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カフェ手伝い
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午前11時
ラグドールのお店はお昼時もあって次々とお客さんがやってきた。
宮島洸と最近入った男女のバイトと紬と拓人を含めて、5人でホールの仕事をこなしていた。
リニューアルオープンしてから紬も時々手伝うようになっていた。
服装は、洸と同じ格好の白ワイシャツに黒のエプロンを腰あたりにつけていわゆるギャルソンの姿になっていた。
洸はいつも来ているけれど、滅多に入らない紬の格好を見るとドキッとする。女性は1人大学生が着ているが、紬の着こなしとは全然違っていた。
比べてしまうと、紬の方が豊満な胸で際立っていた。
もう1人の男子アルバイトもぼーとして、紬の食器片付ける姿に首づけで仕事が止まっていた。
「おい!」
洸は年下の大学1年生の佐藤 碧斗の頭をこつんと軽くついた。
「あ、すいません。今、やります。」
ハッと気がついて、テーブルを丁寧に拭いた。
「洸先輩、紬さん、入るの珍しくないですか?」
「ああ。そうだな。でも、仕事中、見過ぎだからな。」
「そうよ!私もいるのにどこ見てんのよ。」
もう1人の専門学生の杉本茉莉花がキッチンにトレイをおいて、声をかける。
「いや、杉本さんは眼中にないっていうか…。」
「は?」
「まぁまぁ。一応杉本さんも女性だからね。大切に扱って、佐藤くん。」
洸はなだめたが、意味がない。
「洸先輩、一応ってどういうことですか!?」
「ごめん、失言だった。」
「すいません。これ、どうすればいいですか?」
紬が食器を片付けながら、食器乾燥機の操作方法を聞いた。
「あ、それは、ここね。食器入れ終わったら、ボタン押すよ。ごめんね、キッチンの方までやってもらって…。」
「これくらいはやらないと父に怒られるから、気にしないでください。」
「え?! なんか言った?」
近くを通り過ぎた遼平が聴く。
忙しそうに、奥の冷蔵庫の方へ行ってしまった。
「ほら、3番テーブル出来上がったよ。みんな仕事してー。」
「はーい。」
3人口を揃えて、ホールへ繰り出す。
「ありがとうございました。またのご利用お待ちしております。」
レジをガチャと閉めて、拓人はお辞儀をして、お客さんをお見送りした。
「お、拓人、会計もすっかり覚えたんだな。」
「現金払いなら、なんとか。キャッシュレス決済はまだ覚えられない。無理、機械の扱い方が…。」
「そうそう、いろんな種類のカードとかpayとかあるからね、俺もまだ覚えきれてない。」
「洸さんもできないことあるんですねー。」
「そりゃね、人間ですもの。ほら、7番テーブル片付けるよ!」
洸は拓人とともに、テーブルの上を綺麗に片付け方をした。そうしてる間にもお店の入り口では名前を書いて待っているお客さんが何組がベンチに座って待っている。
今日の日替わりパスタはアサリが入っているボンゴレだった。
それが目当てに来るわけじゃなさそうで、スイーツのずんだチーズケーキが評判を呼んでいた。
「いらっしゃいませ。お客さまは何名さまですか?」
「2人です。」
「2名さまですね。では、こちらの席にお掛けください。お荷物は下にございますカゴをお使いください。メニューはこちらになります。決まりましたら、テーブルにありますボタンを押してお呼びください。お冷とおしぼりはこちらに置きますね。失礼いたします。」
洸はいつも通りの接客をする。
今日の客層はご年配の主婦が多い感じだった。
ところどころ若いカップルや仕事のお休みの合間に来たのかなと思われる女子たちが訪れていた。
紬は緊張しすぎてしまうため、接客はせず、片付けとキッチンの方を主に任されていた。
時々、紬はお客さんに声をかけられるが、察した洸と拓人は慌ててフォローに入る。
空気を読むのも仕事のいっかんになっていた。
仕事がまともにできないことに自己肯定感が下がりまくる。
ーーー
「お疲れ様でした。」
「今日もたくさん働いたね。みんな、気をつけて帰ってね。」
店長である遼平は、働くバイトのみんなに労った。
「ありがとうございます。」
それぞれに更衣室で私服に着替えて、裏口から帰っていく。
最後に出ようとする洸が紬に声をかける。
「紬ちゃん、陸斗は元気? 今朝く、…。」
少し遠かったが、キッチンにいる両親に聞かれたくないため、洸の口を塞いだ。
「洸さん、それ以上は言わないで。」
小声で紬は話す。そのまま,裏口から外に出て、洸は紬に話を続ける。
「え、だから、今朝、車で陸斗に送られていたでしょ。学校の制服のままだったから朝帰りかなあと思ってさ。」
「え…み、て、たんですか。」
「う、うん。仕事中だったけど、お店の窓から丸見えだったよ。ちなみに、キッチン側からは見えてなかったと思うから大丈夫。」
「……友達の美嘉ちゃんの,うちに泊まりまして、その帰りに迎えに来てもらってたんですけど…。」
「紬ちゃん? 棒読みだよ? 大丈夫?」
「……。」
「そっかぁ、遂に2人はそういう関係に…。」
何も話してないのに、勝手に想像されている。
紬は嘘をつけなかった。
冷や汗が止まらない。
頭の後ろに腕を組む洸。
「大丈夫だよ。店長やくるみさんには黙っておくから!言うわけないじゃん。良いなあ…俺も幸せわけてほしいな。紬ちゃん、今度の土曜日、俺と一緒にでかけない?言わないからー。」
さりげなく、脅されてる気がすると思った紬。
猛アプローチされて、断ることができなかった。
絶対、こんなんじゃない気がするが,断ることが苦手の紬。ラインに出かける日時が送られてきた。
両親に陸斗の家に泊まったことを言わないと言う約束をされて、その代償にデートに誘われると言う訳の分からないことに。
これを陸斗に言うか言うべきか、スマホのラインの陸斗のプロフィール画像と睨めっこする時間が長かった。
洸さんは悪い人じゃないと分かってはいるけど、はっきりと言えない自分もよろしくない。
昨日はあんなに幸せな気持ちだったのに、今日は宙ぶらりんの気持ちのまま、夜は眠れず一夜を過ごした。
ラグドールのお店はお昼時もあって次々とお客さんがやってきた。
宮島洸と最近入った男女のバイトと紬と拓人を含めて、5人でホールの仕事をこなしていた。
リニューアルオープンしてから紬も時々手伝うようになっていた。
服装は、洸と同じ格好の白ワイシャツに黒のエプロンを腰あたりにつけていわゆるギャルソンの姿になっていた。
洸はいつも来ているけれど、滅多に入らない紬の格好を見るとドキッとする。女性は1人大学生が着ているが、紬の着こなしとは全然違っていた。
比べてしまうと、紬の方が豊満な胸で際立っていた。
もう1人の男子アルバイトもぼーとして、紬の食器片付ける姿に首づけで仕事が止まっていた。
「おい!」
洸は年下の大学1年生の佐藤 碧斗の頭をこつんと軽くついた。
「あ、すいません。今、やります。」
ハッと気がついて、テーブルを丁寧に拭いた。
「洸先輩、紬さん、入るの珍しくないですか?」
「ああ。そうだな。でも、仕事中、見過ぎだからな。」
「そうよ!私もいるのにどこ見てんのよ。」
もう1人の専門学生の杉本茉莉花がキッチンにトレイをおいて、声をかける。
「いや、杉本さんは眼中にないっていうか…。」
「は?」
「まぁまぁ。一応杉本さんも女性だからね。大切に扱って、佐藤くん。」
洸はなだめたが、意味がない。
「洸先輩、一応ってどういうことですか!?」
「ごめん、失言だった。」
「すいません。これ、どうすればいいですか?」
紬が食器を片付けながら、食器乾燥機の操作方法を聞いた。
「あ、それは、ここね。食器入れ終わったら、ボタン押すよ。ごめんね、キッチンの方までやってもらって…。」
「これくらいはやらないと父に怒られるから、気にしないでください。」
「え?! なんか言った?」
近くを通り過ぎた遼平が聴く。
忙しそうに、奥の冷蔵庫の方へ行ってしまった。
「ほら、3番テーブル出来上がったよ。みんな仕事してー。」
「はーい。」
3人口を揃えて、ホールへ繰り出す。
「ありがとうございました。またのご利用お待ちしております。」
レジをガチャと閉めて、拓人はお辞儀をして、お客さんをお見送りした。
「お、拓人、会計もすっかり覚えたんだな。」
「現金払いなら、なんとか。キャッシュレス決済はまだ覚えられない。無理、機械の扱い方が…。」
「そうそう、いろんな種類のカードとかpayとかあるからね、俺もまだ覚えきれてない。」
「洸さんもできないことあるんですねー。」
「そりゃね、人間ですもの。ほら、7番テーブル片付けるよ!」
洸は拓人とともに、テーブルの上を綺麗に片付け方をした。そうしてる間にもお店の入り口では名前を書いて待っているお客さんが何組がベンチに座って待っている。
今日の日替わりパスタはアサリが入っているボンゴレだった。
それが目当てに来るわけじゃなさそうで、スイーツのずんだチーズケーキが評判を呼んでいた。
「いらっしゃいませ。お客さまは何名さまですか?」
「2人です。」
「2名さまですね。では、こちらの席にお掛けください。お荷物は下にございますカゴをお使いください。メニューはこちらになります。決まりましたら、テーブルにありますボタンを押してお呼びください。お冷とおしぼりはこちらに置きますね。失礼いたします。」
洸はいつも通りの接客をする。
今日の客層はご年配の主婦が多い感じだった。
ところどころ若いカップルや仕事のお休みの合間に来たのかなと思われる女子たちが訪れていた。
紬は緊張しすぎてしまうため、接客はせず、片付けとキッチンの方を主に任されていた。
時々、紬はお客さんに声をかけられるが、察した洸と拓人は慌ててフォローに入る。
空気を読むのも仕事のいっかんになっていた。
仕事がまともにできないことに自己肯定感が下がりまくる。
ーーー
「お疲れ様でした。」
「今日もたくさん働いたね。みんな、気をつけて帰ってね。」
店長である遼平は、働くバイトのみんなに労った。
「ありがとうございます。」
それぞれに更衣室で私服に着替えて、裏口から帰っていく。
最後に出ようとする洸が紬に声をかける。
「紬ちゃん、陸斗は元気? 今朝く、…。」
少し遠かったが、キッチンにいる両親に聞かれたくないため、洸の口を塞いだ。
「洸さん、それ以上は言わないで。」
小声で紬は話す。そのまま,裏口から外に出て、洸は紬に話を続ける。
「え、だから、今朝、車で陸斗に送られていたでしょ。学校の制服のままだったから朝帰りかなあと思ってさ。」
「え…み、て、たんですか。」
「う、うん。仕事中だったけど、お店の窓から丸見えだったよ。ちなみに、キッチン側からは見えてなかったと思うから大丈夫。」
「……友達の美嘉ちゃんの,うちに泊まりまして、その帰りに迎えに来てもらってたんですけど…。」
「紬ちゃん? 棒読みだよ? 大丈夫?」
「……。」
「そっかぁ、遂に2人はそういう関係に…。」
何も話してないのに、勝手に想像されている。
紬は嘘をつけなかった。
冷や汗が止まらない。
頭の後ろに腕を組む洸。
「大丈夫だよ。店長やくるみさんには黙っておくから!言うわけないじゃん。良いなあ…俺も幸せわけてほしいな。紬ちゃん、今度の土曜日、俺と一緒にでかけない?言わないからー。」
さりげなく、脅されてる気がすると思った紬。
猛アプローチされて、断ることができなかった。
絶対、こんなんじゃない気がするが,断ることが苦手の紬。ラインに出かける日時が送られてきた。
両親に陸斗の家に泊まったことを言わないと言う約束をされて、その代償にデートに誘われると言う訳の分からないことに。
これを陸斗に言うか言うべきか、スマホのラインの陸斗のプロフィール画像と睨めっこする時間が長かった。
洸さんは悪い人じゃないと分かってはいるけど、はっきりと言えない自分もよろしくない。
昨日はあんなに幸せな気持ちだったのに、今日は宙ぶらりんの気持ちのまま、夜は眠れず一夜を過ごした。
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