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第38話
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フィンレーはただ広い
砂漠フィールドに立ち尽くした。
柔らかな風が体を吹きすさぶ。
目を閉じて、
黙想する。
飛んできた砂がパチパチと鎧に当たる。
ここにいる自分は何者なのか。
ソフィアから言われた言葉
テオドールとの会話
スカーレットとの 騎士の訓練
随分前に
騎士の試験で
ルァントと 剣の稽古についていた。
城下町の道具屋で
父と母が笑顔で見送ってくれた。
あれは、偽物の家族なのか。
いつも温かく見守ってくれる。
嫌なことがあったとき
真摯に聞いてくれた母のマージェ。
いつも優しかった。
近所の友達に髪が明るすぎて
変だといじめられた時も
体を張って守ってくれた父ノーウッド。
髪が明るい。
父と母は茶色い髪で
俺だけ
銀髪だったことを
変な奴と言われていた。
なんで親子なのに
色が違うと
その時思ったが、
突然変異で
変わることもあると
言われて
納得してしまった。
ソフィアも髪は
フィンレーより長いが
銀髪であった。
あの時の疑問に辻褄があう。
俺はやっぱり
メンフィリアの…。
目を開けて、
夕日が沈む空を見上げた。
1番星が 輝いていた。
後ろから砂の上を駆け出す音が
聞こえる。
さっと振り返ると、
ソフィア1人だけ だった。
「フィンレー、
急に王様にって言われても
困るよね。
私もしばらく会っていなかったし
確証は持てなかったからさ。
ここまで、長く旅ができる騎士も
いないと思うのよね。
フィールドには
たくさんのモンスターや兵士もいるし、
アンデッドだって。
訓練をやりこなしてきた
努力の賜物じゃない。
そりゃー、嘘ついて
来ちゃったことは謝るけどさ。
お父さんもきっと喜んでると思うよ。」
フィンレーは、振り返って
ソフィアの目を見る。
「確かめたいことがあるんだ。」
「え、ちょっと待って。
今言った私の話は全部スルー?
一言もかすりなし?
なんで?
どうして?」
ソフィアは、
歩き出すフィンレーの横を右から
左から顔を覗くが、
まっすぐにメンフィリアの方角に
向かっている。
「ちょっとくらい話を
聞きなさいよーー!」
ソフィアの声が砂漠全体にこだまする。
それでも、フィンレーは進み続ける。
砂の上はとても歩きにくかった。
◇◇◇
メンフィリィアの城跡に行くと、
柱の残骸をベンチ代わりにして、
みんなが待っていた。
「気持ちの整理はついたのか?」
スカーレットが問いかける。
「フィンレーさん!
僕なら、王様になっても
どこまでも着いていきますよ。」
レクエペがフィンレーの
足元まで近づいて
アピールする。
隣にいたケラットも、
黙って何度も頷いた。
「えー、フィンレーが王様?
昔から泣き虫なのに
なれるのー?」
小さい頃からの付き合いがある
スカーレットは、
昔話をふっかける。
「なっ?!
今、泣いてないだろ?」
「どうだかー?」
「感情的豊かに表現するのは
国民の共感を得やすいと思うわ。」
「いや、そこ真面目に
答えることじゃないよ?」
スカーレットはソフィアの肩を
ぽんとたたく。
「え?そうなの?」
「それはそうと、ソフィアさん。
私のお願い聞いてくれる?」
「え?
何の話?」
スカーレットはソフィアに耳打ちで
話し出す。
「それはもう、大歓迎するわ。
人手不足だから。」
「やったね。
これは楽ちんだわ。」
スカーレットは嬉しくなって、
剣の舞のダンスを踊り始めた。
「なに、なに、どういうこと?
スカーレットは
変なキノコでも食べた訳?」
「違うよ、フィンレー。
スカーレットが試験受けなくても
騎士になれるのかってことだよ。」
「あー、それで。
まー、楽ちんだよな。
苦痛でしかない鍛錬から
避けられるからな!?
スカーレット、
現実はもっと厳しいんだぞ?」
「知ったような口聞くな、
フィンレー!」
何故か取っ組み合いの喧嘩に
なってきた。
ソフィアとレクエペ、ケラットが
間に入って止めるのに必死だった。
すると、スコップを持った人々が
城下町の階段が上がって来ていた。
幸いにも
お城は壊れたが
街には一切の傷はついていなかった。
様子がおかしいと街人達が
スコップを持って瓦礫を片付けに
やって来ていた。
その集団の中に
フィンレーの父母が紛れ込んでいた。
スカーレットとの喧嘩が
止まった瞬間だった。
砂漠フィールドに立ち尽くした。
柔らかな風が体を吹きすさぶ。
目を閉じて、
黙想する。
飛んできた砂がパチパチと鎧に当たる。
ここにいる自分は何者なのか。
ソフィアから言われた言葉
テオドールとの会話
スカーレットとの 騎士の訓練
随分前に
騎士の試験で
ルァントと 剣の稽古についていた。
城下町の道具屋で
父と母が笑顔で見送ってくれた。
あれは、偽物の家族なのか。
いつも温かく見守ってくれる。
嫌なことがあったとき
真摯に聞いてくれた母のマージェ。
いつも優しかった。
近所の友達に髪が明るすぎて
変だといじめられた時も
体を張って守ってくれた父ノーウッド。
髪が明るい。
父と母は茶色い髪で
俺だけ
銀髪だったことを
変な奴と言われていた。
なんで親子なのに
色が違うと
その時思ったが、
突然変異で
変わることもあると
言われて
納得してしまった。
ソフィアも髪は
フィンレーより長いが
銀髪であった。
あの時の疑問に辻褄があう。
俺はやっぱり
メンフィリアの…。
目を開けて、
夕日が沈む空を見上げた。
1番星が 輝いていた。
後ろから砂の上を駆け出す音が
聞こえる。
さっと振り返ると、
ソフィア1人だけ だった。
「フィンレー、
急に王様にって言われても
困るよね。
私もしばらく会っていなかったし
確証は持てなかったからさ。
ここまで、長く旅ができる騎士も
いないと思うのよね。
フィールドには
たくさんのモンスターや兵士もいるし、
アンデッドだって。
訓練をやりこなしてきた
努力の賜物じゃない。
そりゃー、嘘ついて
来ちゃったことは謝るけどさ。
お父さんもきっと喜んでると思うよ。」
フィンレーは、振り返って
ソフィアの目を見る。
「確かめたいことがあるんだ。」
「え、ちょっと待って。
今言った私の話は全部スルー?
一言もかすりなし?
なんで?
どうして?」
ソフィアは、
歩き出すフィンレーの横を右から
左から顔を覗くが、
まっすぐにメンフィリアの方角に
向かっている。
「ちょっとくらい話を
聞きなさいよーー!」
ソフィアの声が砂漠全体にこだまする。
それでも、フィンレーは進み続ける。
砂の上はとても歩きにくかった。
◇◇◇
メンフィリィアの城跡に行くと、
柱の残骸をベンチ代わりにして、
みんなが待っていた。
「気持ちの整理はついたのか?」
スカーレットが問いかける。
「フィンレーさん!
僕なら、王様になっても
どこまでも着いていきますよ。」
レクエペがフィンレーの
足元まで近づいて
アピールする。
隣にいたケラットも、
黙って何度も頷いた。
「えー、フィンレーが王様?
昔から泣き虫なのに
なれるのー?」
小さい頃からの付き合いがある
スカーレットは、
昔話をふっかける。
「なっ?!
今、泣いてないだろ?」
「どうだかー?」
「感情的豊かに表現するのは
国民の共感を得やすいと思うわ。」
「いや、そこ真面目に
答えることじゃないよ?」
スカーレットはソフィアの肩を
ぽんとたたく。
「え?そうなの?」
「それはそうと、ソフィアさん。
私のお願い聞いてくれる?」
「え?
何の話?」
スカーレットはソフィアに耳打ちで
話し出す。
「それはもう、大歓迎するわ。
人手不足だから。」
「やったね。
これは楽ちんだわ。」
スカーレットは嬉しくなって、
剣の舞のダンスを踊り始めた。
「なに、なに、どういうこと?
スカーレットは
変なキノコでも食べた訳?」
「違うよ、フィンレー。
スカーレットが試験受けなくても
騎士になれるのかってことだよ。」
「あー、それで。
まー、楽ちんだよな。
苦痛でしかない鍛錬から
避けられるからな!?
スカーレット、
現実はもっと厳しいんだぞ?」
「知ったような口聞くな、
フィンレー!」
何故か取っ組み合いの喧嘩に
なってきた。
ソフィアとレクエペ、ケラットが
間に入って止めるのに必死だった。
すると、スコップを持った人々が
城下町の階段が上がって来ていた。
幸いにも
お城は壊れたが
街には一切の傷はついていなかった。
様子がおかしいと街人達が
スコップを持って瓦礫を片付けに
やって来ていた。
その集団の中に
フィンレーの父母が紛れ込んでいた。
スカーレットとの喧嘩が
止まった瞬間だった。
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