49 / 67
第49話
しおりを挟む
朝起きて、ふとんにくるまったまま、リビングに向かう。体がブルブルと震えた。
テレビのスイッチを入れて、ニュースを見る。
今の時間はそろそろ会社に行く準備をしなければならない時間だ。
自分は何をしたいのかわからなくなった。
ソファに毛布にくるまったまま座った。
ぼーっと見てもないテレビを見つめる。
頭に内容が入ってこない。
コテンと体を横にする。
背中がゴツゴツしている緑色の着ぐるみと目が飛び出しているもふもふの赤色の着ぐるみが
映っていた。
懐かしい番組を思い出す。
さすがにズル休みも長すぎるだろうと考えながら、重い体を起こそうとするがフラフラで起きられない。会社に行かないといけないのに、思うように体が動かない。
星矢は、息を荒くして、
とりあえずテレビのスイッチを切った。
これってもしかしてのもしかして、
本当に風邪ひいてしまったんじゃないかと
今頃になって気づく。
呼吸が浅い。額が熱い気がする。
喉が異常に渇く。でもお腹が空かない。
頭が痛い。
フラフラして思うように前に進めない。
スマホはどこにやったかなと床をずり這いしながら、寝室のベッドに向かった。
手を伸ばしたがあとちょっとで届かない。
諦めようとした。
その時、インターフォンがなった。
この状況で返事なんてできない。
そのまま冷たい床に頬をつけ
黙っていた。癒しの冷たさだった。
このままではいけないとふぅーと息を吐いて、
また毛布にくるまりながら、玄関の方に歩く。
「ど……なた様?」
外国人のようにカタコトになりながら、
ドアを開けると、目を丸くしてびっくりした顔の翔太がいた。ハッと気づいて、すぐにドアを閉めようとすると翔太の足が引っかかった。
「星矢、何してるんだよ。」
「……いや、大丈夫ですから。」
頬を赤くして、平日の朝だというのに
体を毛布にくるまっている。
異常な状態だと察した。
心配かけたくないとドアを閉めようとするが、
翔太の足がよけてくれない。
力が不足して、観念する。
「もう、どうぞ。ご自由に。」
諦めて、リビングのソファにどさっとうつ伏せで横になった。
「何、やってるんだって聞いてるんだ。」
「……この通りですよ。」
翔太はうつ伏せになっている星矢の額を触る。
「熱い!!やばいくらい熱いだろ。
ったく、俺が来てよかったな。」
翔太は迷惑そうな顔をしながら、内心ものすごく嬉しかった。
「ど。どうして、先輩、こんな時間に?」
「…朝採れ野菜を星矢にと思って持ってきたんだ。会社のイベント行事で野菜を育てようって企画があってさ。さっき会社専用の畑で採ってきたんだ。これのおかげで今日は会社は休みだったけどさ。星矢、ラッキーだったな。」
「…よくわかりませんが。
よかったかな。」
目をつぶり、横になりながら小さな声で話す。
もう力が残されていない。
翔太はソファで横になる星矢をベッドに運んだ。
「うひゃぁ、ちょっとやめてください。」
「いいから、黙って背負われろ。」
「……。」
抵抗する力もなかった。
星矢は翔太にベッドに運ばれて、ふとんを口もとぎりぎりまでかけられた。
「しっかり休んでおけ。」
翔太は、腕まくりをして、採れたて野菜で料理をはじめた。風邪に効くメニューをと鍋にお湯を沸かした。
あまり料理をしないという翔太が作る料理は
大丈夫なのだろうかと心配になったが、
星矢は1人じゃない空間に安心して眠りに
ついた。
アパート近くの交差点では、
クラクションが響いていた。
いつも通りの朝が街には忙しくなく、
訪れている。
テレビのスイッチを入れて、ニュースを見る。
今の時間はそろそろ会社に行く準備をしなければならない時間だ。
自分は何をしたいのかわからなくなった。
ソファに毛布にくるまったまま座った。
ぼーっと見てもないテレビを見つめる。
頭に内容が入ってこない。
コテンと体を横にする。
背中がゴツゴツしている緑色の着ぐるみと目が飛び出しているもふもふの赤色の着ぐるみが
映っていた。
懐かしい番組を思い出す。
さすがにズル休みも長すぎるだろうと考えながら、重い体を起こそうとするがフラフラで起きられない。会社に行かないといけないのに、思うように体が動かない。
星矢は、息を荒くして、
とりあえずテレビのスイッチを切った。
これってもしかしてのもしかして、
本当に風邪ひいてしまったんじゃないかと
今頃になって気づく。
呼吸が浅い。額が熱い気がする。
喉が異常に渇く。でもお腹が空かない。
頭が痛い。
フラフラして思うように前に進めない。
スマホはどこにやったかなと床をずり這いしながら、寝室のベッドに向かった。
手を伸ばしたがあとちょっとで届かない。
諦めようとした。
その時、インターフォンがなった。
この状況で返事なんてできない。
そのまま冷たい床に頬をつけ
黙っていた。癒しの冷たさだった。
このままではいけないとふぅーと息を吐いて、
また毛布にくるまりながら、玄関の方に歩く。
「ど……なた様?」
外国人のようにカタコトになりながら、
ドアを開けると、目を丸くしてびっくりした顔の翔太がいた。ハッと気づいて、すぐにドアを閉めようとすると翔太の足が引っかかった。
「星矢、何してるんだよ。」
「……いや、大丈夫ですから。」
頬を赤くして、平日の朝だというのに
体を毛布にくるまっている。
異常な状態だと察した。
心配かけたくないとドアを閉めようとするが、
翔太の足がよけてくれない。
力が不足して、観念する。
「もう、どうぞ。ご自由に。」
諦めて、リビングのソファにどさっとうつ伏せで横になった。
「何、やってるんだって聞いてるんだ。」
「……この通りですよ。」
翔太はうつ伏せになっている星矢の額を触る。
「熱い!!やばいくらい熱いだろ。
ったく、俺が来てよかったな。」
翔太は迷惑そうな顔をしながら、内心ものすごく嬉しかった。
「ど。どうして、先輩、こんな時間に?」
「…朝採れ野菜を星矢にと思って持ってきたんだ。会社のイベント行事で野菜を育てようって企画があってさ。さっき会社専用の畑で採ってきたんだ。これのおかげで今日は会社は休みだったけどさ。星矢、ラッキーだったな。」
「…よくわかりませんが。
よかったかな。」
目をつぶり、横になりながら小さな声で話す。
もう力が残されていない。
翔太はソファで横になる星矢をベッドに運んだ。
「うひゃぁ、ちょっとやめてください。」
「いいから、黙って背負われろ。」
「……。」
抵抗する力もなかった。
星矢は翔太にベッドに運ばれて、ふとんを口もとぎりぎりまでかけられた。
「しっかり休んでおけ。」
翔太は、腕まくりをして、採れたて野菜で料理をはじめた。風邪に効くメニューをと鍋にお湯を沸かした。
あまり料理をしないという翔太が作る料理は
大丈夫なのだろうかと心配になったが、
星矢は1人じゃない空間に安心して眠りに
ついた。
アパート近くの交差点では、
クラクションが響いていた。
いつも通りの朝が街には忙しくなく、
訪れている。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
黒木くんと白崎くん
ハル*
BL
黒木くんは、男子にしてはちょっとだけ身長低めで、甘いもの好きなのに隠したがりなちょっと口が悪いのに面倒見がいい先輩。
白崎くんは、黒木くんより身長高めでキレー系の顔がコンプレックスの後輩。
中学1年の時に、委員会の先輩だった黒木くんが卒業する前に、白崎くんに残した言葉からうつむきがちだった生活が変わっていって…。
「先輩は何気ないつもりだったんでしょうけど、僕にとってはそれはまるで神様からの言葉みたいだったんです」
ノンケの先輩を好きになった、初恋が黒木先輩という白崎くん。
自分を意識してほしいけど、まるで子どもみたいなやり方でしか先輩の前に出られない。
…でも、男の僕が先輩を好きになってと望んでも、先輩を困らせたりしないかな。
女の子から意識されている先輩を見ていると、「僕の方が好きなのに!」とか、「僕の方が先に!」とか思う裏側で、「手をつなぎたいって言っても気持ち悪がられちゃうよね? だって、僕…男だし」って凹んでしまう。
それでもどんな形でもそばにいたい、黒木先輩のそばに…。
黒木くんのことを意識してから、追うように入学した高校で、ゆっくりと好きになってもらうための日々。
2歳差男子高校生二人の、卒業までの一年間のお話。
※コンテストの関係で、なろうでも同作を連載開始しました。
こちらよりは更新ゆっくりめです。
普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。
かーにゅ
BL
「君は死にました」
「…はい?」
「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」
「…てんぷれ」
「てことで転生させます」
「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」
BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
太陽に恋する花は口から出すには大きすぎる
きよひ
BL
片想い拗らせDK×親友を救おうと必死のDK
高校三年生の蒼井(あおい)は花吐き病を患っている。
花吐き病とは、片想いを拗らせると発症するという奇病だ。
親友の日向(ひゅうが)は蒼井の片想いの相手が自分だと知って、恋人ごっこを提案した。
両思いになるのを諦めている蒼井と、なんとしても両思いになりたい日向の行末は……。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる