40 / 74
40
サプライズになっているのかいないのか
しおりを挟む
お化け屋敷を一通りこなした紬はクタクタに疲れていた。
メイク落としのシートで厚めの化粧を落とし、ワンピースから制服に着替えた。着ていたものが軽いものだったため、制服の方が重く感じた。
カーテンを隔てた隣でゾンビ役の田中も制服に着替えていた。
「谷口さん、お疲れさま。結構お客さん着てて、大変だったね。」
「うん。田中くんも、お疲れ様。後ろから覗いてたけど、ゾンビ役、うまかったよ。」
「ありがとう。谷口さんほどじゃないよ。みんな怖がってたから。」
「…ちょっと楽しかった。」
田中はニコッと笑った。
「紬ちゃん、そろそろ体育館に行かないと…。ごめん、先に行くから、ほら、輝久くん待ってるから。」
出店の片付けを終えた輝久が、廊下の窓際でポケットに手を入れて待っていた。
紬はクラスメイトたちに片付けをお願いすると、慌てて輝久の近くに寄った。
「ごめん。待たせたね…。」
「別に…全然待ってないよ。ほら、行くんでしょ。」
何だか白々しく、少し離れて歩いた。2人は、沈黙のまま体育館に向かった。
輝久は出入り口付近に着くと、不意に自分の先に行く紬の左手を握って、行く進路を変えた。
体育館までの屋根がある通路をはみ出して、別な方向へと誘導した。
「え…。どこ行くの? 会場はそっちじゃないの?」
「いいから。こっち。」
全然、ライブ会場には関係ない体育館裏の木々が生えた誰もいない場所に連れて行かれた。
「ねえ、なんでここ? 陸斗先輩は、体育館の中にいるんじゃないの?」
パシッと輝久の手を離した。
「…行かせない。」
「え?何て言ったの?」
ざわざわした人の声と体育館から聞こえる音楽で輝久の声をかき消した。
後ろを振り返って、輝久は壁ドンをするかのごとく、木の幹を壁代わりに紬を木へと誘った。
何をされているんだとばかりに輝久を見て目を丸くすると、ドラムのバチの音とギターの演奏が始まると同時に唇を奪われた。
今、何が起こったんだと、目を見開いたまま、輝久の肩ごしに校舎側を見る。
「俺、今まで言えなかったけど、紬が好きだから。」
「……?!」
両手で口をおさえる。
すでに会場では盛り上がっていた。
歌声が外にまで響いている。
紬は今までのことをフラッシュバックして思い出す。全然、輝久の気持ちに気づかなかったことに申し訳なさを感じた。その気持ちを尻目に、陸斗のことばかり話していた。
でも、前に輝久を好きだった気持ちがあったことうっすら頭の片隅にあり、今は頭をどう処理していいか分からずにいた。
「ごめんなさい。今は、どう答えたらいいか分からない。」
目から涙がこぼれ落ちる。
好きだったはずの人から告白されたはずなのに、両思いだったはずなのに、いつから気持ちがすれ違っていたのだろう。
「返事は今すぐじゃ無くてもいいから…。先輩を好きなままでもいいから、俺がいること、忘れないで。」
どんな顔をして見ればいい。
今まで幼馴染として、仲良く兄妹のような接してきた。
紬はいたたまれなくなって、輝久を残して、体育館の後ろ側から会場へ入った。
舞台には、楽器演奏をしている2人の生徒とギターを持ってスタンドマイクで気持ちよく歌を歌っている陸斗がいた。ボーカルだなんて、聞いてない。
背景のカーテンにはプロジェクターから映し出されたたくさんの星の数々が映し出されていた。
とても綺麗だった。
歌っていたのは紬と一緒にカラオケで練習していたBUMP OF CHICKENの天体観測だった。
カラオケの採点では98点の高得点を出していたものだった。
紬も好きな曲だった。
客席は超満員で、ところ狭しと人がごった返していた。
人と人をかき分けて、チケット番号に書かれた座席を目指す。
驚くことにその番号は会場の真ん中の1番前で、こんなに混み合ってる中、そこに入ることに抵抗を感じた紬は、プロジェクターを操作していた康範のそばに近寄ってみた。
「あれ、紬ちゃん? 座席、1番前でしょ? 行かなくていいの?」
「私はここから見たいです。こんな混んでる中を1番前に行くには抵抗を感じます。」
康範は気持ちを汲み取って、自分の使っていたパイプ椅子を譲ってあけた。
遠慮した紬は、それでもいいからと強引に勧められて、その椅子に座った。
歌ってる最中だったが、陸斗はハッと気づいて、康範のそばに紬がいると安心して、笑みがこぼれた。
歌い終えて、演奏を終えた。
拍手喝采となった。
マイクに向かって、陸斗は話し始める。
「もう1曲、聴いてください。『優里のペテルギウス』」
ギターでリズムを取り、アカペラで歌い始めた。
お客さんはみな、静かに歌声に酔いしれていた。
こんなにも、素人で初めてなのに人々に感動を与えられるなんて凄いとお客さんにまで嫉妬するくらいだった。
そんな陸斗を見て、紬は不安になった。
自分じゃなくてもいいんじゃないかなと感じてきた。
自分以外の女子はたくさんいる。
声をかけてもらえる人はこの会場には何人もいる。
それを目の当たりにして、自信が無くなった。
歌声は綺麗で、心に染みる曲だったが演奏の途中で体育館から外に出た。
最後まで聴く元気がなかった。
元々たくさんの人がいる中で過ごすのは苦手な紬は、息がしにくくなった。
いろんな人の気持ちが心のアンテナを通して、バチバチ入ってくる。
神経をものすごく使う。
誰もいない学校のラウンジのベンチに座って、気持ちを落ち着かせた。
1人になりたくなった。
自販機で炭酸水を買って、ゆっくりと飲んだ。
窓から見える外を眺めていると、午前中の疲れからか眠くなって、ベンチを横にしてうとうとと目を閉じた。
演奏を終えた陸斗が会場のみんなにお知らせした。
「本日はありがとうございました。みなさまにお知らせがあります。ただいま、歌った星に関する歌がありましたが、現在、我が高校の地学部が廃部の危機になっております。プラネタリウムに星観察の部活動がありますので、ぜひ興味のある方は入部をお願いします!」
「お願いします!」
ただ唯一の地学部員が画用紙に惑星をイラストと地学部部員募集中とか書いてある紙を見せた。
「はーーーい。」
元気な女子たちが返事をしていた。
返事をするが、地学部に入るかどうかは謎だった。
お祭りの後というのは物凄く寂しさを感じる。
それぞれのクラスで片付け方が始まった。
学校内は生徒たちでざわついていた。
体育館の片付けがクラスのおかげもあって手早く終わらせることができた。
陸斗はご機嫌にして、ラウンジの横の昇降口に歩いていると、そのラウンジの方から声がした。
「おい、見ろよ。こいつ、あの3年の陸斗ってやつの彼女だっけ? 1人で寝ちゃってるし、スカートからパンツ丸見えですよー…なんつって。」
「やめとけって。ほら行くぞ。」
おそらく、2年の男子生徒であろう2人がラウンジのベンチで横になっている紬を見て話してたのだろう。
陸斗は姿を隠して2人がいなくなるのを待った。
近くで見るとよほど疲れたのか、体をベンチに預けて、本当にパンツが見えそうになっていた。
屈んで、頭を撫でた。
「紬…、おーい。」
小声で耳元に話す。
紬は蚊が出たように手で跳ね除ける。
肩をポンと軽く叩いた。
「…ん? うーん。あれ…まぁ。」
目をこすりながら体を起こした。
ボトンと飲んでいたペットボトル転がり落ちた。
屈んでいた陸斗は拾いあげた。
「あれまぁっておばちゃんかい?」
「陸斗…。歌、かっこよかったね。カラオケで歌ってたのと一緒だった。あれ、ライブの練習だったの?」
「うん。そう。その通り。紬は、途中から見てたでしょう?せっかく特等席用意してたのにいなかったから。」
「う、うん。だって、あんなに1番前は恥ずかしくて行けなかったよ。途中から入ったら目立つもの。康範先輩に座っていいよって言われたから少し後ろのところにいた。でも、しっかり見えたから、大丈夫。ちょっと、疲れちゃって途中抜け出しちゃったけど…ごめんなさい。」
「うん。いいよ。少しでもいてくれたから…それくらい全然平気。まだ調子悪い?」
額に手をつけて熱があるかと確認した。
平熱の体温だった。
額を触られてドキッとした。
前髪をワシャワシャと撫でられた。
「良くなるおまじない。」
「前髪乱れちゃうよ。」
乱れた前髪でも全然気にしてなかった。
「大丈夫だって。…今日このあと、バイトからそのままバイト先に行くね。紬はどうする?」
「人混みに寄っちゃったから。先に帰ってていいよ。もう少し休んでから帰る。」
「そっか。んじゃ、気をつけて。家着いたらラインするから。」
「うん。」
陸斗は寂しさを残してその場を立ち去った。
紬は、今日一日の出来事に疲れもあったが、どこか自分は陸斗の彼女にはふさわしくないんじゃないと,ネガティヴな発想が生まれていた。
自信がついていたはずなのに、どこか心ここに在らずな状態だった。
メイク落としのシートで厚めの化粧を落とし、ワンピースから制服に着替えた。着ていたものが軽いものだったため、制服の方が重く感じた。
カーテンを隔てた隣でゾンビ役の田中も制服に着替えていた。
「谷口さん、お疲れさま。結構お客さん着てて、大変だったね。」
「うん。田中くんも、お疲れ様。後ろから覗いてたけど、ゾンビ役、うまかったよ。」
「ありがとう。谷口さんほどじゃないよ。みんな怖がってたから。」
「…ちょっと楽しかった。」
田中はニコッと笑った。
「紬ちゃん、そろそろ体育館に行かないと…。ごめん、先に行くから、ほら、輝久くん待ってるから。」
出店の片付けを終えた輝久が、廊下の窓際でポケットに手を入れて待っていた。
紬はクラスメイトたちに片付けをお願いすると、慌てて輝久の近くに寄った。
「ごめん。待たせたね…。」
「別に…全然待ってないよ。ほら、行くんでしょ。」
何だか白々しく、少し離れて歩いた。2人は、沈黙のまま体育館に向かった。
輝久は出入り口付近に着くと、不意に自分の先に行く紬の左手を握って、行く進路を変えた。
体育館までの屋根がある通路をはみ出して、別な方向へと誘導した。
「え…。どこ行くの? 会場はそっちじゃないの?」
「いいから。こっち。」
全然、ライブ会場には関係ない体育館裏の木々が生えた誰もいない場所に連れて行かれた。
「ねえ、なんでここ? 陸斗先輩は、体育館の中にいるんじゃないの?」
パシッと輝久の手を離した。
「…行かせない。」
「え?何て言ったの?」
ざわざわした人の声と体育館から聞こえる音楽で輝久の声をかき消した。
後ろを振り返って、輝久は壁ドンをするかのごとく、木の幹を壁代わりに紬を木へと誘った。
何をされているんだとばかりに輝久を見て目を丸くすると、ドラムのバチの音とギターの演奏が始まると同時に唇を奪われた。
今、何が起こったんだと、目を見開いたまま、輝久の肩ごしに校舎側を見る。
「俺、今まで言えなかったけど、紬が好きだから。」
「……?!」
両手で口をおさえる。
すでに会場では盛り上がっていた。
歌声が外にまで響いている。
紬は今までのことをフラッシュバックして思い出す。全然、輝久の気持ちに気づかなかったことに申し訳なさを感じた。その気持ちを尻目に、陸斗のことばかり話していた。
でも、前に輝久を好きだった気持ちがあったことうっすら頭の片隅にあり、今は頭をどう処理していいか分からずにいた。
「ごめんなさい。今は、どう答えたらいいか分からない。」
目から涙がこぼれ落ちる。
好きだったはずの人から告白されたはずなのに、両思いだったはずなのに、いつから気持ちがすれ違っていたのだろう。
「返事は今すぐじゃ無くてもいいから…。先輩を好きなままでもいいから、俺がいること、忘れないで。」
どんな顔をして見ればいい。
今まで幼馴染として、仲良く兄妹のような接してきた。
紬はいたたまれなくなって、輝久を残して、体育館の後ろ側から会場へ入った。
舞台には、楽器演奏をしている2人の生徒とギターを持ってスタンドマイクで気持ちよく歌を歌っている陸斗がいた。ボーカルだなんて、聞いてない。
背景のカーテンにはプロジェクターから映し出されたたくさんの星の数々が映し出されていた。
とても綺麗だった。
歌っていたのは紬と一緒にカラオケで練習していたBUMP OF CHICKENの天体観測だった。
カラオケの採点では98点の高得点を出していたものだった。
紬も好きな曲だった。
客席は超満員で、ところ狭しと人がごった返していた。
人と人をかき分けて、チケット番号に書かれた座席を目指す。
驚くことにその番号は会場の真ん中の1番前で、こんなに混み合ってる中、そこに入ることに抵抗を感じた紬は、プロジェクターを操作していた康範のそばに近寄ってみた。
「あれ、紬ちゃん? 座席、1番前でしょ? 行かなくていいの?」
「私はここから見たいです。こんな混んでる中を1番前に行くには抵抗を感じます。」
康範は気持ちを汲み取って、自分の使っていたパイプ椅子を譲ってあけた。
遠慮した紬は、それでもいいからと強引に勧められて、その椅子に座った。
歌ってる最中だったが、陸斗はハッと気づいて、康範のそばに紬がいると安心して、笑みがこぼれた。
歌い終えて、演奏を終えた。
拍手喝采となった。
マイクに向かって、陸斗は話し始める。
「もう1曲、聴いてください。『優里のペテルギウス』」
ギターでリズムを取り、アカペラで歌い始めた。
お客さんはみな、静かに歌声に酔いしれていた。
こんなにも、素人で初めてなのに人々に感動を与えられるなんて凄いとお客さんにまで嫉妬するくらいだった。
そんな陸斗を見て、紬は不安になった。
自分じゃなくてもいいんじゃないかなと感じてきた。
自分以外の女子はたくさんいる。
声をかけてもらえる人はこの会場には何人もいる。
それを目の当たりにして、自信が無くなった。
歌声は綺麗で、心に染みる曲だったが演奏の途中で体育館から外に出た。
最後まで聴く元気がなかった。
元々たくさんの人がいる中で過ごすのは苦手な紬は、息がしにくくなった。
いろんな人の気持ちが心のアンテナを通して、バチバチ入ってくる。
神経をものすごく使う。
誰もいない学校のラウンジのベンチに座って、気持ちを落ち着かせた。
1人になりたくなった。
自販機で炭酸水を買って、ゆっくりと飲んだ。
窓から見える外を眺めていると、午前中の疲れからか眠くなって、ベンチを横にしてうとうとと目を閉じた。
演奏を終えた陸斗が会場のみんなにお知らせした。
「本日はありがとうございました。みなさまにお知らせがあります。ただいま、歌った星に関する歌がありましたが、現在、我が高校の地学部が廃部の危機になっております。プラネタリウムに星観察の部活動がありますので、ぜひ興味のある方は入部をお願いします!」
「お願いします!」
ただ唯一の地学部員が画用紙に惑星をイラストと地学部部員募集中とか書いてある紙を見せた。
「はーーーい。」
元気な女子たちが返事をしていた。
返事をするが、地学部に入るかどうかは謎だった。
お祭りの後というのは物凄く寂しさを感じる。
それぞれのクラスで片付け方が始まった。
学校内は生徒たちでざわついていた。
体育館の片付けがクラスのおかげもあって手早く終わらせることができた。
陸斗はご機嫌にして、ラウンジの横の昇降口に歩いていると、そのラウンジの方から声がした。
「おい、見ろよ。こいつ、あの3年の陸斗ってやつの彼女だっけ? 1人で寝ちゃってるし、スカートからパンツ丸見えですよー…なんつって。」
「やめとけって。ほら行くぞ。」
おそらく、2年の男子生徒であろう2人がラウンジのベンチで横になっている紬を見て話してたのだろう。
陸斗は姿を隠して2人がいなくなるのを待った。
近くで見るとよほど疲れたのか、体をベンチに預けて、本当にパンツが見えそうになっていた。
屈んで、頭を撫でた。
「紬…、おーい。」
小声で耳元に話す。
紬は蚊が出たように手で跳ね除ける。
肩をポンと軽く叩いた。
「…ん? うーん。あれ…まぁ。」
目をこすりながら体を起こした。
ボトンと飲んでいたペットボトル転がり落ちた。
屈んでいた陸斗は拾いあげた。
「あれまぁっておばちゃんかい?」
「陸斗…。歌、かっこよかったね。カラオケで歌ってたのと一緒だった。あれ、ライブの練習だったの?」
「うん。そう。その通り。紬は、途中から見てたでしょう?せっかく特等席用意してたのにいなかったから。」
「う、うん。だって、あんなに1番前は恥ずかしくて行けなかったよ。途中から入ったら目立つもの。康範先輩に座っていいよって言われたから少し後ろのところにいた。でも、しっかり見えたから、大丈夫。ちょっと、疲れちゃって途中抜け出しちゃったけど…ごめんなさい。」
「うん。いいよ。少しでもいてくれたから…それくらい全然平気。まだ調子悪い?」
額に手をつけて熱があるかと確認した。
平熱の体温だった。
額を触られてドキッとした。
前髪をワシャワシャと撫でられた。
「良くなるおまじない。」
「前髪乱れちゃうよ。」
乱れた前髪でも全然気にしてなかった。
「大丈夫だって。…今日このあと、バイトからそのままバイト先に行くね。紬はどうする?」
「人混みに寄っちゃったから。先に帰ってていいよ。もう少し休んでから帰る。」
「そっか。んじゃ、気をつけて。家着いたらラインするから。」
「うん。」
陸斗は寂しさを残してその場を立ち去った。
紬は、今日一日の出来事に疲れもあったが、どこか自分は陸斗の彼女にはふさわしくないんじゃないと,ネガティヴな発想が生まれていた。
自信がついていたはずなのに、どこか心ここに在らずな状態だった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
どうせ去るなら爪痕を。
ぽんぽこ狸
恋愛
実家が没落してしまい、婚約者の屋敷で生活の面倒を見てもらっているエミーリエは、日の当たらない角部屋から義妹に当たる無邪気な少女ロッテを見つめていた。
彼女は婚約者エトヴィンの歳の離れた兄妹で、末っ子の彼女は家族から溺愛されていた。
ロッテが自信を持てるようにと、ロッテ以上の技術を持っているものをエミーリエは禁止されている。なので彼女が興味のない仕事だけに精を出す日々が続いている。
そしていつか結婚して自分が子供を持つ日を夢に見ていた。
跡継ぎを産むことが出来れば、自分もきっとこの家の一員として尊重してもらえる。そう考えていた。
しかし儚くその夢は崩れて、婚約破棄を言い渡され、愛人としてならばこの屋敷にいることだけは許してやるとエトヴィンに宣言されてしまう。
希望が持てなくなったエミーリエは、この場所を去ることを決意するが長年、いろいろなものを奪われてきたからにはその爪痕を残して去ろうと考えたのだった。
白き鎧 黒き鎧
つづれ しういち
ファンタジー
高校生の内藤祐哉は、身罷(みまか)った異世界の王の身代わりとして突然かの世界に掠め取られる。
友人・佐竹は彼を追うが、ごくわずかの時間差から、向こうではすでに七年もの歳月が流れていた。
言葉も分からぬ異世界で内藤を探す佐竹。
が、やがて出会った国王が成長した内藤にそっくりで――。しかし、彼に内藤としての記憶はなかった。
敵対する二つの国の二つの鎧の秘密に迫り、佐竹は敵国ノエリオール、黒き鎧の王と戦う決意をするのだったが――。
※つづれ しういち作のオリジナルファンタジー小説です。「小説家になろう」および「カクヨム」にも公開中。他サイトへの無断転載は許可しておりません。
(本編完結・番外編更新中)あの時、私は死にました。だからもう私のことは忘れてください。
水無月あん
恋愛
本編完結済み。
6/5 他の登場人物視点での番外編を始めました。よろしくお願いします。
王太子の婚約者である、公爵令嬢のクリスティーヌ・アンガス。両親は私には厳しく、妹を溺愛している。王宮では厳しい王太子妃教育。そんな暮らしに耐えられたのは、愛する婚約者、ムルダー王太子様のため。なのに、異世界の聖女が来たら婚約解消だなんて…。
私のお話の中では、少しシリアスモードです。いつもながら、ゆるゆるっとした設定なので、お気軽に楽しんでいただければ幸いです。本編は3話で完結。よろしくお願いいたします。
※お気に入り登録、エール、感想もありがとうございます! 大変励みになります!
王室公式のメロンクリームソーダ
佐藤たま
ライト文芸
昭和の終わり。
東京の大学に進学した佐藤トウコは、恋愛経験ゼロ。
そんな彼女に【トウコ、初カレ作るぞ計画!】彼氏が欲しいのなら、男の子ウケ狙ってキャラ変しようという話が持ち上がった。
サークルの合宿で知りあった松永 優と親しくなり、ふたりはつきあうことに…。
しかし、初めての彼氏、松永とつきあいだして1年の記念日に彼はいなかった。
数日前、ケンカ別れしたままトウコの前から姿を消したのだ。
ひとりの記念日から始まるストーリーです。
愛して、許して、一緒に堕ちて・オメガバース【完結】
華周夏
BL
Ωの身体を持ち、αの力も持っている『奏』生まれた時から研究所が彼の世界。ある『特殊な』能力を持つ。
そんな彼は何より賢く、美しかった。
財閥の御曹司とは名ばかりで、その特異な身体のため『ドクター』の庇護のもと、実験体のように扱われていた。
ある『仕事』のために寮つきの高校に編入する奏を待ち受けるものは?
【本編完結】婚約者には愛する人がいるのでツギハギ令嬢は身を引きます!
ユウ
恋愛
公爵令嬢のアドリアーナは血筋だけは国一番であるが平凡な令嬢だった。
魔力はなく、スキルは縫合という地味な物だった。
優しい父に優しい兄がいて幸せだった。
ただ一つの悩みごとは婚約者には愛する人がいることを知らされる。
世間では二人のロマンスが涙を誘い、アドリア―ナは悪役令嬢として噂を流されてしまう。
婚約者で幼馴染でもあるエイミールには友人以上の感情はないので潔く身を引く事を宣言するも激怒した第一皇女が王宮に召し上げ傍付きに命じるようになる。
公爵令嬢が侍女をするなど前代未聞と思いきや、アドリア―ナにとっては楽園だった。
幼い頃から皇女殿下の侍女になるのが夢だったからだ。
皇女殿下の紹介で素敵な友人を紹介され幸せな日々を送る最中、婚約者のエイミールが乗り込んで来るのだったが…。
両親からも婚約者からも愛されません
ララ
恋愛
妹が生まれたことで、私の生活は一変した。
両親からの愛を妹が独り占めをして、私はすっかり蚊帳の外となった。
そんな生活に終わりを告げるように婚約が決まるが……
あなたと恋に落ちるまで~御曹司は一途に私に恋をする~ after story
けいこ
恋愛
あなたと恋に落ちるまで~御曹司は一途に私に恋をする~
のafter storyになります😃
よろしければぜひ、本編を読んで頂いた後にご覧下さい🌸🌸
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる