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直面する2人の悩み
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青いセダンの車に乗って、今から時間貸駐車場から出ようとする時、2人は同時に
「あのさ…。」
「あのさ…。」と言葉が重なった。
「え、んじゃあ、紬からどうぞ。」
「ううん、陸斗から言って。」
とても言いづらそうな表情で話し出す。
「……そお? んじゃ、言うんだけど、実は、俺、県内の大学受けるのやめたんだ。東京のW大学にしようと思ってるのよ。元々2つの大学受けようと思ってたから良いんだけどさ。」
「え、嘘、なんで、やめちゃうの?陸斗、何があったの?」
その言動に信じられない紬は耳を疑った。
「なんでそうなったかはお隣さんがよーくご存知かと思うんですが…。ってか、時間もあるだろうから、車進めながら行くよ?」
紬はそっと陸斗の左腕を掴んでシフトレバーを動かすのを止めた。
「まだ、行かなくて良いよ。話聞くから。」
「ん?」
紬の顔が険しかった。
止める力が強かった。
Dに移動させたレバーをPに戻した。
「わかった。結局ね、一つに絞ろうとは考えてなかったから進学先は。なんか、洸と同じ大学に入るってなったら嫌だなって思い始めてさ。応募しようとして、モチベーション下がっちゃって…バカだよな、俺。でも、心機一転、進学先を東京方面にしたら、気持ちが上がって、やる気めっちゃ出て、今赤本で過去問解きまくってるんだけど、やりがいがあるのよ、これが。」
目がキラキラして、そのままにやる気が見えた。
紬は安堵した。
「そうだったんだね。レベル高いの第一志望大学じゃなかったの? 問題内容が違うのかな? でも、大学に行くなら出来る出来ないより行きたいか行きたくないかの方が良いのかもしれないよね。もし、それが受かったとしてもまともに学校通えなかったら、もったいないもんね。…ちょっと待って、やる気無くしたのって私のせいでもあるの? 別れようって言ったのは陸斗なのに?」
「やる気…なかったよね。紬、俺より洸のことばかりだったでしょ?尚更、行きたくないよわ。何で振った彼女の好意寄せる人のところに行かなきゃないんだって思って…腹立つよね。」
腕を組んで頷きながら答える。
紬は言い訳するように手を横に振る。
「待って,待って。私,何も言ってないじゃない。洸さんのこと、陸斗に言わなかったよ?」
「俺を誰だと思ってるの? 紬が洸のこと考えてることくらい気づいてたから。そして、このレバーに手を置くのは、どう言うことかな? 帰りたくない雰囲気?」
無意識にそっとシフトレバーに手を置く紬。陸斗は何となく気づいていた。
「…陸斗には嘘つけないね。さっき言いかけたことは、洸さんとのことで話さそうと思ってたけど、先に言われたから。」
「それで、何?俺は受験のことを言いたかったんだけど。紬は?」
ハンドルに手を置いて顔はこちらを向いていた。
「……私、陸斗に言ってしまうんだけど、
心が動いてしまいまして、確かに洸さんに気持ちが行ったときもあったのね。だけど、洸さんと話してるうちに陸斗と重なって、ダメだったの。でも、それで洸さんのこと傷つけてしまったから今日も家に帰ったらバイトしに来るから、会いたくなくて…そう、帰りたくないの。」
陸斗はふぅーとため息をつく。
「普通、当事者に相談しない内容だけどね。優しい陸斗さんは答えちゃるよ。」
額と額をくっつけて話す。
「あのね、人を傷つけたらどうするの?小さい頃、先生に言われたことなかった?」
「えっと…謝るのかな。」
「謝れば良いじゃん。どうして、紬は逃げようとする?気まずい思いするのはわかるけど、逃げたら何も変わらないよ。ずっと、同じ状態続くの。わかった?」
「はい。陸斗先生。」
頭を撫でた。
「そうそう。謝ればわかってくれるから。元の関係には戻れないかもしれないけどね。恋愛は難しいものよ。というか、なんでさらけ出す?知っていたけど、あまりハッキリとは聞きたくなかったかな。」
「…だって、私、相談できる友達いなくて。美嘉には絶対言えない内容だし、輝久とはもう会わないし、今1番会っているのは陸斗くらいしかいないから…。ごめん、本人なのに。」
もじもじしながら言う。
「いやいや、むしろ森本さんと一緒で言っちゃいけない内容だよ。……でも、俺はそんな素直で純粋な紬が良いんだけどね。」
日よけのカードケースから駐車券を取り出した。
「あ、思ってたより、駐車時間長かった。あれ、でもここ最大駐車料金800円だったかな。安いところでよかった。」
「ごめん。お金出す?」
「大丈夫。遠出するって言って、結局駅前付近散策してたなって思ってさ。車は家まで送るのに必要だから意味はあるよ。」
駐車場の出口まで車を勧めた。
「あ、今、普通に車発進させたけど、よかった?」
「うん。時間は遅刻してるけど、むしろゆっくり行ってくれた方が良いから。大丈夫。」
「洸の話、俺から言う?保護者みたい。いっこく堂になろうかな。腹話術?」
「それは遠慮しておく。恥ずかしいから。お父さんとか拓人見てるかもしれないし。」
大通りに車を進めた。
想像以上に渋滞していた。
クリスマス25日当日と言っても、世の中は冬休み。混むはずだ。
信号が赤になるとたくさんの歩行者が移動していた。
「腹話術面白そうだったのに。」
「やだー。言えるもん。それくらい。」
「へぇー。そうですか。というか、大学の話で、俺、東京行っちゃうんだけど、そこは気にならないの?」
「……そうだよね! ちょっとそれは困るよ? 家から通うってことはできないもんね。遠すぎるよね。」
「定期代が半端ないよね。」
「え、本当に嫌なんだけど。」
「そんなこと言われても。紬も高校卒業したら、こっち来ればいいじゃん。」
「私、まだ1年だよ。あと2年通わないといけないし、大学受験して合格しないといけないでしょう。」
「がんば!」
対向車のライトが眩しく感じる。
外では光のページェントで賑わっていた。
車からライトの夜景を眺めた。
「今日言っていたのはそのことだったんだね。おじいちゃんみたいなこと言うからあと短い命かと思った。」
「んなアホな。東京行くから仙台で会う回数が少なくなるってことだよ。会おうと思えばいつでも会えるけどさ。」
「寂しくなるなぁ…。」
窓に顔をつけて、ぼーと窓に反射する街明かりとページェントを見た。
渋滞が徐々になくなり、少しずつスピードを出せた。
山に近い紬の家に陸斗は車を走らせた。紬の言葉が頭から離れなかった。
「ありがとう。また連絡する。」
「うん。んじゃ、また。」
車のドアを閉めた。
お店の駐車場は混み合っていた。
予約のみでもこんなに混むとは思わなかった。
陸斗は早々に車を走らせて家路を急いだ。
紬はすでに開店しているお店の前を通り抜けて、裏口から入った。
「ただいまー。遅れてごめんなさい。今着替えてくる。」
「おかえり。渋滞していたんでしょう。仕方ないよ。急いで着替えておいでー。」
裏口近くで準備していた母のくるみは、寛容に対応してくれた。
すでにお客さんはホールのテーブルに座っていた。満席だった。
拓人と洸はいつものように接客をしていた。
「お母さん。私、今日、キッチンの方やっていい?」
「うん。どちらでもいいよ。そしたら、頭に帽子被った方いいかも。ロッカーの中にあるから。」
「わかった。行ってくる。」
2階に駆け上がり、荷物を置きに行った。
着替えはスタッフ休憩室に行って着替えた。
いつもはホールのメニューの運びや片付けを担当していたが、中の方は久しぶりにやる。
作業を忘れては大変だと思った。
本当は、洸のそばになるべく近寄らないようにと思っていた。
「すいません!お手洗い借ります~。」
ホールの方からこちらに走ってきたのは、洸だった。
紬は後ろを向いて、鏡を見ながら身だしなみを整えていた。
数分後
「あー、スッキリした。あれ、紬。来てたんだね。気づかなかったーっと仕事仕事~。」
あっという間に流れるような会話をいしていく洸。早すぎて、返答にも困る。
すでに姿は見えなくなった。
(ん?呼び捨てにされてた…。あー。近くに母さんいなかったから良かったけど、気になるかな?)
洸は、仕事に夢中のようで、紬のことは全然気にしてなかったようだ。美嘉と会って、ご機嫌になったのかもしれない。
気にしているのは紬だけなのかもとモヤモヤが止まらず、仕事に集中することにした。
「あのさ…。」
「あのさ…。」と言葉が重なった。
「え、んじゃあ、紬からどうぞ。」
「ううん、陸斗から言って。」
とても言いづらそうな表情で話し出す。
「……そお? んじゃ、言うんだけど、実は、俺、県内の大学受けるのやめたんだ。東京のW大学にしようと思ってるのよ。元々2つの大学受けようと思ってたから良いんだけどさ。」
「え、嘘、なんで、やめちゃうの?陸斗、何があったの?」
その言動に信じられない紬は耳を疑った。
「なんでそうなったかはお隣さんがよーくご存知かと思うんですが…。ってか、時間もあるだろうから、車進めながら行くよ?」
紬はそっと陸斗の左腕を掴んでシフトレバーを動かすのを止めた。
「まだ、行かなくて良いよ。話聞くから。」
「ん?」
紬の顔が険しかった。
止める力が強かった。
Dに移動させたレバーをPに戻した。
「わかった。結局ね、一つに絞ろうとは考えてなかったから進学先は。なんか、洸と同じ大学に入るってなったら嫌だなって思い始めてさ。応募しようとして、モチベーション下がっちゃって…バカだよな、俺。でも、心機一転、進学先を東京方面にしたら、気持ちが上がって、やる気めっちゃ出て、今赤本で過去問解きまくってるんだけど、やりがいがあるのよ、これが。」
目がキラキラして、そのままにやる気が見えた。
紬は安堵した。
「そうだったんだね。レベル高いの第一志望大学じゃなかったの? 問題内容が違うのかな? でも、大学に行くなら出来る出来ないより行きたいか行きたくないかの方が良いのかもしれないよね。もし、それが受かったとしてもまともに学校通えなかったら、もったいないもんね。…ちょっと待って、やる気無くしたのって私のせいでもあるの? 別れようって言ったのは陸斗なのに?」
「やる気…なかったよね。紬、俺より洸のことばかりだったでしょ?尚更、行きたくないよわ。何で振った彼女の好意寄せる人のところに行かなきゃないんだって思って…腹立つよね。」
腕を組んで頷きながら答える。
紬は言い訳するように手を横に振る。
「待って,待って。私,何も言ってないじゃない。洸さんのこと、陸斗に言わなかったよ?」
「俺を誰だと思ってるの? 紬が洸のこと考えてることくらい気づいてたから。そして、このレバーに手を置くのは、どう言うことかな? 帰りたくない雰囲気?」
無意識にそっとシフトレバーに手を置く紬。陸斗は何となく気づいていた。
「…陸斗には嘘つけないね。さっき言いかけたことは、洸さんとのことで話さそうと思ってたけど、先に言われたから。」
「それで、何?俺は受験のことを言いたかったんだけど。紬は?」
ハンドルに手を置いて顔はこちらを向いていた。
「……私、陸斗に言ってしまうんだけど、
心が動いてしまいまして、確かに洸さんに気持ちが行ったときもあったのね。だけど、洸さんと話してるうちに陸斗と重なって、ダメだったの。でも、それで洸さんのこと傷つけてしまったから今日も家に帰ったらバイトしに来るから、会いたくなくて…そう、帰りたくないの。」
陸斗はふぅーとため息をつく。
「普通、当事者に相談しない内容だけどね。優しい陸斗さんは答えちゃるよ。」
額と額をくっつけて話す。
「あのね、人を傷つけたらどうするの?小さい頃、先生に言われたことなかった?」
「えっと…謝るのかな。」
「謝れば良いじゃん。どうして、紬は逃げようとする?気まずい思いするのはわかるけど、逃げたら何も変わらないよ。ずっと、同じ状態続くの。わかった?」
「はい。陸斗先生。」
頭を撫でた。
「そうそう。謝ればわかってくれるから。元の関係には戻れないかもしれないけどね。恋愛は難しいものよ。というか、なんでさらけ出す?知っていたけど、あまりハッキリとは聞きたくなかったかな。」
「…だって、私、相談できる友達いなくて。美嘉には絶対言えない内容だし、輝久とはもう会わないし、今1番会っているのは陸斗くらいしかいないから…。ごめん、本人なのに。」
もじもじしながら言う。
「いやいや、むしろ森本さんと一緒で言っちゃいけない内容だよ。……でも、俺はそんな素直で純粋な紬が良いんだけどね。」
日よけのカードケースから駐車券を取り出した。
「あ、思ってたより、駐車時間長かった。あれ、でもここ最大駐車料金800円だったかな。安いところでよかった。」
「ごめん。お金出す?」
「大丈夫。遠出するって言って、結局駅前付近散策してたなって思ってさ。車は家まで送るのに必要だから意味はあるよ。」
駐車場の出口まで車を勧めた。
「あ、今、普通に車発進させたけど、よかった?」
「うん。時間は遅刻してるけど、むしろゆっくり行ってくれた方が良いから。大丈夫。」
「洸の話、俺から言う?保護者みたい。いっこく堂になろうかな。腹話術?」
「それは遠慮しておく。恥ずかしいから。お父さんとか拓人見てるかもしれないし。」
大通りに車を進めた。
想像以上に渋滞していた。
クリスマス25日当日と言っても、世の中は冬休み。混むはずだ。
信号が赤になるとたくさんの歩行者が移動していた。
「腹話術面白そうだったのに。」
「やだー。言えるもん。それくらい。」
「へぇー。そうですか。というか、大学の話で、俺、東京行っちゃうんだけど、そこは気にならないの?」
「……そうだよね! ちょっとそれは困るよ? 家から通うってことはできないもんね。遠すぎるよね。」
「定期代が半端ないよね。」
「え、本当に嫌なんだけど。」
「そんなこと言われても。紬も高校卒業したら、こっち来ればいいじゃん。」
「私、まだ1年だよ。あと2年通わないといけないし、大学受験して合格しないといけないでしょう。」
「がんば!」
対向車のライトが眩しく感じる。
外では光のページェントで賑わっていた。
車からライトの夜景を眺めた。
「今日言っていたのはそのことだったんだね。おじいちゃんみたいなこと言うからあと短い命かと思った。」
「んなアホな。東京行くから仙台で会う回数が少なくなるってことだよ。会おうと思えばいつでも会えるけどさ。」
「寂しくなるなぁ…。」
窓に顔をつけて、ぼーと窓に反射する街明かりとページェントを見た。
渋滞が徐々になくなり、少しずつスピードを出せた。
山に近い紬の家に陸斗は車を走らせた。紬の言葉が頭から離れなかった。
「ありがとう。また連絡する。」
「うん。んじゃ、また。」
車のドアを閉めた。
お店の駐車場は混み合っていた。
予約のみでもこんなに混むとは思わなかった。
陸斗は早々に車を走らせて家路を急いだ。
紬はすでに開店しているお店の前を通り抜けて、裏口から入った。
「ただいまー。遅れてごめんなさい。今着替えてくる。」
「おかえり。渋滞していたんでしょう。仕方ないよ。急いで着替えておいでー。」
裏口近くで準備していた母のくるみは、寛容に対応してくれた。
すでにお客さんはホールのテーブルに座っていた。満席だった。
拓人と洸はいつものように接客をしていた。
「お母さん。私、今日、キッチンの方やっていい?」
「うん。どちらでもいいよ。そしたら、頭に帽子被った方いいかも。ロッカーの中にあるから。」
「わかった。行ってくる。」
2階に駆け上がり、荷物を置きに行った。
着替えはスタッフ休憩室に行って着替えた。
いつもはホールのメニューの運びや片付けを担当していたが、中の方は久しぶりにやる。
作業を忘れては大変だと思った。
本当は、洸のそばになるべく近寄らないようにと思っていた。
「すいません!お手洗い借ります~。」
ホールの方からこちらに走ってきたのは、洸だった。
紬は後ろを向いて、鏡を見ながら身だしなみを整えていた。
数分後
「あー、スッキリした。あれ、紬。来てたんだね。気づかなかったーっと仕事仕事~。」
あっという間に流れるような会話をいしていく洸。早すぎて、返答にも困る。
すでに姿は見えなくなった。
(ん?呼び捨てにされてた…。あー。近くに母さんいなかったから良かったけど、気になるかな?)
洸は、仕事に夢中のようで、紬のことは全然気にしてなかったようだ。美嘉と会って、ご機嫌になったのかもしれない。
気にしているのは紬だけなのかもとモヤモヤが止まらず、仕事に集中することにした。
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