32 / 59
#005
俺の妹2
しおりを挟む
多分宝くじの一等が当たった次の日、あるいは自分の彼女が実は会社の上司の妻だったっていう秘密を知った次の日というのはたぶんこんな感じなんだろうな。地に足が着いていないような心地で、身体の指先まで感覚がないみたいだ。
あまりに大きな秘め事は人間を極端に臆病にさせる。今の俺もそうであり、普通に登校しているだけなのにスクールバッグに一億円を入れて運んでいるような気分だった。もし今後ろから突然「わっ!」と驚かされたら俺は背後に置かれていたキュウリに気付いた瞬間の猫のように飛び上がる自信がある。
その服の内ポケットに爆弾を抱えているような緊張は放課後、宮之阪と話すまで続いた。授業中なんてずっとトイレに行きたいソワソワした感じが続いて地獄だったぜ。
右から左へと流れていくだけの授業を全て受け終え、メールで呼び出した宮之阪と下足場で合流した俺はこの時間人の多いファミレスを選んで入ると、宮之阪の分も含めて二つのコーヒーを頼んでから話を切り出した。言うまでもない、内容は昨日の一件の事だ。
まぁ、俺が今もまだこうして自分であり続けているから身体には何事も無かったと言える。が、しかし、心身共にとは言えないな。
俺はそれを表情に表さないように言った。
「……俺の妹はKじゃあなかった」
もちろん嘘だ。
俺の妹はKである。それは紛いもない事実だった。何せこの目で確認したんだからな。今もトラウマとなって俺の脳裏に焼き付いている。忘れたくても忘れられないぜ。
だが、俺は宮之阪に事の経緯を説明しつつ、昨日の事を思い出していた。
「……お、おっす、兄ちゃんの部屋に何か用か?」
俺の口から咄嗟に出た言葉だった。
しかし、俺の妹―――――正確には妹だったやつは返事のひとつも寄越さずにしばらく黙っていた。兄妹水入らずだというのに、この部屋の空気は肌を刺すようにピリピリとしている。
動けばヤられる。その空気だけがヒシヒシと背中側から伝わってきていた。
逃走しようとは思わなかった。多分出来ないし、仮に出来たとしてもKの中で俺の情報を共有されて死ぬまで追いかけられることになるだろう事は簡単に想像出来たからな。奴らはその存在に気が付いた人間から消していくのだ。ついでに、部屋の鍵なら今さっき自分で閉めてしまっている。
もうどうしよもない。
俺は今一度コンタクトを試みようと口を開いた。
「風呂なら沸いたぞ。先入れよ」
一体俺は誰に話しかけているんだろうな。見た目は妹だが、その中身が違うということは振り向かなくても背中に突き刺さっている鋭い視線から分かっているというのに。
……一か八か、不意をついて何かしら攻撃を仕掛けてみるか?妹の中身が格闘技経験者かもしれないとは言え、身体の大きさは妹そのものだ。何とかのしかかってしまえばさすがにひっくり返すのは難しいだろう。
という俺の考えはやはり甘かったようで、振り向いた瞬間には喉元を掴まれ膝立ちの馬乗りになる形で机に仰向きに押し付けられていた。そして次の瞬間には俺の瞳スレスレの所にまで持っていたカッターナイフを振り下ろしていた。瞬きすれば瞼がその刃に触れそうだ。
俺は生唾を飲み込んでから尋ねた。
「……いつからだ。いつから俺の妹は妹じゃなくなっていたんだ?」
表情を絵のようにぴくりとも動かさないまま、妹に似たその偽物は俺の質問から少し間を空けてからゆっくりと口を開いた。
「……あなたが高校に入学する前、正確にはあなたが中学生最初の冬休みを迎えた頃です」
ということは、俺達が鏡をばらまいた時にはとっくにKになっていたというわけだ。あのロッカーに入れた鏡もかなりの不意打ちだったはずだが、どうして反応を見せなかったんだ。お前らは自分が映るものを苦手としているんじゃなかったのか?
「あなたが数日前から鏡を何十枚も準備していたのを知ることは同居している上で必然、どこかのタイミングで仕掛けてくるのは簡単に予想出来ていました」
身構えてさえいれば我慢出来ないこともないってわけか。
「私達が全員が必ずしもそうであるわけではないです。私は特別鏡に対して耐性があっただけ。この身体での生活はもう三年にもなるので」
というわけは、あの鏡の件で見つけ出した以上にあの学校にはKがいる可能性があるわけだ。頭が痛くなりそうだぜ。
俺は「そうかい」とだけ返した。
ここに来て何となく分かったのだが、こいつには俺に対して殺意のみたいなものは抱いていないようだった。抵抗出来ないように拘束されてはいるものの、存在に気が付いた俺をすぐ殺さないどころか質問にまで答えてくれている。
かと言ってそれがなぜなのかは俺には分からんのだが、とりあえず遺書を書き認めていないのを後悔せずに済みそうだ。
「それで、何が目的でこんな事をしたのか教えてくれるのか?何かして欲しい事でもあるのなら凡人たる俺にも出来そうなことにしてくれよ」
俺がそう言うと、妹似のそいつは目に今にも触れそうなカッターナイフをしまって俺の上から退いて、
「私があなたに望むことはひとつだけ。私の事を公表しない事です。それ以上は望みません。代わりにあなたも殺しません」
思っていたよりも簡単な事だった。こいつがKである事を誰にもバラさない、それだけでいいそうだ。「公言」と言わないあたり、ただ単に「言わなければいい」という話ではなく、「匿う」という意味が大きいだろうな。
どちらにせよ了承しないとこの場で殺されるらしいので、俺には首を縦に振るしかないのだが。
「分かった。誰にも言わないさ」
でも、どうしてそんなことをまた。俺を殺してしまえばお前に気が付いているやつは誰もいなくなるだろうに。
俺が理由を聞くと、こいつは初めて人間らしい表情をして言った。
「……私はこの世界のことを見たいのです。この世界が滅びていく様を」
ここで俺はKにも個性があるのだと改めて実感した。奴らはその全員が全員人間をのっとって増えることだけを目的にしているわけではないのだ。
ただ、ここでひとつ聞いておかなければならない事がある。それは俺がこの世界を救うヒーローの一員である以上必要な質問だ。
「……お前は人間を殺すか?」
もし、殺すのであれば易々と見過ごすわけにはいかないからな。俺から出た錆みたいなもんだ、俺は死んじまうかもしれんが両親やあいつら二人まで殺させるわけにはいかんのだ。
俺は明らかに対等な立ち位置でないことを自覚しつつ、取引を持ちかけた。
「出来るだけ譲歩する。とりあえず聞くだけ聞いてくれ」
その内容は俺が妹のことを隠し匿う代わりに人間に手を出すな、というものだ。ただでさえ「殺されない」という条件があっての話だというのに、我ながら厚かましいな。
しかし、こいつは意外にもそれを受け入れてくれた。「私一人が動かないくらいで人間が絶滅しなくなるわけではないでしょうから」というのがこいつの言い分だ。
確かにそうかもしれないが、そうじゃないかもしれないぞ?そのために俺たちは戦っているんだからな。タダでやられたりはするつもりはないぜ。
「一方的な勝負程つまらないものはありませんから。その為に協力はしませんが、協調はします。せいぜい足掻いてみせてください」
お前らが先に消えちまうかもしれないぞ?
「それならそれでいいでしょう」
万が一にもありえませんが、と最後にそいつは付け加えた。嫌味で言っているわけではなさそうな分、心が折れそうになるぜまったく。
あまりに大きな秘め事は人間を極端に臆病にさせる。今の俺もそうであり、普通に登校しているだけなのにスクールバッグに一億円を入れて運んでいるような気分だった。もし今後ろから突然「わっ!」と驚かされたら俺は背後に置かれていたキュウリに気付いた瞬間の猫のように飛び上がる自信がある。
その服の内ポケットに爆弾を抱えているような緊張は放課後、宮之阪と話すまで続いた。授業中なんてずっとトイレに行きたいソワソワした感じが続いて地獄だったぜ。
右から左へと流れていくだけの授業を全て受け終え、メールで呼び出した宮之阪と下足場で合流した俺はこの時間人の多いファミレスを選んで入ると、宮之阪の分も含めて二つのコーヒーを頼んでから話を切り出した。言うまでもない、内容は昨日の一件の事だ。
まぁ、俺が今もまだこうして自分であり続けているから身体には何事も無かったと言える。が、しかし、心身共にとは言えないな。
俺はそれを表情に表さないように言った。
「……俺の妹はKじゃあなかった」
もちろん嘘だ。
俺の妹はKである。それは紛いもない事実だった。何せこの目で確認したんだからな。今もトラウマとなって俺の脳裏に焼き付いている。忘れたくても忘れられないぜ。
だが、俺は宮之阪に事の経緯を説明しつつ、昨日の事を思い出していた。
「……お、おっす、兄ちゃんの部屋に何か用か?」
俺の口から咄嗟に出た言葉だった。
しかし、俺の妹―――――正確には妹だったやつは返事のひとつも寄越さずにしばらく黙っていた。兄妹水入らずだというのに、この部屋の空気は肌を刺すようにピリピリとしている。
動けばヤられる。その空気だけがヒシヒシと背中側から伝わってきていた。
逃走しようとは思わなかった。多分出来ないし、仮に出来たとしてもKの中で俺の情報を共有されて死ぬまで追いかけられることになるだろう事は簡単に想像出来たからな。奴らはその存在に気が付いた人間から消していくのだ。ついでに、部屋の鍵なら今さっき自分で閉めてしまっている。
もうどうしよもない。
俺は今一度コンタクトを試みようと口を開いた。
「風呂なら沸いたぞ。先入れよ」
一体俺は誰に話しかけているんだろうな。見た目は妹だが、その中身が違うということは振り向かなくても背中に突き刺さっている鋭い視線から分かっているというのに。
……一か八か、不意をついて何かしら攻撃を仕掛けてみるか?妹の中身が格闘技経験者かもしれないとは言え、身体の大きさは妹そのものだ。何とかのしかかってしまえばさすがにひっくり返すのは難しいだろう。
という俺の考えはやはり甘かったようで、振り向いた瞬間には喉元を掴まれ膝立ちの馬乗りになる形で机に仰向きに押し付けられていた。そして次の瞬間には俺の瞳スレスレの所にまで持っていたカッターナイフを振り下ろしていた。瞬きすれば瞼がその刃に触れそうだ。
俺は生唾を飲み込んでから尋ねた。
「……いつからだ。いつから俺の妹は妹じゃなくなっていたんだ?」
表情を絵のようにぴくりとも動かさないまま、妹に似たその偽物は俺の質問から少し間を空けてからゆっくりと口を開いた。
「……あなたが高校に入学する前、正確にはあなたが中学生最初の冬休みを迎えた頃です」
ということは、俺達が鏡をばらまいた時にはとっくにKになっていたというわけだ。あのロッカーに入れた鏡もかなりの不意打ちだったはずだが、どうして反応を見せなかったんだ。お前らは自分が映るものを苦手としているんじゃなかったのか?
「あなたが数日前から鏡を何十枚も準備していたのを知ることは同居している上で必然、どこかのタイミングで仕掛けてくるのは簡単に予想出来ていました」
身構えてさえいれば我慢出来ないこともないってわけか。
「私達が全員が必ずしもそうであるわけではないです。私は特別鏡に対して耐性があっただけ。この身体での生活はもう三年にもなるので」
というわけは、あの鏡の件で見つけ出した以上にあの学校にはKがいる可能性があるわけだ。頭が痛くなりそうだぜ。
俺は「そうかい」とだけ返した。
ここに来て何となく分かったのだが、こいつには俺に対して殺意のみたいなものは抱いていないようだった。抵抗出来ないように拘束されてはいるものの、存在に気が付いた俺をすぐ殺さないどころか質問にまで答えてくれている。
かと言ってそれがなぜなのかは俺には分からんのだが、とりあえず遺書を書き認めていないのを後悔せずに済みそうだ。
「それで、何が目的でこんな事をしたのか教えてくれるのか?何かして欲しい事でもあるのなら凡人たる俺にも出来そうなことにしてくれよ」
俺がそう言うと、妹似のそいつは目に今にも触れそうなカッターナイフをしまって俺の上から退いて、
「私があなたに望むことはひとつだけ。私の事を公表しない事です。それ以上は望みません。代わりにあなたも殺しません」
思っていたよりも簡単な事だった。こいつがKである事を誰にもバラさない、それだけでいいそうだ。「公言」と言わないあたり、ただ単に「言わなければいい」という話ではなく、「匿う」という意味が大きいだろうな。
どちらにせよ了承しないとこの場で殺されるらしいので、俺には首を縦に振るしかないのだが。
「分かった。誰にも言わないさ」
でも、どうしてそんなことをまた。俺を殺してしまえばお前に気が付いているやつは誰もいなくなるだろうに。
俺が理由を聞くと、こいつは初めて人間らしい表情をして言った。
「……私はこの世界のことを見たいのです。この世界が滅びていく様を」
ここで俺はKにも個性があるのだと改めて実感した。奴らはその全員が全員人間をのっとって増えることだけを目的にしているわけではないのだ。
ただ、ここでひとつ聞いておかなければならない事がある。それは俺がこの世界を救うヒーローの一員である以上必要な質問だ。
「……お前は人間を殺すか?」
もし、殺すのであれば易々と見過ごすわけにはいかないからな。俺から出た錆みたいなもんだ、俺は死んじまうかもしれんが両親やあいつら二人まで殺させるわけにはいかんのだ。
俺は明らかに対等な立ち位置でないことを自覚しつつ、取引を持ちかけた。
「出来るだけ譲歩する。とりあえず聞くだけ聞いてくれ」
その内容は俺が妹のことを隠し匿う代わりに人間に手を出すな、というものだ。ただでさえ「殺されない」という条件があっての話だというのに、我ながら厚かましいな。
しかし、こいつは意外にもそれを受け入れてくれた。「私一人が動かないくらいで人間が絶滅しなくなるわけではないでしょうから」というのがこいつの言い分だ。
確かにそうかもしれないが、そうじゃないかもしれないぞ?そのために俺たちは戦っているんだからな。タダでやられたりはするつもりはないぜ。
「一方的な勝負程つまらないものはありませんから。その為に協力はしませんが、協調はします。せいぜい足掻いてみせてください」
お前らが先に消えちまうかもしれないぞ?
「それならそれでいいでしょう」
万が一にもありえませんが、と最後にそいつは付け加えた。嫌味で言っているわけではなさそうな分、心が折れそうになるぜまったく。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
パラダイス・ロスト
真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。
※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。
旧校舎のフーディーニ
澤田慎梧
ミステリー
【「死体の写った写真」から始まる、人の死なないミステリー】
時は1993年。神奈川県立「比企谷(ひきがやつ)高校」一年生の藤本は、担任教師からクラス内で起こった盗難事件の解決を命じられてしまう。
困り果てた彼が頼ったのは、知る人ぞ知る「名探偵」である、奇術部の真白部長だった。
けれども、奇術部部室を訪ねてみると、そこには美少女の死体が転がっていて――。
奇術師にして名探偵、真白部長が学校の些細な謎や心霊現象を鮮やかに解決。
「タネも仕掛けもございます」
★毎週月水金の12時くらいに更新予定
※本作品は連作短編です。出来るだけ話数通りにお読みいただけると幸いです。
※本作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
※本作品の主な舞台は1993年(平成五年)ですが、当時の知識が無くてもお楽しみいただけます。
※本作品はカクヨム様にて連載していたものを加筆修正したものとなります。
後悔と快感の中で
なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私
快感に溺れてしまってる私
なつきの体験談かも知れないです
もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう
もっと後悔して
もっと溺れてしまうかも
※感想を聞かせてもらえたらうれしいです
幽子さんの謎解きレポート~しんいち君と霊感少女幽子さんの実話を元にした本格心霊ミステリー~
しんいち
ミステリー
オカルト好きの少年、「しんいち」は、小学生の時、彼が通う合気道の道場でお婆さんにつれられてきた不思議な少女と出会う。
のちに「幽子」と呼ばれる事になる少女との始めての出会いだった。
彼女には「霊感」と言われる、人の目には見えない物を感じ取る能力を秘めていた。しんいちはそんな彼女と友達になることを決意する。
そして高校生になった二人は、様々な怪奇でミステリアスな事件に関わっていくことになる。 事件を通じて出会う人々や経験は、彼らの成長を促し、友情を深めていく。
しかし、幽子にはしんいちにも秘密にしている一つの「想い」があった。
その想いとは一体何なのか?物語が進むにつれて、彼女の心の奥に秘められた真実が明らかになっていく。
友情と成長、そして幽子の隠された想いが交錯するミステリアスな物語。あなたも、しんいちと幽子の冒険に心を躍らせてみませんか?
時の呪縛
葉羽
ミステリー
山間の孤立した村にある古びた時計塔。かつてこの村は繁栄していたが、失踪事件が連続して発生したことで、村人たちは恐れを抱き、時計塔は放置されたままとなった。17歳の天才高校生・神藤葉羽は、友人に誘われてこの村を訪れることになる。そこで彼は、幼馴染の望月彩由美と共に、村の秘密に迫ることになる。
葉羽と彩由美は、失踪事件に関する不気味な噂を耳にし、時計塔に隠された真実を解明しようとする。しかし、時計塔の内部には、過去の記憶を呼び起こす仕掛けが待ち受けていた。彼らは、時間が歪み、過去の失踪者たちの幻影に直面する中で、次第に自らの心の奥底に潜む恐怖と向き合わせることになる。
果たして、彼らは村の呪いを解き明かし、失踪事件の真相に辿り着けるのか?そして、彼らの友情と恋心は試される。緊迫感あふれる謎解きと心理的恐怖が交錯する本格推理小説。
乳酸飲料なダンディ
鈴木りん
ミステリー
「中川総一郎、45歳、独身。志望の動機は、御社の素晴らしい商品とともに、私のとびきりの笑顔をお客さまに届けたいと思ったからですっ!」
乳酸飲料「ミクリル」の訪問販売の職を得たその男は、ミクリル・ダンディとしての生活を始めたが――
Episode1「宅配業者は二度鼻を鳴らす」連載終了しました(2018.01.14)。
若月骨董店若旦那の事件簿~水晶盤の宵~
七瀬京
ミステリー
秋。若月骨董店に、骨董鑑定の仕事が舞い込んできた。持ち込まれた品を見て、骨董屋の息子である春宵(しゅんゆう)は驚愕する。
依頼人はその依頼の品を『鬼の剥製』だという。
依頼人は高浜祥子。そして持ち主は、高浜祥子の遠縁に当たるという橿原京香(かしはらみやこ)という女だった。
橿原家は、水産業を営みそれなりの財産もあるという家だった。しかし、水産業で繁盛していると言うだけではなく、橿原京香が嫁いできてから、ろくな事がおきた事が無いという事でも、有名な家だった。
そして、春宵は、『鬼の剥製』を一目見たときから、ある事実に気が付いていた。この『鬼の剥製』が、本物の人間を使っているという事実だった………。
秋を舞台にした『鬼の剥製』と一人の女の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる