聞いてみよう」
カラミンが顎でさした方には絵描きのおじいさんがいた。
「いけ、カンダ! 」
「……はーい」
シズは絵描きにすいませんと、声をかけた。
「少しお話聞きたいですけど」
すると絵描きは掌を出した。どういう意味か分からず、シズは首を捻る。
「絵を描かせてくれたらいくらでも話すよ」
カラミンを振り返る。
「描いて貰いなよ!それで二人で話聞いておいて。俺、ちょっと食後のデザートにアイスクリーム食べに行くから。じゃあね!」
カラミンはそう手を振って、近くの喫茶店に入っていった。
「……私あいつだけは副局長にしたくねぇ」
「同感です」
珍しく、ふたりは気が合った。絵描きに金を払い、木箱をひっくり返した物にシズは腰をかけた。絵描きは筆を走らせる。少し経ってカザンが絵描きに質問した。
「土砂崩れの危険性のある山を今度整備するんですけど、」
「ああ、知っているよ。何週間前かにその話を聞いた。昨日城人さんが視察に来ていたらしいね」
「その山ですけど、山賊が出たりとかという噂は? 」
銃の部品の運び屋に山賊が使われているかもしれない。それはセッシサン副局長が可能性の一つとしてあげていた。
「いいや。聞いたことないね」
「そうですか」
カザンは期待外れに肩を落とす。
「けど、歩きでインデッセから国境を越えてくる人間は用心棒雇ってここまで来る。そしてここで用心棒は引き返す。何度かこの街に泊まりくる奴がいる。もっと手前で用心棒雇うのやめたらいいのにとわしは思うけど、インデッセの人間は用心深いからね。あの山には熊もいなのに。金の無駄だ」
「はあ」
シズは力なく頷く。それから絵が描き終わるまで話を続けたが、これといった手がかりは掴めないまま、シズは描いて貰った絵を貰った。
「なかなか上手じゃないですか」
「じゃあやるよ」
シズはカザンに押し付ける。
「え、いらないですよ」
「私だって自分の顔なんていらねぇよ」
シズは絵を畳んで、カザンのポケットにねじ込んだ。
「ちょっと! 」
シズは逃げるようにカラミンがいる喫茶店に入ると、カラミンはアイスを三つも食べていた。シズは張り倒したかった。それから夜まで色々調べたが、結果は芳しくないまま夜になった。そしてカラミンはアイスの食べ過ぎでお腹を壊していた。シズはざまぁみろと思った。
カラミンにシズは注意され、紐をきつくした。そしてまた山の斜面と睨めっこする。
「カザン! 溝の方は何かある? 」
溝の中を探るカザンにカラミンが声を張る。
「今のところは何もありません」
「ってか、見ても分かる自信ないっすよ。銃ならまだしも、部品なんて」
「こら、カンダ! 銃って単語出さない! どこで誰が聞いてるか分からないんだから!」
あんたの声がでけぇよとシズは呆れる。ふと光に反射した物が、シズの目に入りカラミンに見せた。
「もしかして、これ! 」
「うん、ただの石ころだね」
シズは無言で遠くに投げ捨てた。
遡ること昨日の午後五時。
「お、五時。帰ろうっと」
デスクの上を片付けると、シズは席を立つ。
「俺も上がろっと! 」
リョークも席を立ち、アシスのデスクの上を覗き込む。
「アシスは? 」
「もう少し資料読み込んでから帰る。夕食までには帰る」
「おお。じゃあ先帰るな」
「残念。君は残業だ」
いつの間にかシズの目の前にハクエン局長が、シズの肩を叩く。
「カザンにカラミンも、ちょっとこい」
シズと同じように帰る支度をしていたカザンが荷物をデスクに置いた。カラミンはのんびりと立ち上がる。
「やばい予感的中だね。あーあ」
「まあ、どんまいカンダ! 俺先帰るわー」
シズはリョークを見送り、ハクエン局長に連れられ別室に向かった。そこには、セッシサン副局長もいた。
「あれ、サンス副局長達は? あの人が絡んでると思ったんですけど」
「そうだ。けどもう帰ったよ。これからお前らに命令を下す。これは内密だ。他の四局員にも漏らすなよ」
ハクエン局長の声色は部屋の空気を引き締めた。緊張感が漂う中、セッシサン副局長は布に包まれた何かをテーブルの上に置いた。そして広げると部品があった。それを見た途端カラミンさんが渇いた笑いを漏らした。
「想像したよりやばいですけど」
「これは何ですか? 」
カザンがカラミンに聞く。
「銃の部品だよ」
「え、それってやばいんじゃ……」
シズはビビる。銃は戦争後に使うことも製造することも禁止になっている。
「かなりやばいよ、カンダちゃん。しかもこれかなり綺麗ですよ。最近作られたってことですよね? 」
カラミンが尋ねれば、セッシサン教官が頭を掻く。
「今日の視察で六局が見つけた。知っているのは、六局の局長と副局長にこれを見つけたルスカルト」
リゴが見つけたのをシズは知って、納得する。
「そしてここいる五人だ。お前達にこの話をした意味が分かるな? 」
「これを誰が落としたか調べる。そして銃を製造している者をあぶりだす」
「よし。さすがだな」
ハクエン局長が微笑んで三本指を立てた。
「三日やる。宿ももう手配してある。お前ら三人で調べて来い。頼んだぞ」
「けど、実際三日では厳しいと思いますけど」
カザンが零す。結局あれからは何も出てこず、シズ達は店に入り昼食を取ることにした。冷製フーメントマトソース和えをシズはすすり込む。白シャツに少し飛んだが上を着れば大丈夫だろう。今日の三人は今日はエンジのジャケットではなく通常の黒い制服を着てきている。
「ごまかすのが三日で限度なんだよ、カザン。せめて一週間こっちに入れればいいけど、それじゃあ九局が勘付くからね。あいつら本当に怖いから」
シズの頭の中に現れたアザムが鼻で笑う。
「この中途半端な状況でこれが露見したら必要以上に大騒ぎになる。証拠を揃えて上に報告するのが一番なのさ。まあ、安心したまえ。このカラミン様は四局の時期副局長と言われているからね。最年少副局長記録を塗り替えてみせるさ!」
「最年少記録誰が持ってるんですか?」
「セドニ副局長だよ。カザン。27歳でなってる」
あいつやっぱすげぇんだな、と感心しながらシズはフーメンをすする。
「けどそれじゃあもうカラミンさん一年しかないですよ。無理ですよ」
カザンがトマトを頬張りながら冷たく言った。
「冷静にそういうこと言わないでくれる? まあ、このでかい案件で手柄立てれば俺の夢は近づくから、君達しっかり頑張ってね」
すげぇやだとシズは思った。
午後は周辺の聞き込みをすることにした。
「あの人に話聞いてみよう」
カラミンが顎でさした方には絵描きのおじいさんがいた。
「いけ、カンダ! 」
「……はーい」
シズは絵描きにすいませんと、声をかけた。
「少しお話聞きたいですけど」
すると絵描きは掌を出した。どういう意味か分からず、シズは首を捻る。
「絵を描かせてくれたらいくらでも話すよ」
カラミンを振り返る。
「描いて貰いなよ!それで二人で話聞いておいて。俺、ちょっと食後のデザートにアイスクリーム食べに行くから。じゃあね!」
カラミンはそう手を振って、近くの喫茶店に入っていった。
「……私あいつだけは副局長にしたくねぇ」
「同感です」
珍しく、ふたりは気が合った。絵描きに金を払い、木箱をひっくり返した物にシズは腰をかけた。絵描きは筆を走らせる。少し経ってカザンが絵描きに質問した。
「土砂崩れの危険性のある山を今度整備するんですけど、」
「ああ、知っているよ。何週間前かにその話を聞いた。昨日城人さんが視察に来ていたらしいね」
「その山ですけど、山賊が出たりとかという噂は? 」
銃の部品の運び屋に山賊が使われているかもしれない。それはセッシサン副局長が可能性の一つとしてあげていた。
「いいや。聞いたことないね」
「そうですか」
カザンは期待外れに肩を落とす。
「けど、歩きでインデッセから国境を越えてくる人間は用心棒雇ってここまで来る。そしてここで用心棒は引き返す。何度かこの街に泊まりくる奴がいる。もっと手前で用心棒雇うのやめたらいいのにとわしは思うけど、インデッセの人間は用心深いからね。あの山には熊もいなのに。金の無駄だ」
「はあ」
シズは力なく頷く。それから絵が描き終わるまで話を続けたが、これといった手がかりは掴めないまま、シズは描いて貰った絵を貰った。
「なかなか上手じゃないですか」
「じゃあやるよ」
シズはカザンに押し付ける。
「え、いらないですよ」
「私だって自分の顔なんていらねぇよ」
シズは絵を畳んで、カザンのポケットにねじ込んだ。
「ちょっと! 」
シズは逃げるようにカラミンがいる喫茶店に入ると、カラミンはアイスを三つも食べていた。シズは張り倒したかった。それから夜まで色々調べたが、結果は芳しくないまま夜になった。そしてカラミンはアイスの食べ過ぎでお腹を壊していた。シズはざまぁみろと思った。
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