53 / 67
第53話
しおりを挟む
「ごめんな、この間、風邪引いてさ。
助けてくれたのに、全然お礼してなかったよな。今日はおごらせて。」
生クリームたっぷりのカフェに並んでいた。
自由の女神が目印の有名な大手チェーン店だ。
昼時もあって、行列ができていた。
今はメロンフラペチーノが季節のメニューとして出ていた。
「そんな、具合悪くなったら
助けるのが友達でしょう。」
「あ、うん。……そうだな。
友達だもんな。俺ら。
高校からの付き合いだし、長いもんな。
いや、でもおごりたいから遠慮なく、
注文して。」
「え、んじゃ、
このスノーブロッサム頼んで良いかな。」
「ん?いきなり、軌道修正するんだな。
びっくりだけど、まぁいいや。」
「だって、颯人がそういうから
お言葉に甘えちゃおかなって。」
「ああ、わかったよ。
これな、スノーブロッサム?
さくら アリュールとカカオジュース、
碁石茶が入ってるらしいよ。
甘酒平気なの?」
「お酒はたしなむ程度なら平気だよ。」
「つまりは期間限定に弱いんだろ、星矢は。」
「あ、バレた。
そういうことだよ。
颯人はメロンフラペチーノでしょう。」
「当たり前。季節のフラペチーノは
飲みまくってるから。
桜の味のも美味しかったな。」
まるでデートしてるみたいに横にならんで、
やっとこそ、レジの前に着いた。
髪の長いカフェ店員さんが、緑のエプロンをつけて、笑顔で対応した。まつげが長くて、猫のように目が大きい人だった。
(この子…颯人のタイプの人かな。)
星矢は変な妄想する。
可愛い子は大抵颯人が好きだったりするのかなとジロジロと颯人の目を見るが、全然そんな素ぶりを見せない。眼中に無いようだ。
「星矢、注文終わったぞ。
あそこのオレンジのランプで待っててくださいってさ。クッキーも頼んでたぞ。」
「あ、本当?
気が利くね。お嫁さんみたい。」
「よ、嫁?俺男だし。」
「いやいや、女子力高いって言わない?
男子でも。僕なんて、
高校の時の先輩に裁縫セットや
絆創膏持っているだけで女子力高いって
先輩女子に言われたんだよ。」
「へぇー、そうなんだ。
確かに星矢はごっつい男子って感じ
しないもんな。華奢だし、肌白いしな。」
颯人は少し頬を赤らめて、星矢を見る。
「え?颯人、熱でもある?大丈夫?」
星矢は颯人の額を手のひらで測った。
平熱だった。颯人は星矢の手を振り払った。
「大丈夫だって。
そんな風邪引いたばかりですぐ引くかよ。」
「あ、確かにそうだね。
でも、頬赤かったから。」
「勘違いだよ。」
颯人は自分の気持ちを悟られないようにと
ごまかした。
「お待たせしました。
メロンフラペチーノとスノーブロッサムの方!」
「はい!」
颯人は慌てて、商品を取りに行く。
こんなにメロンが入った飲み物があう人は
いないだろう。
星矢は、クスッと颯人を笑った。
「何、笑っているんだよ。」
「ううん。何でもないよ。
これ、どんな味するんだろう。
あー、春な感じだ。
季節を感じるね。」
「へー。俺は、メロンでメロンメロンだ。」
「え?颯人からそういうの出てくるとは
思わなかった。」
「え、いうよ?たまにはね。」
星矢はまたクスッと笑う。
今度はどこかバカにしたような笑いに
颯人はイラッとした。
そんな他愛もない話で星矢は楽しかった。
しばらく、同僚以外の友人には
会っていたため、新鮮な気持ちだった。
ざわざわとカフェではお客さんが混んできた。
星矢と颯人はカフェの端っこで
近況報告しながら、まったりと
過ごすことにした。
なんでもない会話が
とても充実した時間だった。
助けてくれたのに、全然お礼してなかったよな。今日はおごらせて。」
生クリームたっぷりのカフェに並んでいた。
自由の女神が目印の有名な大手チェーン店だ。
昼時もあって、行列ができていた。
今はメロンフラペチーノが季節のメニューとして出ていた。
「そんな、具合悪くなったら
助けるのが友達でしょう。」
「あ、うん。……そうだな。
友達だもんな。俺ら。
高校からの付き合いだし、長いもんな。
いや、でもおごりたいから遠慮なく、
注文して。」
「え、んじゃ、
このスノーブロッサム頼んで良いかな。」
「ん?いきなり、軌道修正するんだな。
びっくりだけど、まぁいいや。」
「だって、颯人がそういうから
お言葉に甘えちゃおかなって。」
「ああ、わかったよ。
これな、スノーブロッサム?
さくら アリュールとカカオジュース、
碁石茶が入ってるらしいよ。
甘酒平気なの?」
「お酒はたしなむ程度なら平気だよ。」
「つまりは期間限定に弱いんだろ、星矢は。」
「あ、バレた。
そういうことだよ。
颯人はメロンフラペチーノでしょう。」
「当たり前。季節のフラペチーノは
飲みまくってるから。
桜の味のも美味しかったな。」
まるでデートしてるみたいに横にならんで、
やっとこそ、レジの前に着いた。
髪の長いカフェ店員さんが、緑のエプロンをつけて、笑顔で対応した。まつげが長くて、猫のように目が大きい人だった。
(この子…颯人のタイプの人かな。)
星矢は変な妄想する。
可愛い子は大抵颯人が好きだったりするのかなとジロジロと颯人の目を見るが、全然そんな素ぶりを見せない。眼中に無いようだ。
「星矢、注文終わったぞ。
あそこのオレンジのランプで待っててくださいってさ。クッキーも頼んでたぞ。」
「あ、本当?
気が利くね。お嫁さんみたい。」
「よ、嫁?俺男だし。」
「いやいや、女子力高いって言わない?
男子でも。僕なんて、
高校の時の先輩に裁縫セットや
絆創膏持っているだけで女子力高いって
先輩女子に言われたんだよ。」
「へぇー、そうなんだ。
確かに星矢はごっつい男子って感じ
しないもんな。華奢だし、肌白いしな。」
颯人は少し頬を赤らめて、星矢を見る。
「え?颯人、熱でもある?大丈夫?」
星矢は颯人の額を手のひらで測った。
平熱だった。颯人は星矢の手を振り払った。
「大丈夫だって。
そんな風邪引いたばかりですぐ引くかよ。」
「あ、確かにそうだね。
でも、頬赤かったから。」
「勘違いだよ。」
颯人は自分の気持ちを悟られないようにと
ごまかした。
「お待たせしました。
メロンフラペチーノとスノーブロッサムの方!」
「はい!」
颯人は慌てて、商品を取りに行く。
こんなにメロンが入った飲み物があう人は
いないだろう。
星矢は、クスッと颯人を笑った。
「何、笑っているんだよ。」
「ううん。何でもないよ。
これ、どんな味するんだろう。
あー、春な感じだ。
季節を感じるね。」
「へー。俺は、メロンでメロンメロンだ。」
「え?颯人からそういうの出てくるとは
思わなかった。」
「え、いうよ?たまにはね。」
星矢はまたクスッと笑う。
今度はどこかバカにしたような笑いに
颯人はイラッとした。
そんな他愛もない話で星矢は楽しかった。
しばらく、同僚以外の友人には
会っていたため、新鮮な気持ちだった。
ざわざわとカフェではお客さんが混んできた。
星矢と颯人はカフェの端っこで
近況報告しながら、まったりと
過ごすことにした。
なんでもない会話が
とても充実した時間だった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
黒木くんと白崎くん
ハル*
BL
黒木くんは、男子にしてはちょっとだけ身長低めで、甘いもの好きなのに隠したがりなちょっと口が悪いのに面倒見がいい先輩。
白崎くんは、黒木くんより身長高めでキレー系の顔がコンプレックスの後輩。
中学1年の時に、委員会の先輩だった黒木くんが卒業する前に、白崎くんに残した言葉からうつむきがちだった生活が変わっていって…。
「先輩は何気ないつもりだったんでしょうけど、僕にとってはそれはまるで神様からの言葉みたいだったんです」
ノンケの先輩を好きになった、初恋が黒木先輩という白崎くん。
自分を意識してほしいけど、まるで子どもみたいなやり方でしか先輩の前に出られない。
…でも、男の僕が先輩を好きになってと望んでも、先輩を困らせたりしないかな。
女の子から意識されている先輩を見ていると、「僕の方が好きなのに!」とか、「僕の方が先に!」とか思う裏側で、「手をつなぎたいって言っても気持ち悪がられちゃうよね? だって、僕…男だし」って凹んでしまう。
それでもどんな形でもそばにいたい、黒木先輩のそばに…。
黒木くんのことを意識してから、追うように入学した高校で、ゆっくりと好きになってもらうための日々。
2歳差男子高校生二人の、卒業までの一年間のお話。
※コンテストの関係で、なろうでも同作を連載開始しました。
こちらよりは更新ゆっくりめです。
普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。
かーにゅ
BL
「君は死にました」
「…はい?」
「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」
「…てんぷれ」
「てことで転生させます」
「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」
BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
太陽に恋する花は口から出すには大きすぎる
きよひ
BL
片想い拗らせDK×親友を救おうと必死のDK
高校三年生の蒼井(あおい)は花吐き病を患っている。
花吐き病とは、片想いを拗らせると発症するという奇病だ。
親友の日向(ひゅうが)は蒼井の片想いの相手が自分だと知って、恋人ごっこを提案した。
両思いになるのを諦めている蒼井と、なんとしても両思いになりたい日向の行末は……。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる