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学校編
ベグテクタ王都ジルコン
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列車で数時間。座りっぱなしのお尻は痛く、肩も凝った。晴天に恵まれた日、記念すべきアベンチュレ青少年学校百期生の私達はベグテクタの地に降り立った。ベグテクタの王都ジルコンの駅のホームでトランク片手に、シズは両手を天にあげて背伸びする。
「やっと着いた! 今何時? 」
シズが聞く。
「四時を過ぎたところだよ」
リゴが腕時計を見て教えた。朝五時前にペタの駅を出発したから、十一時間乗っていたことになる。
「隣のくせに遠いな」
「ジルコンは国境超えてすぐだからまだ近いもんよ。オードの王都に行こうものなら一週間はかかるわよ」
愚痴ればバリミアにそう言われ、シズはオードには行きたくないなと心底思った。アシスからは地元のレメに帰るにはジルコンに行く以上かかると聞いて思ったよりこの世界は広いなとシズは思った。
駅を出ると宿まで歩く。ベグテクタ城に行くのは明日だった。ジルコンはペタのようなカラフルな街並みではなく、道も建物もレンガ造りだった。けれど、家のドアはそれぞれ違いカラフルでそれがペタと同じように住所になっているようだった。
宿に着くと六時半の夕食まで休憩になった。寮と同じくアシスと同室だ。シズはトランクを床に放り投げるとベッドにダイブした。
「疲れたー。十時間以上じっとしてるなら、十時間以上走った方がマシだぜ」
「絶対座ってる方がマシよ」
アシスは冷静に返してきながら荷物整理を始めた。
「それに研修って行っても他国に旅行じゃない。しかもタダで。ラッキーよ」
「……そうだな」
無事に日本に帰れた時、シズはここでのことを長い旅行だったとか思ったにするのだろうかと、想像した。異世界旅行記。そんな小説書くのも悪くないかもしれない。
「何にやにやしてるのよ」
「別に」
シズがこの世界に来て約九か月になる。これといった帰る手がかりをまだ見つけられていない。それでもまだシズは帰ることに楽観的になれた。
ベグテクタは特に野菜と果物の産地らしく、野菜が美味だった。蒸し野菜は感動ものだった。もちろん肉も沢山食べた。デザートのフルーツ盛り合わせを食べながらバリミアが三日目の自由行動はスイーツ巡りをしようと観光ブックに付箋を貼ったページをしつこく、シズに見せてきた。シズはよく分からない甘酸っぱい果実を頬張りながらうんうんと頷いていた。
夕食のあと少し休憩して、シズは走りに出かけた。他国に来ても、シズは見られていた。土地感のない所で、揉めたらどうしようもない。シズはランニングは早めに切り上げた。
宿の一階でフルーツジュースが売られていた。それを一つ買い、シズは部屋に戻ろうとすると廊下の椅子にカザンが座っていたのを見つけた。その前を通り過ぎようとすると「カンダさん」と呼び止められた。カザンは立ち上がると上を指さす。
「少し屋上に行きましょう」
屋上に行くと見晴らしのいい場所だった。ここではシズもさすがに視線は感じない。月と星以外には見られていない。カザンは柵までいくとそこに肘を置いた。
「兄がアルガー塾生だったことは前に話しましたよね」
「ああ、聞いた」
シズは柵を背にすると地べたに座った。フルーツジュースをストローで吸い込む。
「そのアルガー塾をひとり途中で辞めた人がいるんです。名前はルバ・ソー。孤児院出身でした」
「そのルバ・ソーはなんで塾を辞めたんだ? 」
カザンは分かりませんと首を振った。
「けれど彼は自力でアオクラスに入りました。そしてあの事故で死んだ事になっています」
「死んだ事?」
「僕は彼が死んでいないと思っています」
「けど、遺体は全員分あったんだろ?」
「数が合っただけです。ルバの遺体の確認をしたのは孤児院の院長です。その院長と話すことがあって、ルバの話になりました。院長は自分がルバだと確認した遺体が、ルバだったかいまだに自信がないと言っていました」
「どういうことだ?」
「院長が通された部屋には二人の遺体があったようです。その両方とも、顔が潰れていたようです」
「やっと着いた! 今何時? 」
シズが聞く。
「四時を過ぎたところだよ」
リゴが腕時計を見て教えた。朝五時前にペタの駅を出発したから、十一時間乗っていたことになる。
「隣のくせに遠いな」
「ジルコンは国境超えてすぐだからまだ近いもんよ。オードの王都に行こうものなら一週間はかかるわよ」
愚痴ればバリミアにそう言われ、シズはオードには行きたくないなと心底思った。アシスからは地元のレメに帰るにはジルコンに行く以上かかると聞いて思ったよりこの世界は広いなとシズは思った。
駅を出ると宿まで歩く。ベグテクタ城に行くのは明日だった。ジルコンはペタのようなカラフルな街並みではなく、道も建物もレンガ造りだった。けれど、家のドアはそれぞれ違いカラフルでそれがペタと同じように住所になっているようだった。
宿に着くと六時半の夕食まで休憩になった。寮と同じくアシスと同室だ。シズはトランクを床に放り投げるとベッドにダイブした。
「疲れたー。十時間以上じっとしてるなら、十時間以上走った方がマシだぜ」
「絶対座ってる方がマシよ」
アシスは冷静に返してきながら荷物整理を始めた。
「それに研修って行っても他国に旅行じゃない。しかもタダで。ラッキーよ」
「……そうだな」
無事に日本に帰れた時、シズはここでのことを長い旅行だったとか思ったにするのだろうかと、想像した。異世界旅行記。そんな小説書くのも悪くないかもしれない。
「何にやにやしてるのよ」
「別に」
シズがこの世界に来て約九か月になる。これといった帰る手がかりをまだ見つけられていない。それでもまだシズは帰ることに楽観的になれた。
ベグテクタは特に野菜と果物の産地らしく、野菜が美味だった。蒸し野菜は感動ものだった。もちろん肉も沢山食べた。デザートのフルーツ盛り合わせを食べながらバリミアが三日目の自由行動はスイーツ巡りをしようと観光ブックに付箋を貼ったページをしつこく、シズに見せてきた。シズはよく分からない甘酸っぱい果実を頬張りながらうんうんと頷いていた。
夕食のあと少し休憩して、シズは走りに出かけた。他国に来ても、シズは見られていた。土地感のない所で、揉めたらどうしようもない。シズはランニングは早めに切り上げた。
宿の一階でフルーツジュースが売られていた。それを一つ買い、シズは部屋に戻ろうとすると廊下の椅子にカザンが座っていたのを見つけた。その前を通り過ぎようとすると「カンダさん」と呼び止められた。カザンは立ち上がると上を指さす。
「少し屋上に行きましょう」
屋上に行くと見晴らしのいい場所だった。ここではシズもさすがに視線は感じない。月と星以外には見られていない。カザンは柵までいくとそこに肘を置いた。
「兄がアルガー塾生だったことは前に話しましたよね」
「ああ、聞いた」
シズは柵を背にすると地べたに座った。フルーツジュースをストローで吸い込む。
「そのアルガー塾をひとり途中で辞めた人がいるんです。名前はルバ・ソー。孤児院出身でした」
「そのルバ・ソーはなんで塾を辞めたんだ? 」
カザンは分かりませんと首を振った。
「けれど彼は自力でアオクラスに入りました。そしてあの事故で死んだ事になっています」
「死んだ事?」
「僕は彼が死んでいないと思っています」
「けど、遺体は全員分あったんだろ?」
「数が合っただけです。ルバの遺体の確認をしたのは孤児院の院長です。その院長と話すことがあって、ルバの話になりました。院長は自分がルバだと確認した遺体が、ルバだったかいまだに自信がないと言っていました」
「どういうことだ?」
「院長が通された部屋には二人の遺体があったようです。その両方とも、顔が潰れていたようです」
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