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城人編
一方的な再会
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「七階お願いします」
エレベーターに乗ると、カラミンさんは操作人に頼んだ。エレベーターは上昇する。
「機密手配書はね七階の資料室にあるんだよ。七局と八局が見ることがあるからね」
「あの、機密手配書って何ですか? 」
カザンが尋ねる。エレベーターは七階に着き、ドアがジャラジャラと開き廊下へ出た。
「そのままだよ。手配書だ。機密手配書の人物の目撃情報があったら、他国であろうとすぐさま手配した国の四局はそこに向かうことができる。そして目撃情報があった国もその捜査に絶対協力しなければならない。通常の手配人なら他国に捜査いくのにも手続きやら許可がいるんだ。手配人を自国に連れて行くにも手続きがいる。それが機密手配人の場合はないんだ。捕まえれたら手配していた国は無許可でその手配人を自国に連れていける。他にも色々違いはあるけど、特に覚えなくていいよ」
ややこしいなとシズはげんなりする。
「それと、通常の手配書と違って外に張り出されたりしない。一部の局員しか見ることを許されない。顔覚えて見回りする時に意識してね」
カラミンは指で鍵を回しながら説明してくれる。
「そもそも何で手配書に機密なんかあるんっすか?表に張り出さなきゃ意味なくないですか?」
シズが尋ねる。なぜわざわざ一部の人間しか見れないようにするのか分からない。
「それなりの地位の人が何らかの理由で捜してください、できるだけ内密にっていう場合が多いからね」
「それって権力使ってパシられてるってことじゃないですか? 」
「カンダちゃん、お口に気を付けて。どこで誰が聞いてるか分からないんだから」
「すんません」
シズはいつもの視線を感じ立ち止まり、振り返る。だが、後ろには誰もいなかった。この階はセドニがいる七局がある。やっぱりあいつか? とシズはモヤモヤする。
「カンダ! 何してるの! 」
資料室の鍵を開けたカラミンにシズは呼ばれ、慌てて返事をして資料室に戻った。カラミンは棚の鍵をまた開けて、ファイルを出した。
「一冊しかないから、順番に見て。現状二人しかいないから」
「カンダさん、先にどうぞ」
「おお」
ファイルを受け取り椅子に座ると表紙を開いた。そこには三十代ぐらいの男が写っていた。ああ、そいつは、とカラミンさんが説明した。
「オードの城人。なんかオード王のいとこの寝室から宝石やら盗んだらしい」
「なんで内密に捜してるんですか? 」
「城人が犯罪起こしたってなると世間体悪いでしょ?」
シズは自分ののドッペルゲンガーも世間体が悪いから、シズのいた世界に逃げるように誰かに促されたのだろうかと考えた。
「で、もう一人はインデッセが捜してる」
シズがページをめくる。
「うおっ! 」
「え、何カンダ? 」
「え、いや、変な前髪だなって」
「確かにね。けどこんなんで驚いちゃ四局やっていけないよ? 」
カラミンがからかうように笑ってきたが、シズはどうでもよかった。その手配書に写っていたのは少し若い時のだが、まぎれもないコーネス・カーネスだった。興奮する気持ちをシズは抑え込む。
「この人は、何をしたんですか? 」
シズがなんてことないように聞く。
「なんか王族に関わる人間を誘拐したらしいよ」
誘拐。カーネスはインデッセの王族の誰かの『コイン』を入れ替えたのだろうかと、シズは考えた。
「けどこいつもう十年ぐらいここに載っている」
「十年も? こんな派手な見た目なのにですか? 」
カザンが驚けばカラミンは笑った。
「そうだよ。この十年、城人は誰もこいつの姿を見たこともないらしいよ。もしかしたら死んでるかもね」
「生きてますよ」
二人がシズを見る。シズは口が滑った。
「しぶとそうな顔してるじゃないですか、こいつ」
誤魔化し笑いをしながら、シズはカーネスの写真を見下ろした。
「まあ化け物みたいな見た目だからね、生命力はありそうだ」
「そうですよ」
ヨンキョクになったのは間違いなかった。この道はあっていた。帰る手がかりが何も掴めていないのに今この手配書に巡り会ったことがシズをそう思わせた。絶対に捕まえてやる。捕まえて一発蹴り飛ばしてやる、カーネス。シズはそう自分に誓った。
エレベーターに乗ると、カラミンさんは操作人に頼んだ。エレベーターは上昇する。
「機密手配書はね七階の資料室にあるんだよ。七局と八局が見ることがあるからね」
「あの、機密手配書って何ですか? 」
カザンが尋ねる。エレベーターは七階に着き、ドアがジャラジャラと開き廊下へ出た。
「そのままだよ。手配書だ。機密手配書の人物の目撃情報があったら、他国であろうとすぐさま手配した国の四局はそこに向かうことができる。そして目撃情報があった国もその捜査に絶対協力しなければならない。通常の手配人なら他国に捜査いくのにも手続きやら許可がいるんだ。手配人を自国に連れて行くにも手続きがいる。それが機密手配人の場合はないんだ。捕まえれたら手配していた国は無許可でその手配人を自国に連れていける。他にも色々違いはあるけど、特に覚えなくていいよ」
ややこしいなとシズはげんなりする。
「それと、通常の手配書と違って外に張り出されたりしない。一部の局員しか見ることを許されない。顔覚えて見回りする時に意識してね」
カラミンは指で鍵を回しながら説明してくれる。
「そもそも何で手配書に機密なんかあるんっすか?表に張り出さなきゃ意味なくないですか?」
シズが尋ねる。なぜわざわざ一部の人間しか見れないようにするのか分からない。
「それなりの地位の人が何らかの理由で捜してください、できるだけ内密にっていう場合が多いからね」
「それって権力使ってパシられてるってことじゃないですか? 」
「カンダちゃん、お口に気を付けて。どこで誰が聞いてるか分からないんだから」
「すんません」
シズはいつもの視線を感じ立ち止まり、振り返る。だが、後ろには誰もいなかった。この階はセドニがいる七局がある。やっぱりあいつか? とシズはモヤモヤする。
「カンダ! 何してるの! 」
資料室の鍵を開けたカラミンにシズは呼ばれ、慌てて返事をして資料室に戻った。カラミンは棚の鍵をまた開けて、ファイルを出した。
「一冊しかないから、順番に見て。現状二人しかいないから」
「カンダさん、先にどうぞ」
「おお」
ファイルを受け取り椅子に座ると表紙を開いた。そこには三十代ぐらいの男が写っていた。ああ、そいつは、とカラミンさんが説明した。
「オードの城人。なんかオード王のいとこの寝室から宝石やら盗んだらしい」
「なんで内密に捜してるんですか? 」
「城人が犯罪起こしたってなると世間体悪いでしょ?」
シズは自分ののドッペルゲンガーも世間体が悪いから、シズのいた世界に逃げるように誰かに促されたのだろうかと考えた。
「で、もう一人はインデッセが捜してる」
シズがページをめくる。
「うおっ! 」
「え、何カンダ? 」
「え、いや、変な前髪だなって」
「確かにね。けどこんなんで驚いちゃ四局やっていけないよ? 」
カラミンがからかうように笑ってきたが、シズはどうでもよかった。その手配書に写っていたのは少し若い時のだが、まぎれもないコーネス・カーネスだった。興奮する気持ちをシズは抑え込む。
「この人は、何をしたんですか? 」
シズがなんてことないように聞く。
「なんか王族に関わる人間を誘拐したらしいよ」
誘拐。カーネスはインデッセの王族の誰かの『コイン』を入れ替えたのだろうかと、シズは考えた。
「けどこいつもう十年ぐらいここに載っている」
「十年も? こんな派手な見た目なのにですか? 」
カザンが驚けばカラミンは笑った。
「そうだよ。この十年、城人は誰もこいつの姿を見たこともないらしいよ。もしかしたら死んでるかもね」
「生きてますよ」
二人がシズを見る。シズは口が滑った。
「しぶとそうな顔してるじゃないですか、こいつ」
誤魔化し笑いをしながら、シズはカーネスの写真を見下ろした。
「まあ化け物みたいな見た目だからね、生命力はありそうだ」
「そうですよ」
ヨンキョクになったのは間違いなかった。この道はあっていた。帰る手がかりが何も掴めていないのに今この手配書に巡り会ったことがシズをそう思わせた。絶対に捕まえてやる。捕まえて一発蹴り飛ばしてやる、カーネス。シズはそう自分に誓った。
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