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学校編
進路
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春が来た。初夏の香りがしてくる五月、シズ達には将来を決める時が来た。とはいってもアカクラスには関係ない。アカクラスは全員四局行きだ。五月が始まり、一週間で担当教官と面談し進路表を提出する。
「いーねー。アカクラスは呑気でねー」
昼に学校の食堂でマッシュの嫌味。これが週三である。シズはもういい加減飽きた。無視してバゲットに齧りつく。蓮根とスモークチキンの上にたっぷりチーズ。最近できた新メニューにシズはハマっている。
「僕らはね将来の選択肢が沢山あるからもう夜も寝られないよ」
「じゃあ今寝れば」
「何を言っているんだ。今は昼食の時間だろう? 」
ラリマに嫌味は通じなかった。ラリマのトレーにはフーメンの大盛りが乗っている。寝れなくても食欲はあるらしい。シズは麺伸びるぞと思う。
「ラリマはどこの局に行くつもりなの? 」
アシスが親切心で聞いてやっていた。するとラリマは鼻で笑った。
「知りたいのかい?けどまあまだ悩んでるからね。どうでもいい奴らにベラベラ話したくはないんだよ」
アシスがボキボキ指を鳴らした。
「潰してやろうかしら?」
「いや、スライスにしろ。そして缶詰にして売ろうぜ」
シズがにやにやする。
「そんなの売ったってすぐ返品だろ」
リョークもにやにやする。ラリマは顔を真っ赤にして怒った。
「もう君達みたいな失礼な奴らに教えるものか! 」
どしどし歩いて、ラリマはどっかに行った。
「別に知りたくねぇっての」
リョークが鼻を鳴らす。
「あまりからかうなよ。ここ卒業しても同じ城で働くんだから」
リゴが宥める。
「リゴはどこの局にするか決めたの?」
アシスが聞く。
「俺は六局にするよ」
六局は環境局。国民局で一番大所帯。
「三局と悩んだけど、福祉系のほうが俺に合ってるかなって」
「うん。似合ってる」
アシスが言えばリョークとシズが全力で同意する。
「俺よりもバリミアは?一昨日授業で会った時まだ悩んでるようだったよ」
リゴが言った。
「大丈夫か?あいつ。今週でもう決めないといけないんだぞ」
リョークが心配そうに言った。バゲット片手にバリミアが司法の本を読んでたことをシズは思い出した。
「バリミアは八局じゃねぇの?」
「私一局にすることにしたわ」
その日の夜、シズ達の部屋に来たバリミアが報告をしに来た。
「シズの予想外れたね」
アシスがベッドに片膝ついて寝っ転がったまま、シズを横目で見た。ランニングから帰ってきたばっかりのシズはドリンクを飲みながら自分の椅子に座った。
「またなんで一局なんだよ」
バリミアは腕を組みながらアシスの椅子に座った。アシスは身体を起こした。
「色々調べてたの。それで分かったのよ」
「なにが?」
シズが聞く。
「一局に行ったほうがモテるのよ」
シズとアシスは無言のままバリミアを見つめた。
「二局や七局みたいな花形行ってバリバリ働くのもカッコいいと思うわよ。八局長も唯一女でそういうの目指すのもアリかなって考えたんだけどね。やっぱりいい男見つけたいなって。一局に務めていた女性って辞めるのほぼ寿退社なんだって!しかもほぼみんな相手いいのよ!私って結構顔良い方でしょ。そっちで上目指そうかなって」
ああ、カケルだ。シズは久しぶりにバリミアとカケルを重ねた。昔、シズがカケルに不良になった理由を聞いたら、
「小六の時好きな女の子がよ、不良漫画にハマってて。それで喧嘩はじめた。そしたら超モテ始めてよ!そりゃあ真面目な賢い男もカッコいいと思うぜ?でもやっぱさ、胸が大きくてグラマラスな女はだいたいスリルを求めてるんだよ。スリルとセクシーを求めてるんだよ。ほら俺、全てがセクシーゾーンみたいな?女もセクシーゾーンにしちゃう的な?それに俺って結構顔良い方だろう?もう天下獲れるなって不良なったんだよ」
と言った。思い出してもシズはカケルの方は何言ってるか八割分からなかった。
「金持ちと結婚したら結婚式で美味しい物出してね」
アシスが頼む。
「出す出す。もう普段食べられないものをじゃんじゃか出すわよ!アシス」
まだ城人にもなってないのに結婚で盛り上がる二人を見ながら、シズは首席の顔が浮かんだ。
「アザムは二局と七局どっち行くんだろうな」
「セドニ教官のお気に入りだから七局じゃない?」
「もしかしたら九局かもよ」
アシスが呟いた。九局は監察。
「あいつ、明日の九局面接選ばれてるでしょ」
九局面接とは、九局局長指名の元行われる面接である。言うならばスカウトしにくる。
「それならカザンもよね?カザン行きそうじゃない?」
ありえるかもしれない、とシズは思う。九十七期生の悲劇が国によってもみ消されたとするなら城内部にそのことを知っている人間がいる。監察の方が探りやすいかもしれない。
「けど監察は煙たがれるからね。味方を疑う訳だから。まあ、カザンもアザムも図太そうだからいけそうだけどね」
バリミアが笑う。
「あの二人が監察って想像しただけでなんか嫌だな」
アシスが呟いて、シズは想像する。死ぬほどムカつくってことだけはすぐ予想が付いた。
「いーねー。アカクラスは呑気でねー」
昼に学校の食堂でマッシュの嫌味。これが週三である。シズはもういい加減飽きた。無視してバゲットに齧りつく。蓮根とスモークチキンの上にたっぷりチーズ。最近できた新メニューにシズはハマっている。
「僕らはね将来の選択肢が沢山あるからもう夜も寝られないよ」
「じゃあ今寝れば」
「何を言っているんだ。今は昼食の時間だろう? 」
ラリマに嫌味は通じなかった。ラリマのトレーにはフーメンの大盛りが乗っている。寝れなくても食欲はあるらしい。シズは麺伸びるぞと思う。
「ラリマはどこの局に行くつもりなの? 」
アシスが親切心で聞いてやっていた。するとラリマは鼻で笑った。
「知りたいのかい?けどまあまだ悩んでるからね。どうでもいい奴らにベラベラ話したくはないんだよ」
アシスがボキボキ指を鳴らした。
「潰してやろうかしら?」
「いや、スライスにしろ。そして缶詰にして売ろうぜ」
シズがにやにやする。
「そんなの売ったってすぐ返品だろ」
リョークもにやにやする。ラリマは顔を真っ赤にして怒った。
「もう君達みたいな失礼な奴らに教えるものか! 」
どしどし歩いて、ラリマはどっかに行った。
「別に知りたくねぇっての」
リョークが鼻を鳴らす。
「あまりからかうなよ。ここ卒業しても同じ城で働くんだから」
リゴが宥める。
「リゴはどこの局にするか決めたの?」
アシスが聞く。
「俺は六局にするよ」
六局は環境局。国民局で一番大所帯。
「三局と悩んだけど、福祉系のほうが俺に合ってるかなって」
「うん。似合ってる」
アシスが言えばリョークとシズが全力で同意する。
「俺よりもバリミアは?一昨日授業で会った時まだ悩んでるようだったよ」
リゴが言った。
「大丈夫か?あいつ。今週でもう決めないといけないんだぞ」
リョークが心配そうに言った。バゲット片手にバリミアが司法の本を読んでたことをシズは思い出した。
「バリミアは八局じゃねぇの?」
「私一局にすることにしたわ」
その日の夜、シズ達の部屋に来たバリミアが報告をしに来た。
「シズの予想外れたね」
アシスがベッドに片膝ついて寝っ転がったまま、シズを横目で見た。ランニングから帰ってきたばっかりのシズはドリンクを飲みながら自分の椅子に座った。
「またなんで一局なんだよ」
バリミアは腕を組みながらアシスの椅子に座った。アシスは身体を起こした。
「色々調べてたの。それで分かったのよ」
「なにが?」
シズが聞く。
「一局に行ったほうがモテるのよ」
シズとアシスは無言のままバリミアを見つめた。
「二局や七局みたいな花形行ってバリバリ働くのもカッコいいと思うわよ。八局長も唯一女でそういうの目指すのもアリかなって考えたんだけどね。やっぱりいい男見つけたいなって。一局に務めていた女性って辞めるのほぼ寿退社なんだって!しかもほぼみんな相手いいのよ!私って結構顔良い方でしょ。そっちで上目指そうかなって」
ああ、カケルだ。シズは久しぶりにバリミアとカケルを重ねた。昔、シズがカケルに不良になった理由を聞いたら、
「小六の時好きな女の子がよ、不良漫画にハマってて。それで喧嘩はじめた。そしたら超モテ始めてよ!そりゃあ真面目な賢い男もカッコいいと思うぜ?でもやっぱさ、胸が大きくてグラマラスな女はだいたいスリルを求めてるんだよ。スリルとセクシーを求めてるんだよ。ほら俺、全てがセクシーゾーンみたいな?女もセクシーゾーンにしちゃう的な?それに俺って結構顔良い方だろう?もう天下獲れるなって不良なったんだよ」
と言った。思い出してもシズはカケルの方は何言ってるか八割分からなかった。
「金持ちと結婚したら結婚式で美味しい物出してね」
アシスが頼む。
「出す出す。もう普段食べられないものをじゃんじゃか出すわよ!アシス」
まだ城人にもなってないのに結婚で盛り上がる二人を見ながら、シズは首席の顔が浮かんだ。
「アザムは二局と七局どっち行くんだろうな」
「セドニ教官のお気に入りだから七局じゃない?」
「もしかしたら九局かもよ」
アシスが呟いた。九局は監察。
「あいつ、明日の九局面接選ばれてるでしょ」
九局面接とは、九局局長指名の元行われる面接である。言うならばスカウトしにくる。
「それならカザンもよね?カザン行きそうじゃない?」
ありえるかもしれない、とシズは思う。九十七期生の悲劇が国によってもみ消されたとするなら城内部にそのことを知っている人間がいる。監察の方が探りやすいかもしれない。
「けど監察は煙たがれるからね。味方を疑う訳だから。まあ、カザンもアザムも図太そうだからいけそうだけどね」
バリミアが笑う。
「あの二人が監察って想像しただけでなんか嫌だな」
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