35 / 74
35
緊張するかしないか
しおりを挟む
商店街通りに入った洸と紬。
歩幅を合わせて、横に並ぶ。
繋ぎたくないのに強引に離さない手をジャケットのポケットの中に入れる。
手に汗をかいた。
何だか、いけないことをしているみたいで、罪悪感でいっぱいになっている。
なんで、今、紬はここにいるんだろうとどこで選択を間違ったのか振り返っていた。
女性の扱いに慣れていそうな仕草だった。何だか、変な汗で止まらない。
数分間、何も言えずに数十メートルの道を歩いた。
右側に小さな黒板が立てかけてあるレストランを見かけた。ハヤシオムライスとカレーがメインのお店だった。
看板には「太陽の下で…」と書かれていた。
「ここだよ。美味しそうじゃない?」
店の入り口にはオムライスメニューのサンプルが数点飾られていた。
とろりとかかったデミグラスソースやハヤシライスソースが本物のように美味しそうだった。
「うん。」
ガラガラとドアのベルが鳴る。ちょうどランチタイムでお客さんでいっぱいだった。
名前を書く表に「ミヤジマ 大人2名」と洸が記入した。
待合コーナーには、漫画本の棚や雑誌などが置いてあった。子供が待てるようになのかおもちゃも置いてあった。
「へぇー、ここのお店はファミリー層も狙っているんだね。」
2人は、木でできたベンチに座った。
「見てるところが違うね。さすがはバイトしてるだけでもある…。」
「いつもお店の研究はしてるよ。俺は、自分の店出すのが、夢だから。お客様にしか分からないお店の目線とかあるっしょ?」
「谷口家のお店はまだまだだね。キッズコーナーなんて無いから…。」
「コンセプトとか、誰に向けたお店にするかだよ。店長はどちらかといえばファミリーというよりは一般層だから。でも、お子様ランチ一応あるしね。あまり、注文入らないけど。おば様方が多いし。」
「そうだね。キッズコーナー作ってもいいのかもしれないよね。お父さんに言ってみるよ。」
「あ、でも、ほら、店長の考えもあるかもしれないから。無理強いできないし。参考程度にね。」
待合コーナーでお店の話で盛り上がっていると、順番が来たのかウェイターが声をかけた。
「2名でお待ちのミヤジマ様はいらっしゃいませんか?」
「あ、はい。」
2人は席を立ってウェイターの誘導にしたがった。
ちょうど開いていたのは窓際の席だった。街の大通りをみることができる。
「ご注文が決まりましたら、お呼びください。」
メニューとお冷、おしぼりを渡されると洸は丁寧に2枚あるメニューの1枚を差し出した。
「はい、お好きなものをどうぞ。」
「え…洸さんはどうするんですか?」
メニューを受け取り、どれにするか迷った。
「俺は…ハヤシオムライスのサラダとスープ付きのランチセットかな。紬ちゃんは好きなの頼みなよ。合わせなくてもいいから。」
プラスチックでできたメニューをじっとにらめっこする紬。
決めかねるようだ。
「むー…。」
「むーって…。決まらない?」
こう言う時、陸斗はしりとりを始める。洸は変に真面目に解釈されて、すこしご不満だった。
いじられることが実は好きだったりする。
「何で迷ってるの?」
「オムハヤシとカレー、あと、パスタつきのほう。」
「い、いや、それ全メニューだし。選んでないよ。ここの看板メニューはオムハヤシよ?」
「んじゃ、それで。」
「え?いきなりあっさりだね。まぁいいけど。ランチセットでいい?」
「はい。お願いします。」
洸は、慣れたようにウエイターを呼んで注文した。そこは陸斗と同じで率先してやってくれるようだった。
従兄弟同士ということもあり、どこかシンクロする部分もあった。紬が見ていても分かった。
水を飲みながら
「洸さん、陸斗先輩と似てますよね。」
「まあ、多少ね。俺ら、従兄弟だし。でも、年は3つ違うよ。陸斗は18でしょう。俺は21歳だし。お互い男兄弟いなかったから、会うたびに遊びによく行っていたよ。そういや、紬ちゃん、俺の妹と同じ年なのよ。でも、大人っぽいよね。ダメだ、深月はいつまでも子供っぽくて…。」
「それは妹だと思うからじゃないですか? うちの弟もああ見えて結構子供っぽいですよ。一緒に働いててわかりますよね。別に私は大人じゃないです。静かなだけです。」
「あぁ、拓人のこと? 確かにそうかも。仕事の合間みて、ゲームの話ばっかりふってくるからな。でも、お手伝いって分かってても頑張ってやってると思うよ。弟くん。こちらも助かるし。」
「弟のことながら、ありがとうございます。」
自分のことではないのに、紬は嬉しかった。少し顔を赤らめた。
そんな談笑している姿を目撃していた人が商店街通路からのぞいていた。
ちょうど窓際に座っていたため、誰と誰が話しているか露骨に見えていた。
「なぁ、今日もゲーセン行くっしょ?」
「…あぁ。ちょ、待って。」
隆介と輝久が2人で出かけていた。
輝久がしっかりと紬と洸が食事をしているところを目撃した。それに、隆介も一緒になって見ていた。
「あ、あれ、宮島洸さんじゃない? 輝久は知らないんだっけか。紬ちゃんのお店のアルバイトしている大学生よ。危なく美嘉を取られそうに…。」
「そうなの?洸さんか。」
遠くから見て,意外にも紬は笑顔で接していることに苛立ちを,隠せない輝久。
陸斗と交際してるのに紬は何を考えているんだと納得できなかった。
「本当何考えてるかわからないよ。」
嫉妬心が強く出る。
輝久の何かのスイッチが入った。
歩幅を合わせて、横に並ぶ。
繋ぎたくないのに強引に離さない手をジャケットのポケットの中に入れる。
手に汗をかいた。
何だか、いけないことをしているみたいで、罪悪感でいっぱいになっている。
なんで、今、紬はここにいるんだろうとどこで選択を間違ったのか振り返っていた。
女性の扱いに慣れていそうな仕草だった。何だか、変な汗で止まらない。
数分間、何も言えずに数十メートルの道を歩いた。
右側に小さな黒板が立てかけてあるレストランを見かけた。ハヤシオムライスとカレーがメインのお店だった。
看板には「太陽の下で…」と書かれていた。
「ここだよ。美味しそうじゃない?」
店の入り口にはオムライスメニューのサンプルが数点飾られていた。
とろりとかかったデミグラスソースやハヤシライスソースが本物のように美味しそうだった。
「うん。」
ガラガラとドアのベルが鳴る。ちょうどランチタイムでお客さんでいっぱいだった。
名前を書く表に「ミヤジマ 大人2名」と洸が記入した。
待合コーナーには、漫画本の棚や雑誌などが置いてあった。子供が待てるようになのかおもちゃも置いてあった。
「へぇー、ここのお店はファミリー層も狙っているんだね。」
2人は、木でできたベンチに座った。
「見てるところが違うね。さすがはバイトしてるだけでもある…。」
「いつもお店の研究はしてるよ。俺は、自分の店出すのが、夢だから。お客様にしか分からないお店の目線とかあるっしょ?」
「谷口家のお店はまだまだだね。キッズコーナーなんて無いから…。」
「コンセプトとか、誰に向けたお店にするかだよ。店長はどちらかといえばファミリーというよりは一般層だから。でも、お子様ランチ一応あるしね。あまり、注文入らないけど。おば様方が多いし。」
「そうだね。キッズコーナー作ってもいいのかもしれないよね。お父さんに言ってみるよ。」
「あ、でも、ほら、店長の考えもあるかもしれないから。無理強いできないし。参考程度にね。」
待合コーナーでお店の話で盛り上がっていると、順番が来たのかウェイターが声をかけた。
「2名でお待ちのミヤジマ様はいらっしゃいませんか?」
「あ、はい。」
2人は席を立ってウェイターの誘導にしたがった。
ちょうど開いていたのは窓際の席だった。街の大通りをみることができる。
「ご注文が決まりましたら、お呼びください。」
メニューとお冷、おしぼりを渡されると洸は丁寧に2枚あるメニューの1枚を差し出した。
「はい、お好きなものをどうぞ。」
「え…洸さんはどうするんですか?」
メニューを受け取り、どれにするか迷った。
「俺は…ハヤシオムライスのサラダとスープ付きのランチセットかな。紬ちゃんは好きなの頼みなよ。合わせなくてもいいから。」
プラスチックでできたメニューをじっとにらめっこする紬。
決めかねるようだ。
「むー…。」
「むーって…。決まらない?」
こう言う時、陸斗はしりとりを始める。洸は変に真面目に解釈されて、すこしご不満だった。
いじられることが実は好きだったりする。
「何で迷ってるの?」
「オムハヤシとカレー、あと、パスタつきのほう。」
「い、いや、それ全メニューだし。選んでないよ。ここの看板メニューはオムハヤシよ?」
「んじゃ、それで。」
「え?いきなりあっさりだね。まぁいいけど。ランチセットでいい?」
「はい。お願いします。」
洸は、慣れたようにウエイターを呼んで注文した。そこは陸斗と同じで率先してやってくれるようだった。
従兄弟同士ということもあり、どこかシンクロする部分もあった。紬が見ていても分かった。
水を飲みながら
「洸さん、陸斗先輩と似てますよね。」
「まあ、多少ね。俺ら、従兄弟だし。でも、年は3つ違うよ。陸斗は18でしょう。俺は21歳だし。お互い男兄弟いなかったから、会うたびに遊びによく行っていたよ。そういや、紬ちゃん、俺の妹と同じ年なのよ。でも、大人っぽいよね。ダメだ、深月はいつまでも子供っぽくて…。」
「それは妹だと思うからじゃないですか? うちの弟もああ見えて結構子供っぽいですよ。一緒に働いててわかりますよね。別に私は大人じゃないです。静かなだけです。」
「あぁ、拓人のこと? 確かにそうかも。仕事の合間みて、ゲームの話ばっかりふってくるからな。でも、お手伝いって分かってても頑張ってやってると思うよ。弟くん。こちらも助かるし。」
「弟のことながら、ありがとうございます。」
自分のことではないのに、紬は嬉しかった。少し顔を赤らめた。
そんな談笑している姿を目撃していた人が商店街通路からのぞいていた。
ちょうど窓際に座っていたため、誰と誰が話しているか露骨に見えていた。
「なぁ、今日もゲーセン行くっしょ?」
「…あぁ。ちょ、待って。」
隆介と輝久が2人で出かけていた。
輝久がしっかりと紬と洸が食事をしているところを目撃した。それに、隆介も一緒になって見ていた。
「あ、あれ、宮島洸さんじゃない? 輝久は知らないんだっけか。紬ちゃんのお店のアルバイトしている大学生よ。危なく美嘉を取られそうに…。」
「そうなの?洸さんか。」
遠くから見て,意外にも紬は笑顔で接していることに苛立ちを,隠せない輝久。
陸斗と交際してるのに紬は何を考えているんだと納得できなかった。
「本当何考えてるかわからないよ。」
嫉妬心が強く出る。
輝久の何かのスイッチが入った。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】1日1回のキスをしよう 〜対価はチョコレートで 〜
田沢みん
恋愛
ハナとコタローは、 お隣同士の幼馴染。 親から甘いもの禁止令を出されたハナがコタローにチョコレートをせがんだら、 コタローがその対価として望んだのは、 なんとキス。
えっ、 どういうこと?!
そして今日もハナはチョコを受け取りキスをする。 このキスは対価交換。 それ以外に意味はない…… はずだけど……。
理想の幼馴染み発見!
これは、 ちょっとツンデレで素直じゃないヒロインが、イケメンモテ男、しかも一途で尽くし属性の幼馴染みと恋人に変わるまでの王道もの青春ラブストーリーです。
*本編完結済み。今後は不定期で番外編を追加していきます。
*本作は『小説家になろう』でも『沙和子』名義で掲載しています。
*イラストはミカスケ様です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる