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エピローグ
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本来であれば落ち着いてきた頃にこの事件のエピローグを長々と語りたいところだったのだが、今の俺にはそんな悠長な時間がないのでこの場では端的にまとめさせてもらおうと思う。
あの後の事であるが、ユウキはと言うとJDさんの機関に宮之阪のメモ帳ごと引き取られていった。曰く、Kについて知り過ぎただとか。
ヤクザのシノギが法律に引っかかっていると気付いてしまった情報屋が海にコンクリート詰めで沈められる時の様な理由だな。まあ、当然と言っちゃあ当然だな。
んで、俺の事ではあるが。
俺は一つの学校を震撼させた「爆破テロリスト」という事になっているはずだった。事実、爆破はしたからな。まあ、はずだったと言うからには、実際はなっていないわけだ。だからと言って、夏休みが開けても普通に学校に通えているわけでもないんだがな。
ユウキと同じだ。JDさんの機関にほとぼりが冷めるまで預けられる事となった。まあ、Kにあまりに深くかかわり過ぎたし、K側に俺の事がバレてる可能性がかなり高いからな。
今はその準備中というわけだ。いろいろと厄介な誓約書だったりに目を通したりサインするのに必死で、事件をゆっくり振り返る暇もない。
俺の妹については事情を察してくれたのかJDさんは何も触れず、今も隣の部屋でのうのうと人間のふりをして明日から始まる二学期の準備をしている。もちろん、JDさんの要監視付きではあるが。
矢継ぎ早に話したが、以上だ。
あ、そう言えば。
『―――――宮之阪カエデの妹さんを殺したのは星ヶ丘ユウキじゃなかったみたいよ』
あの後、少ししてユウキの事情聴取雨が終わった頃だろうか、電話越しにJDさんにそんな事を言われた。
だとすれば、俺の推理は間違っていたわけだ。
宮之阪の妹が偽者だと知っていたのは俺とユウキ、そして宮之阪だった。
そして、宮之阪が死んじまった後に宮之阪妹が首を吊って死んだ。だから、俺はユウキが生きていると思ったわけだ。
だが、ユウキは宮之阪妹を殺していなかった。
俺は殺していない。ということは―――――。
「……。」
……どういう事だ?
まあ、今回の事件も俺は実際に行動に移しただけで推理も戦闘も特にしていない操り人形みたいなもんだったわけだし、俺がこれ以上あれこれ考えても一つの真実なんて見えてこないだろう。
さて、直近の予定ではあるが、これから俺は妹に協力してもらってアリバイ工作に取り掛からねばならない。というのも、ユウキと同じ方法を使って俺の偽者の死体を学校に吊るし、死んだことにしておくのだ。所謂、「都合がいい」というやつだ。あのあほ面には悪いがな。
それから俺は必要書類を封筒に入れると、妹の部屋へと向かった。偽者を造るところを見してもらうためである。
そして、目の当たりにする事になる。この世界にもアニメや漫画でしか見た事がないファンタジー顔負けの魔法じみた何かが存在している事を。
だから、もう一人の俺を造り終え、少し疲弊している妹に俺は言った。
「…… 疲れてるところすまんが、ペンで俺の背中に名前を書いてはくれないか?」
第一章 変わり者のすくう学校 完
あの後の事であるが、ユウキはと言うとJDさんの機関に宮之阪のメモ帳ごと引き取られていった。曰く、Kについて知り過ぎただとか。
ヤクザのシノギが法律に引っかかっていると気付いてしまった情報屋が海にコンクリート詰めで沈められる時の様な理由だな。まあ、当然と言っちゃあ当然だな。
んで、俺の事ではあるが。
俺は一つの学校を震撼させた「爆破テロリスト」という事になっているはずだった。事実、爆破はしたからな。まあ、はずだったと言うからには、実際はなっていないわけだ。だからと言って、夏休みが開けても普通に学校に通えているわけでもないんだがな。
ユウキと同じだ。JDさんの機関にほとぼりが冷めるまで預けられる事となった。まあ、Kにあまりに深くかかわり過ぎたし、K側に俺の事がバレてる可能性がかなり高いからな。
今はその準備中というわけだ。いろいろと厄介な誓約書だったりに目を通したりサインするのに必死で、事件をゆっくり振り返る暇もない。
俺の妹については事情を察してくれたのかJDさんは何も触れず、今も隣の部屋でのうのうと人間のふりをして明日から始まる二学期の準備をしている。もちろん、JDさんの要監視付きではあるが。
矢継ぎ早に話したが、以上だ。
あ、そう言えば。
『―――――宮之阪カエデの妹さんを殺したのは星ヶ丘ユウキじゃなかったみたいよ』
あの後、少ししてユウキの事情聴取雨が終わった頃だろうか、電話越しにJDさんにそんな事を言われた。
だとすれば、俺の推理は間違っていたわけだ。
宮之阪の妹が偽者だと知っていたのは俺とユウキ、そして宮之阪だった。
そして、宮之阪が死んじまった後に宮之阪妹が首を吊って死んだ。だから、俺はユウキが生きていると思ったわけだ。
だが、ユウキは宮之阪妹を殺していなかった。
俺は殺していない。ということは―――――。
「……。」
……どういう事だ?
まあ、今回の事件も俺は実際に行動に移しただけで推理も戦闘も特にしていない操り人形みたいなもんだったわけだし、俺がこれ以上あれこれ考えても一つの真実なんて見えてこないだろう。
さて、直近の予定ではあるが、これから俺は妹に協力してもらってアリバイ工作に取り掛からねばならない。というのも、ユウキと同じ方法を使って俺の偽者の死体を学校に吊るし、死んだことにしておくのだ。所謂、「都合がいい」というやつだ。あのあほ面には悪いがな。
それから俺は必要書類を封筒に入れると、妹の部屋へと向かった。偽者を造るところを見してもらうためである。
そして、目の当たりにする事になる。この世界にもアニメや漫画でしか見た事がないファンタジー顔負けの魔法じみた何かが存在している事を。
だから、もう一人の俺を造り終え、少し疲弊している妹に俺は言った。
「…… 疲れてるところすまんが、ペンで俺の背中に名前を書いてはくれないか?」
第一章 変わり者のすくう学校 完
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