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学校編
十二年戦争について
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「ラスト五分!」
アカクラス担任セッシサン教官の声がグラウンドに響く。照り付ける太陽。邪魔臭い程に流れる汗。アカクラスはひたすらトラックを走り続ける。
授業が始まり、アカクラスの実技の授業は体力づくりから始まった。普通の授業で武術論の講義は受けているが、実践はまだ少し先だそうだ。
「走るばっかじゃなくてさ、実践早くしてぇよな」
授業終わり教室に戻りながらリョークがぼやいた。シズ達はとにかく毎日走るか筋トレだった。
「警棒の訓練とかさ! かっこいいじゃん! な、カンダ」
「棒とか使うの得意じゃねぇ」
喧嘩をする時にカケルから金属バットとか鉄パイプをシズは持たされたが、だいたい気が付けば投げ捨てて蹴り飛ばしていた。
「道具ぐらい使えるようにしたらどうですか?女性なんですから」
カザンが通り過ぎていく。その背中をシズは睨んだ。
「あいつ女に恨みでもあるのかしら」
アシスが言えば、リョークは苦笑した。
「女に苦労したことあるんじゃねぇの?」
「例えば?」
アシスの質問にリョークは考え、
「こっぴどく振られたとか」
ろ、言った。
「それはかわいそうに」
シズは適当に言って、タオルで顔を拭く。
午後からは歴史の講義でアオとキイロクラスも一緒だった。キイロクラス担当のサンス教官の授業だ。眼鏡をかけた人当たりのいい先生だった。
「今日は十二年戦争についてします。有名な話ですがテストに出すのでしっかり聞いてください」
教科書とノートを広げ、シズはペンを握る。周りにとっては当たり前でも、シズには全然分からない。単位を落とすわけにはいかない。城人になるためでもあるが、「三点」を挽回せねばと、シズは気合を入れていた。
「十二年戦争と呼ばれていますが、十二年間戦争をしていたわけではありません。戦争の始まりつまりきっかけが終戦の十二年前にあるからです。そのきっかけとは何でしょう?」
マッシュ頭のラリマが手を上げた。
「はい。ラリマ君」
「インデッセに神が存在することが判明したからです」
さも当たり前だという口調でラリマが述べた。サンス教官は正解ですと言って黒板に「インデッセ」と書いた。インデッセはアベンチュレの北隣の国だ。
「教科書の右上に絵がありますね」
促され教科書には「空を飛ぶ神」という説明が添えられていた。神と呼ばれるそれはほぼ龍だった。白い長い龍だった。
「絵は白いですが、見る人によって神の色は違ったそうです。黒、赤、まさに様々な色で見られていたそうです。その見える色がその人自身の魂の色とインデッセでは考えられていました」
なんか神様ぽいなとシズは思う。
「世界的にこの当時、神というのはあくまで仮想のものでした。実在はしているかもしれないが、実際に目視できるとは考えられていませんでした。その見えない存在を信仰する集団も多々存在しました」
シズの知ってる神様ぽい話になった。
「しかしインデッセは仮想ではなく実在する誰の目からも認められるものを神として崇めだしました。その神は神と認めるほど大きな力を持っていた。そのことを隣国である我がアベンチュレは危惧します。その力で国を脅かされるかもしれない、神と渡り合える力をアベンチュレは当然ながら持っていませんでした」
サンス教官は「インデッセ」の隣に「アベンチュレ」と書き、その下に「ベグテクタ」「オード」と書いた。
「同じ頃、ベグテクタとオードの関係はあまり良いものではありませんでした。ベグテクタとオードの国境付近には銀が産出する鉱山がありました。その鉱山を見つけたのはベグテクタで穴を掘り進めると国境を越えてオードの領地に入ってしまった。オードは難色を示しましたが、ベグテクタは聞く耳を持ちませんでした。しばらくしてその銀山とそう遠くないところに金山を今度はオードが見つけました。するとベグテクタは自分達が銀山を見つけたから金山も見つかったのだから金山半分譲れと言ってきたのです」
せこいな、ベグテクタとシズは思う。
アカクラス担任セッシサン教官の声がグラウンドに響く。照り付ける太陽。邪魔臭い程に流れる汗。アカクラスはひたすらトラックを走り続ける。
授業が始まり、アカクラスの実技の授業は体力づくりから始まった。普通の授業で武術論の講義は受けているが、実践はまだ少し先だそうだ。
「走るばっかじゃなくてさ、実践早くしてぇよな」
授業終わり教室に戻りながらリョークがぼやいた。シズ達はとにかく毎日走るか筋トレだった。
「警棒の訓練とかさ! かっこいいじゃん! な、カンダ」
「棒とか使うの得意じゃねぇ」
喧嘩をする時にカケルから金属バットとか鉄パイプをシズは持たされたが、だいたい気が付けば投げ捨てて蹴り飛ばしていた。
「道具ぐらい使えるようにしたらどうですか?女性なんですから」
カザンが通り過ぎていく。その背中をシズは睨んだ。
「あいつ女に恨みでもあるのかしら」
アシスが言えば、リョークは苦笑した。
「女に苦労したことあるんじゃねぇの?」
「例えば?」
アシスの質問にリョークは考え、
「こっぴどく振られたとか」
ろ、言った。
「それはかわいそうに」
シズは適当に言って、タオルで顔を拭く。
午後からは歴史の講義でアオとキイロクラスも一緒だった。キイロクラス担当のサンス教官の授業だ。眼鏡をかけた人当たりのいい先生だった。
「今日は十二年戦争についてします。有名な話ですがテストに出すのでしっかり聞いてください」
教科書とノートを広げ、シズはペンを握る。周りにとっては当たり前でも、シズには全然分からない。単位を落とすわけにはいかない。城人になるためでもあるが、「三点」を挽回せねばと、シズは気合を入れていた。
「十二年戦争と呼ばれていますが、十二年間戦争をしていたわけではありません。戦争の始まりつまりきっかけが終戦の十二年前にあるからです。そのきっかけとは何でしょう?」
マッシュ頭のラリマが手を上げた。
「はい。ラリマ君」
「インデッセに神が存在することが判明したからです」
さも当たり前だという口調でラリマが述べた。サンス教官は正解ですと言って黒板に「インデッセ」と書いた。インデッセはアベンチュレの北隣の国だ。
「教科書の右上に絵がありますね」
促され教科書には「空を飛ぶ神」という説明が添えられていた。神と呼ばれるそれはほぼ龍だった。白い長い龍だった。
「絵は白いですが、見る人によって神の色は違ったそうです。黒、赤、まさに様々な色で見られていたそうです。その見える色がその人自身の魂の色とインデッセでは考えられていました」
なんか神様ぽいなとシズは思う。
「世界的にこの当時、神というのはあくまで仮想のものでした。実在はしているかもしれないが、実際に目視できるとは考えられていませんでした。その見えない存在を信仰する集団も多々存在しました」
シズの知ってる神様ぽい話になった。
「しかしインデッセは仮想ではなく実在する誰の目からも認められるものを神として崇めだしました。その神は神と認めるほど大きな力を持っていた。そのことを隣国である我がアベンチュレは危惧します。その力で国を脅かされるかもしれない、神と渡り合える力をアベンチュレは当然ながら持っていませんでした」
サンス教官は「インデッセ」の隣に「アベンチュレ」と書き、その下に「ベグテクタ」「オード」と書いた。
「同じ頃、ベグテクタとオードの関係はあまり良いものではありませんでした。ベグテクタとオードの国境付近には銀が産出する鉱山がありました。その鉱山を見つけたのはベグテクタで穴を掘り進めると国境を越えてオードの領地に入ってしまった。オードは難色を示しましたが、ベグテクタは聞く耳を持ちませんでした。しばらくしてその銀山とそう遠くないところに金山を今度はオードが見つけました。するとベグテクタは自分達が銀山を見つけたから金山も見つかったのだから金山半分譲れと言ってきたのです」
せこいな、ベグテクタとシズは思う。
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