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第4話
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「ここはどこ?
あなたたちは?」
少女は、洞窟で会ったことを
忘れているのか、
何のことかわからないようだ。
フィンレーは、スカーレットと
顔を見合わせた。
「もしかして、記憶喪失?」
「あの時、頭打ったから?」
「あんた、名前は?」
「あんたって失礼な人ね。
私は、ソフィア。
どこから来たかと聞かれても
わからないわ。」
ご機嫌ななめのソフィアだったが、
のんびり自己紹介してる場合はなかった。
3人のいる宿屋の1階の方から
獣の唸り声がする。
バリンと窓ガラスが割れた。
「今の音、なに?!」
「下から聞こえたな。
森の中にあるから
モンスター出やすいのかもな。」
「フィンレー、武器持って。
行くよ。」
「ソフィアは戦闘参加できんの?」
「……魔法くらいなら。」
手のひらを上にすると、
炎がボッとついた。
「おっと、即戦力~、行くぞ。」
スカーレットは先におりて、
フィンレーは、ソフィアの手を引っ張って、
1階のロビーへ向かった。
宿屋の外に出ると、店主が仕留めようとしてたで
あろう、グリズリーベアがあらわれた。
灰色の熊で、性格は狂暴であり、鋭い爪をもっている。
グリズリーベアは、倒れている宿屋の店主の上を
平気な顔をして踏んでいる。
おそらく、倒そうとして猟銃を向けたが、
間に合わなかったのだろう。頭から血を流していた。
「うわ、ひどい。」
「気をつけろ。
こいつはかなり狂暴だ。」
フィンレーは、背中から剣を引き抜いた。
グレートソードかと
思いきや、いつの間にか売っていて、
新しい武器のレイピアを買っていた。
「え、フィンレーいつ買ったの?」
スカーレットは問う。
「ひ・み・つ。
ほら、よそ見すんなよ?」
ソフィアは、目をとじ、
両手を合わせて、
魔法を唱える。
『ファイヤーボール!』
大きな炎のボールができていた。
渦を作って、一気にグリズリーベアを
炎で包み込んだ。
おたけびを上げていたが、未だに
気絶してはいない。
スカーレットが、グレートソードを
横から切りかかりに行った。
さらに後ろから、フィンレーが
頭から斜め左にレイピアを振り下ろした。
まだ、生きている。
息が荒くなって動きも鈍いが、
じりじりとこちらに迫ってくる。
すると、村人たちが騒ぎを聞きつけて、
花瓶や、斧、鍬などをグリズリーベアに
放り投げてきた。
武器屋の店主は、お得意のオートボウガンを
飛ばしてきた。
「うぉー--、まだ生きてるぞー
みんな、やっちまえー--。」
村人たちは必死に立ち向かって行った。
ソフィアも魔法を次々と繰り出した。
やっとこそ、力尽きたグリズリーベアは、
パタリと倒れて、砂のごとく消えていく。
「やったー---。
やっつけたぞー--。」
村人たちは、グリズリーベアが気絶したと
わかるとお祭り騒ぎで喜んだ。
「旅人さんたちよ。
グリズリーベアを倒してくれて
ありがとうございます。
これで、宿屋のマーティンも天国で
喜んでおります。」
「もしかして、
今までずっとその熊と戦っていたんですか?」
「そうなんです。
ずっと、この村に住み着いて
困っていたんです。
宿屋を経営しているマーティンは
森に作れば、旅人さんたちが
倒してくれるはずという流れで。
願いはかなえられました。」
村人たちは拍手喝采だった。
「え、熊カレーとか熊ステーキが出るって
話はどうなりました?」
フィンレーは食い意地が張っているらしく
食べ物が気になったようだ。
「はい?
なんのことですか?」
「えー--、熊カレー
楽しみにしてたのに。」
「ほら、ジャーキーでもしゃぶってろ。」
スカーレットは道具袋からおやつ用の
ジャーキーを手渡したが、ぺしっと
たたかれて、地面に落ちた。
フィンレーは、イライラして、腕組みをしている。
「今夜はお祝いです。
旅人さま。
豚の丸焼きをご用意いたしましたので
ご堪能ください。
村おすすめのワインもぜひ飲んでくださいね。」
村長は、3人に席を用意して、
噴水広場にキャンプファイヤーのように
お祭りが開催された。
目の前には豪華な食事がふるまわれた。
ずっと悩ませていたグリズリーベアの撃退を貢献した
フィンレーとスカーレット、ソフィアは、
旅人さまから勇者さまと呼び慕われていた。
「こういうのも悪くないな。」
豚の丸焼きをむさぼり食べる
フィンレーは
終始ニコニコ笑顔だった。
ダイエット中のスカーレットは、
お皿の上に乗った桃、
パイナップルなどの果物を
ちびちび食べていた。
ソフィアは、
物珍しそうに見つめるだけで
食べようとはしなかった。
北の空には大きな虹が
さしかかっていた。
なにかが始まる兆しか、
不運の予兆か、幸運の予兆か
あまりにも楽しくて、
3人には知る由もなかった。
あなたたちは?」
少女は、洞窟で会ったことを
忘れているのか、
何のことかわからないようだ。
フィンレーは、スカーレットと
顔を見合わせた。
「もしかして、記憶喪失?」
「あの時、頭打ったから?」
「あんた、名前は?」
「あんたって失礼な人ね。
私は、ソフィア。
どこから来たかと聞かれても
わからないわ。」
ご機嫌ななめのソフィアだったが、
のんびり自己紹介してる場合はなかった。
3人のいる宿屋の1階の方から
獣の唸り声がする。
バリンと窓ガラスが割れた。
「今の音、なに?!」
「下から聞こえたな。
森の中にあるから
モンスター出やすいのかもな。」
「フィンレー、武器持って。
行くよ。」
「ソフィアは戦闘参加できんの?」
「……魔法くらいなら。」
手のひらを上にすると、
炎がボッとついた。
「おっと、即戦力~、行くぞ。」
スカーレットは先におりて、
フィンレーは、ソフィアの手を引っ張って、
1階のロビーへ向かった。
宿屋の外に出ると、店主が仕留めようとしてたで
あろう、グリズリーベアがあらわれた。
灰色の熊で、性格は狂暴であり、鋭い爪をもっている。
グリズリーベアは、倒れている宿屋の店主の上を
平気な顔をして踏んでいる。
おそらく、倒そうとして猟銃を向けたが、
間に合わなかったのだろう。頭から血を流していた。
「うわ、ひどい。」
「気をつけろ。
こいつはかなり狂暴だ。」
フィンレーは、背中から剣を引き抜いた。
グレートソードかと
思いきや、いつの間にか売っていて、
新しい武器のレイピアを買っていた。
「え、フィンレーいつ買ったの?」
スカーレットは問う。
「ひ・み・つ。
ほら、よそ見すんなよ?」
ソフィアは、目をとじ、
両手を合わせて、
魔法を唱える。
『ファイヤーボール!』
大きな炎のボールができていた。
渦を作って、一気にグリズリーベアを
炎で包み込んだ。
おたけびを上げていたが、未だに
気絶してはいない。
スカーレットが、グレートソードを
横から切りかかりに行った。
さらに後ろから、フィンレーが
頭から斜め左にレイピアを振り下ろした。
まだ、生きている。
息が荒くなって動きも鈍いが、
じりじりとこちらに迫ってくる。
すると、村人たちが騒ぎを聞きつけて、
花瓶や、斧、鍬などをグリズリーベアに
放り投げてきた。
武器屋の店主は、お得意のオートボウガンを
飛ばしてきた。
「うぉー--、まだ生きてるぞー
みんな、やっちまえー--。」
村人たちは必死に立ち向かって行った。
ソフィアも魔法を次々と繰り出した。
やっとこそ、力尽きたグリズリーベアは、
パタリと倒れて、砂のごとく消えていく。
「やったー---。
やっつけたぞー--。」
村人たちは、グリズリーベアが気絶したと
わかるとお祭り騒ぎで喜んだ。
「旅人さんたちよ。
グリズリーベアを倒してくれて
ありがとうございます。
これで、宿屋のマーティンも天国で
喜んでおります。」
「もしかして、
今までずっとその熊と戦っていたんですか?」
「そうなんです。
ずっと、この村に住み着いて
困っていたんです。
宿屋を経営しているマーティンは
森に作れば、旅人さんたちが
倒してくれるはずという流れで。
願いはかなえられました。」
村人たちは拍手喝采だった。
「え、熊カレーとか熊ステーキが出るって
話はどうなりました?」
フィンレーは食い意地が張っているらしく
食べ物が気になったようだ。
「はい?
なんのことですか?」
「えー--、熊カレー
楽しみにしてたのに。」
「ほら、ジャーキーでもしゃぶってろ。」
スカーレットは道具袋からおやつ用の
ジャーキーを手渡したが、ぺしっと
たたかれて、地面に落ちた。
フィンレーは、イライラして、腕組みをしている。
「今夜はお祝いです。
旅人さま。
豚の丸焼きをご用意いたしましたので
ご堪能ください。
村おすすめのワインもぜひ飲んでくださいね。」
村長は、3人に席を用意して、
噴水広場にキャンプファイヤーのように
お祭りが開催された。
目の前には豪華な食事がふるまわれた。
ずっと悩ませていたグリズリーベアの撃退を貢献した
フィンレーとスカーレット、ソフィアは、
旅人さまから勇者さまと呼び慕われていた。
「こういうのも悪くないな。」
豚の丸焼きをむさぼり食べる
フィンレーは
終始ニコニコ笑顔だった。
ダイエット中のスカーレットは、
お皿の上に乗った桃、
パイナップルなどの果物を
ちびちび食べていた。
ソフィアは、
物珍しそうに見つめるだけで
食べようとはしなかった。
北の空には大きな虹が
さしかかっていた。
なにかが始まる兆しか、
不運の予兆か、幸運の予兆か
あまりにも楽しくて、
3人には知る由もなかった。
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