39 / 41
第39話
しおりを挟む崩れかかった城のそばで
感動の再会となった。
フィンレーとマージェ、ノーウッド。
旅に出ると行ってから、
半年の月日が流れていた。
騎士の試験があるからと
家を飛び出して、
父母は、心配そうにフィンレーを見る。
「フィンレー!無事だったのか。」
「心配したのよ。けがはない?」
「父さん、母さん。」
体をベタベタと触ってはけががないか
確かめる。
「大丈夫だって。心配すんなよ。」
心配性の二人に少しうれしかった。
「大丈夫なら、よかった。
お城が崩れたって聞いて、
商店のみんながかけつけたんだ。
何かあったのか?」
ノーウッドが聞く。
テオドールが亡くなったこと。
翡翠の原因かわからないが
城が崩れてしまったこと。
新しい王を決めなくてはいけないこと。
事細かに説明した。
「そうだったのか。
フィンレー、
お前に話さなくてはならない。」
「父さん、
俺も、はっきり聞いておきたかった。」
「ああ、薄々、
気づいているかもしれないが、
フィンレー、
お前は俺たち夫婦の
本当の子ではない。
本当の両親は、さっき話していた
テオドール王なんだ。
私たちは命じられて、フィンレーを
育ててきたんだ。
今まで、騙していたみたいで
すまなかった。」
「本当のことを話してくれてありがとう。
それを聞けて、やっと辻褄があったよ。
この髪色であることの意味が
分かった気がした。
父さん、顔を上げて。
俺にとって、
血のつながりはなくても
いつまでも父さんだよ。」
ノーウッドの目から
ポロポロと
涙がこぼれる。
この子育ては無駄じゃなかったと思えた。
がっしりと親子の絆を確かめた。
「そ、そう思ってくれただけで
うれしいよ。」
「あと、聞きたかったことがあるんだ。
翡翠の願い事って話は本当?」
「…それは、伝説って言われてる。
真実は誰にも分からないんだ。」
「やってみないとわからないってことか。」
「城下町の地下道に、
翡翠が眠ってるって噂はあったぞ。」
「可能性があることは、行ってみるよ。
なぁ、ソフィア。」
「ええ、そうね。
今は、翡翠を追いかけるべきだわ。」
「よぽど、自力で再建したくないとみた。」
「当たり前でしょう。
人手では限界があるわ。」
「まぁまぁ、そしたらいつものメンバーで
行こうぜ。」
「任せろ。」
スカーレットは、立ち上がってアピールした。
レクエペとケラットは静かにうなずいた。
「装備品は大丈夫か。
店に寄って行ってくれ。
最近入荷した武器がある。」
「助かる。
みんなの分、頼んだよ、父さん。」
小人の2人は飛び上がって喜んだ。
ソフィアの横にマージェは近づいた。
「ソフィア王女。
お体は大丈夫でしょうか?
我が家は宿屋も併設しておりますので、
お休みになられてはいかがですか?
お食事もご用意いたしますよ?」
「本当ですか?
至れり尽くせりで
願ったり叶ったりです。」
「ぜひ、お疲れでしょうから。」
「ありがとうございます。」
傷だらけのメンバーは、
マージェとノーウッドのお店に
向かっては、体を癒した。
久しぶりの
まともな食事に
ありつけて、
たいそう満足していた。
げっぷが響くほどだった。
偏食のソフィアでさえも
完食するくらいだ。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる