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第24話
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ただ広い砂漠があった。
遠くてラクダがゆっくり歩いている。
砂が風で吹き荒れて、
目の中に入るのを恐れた。
フードをかぶって、風よけをした。
あと数メートル先にオアシスがある。
覆い茂った木々と、青く透き通った泉が見える。
ニワトリが大きく進化した
野生のチキン・ピルファーラーに
乗って移動していた。
スカーレットは
レクエペとケラットとともに
チキン・ピルフォーラーに乗っている。
フィンレーの後ろには腰を手にまわして、
ソフィアが乗っていた。
どこか恥ずかしそうだった。
フードを目深にかぶってごまかした。
「大丈夫か?」
後ろを振りかえって様子を伺う。
「うん、平気…。」
本当は心臓がドキドキしすぎて、
どうにかなりそうだった。
なんで、スカーレットと一緒に
乗らなかったんだろうと自分を責めた。
オアシスに到着するとフィンレーは手を貸して、
ソフィアをおろした。
「ごめんなさい。ありがとう。」
「おう。任せておけって。
回復の泉だろうから、
しっかりMP回復しておけよ?」
フィンレーは、ソフィアを泉の方へ誘導した。
「そうね。HPは回復できるけど、
MPは宿屋じゃないと回復できないし。」
「わーい。」
小人たちは、泉にバシャバシャと入って
楽しんでいた。
スカーレットも一緒になって入っている。
「あ、俺も入るかな。」
ソフィアの前で服を脱ごうとするフィンレーは
悲鳴にびっくりする。
「ちょっと目の前で脱がないで。」
「あ、悪い。」
慌てたフィンレーは、木の影に行って
服を脱いではソフィアに見えないように
泉の中に入った。
ソフィアは、一人すそを手繰り寄せては、
手で足にそっとかけていた。
砂漠の暑さを涼むにはちょうどよかった。
空を見上げると大きな入道雲が
もくもくと出ていた。
雨も降らず、ずっとこの暑さは汗がとまらない。
「大変だ!?」
フィンレーがあることに気づく。
「みんな、泉に入るんじゃないって。
もう、全員入ってしまってるよな…。」
「何、なんで、入っちゃだめなの?」
「MPは回復してるみたいだが、
魔法が使えなくなってるぞ。」
「嘘、なんで?」
スカーレットは様々な魔法を唱えてみるが、
光さえも出なくなって、ただの言葉になっていた。
「本当だ。」
「私たちもです!」
ケラットが叫んだ。
「私も…何もできない。
どうして?」
両手を見つめ、魔法が唱えられないことに
ショックを受ける。
ソフィアにとっては唯一の攻撃は魔法。
杖で攻撃と言ってもフィンレーたちほどの
ダメージを与えられない。
顔を両手で覆った。
「どうしたらいいの?
私、魔法がないと何もできない。」
フィンレーは、泉の中から
ソフィアにそっと近づいて、
頭をなでた。
「大丈夫。何とかなるさ。
俺が何とかするから。」
「無理よ。
私、魔法が使えないことが
なかったもの。」
涙がとまらない。
絶望する。
「魔法が無くても
生きていける方法
を見つけなさいって
神様が
与えた試練かもしれないんだ。」
手を差し伸べるが、また顔を覆う。
「裸はいや!」
上半身裸になっているフィンレーを
見たくなかったようだ。
「あ、ごめんなさい。」
フィンレーは、慌てて、
服に着替えては、
ソフィアの近くに寄った。
やっと落ち着いて、見えた。
「一緒に探そう。
魔法を取り戻す方法。
その間は魔法を使わないで
過ごすことになるけど、
俺がフォローするから。」
「……。」
何も言えずにフィンレーの手をつかみ
立ち上がる。
「原因は、この泉。
魔法が使えなくなる
トリガーだと思う。
中に入って、確かめてみるわ。
みんなはこのままここにいて。」
「気をつけて。」
「ああ。」
フィンレーは、また服を脱いで、
泉の深いところに潜りに行く。
ぶくぶくと息を少しずつ吐きだして、
泉の底を見ると大きな足がたくさんある
モンスターがこちらをにらんでいる。
目がギョロギョロとしている。
足が8本もある赤い巨大なオクトパスが
泉の中にもぐっていた。
攻撃は仕掛けてこないが、
ずっとこちらを睨みつけてくる。
魔法を使えないが、
どうやって倒すかを悩んだ。
フィンレーは、
一度陸に上がり、作戦を考えた。
潜れる人だけ一緒に戦いに行くことにした。
武器を装備して、
もう一度3人で潜る。
フィンレーとスカーレット、
レクエペが
足をばたばたとさせながら、
巨大なオクトパスに
目を丸くして驚いていた。
近くでは可愛いカクレクマノミが
数匹泳いでいた。
遠くてラクダがゆっくり歩いている。
砂が風で吹き荒れて、
目の中に入るのを恐れた。
フードをかぶって、風よけをした。
あと数メートル先にオアシスがある。
覆い茂った木々と、青く透き通った泉が見える。
ニワトリが大きく進化した
野生のチキン・ピルファーラーに
乗って移動していた。
スカーレットは
レクエペとケラットとともに
チキン・ピルフォーラーに乗っている。
フィンレーの後ろには腰を手にまわして、
ソフィアが乗っていた。
どこか恥ずかしそうだった。
フードを目深にかぶってごまかした。
「大丈夫か?」
後ろを振りかえって様子を伺う。
「うん、平気…。」
本当は心臓がドキドキしすぎて、
どうにかなりそうだった。
なんで、スカーレットと一緒に
乗らなかったんだろうと自分を責めた。
オアシスに到着するとフィンレーは手を貸して、
ソフィアをおろした。
「ごめんなさい。ありがとう。」
「おう。任せておけって。
回復の泉だろうから、
しっかりMP回復しておけよ?」
フィンレーは、ソフィアを泉の方へ誘導した。
「そうね。HPは回復できるけど、
MPは宿屋じゃないと回復できないし。」
「わーい。」
小人たちは、泉にバシャバシャと入って
楽しんでいた。
スカーレットも一緒になって入っている。
「あ、俺も入るかな。」
ソフィアの前で服を脱ごうとするフィンレーは
悲鳴にびっくりする。
「ちょっと目の前で脱がないで。」
「あ、悪い。」
慌てたフィンレーは、木の影に行って
服を脱いではソフィアに見えないように
泉の中に入った。
ソフィアは、一人すそを手繰り寄せては、
手で足にそっとかけていた。
砂漠の暑さを涼むにはちょうどよかった。
空を見上げると大きな入道雲が
もくもくと出ていた。
雨も降らず、ずっとこの暑さは汗がとまらない。
「大変だ!?」
フィンレーがあることに気づく。
「みんな、泉に入るんじゃないって。
もう、全員入ってしまってるよな…。」
「何、なんで、入っちゃだめなの?」
「MPは回復してるみたいだが、
魔法が使えなくなってるぞ。」
「嘘、なんで?」
スカーレットは様々な魔法を唱えてみるが、
光さえも出なくなって、ただの言葉になっていた。
「本当だ。」
「私たちもです!」
ケラットが叫んだ。
「私も…何もできない。
どうして?」
両手を見つめ、魔法が唱えられないことに
ショックを受ける。
ソフィアにとっては唯一の攻撃は魔法。
杖で攻撃と言ってもフィンレーたちほどの
ダメージを与えられない。
顔を両手で覆った。
「どうしたらいいの?
私、魔法がないと何もできない。」
フィンレーは、泉の中から
ソフィアにそっと近づいて、
頭をなでた。
「大丈夫。何とかなるさ。
俺が何とかするから。」
「無理よ。
私、魔法が使えないことが
なかったもの。」
涙がとまらない。
絶望する。
「魔法が無くても
生きていける方法
を見つけなさいって
神様が
与えた試練かもしれないんだ。」
手を差し伸べるが、また顔を覆う。
「裸はいや!」
上半身裸になっているフィンレーを
見たくなかったようだ。
「あ、ごめんなさい。」
フィンレーは、慌てて、
服に着替えては、
ソフィアの近くに寄った。
やっと落ち着いて、見えた。
「一緒に探そう。
魔法を取り戻す方法。
その間は魔法を使わないで
過ごすことになるけど、
俺がフォローするから。」
「……。」
何も言えずにフィンレーの手をつかみ
立ち上がる。
「原因は、この泉。
魔法が使えなくなる
トリガーだと思う。
中に入って、確かめてみるわ。
みんなはこのままここにいて。」
「気をつけて。」
「ああ。」
フィンレーは、また服を脱いで、
泉の深いところに潜りに行く。
ぶくぶくと息を少しずつ吐きだして、
泉の底を見ると大きな足がたくさんある
モンスターがこちらをにらんでいる。
目がギョロギョロとしている。
足が8本もある赤い巨大なオクトパスが
泉の中にもぐっていた。
攻撃は仕掛けてこないが、
ずっとこちらを睨みつけてくる。
魔法を使えないが、
どうやって倒すかを悩んだ。
フィンレーは、
一度陸に上がり、作戦を考えた。
潜れる人だけ一緒に戦いに行くことにした。
武器を装備して、
もう一度3人で潜る。
フィンレーとスカーレット、
レクエペが
足をばたばたとさせながら、
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目を丸くして驚いていた。
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